経済見聞録マンション情報

■2019年■


■経済見聞録■  ■目次■


初述:2019年 1月 5日
改訂:2019年12月30日



1月
神戸市、タワーマンション管理認証制度
神戸市はタワーマンションを適切に管理するための認証制度の創設を予定する。

高さ60m以上の物件の管理組合や開発事業者に防災対策や管理状況を届出してもらい、神戸市などが設置する審査会で認証する仕組み。

マンションは立地だけでなく管理状況も評価も必要で、タワーマンション増加で人口規模を追うのではなく質の高い街づくりが重要としている。

【2019年1月5日】
民泊物件、幅広く
一般住宅に旅行者らを有料で泊める民泊。

2018年6月15日に住宅宿泊事業法(民泊法)が施行してから届出件数は1万件を超えた。

合法物件が増えた事で幅広い人が使いやすくなっている。

民泊は仲介サイトで物件を探し、予約する事で泊まれる。

エアビーアンドビー(Airbnb)のサイトは貸切の部屋からシェアルームまで幅広くタイプの物件を検索でき、物件や時期によって料金は異なる。

民泊は海外で先行して普及し、これまで外資系のサイトが中心だったが、住宅宿泊事業法(民泊法)に伴い国内の仲介サイトも相次いで開設されている。

楽天ライフルステイは物件仲介だけでなく運営も手掛ける。

民泊は従来のホテルや旅館にはない特徴を持った部屋に泊まれるのが魅力で、ホームステイのように貸手が同居するタイプの部屋は海外旅行で現地の人と交流したい利用者にお勧め。

ただ、違法物件や安全管理が不十分な物件もあるので注意が必要。

【2019年1月7日】
不動産手続きネット完了
不動産取引手続きをネットで完結させるサービスが登場している。

東急リバブルは新築マンションの販売受託業務で物件引渡しするまでの手続きができるシステムを開発。

内覧会や登記の手続会の予約の他、住宅ローン管理などマンション購入に関わる業務を代行できる。

内覧会の日時を選択したり、必要事項を入力したりするだけで手続きが済むようにする。

年間1500戸近い分譲マンションを取扱い、購入者に引渡時期は年度末と9月に集中している。

この時期は書類作りなどの作業に追われ、都度、派遣社員を雇ったり社員が深夜まで対応したりしていた。

大東建託も賃貸借契約更新作業をアプリでできるサービスを始めた。

2019年2月以降に契約が満期を迎える賃貸物件の入居者を対象に、インターネットやアプリで更新手続きを完了するサービス。

運転免許証など身分証明書などもアプリで提出できる。

これまでは更新時期の3ヶ月前に必要書類を顧客に送付してもらっていた。

不動産業界では紙やファックスなどのやり取りが根強く残り、遅れていた手続きを電子化する。

【2019年1月14日】
首都圏、新築マンション減速
新築分譲マンション市場の減速が鮮明になってきた。

マンションの発売月に販売戸数のうちどれだけ契約に至ったかを示す初月契約率は2018年の首都圏平均で27年ぶりの低水準となった。

価格が高止まりするなか消費者の人気は駅前の物件に集中しており選別が強まっている。

マンション関連産業は裾野が広く建設などにも減速が波及する可能性がある。

首都圏の2018年の初月契約率は62.1%で2008年のリーマンショック後の62.1%を下回り、1991年のバブル崩壊後の58.3%に次ぐ低水準。

2018年12月は49.4%まで落ち込み、減速感が強まっている。

発売戸数は2017年より多い3万7132戸だが、2000年代前半の8万戸〜9万戸に比べると半分以下。

割安感で人気が高まった中古マンションの成約戸数を下回る状態が2016年から続いている。

首都圏の住宅着工戸数に占める分譲マンション割合は2割強で、マンション市場の減速は建設業や住宅設備やセメントといった多産業にマイナスの影響を及ぼす。

マンション市場は好不調の波を繰り返して、バブル期の1990年に価格が過去最高の6123万円を記録し、それでも3万9000戸強の発売物件の初月契約率は7割を超えた。

バブル崩壊で戸数は2万戸で契約率も5割に沈んだが、郊外や都心湾岸部への供給増などで盛り返した。

しかし今回は回復が不透明で、2019年の発売戸数は2018年を下回る予測し、マンション市場の構造変化が起きている。

一つ目は平均価格の高止りで、2014年に5000万円を突破し、2018年に5871万円まで上昇。

住宅ローン金利は低水準が続くが一般給与所得者には手が届きにくい。

今後も価格は微減にとどまり、資材の他、人手不足による労務費の高騰傾向は続き、ホテルなどとの競争で用地取得コストもかさむ。

二つ目は消費者の志向変化で、共働きや車所有しない世帯が増え、交通や買物の利便性が高い駅前に人気が集中している。

足元で活発なのが東京近郊の駅前で、東京都心に比べれば再開発余地があり割安で、顧客のニーズにも合う駅前一等地をデベロッパーが奪い合い構図。

三菱地所レジデンスは神奈川県厚木市に地上22階建て、総戸数163戸のザ・パークハウス本厚木タワーを手掛け、2021年竣工予定で本厚木駅まで徒歩1分の商業施設との複合再開発案件。

新宿まで1時間程度で平均価格5500万円、高層階は1億円以上で、購入層は実需に加えセカンドハウスや投資用、相続対策として求める地元富裕層が目立つ。

住友不動産は埼玉県所沢市の所沢駅前で29階建てのタワーマンションを開発、東京建物はさいたま市のさいたま新都心駅から徒歩5分の場所で1400戸の大規模マンションを分譲する。

駅から徒歩5分以内の物件は2018年に全体45%を占めたが、供給ピークの2000年には3割しかなく増加傾向で、5分を超えると苦戦する物件が増える。

マンション販売各社は売れる立地に絞り、完成前の完売に固執せずに販売時期を細かく分け、着実に売る戦略に転換し、完売まで平均日数は2006年頃までは半年程度だったが、近年は1年半前後となっている。

資金回収を急ぐ新興・中堅デベロッパーの多くがリーマンショックで消え、資本力のある大手不動産会社の物件比率が高く、焦って販売する必要がなく、値下げせずに売る傾向にある。

マンション市場の先行きは不透明で、2019年秋の消費税増税が購入意欲を冷やす可能性があり、政府は駆け込み購入と反動減を防ぐため住宅ローン減税の拡充など支援策を用意し、消費者はいつ買うのか見定める。

また東京五輪後の大量供給があり、選手村を大会後に改修するプロジェクトは三井不動産レジデンシャルなどが分譲マンションだけで4000戸を供給する。

駅から遠いが東京都の再開発事業で大量供給するため相場より割安になる見込み。

巨大物件の発売を待って様子見が増えれば首都圏の市場が変調をきたし、値崩れを起こす懸念もあるため数年かけて販売時期をずらす方針。

【2019年1月23日】
近畿圏、マンション発売増加
近畿圏の2018年の新築マンション発売戸数は2万958戸と増加した。

都市部の単身者向け、郊外で家族向けの供給が増えた。

家族向けが多く供給された大阪市を除く大阪府や、投資物件が増えた神戸市がけん引した。

投資物件割合は29.2%と伸びている。

1uあたりの単価は65.9万円(217万円/坪)と上昇している。

月間契約率は74.5%と低下した。

2019年の発売は2万戸程度と減少する見通し。

消費税増税が控えるが、住宅ローン減税が拡充予定され駆け込み需要も限定的とみる。

2025年には大阪万博開催が決定し、夢洲に近い湾岸地区でマンション開発が進む可能性がある。

【2019年1月23日】
中古マンション価格上昇
2018年12月の中古マンション平均希望売出価格は70u(21坪)換算で、首都圏が3729万円(177万円/坪)で上昇。

東京都は4940万円(235万円/坪)と価格下落し弱含し、東京都区部は5461万円(260万円/坪)で上昇。

近畿圏は2268万円(108万円/坪)と投資マネーが流入した大阪市が3168万円(150万円/坪)と上昇。

中部圏は1902万円(90万円/坪)と上昇。

【2019年1月25日】
賃貸住宅の地震対策
地震の人的被害を防ぐ対策として国が推奨する家具固定が進まない。

一つには賃貸住宅で退去時にネジ穴を補修しなければという懸念。

公営住宅で補修を求めない自治体もあるが反応はよくない。

壁に穴を開ける行為への心理的要因がある。

2018年6月の大阪府北部地震で死亡した6人のうち3人が自宅で本棚などの下敷きになった圧死で、家具を固定していれば被害は防げた可能性がある。

揺れに備えて冷蔵庫や棚をL字金具で留める家具固定は防災の基本。

ただ、実施する住宅は少なく原因の一つとされるのが賃貸住宅の原状回復義務。

賃貸住宅は退去する際、通常の生活で付かないキズは元通りに修復しなければならない。

日本賃貸住宅管理協会では、家具固定のクギやネジの穴は基本的に借主が補修する事になるという。

根拠となるのは国土交通省のガイドラインで、エアコン設置のビス穴については借主の負担不要と明記するが、家具転倒防止措置は予め貸主の承諾を得るか、クギやネジを使用しない方法などの検討するなどとしている。

入居者は自分の生命を守るための費用を自分で負担しないのかという貸主側の主張もあり、国土交通省は借主負担不要と踏み込んで記載するだけの材料がないとしている。

一方、家具固定のネジ穴はエアコン設置のビス穴と同様で、退去時に補修する必要のない通常損耗にあたるとする考えもあり、国や自治体の対応はないが、家具固定はガイドラインで明記する必要があるとしている。

東京都港区は公営住宅の家具固定の穴は元に戻す必要はないとの施策を始め、公営住宅から民間住宅に広がる事を狙うが広がりは鈍い。

賃貸住宅に限らず、持家でもネジ穴が転売時の価値低下につながる恐れが心理的なハードルになっている。

キレイな壁に穴を開ける抵抗感や面倒という心理が先行する。

【2019年1月30日】
2月
違法民泊掲載
観光庁は民泊仲介サイトに掲載されている16%程度が違法民泊としている。

住宅宿泊事業法(民泊法)が施行された当時からは改善しているが、違法物件の排除が進んでいない。

調査は各自治体が、民泊仲介サイトを運営する民泊仲介業者が観光庁に提出した物件リストと家主からの届出情報を照合し、違法の疑いのある物件は事業者の名称、所在地、届出番号などが一致しないケースがある。

違法物件排除に向け観光庁は、民泊仲介業者が物件を掲載する前に、観光庁が新たに作成する合法物件のリストや、届出番号を記載した自治体発行の文書などで確認するよう義務付ける。

【2019年2月2日】
シェアハウスの行政処分
国土交通省はシェアハウス投資へのスルガ銀行の不正融資問題を巡り、物件を仲介した不動産業者のフューチャーイノベーションに初の行政処分を出す。

物件オーナーの預金通帳などの改ざんに関与したとして宅地建物取引業法に基づき、東京都のフューチャーイノベーションに業務改善を指示を出す。

フューチャーイノベーションは運営が破綻したシェアハウスのかぼちゃの馬車の販売協力業者の一つ。

売買を仲介した数件の物件について、オーナーの返済能力が足りず本来なら融資の承認が下りないはずなのに、預金残高の水増しなどで資産を多く見せかけ、契約を成立させたとされる。

【2019年2月2日】
高齢者向け賃貸住宅、安価に需要傾く
見守りなどがあるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、家賃月額8万円未満の安い住戸に要介護3以上の入居者が5割を占めている。

自立した高齢者向けとの想定に反し、特別養護老人ホーム(特養)が対応すべき低所得で体が不自由な人が流入している。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は介護報酬で収入を賄おうとすれば過剰に介護を提供しがちで、公費に支出が膨らむとされる。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)はバリアフリーで安否確認などの要件を満たした民間賃貸住宅を自治体が登録し、法律上は住宅になり介護義務はない。

訪問介護を使いたい人は介護事業者と契約するが、介護拠点を併設し事業者が同じケースが多い。

家賃を安くして入居者を募り、自らの介護サービスを多く使わせるという問題がある。

本来、要介護3以上の低所得者の受皿は特別養護老人ホーム(特養)で、毎月一定額の利用料も相対的に安く、その範囲で食事や介護を提供する。

必要以上にサービスを増やして介護報酬を稼ぐ動きは起きにくいが、職員不足で受入れを抑える特別養護老人ホーム(特養)が目立ち、全国に30万人近い待機者がおり、行き場を失った高齢者がサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を選択している。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の平均家賃は10万6000円で、全体に占める要介護3以上の住民比率は34%。

家賃別では8万円未満が48%に達し、介護報酬を安定的に得るため要介護度の高い人を入居させているという。

介護報酬の1割〜3割は利用者負担だが、残りは税金と介護保険料で賄い、要介護度が膨らむと支給上限額は増える。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に要介護度の高い人が集まる傾向は都市圏で顕著であり、都市圏は土地代が高く家賃を下げた分を介護報酬で補うモデルが広がっている懸念がある。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が介護報酬を運営の調整弁に使うと、介護保険制度の持続性が揺らぎ、

一般社団法人・高齢者住宅協会は、介護状況の開示や法令順守を事業者に促しているという。

民間主導のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は行政も運営・整備計画を把握しておらず、それが乱立や介護報酬で経営を成立たせようとする動きを招いている。

《サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)》
入居者の見守りや生活相談サービスを備えた民営の賃貸住宅。

2011年の高齢者住まい法改正により、複数形態があった高齢者向け住宅を束ねる形で誕生した。

入居要件は60歳以上か要支援・要介護の認定者。

バリアフリー構造で、居住部分の床面積25u以上、キッチンなどの共用部が十分なら18u以上といった基準を満たす必要がある。

通所介護や訪問介護の事業所を併設し、実質的に介護施設のように運営しているケースが多い。

運営事業者は都道府県など自治体に登録するが、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームのように行政規制対象にはならない物件が大半。

国は広さに応じて1戸あたり上限90万円〜135万円の補助金を出し、手厚い支援措置で建設を促してきた。

【2019年2月3日】
分譲マンションの空き家問題
分譲マンションの空き家問題が深刻化している。

管理組合が機能せず、基礎的な修繕もできない物件が水面下で増加している。

東京都が管理状況の届出を義務化する条例案を策定予定など、自治体も対策に乗り出した。

ただ、空き家増加が管理不全をもたらし、さらに空き家が増える負のスパイラルを食い止めるのは簡単ではない。

埼玉県の分譲マンションでは建物劣化が進むが修繕する見込みはなく、住民は生活しているものの管理組合はなく、総会も開催されていない。

管理組合が機能しないマンションが陥る危機的状況だが、このような分譲マンションは全国的に広がっている。

管理組合が機能していなければ危険な損壊が放置されたり、管理不全の隙を突いた侵入者による犯罪の温存になったりするリスクがあり、居住者だけでなく周辺地域にも悪影響がでる。

東京都の条令案では、管理組合や管理規約の有無などを提出させ、マンションに管理組合の設立を支援したり運営方法についてマンション管理士らが相談に乗ったりする。

東京都に先駆けて届出を義務化する条例を施行した豊島区は、見届出のマンションに職員やマンション管理士らが訪問し、管理組合が機能するよう支援している。

従来、管理組合から要請があった場合に支援していた横浜市は、不安のあるマンションには要請がなくても職員やマンション管理士が訪問している。

ただ、解決するには問題も多く、マンションの空き家の拡大がある。

総務省によると戸建てを含めた空き家数は2013年に820万戸あり、うち半数近い471万戸が分譲マンションや賃貸アパートなどの共同住宅。

さらに173万戸は建築時期が分からず老朽物件が多く、老朽マンションは戸建てよりも空き家状態が長期化しやすい。

戸建てもマンションも空き家となる理由は親などからの相続。

所有者が通常は1人の戸建てなら建物を解体して土地を売却する事ができるが、他人と共有のマンションでは建物解体ができない。

結果的にマンション住戸は売却や賃貸できなければ空き家となる。

空き家が増加するマンションは管理組合の理事を担う人手、管理費・修繕積立金も未収になりやすい。

自治体の対策は所有者への聞き取りや支援が柱で、空き家が増えて所有者がいない住戸での実効性は乏しい。

日本では1970年代後半からマンション供給が増加し、国土交通省の調査では、2017年で73万戸だった築40年超の物件は2037年には352万戸と5倍になる。

戸建てや賃貸マンションなど所有者が単独で空き家ではリノベーションの後に新たな居住者を募ったり、オフィスや店舗に転用したりと改革が進むが、マンションの空き家解決には、同じような取組みでも複数の所有者が存在する分譲マンションでは調整が難しい。

マンション管理は所有者の自己責任という従来の考え方を変える必要がある。

【2019年2月6日】
レオパレス21、アパート施工不良増加
レオパレス21は、耐火水準を満たさない、遮音性が基準値に達しないなどの建築基準法違反の疑いのあるアパートが新たに見つかった。

当該アパート入居者には住替えを要請する。

2018年5月には界壁の部材が未設置だった問題が発覚、今回の不適格アパートの所在地は全国に拡大している。

建築基準法違反にあたる物件は1996年〜2001年に手掛けた物件で、天井の耐火性や遮音性に問題があるアパートの居住者には住替えを促し、転居費用はレオパレス21が負担する。

転居総人数は1万4000人と住宅建設を巡る不正では異例規模となる。

【2019年2月8日】
建築効率優先させたレオパレス21
レオパレス21はアパート建設で施工不良が相次いだ原因について、作業効率を上げるのが一番ので、コスト削減が目的ではないとしている。

アパート建設業界を勝ち抜くため工事現場の作業負担を軽減して工期を短縮できるよう建築基準法令で定められた仕様を異なる部材を使い、業績拡大を優先し品質に対する意識欠如していた。

建築基準法違反に該当する物件は1324棟で、設計図ではグラスウールの断熱材を使用としていたが、実際は発泡ウレタンを充填したパネルを使っい、共同住宅の界壁に求められる遮音性を満たさない可能性がある。

さらに防火性を満たさない物件もあり、共同住宅の外壁には建築基準法で、準耐火構造か防火構造の仕様が求められるが、別部材を使用したり、構造上基準を満たしていない。

不良物件は千葉県、埼玉県、茨城県、神奈川県、東京都など関東圏、静岡県、兵庫県と全国に広がりを見せている。

施工不良物件を手掛けた1996年〜2001年はバブル崩壊の中で地主など限られた富裕層からの受注を奪い合う現象が目立っていた。

受注物件を年度末までに完成させるため、担当者が仕様とは異なる手順で工事を急ぎ、完成後の物件が建築基準法令に適合しているかを確認する体制も不十分だったという。

国土交通省はレオパレス21に対し、改修の具体的な方針などについて所有者に説明する事や、原因究明と再発防止策について国土交通省に報告するよう指示する文書を送付した。

【2019年2月8日】
レオパレス21、業績低迷
建築基準法違反の疑いのあるアパートが次々と見つかりレオパレス21の株が急落した。

補修工事などにかかる費用を引当て、2019年度は最終赤字が拡大する。

独自ビジネスモデルや積極的な株主還元で海外投資家に人気銘柄だったが、レオパレス21の説明不足も重なり見切る投資家が増加。

2018年春の問題発覚後、施工不良や損失は徐々に拡大した

建物調査も一部にすぎず、1棟あたり数千万円の費用がかかる可能性があり、さらに損失が膨らむ可能性がある。

アパート建築受注は横ばいを維持するが、主力のアパート賃貸の稼働率は低下し、補修後も行政機関との調整で、再募集まで時間がかかるケースが出ている。

少なくとも7782人の居住者が退去を迫られることになり、ブランド価値低下で入居者募集に影響をおよぼす。

レオパレス21はサブリース(転貸借)で家具・家電付を標準とする独自性や株主還元目標が評価され外国人投資家の株主が6割を占める。

【2019年2月8日】
レオパレス21、居住者に転居要請
新たに施工不良のアパートが発覚したレオパレス21。

耐火基準を満たさない物件の居住者7782人に対し転居要請を開始したが、居住者からは不安の声が相次ぎ、アパートオーナーに怒りの声も上がる。

天井の耐火性能が建築基準法を満たさないとしてレオパレス21が転居要請をするアパートは1996年〜2001年に着工したゴールドレジデンス。

レオパレス21は遮音性が基準に達しないアパートの居住者にも転居を求める方針で、最終的に1万4000人に上るとしている。

名古屋市などのアパートオーナー達は2018年6月にレオパレス違法建築被害者の会を結成した。

レオパレス違法建築被害者の会は2018年5月の問題発覚以降、レオパレス21と調査や修繕について話合いを重ねたが、居住者転居要請については連絡が無かったと離す。

レオパレス違法建築被害者の会は全国のオーナー170人が参加し、金融機関から多額融資を受けて多数のアパートを建設したオーナーもおり不安が広がっている。

【2019年2月8日】
レオパレス21、施工不良で業績悪化
施工不良問題が響くレオパレス21の業績が悪化している。

補修工事費用負担などを見込み損失引当金を大幅に積増し、トラブルの影響で入居率低下が続き、本業の稼ぐ力も落ち込んでいる。

過去に手掛けてたアパートで施工不良が発覚し、補修工事の費用や今後の引越し代の負担を見込んだ引当金など特別損失を計上、主力の賃貸事業も落ち込んでいる。

レオパレス21は主に地主から賃貸アパート建築を受注し、完成後に物件を一括で借上げ居住者に転貸するサブリースの大手事業者。

賃貸管理戸数は57万戸で、アパートオーナーに支払う賃料は月額250億円にのぼり、アパート入居率は2018年末で85%と低下している。

レオパレス21は2018年5月、アパート一部で界壁の屋根裏部材が未設置だったのが発覚し、過去に施工した3万9085棟の全棟を調査し、現時点の調査結果では1万2364棟のうち86%で何らかの不備が確認された。

不備のあるアパートは補修完了まで入居者募集を停止し、調査が進むにつれアパートの空き部屋が増加している。

工事完了後、行政機関との調整で募集再開に時間が掛かっている例もある。

アパート建築事業も苦戦し、大都市圏では建築事業者間で受注競争が激化し、金融機関が投資用不動産向けの新規融資に慎重になっているのも響いている。

居住者が減少する影響もあり、本業に伴う現金の出入りを示す営業キャッシュフローはマイナスとなっている。

レオパレス21は天井の耐火性に問題があるアパートの居住者7782人に転居要請を始めた。

レオパレス21が近隣の物件と引越業者を紹介し、同意が得られた居住者から進める。

居住者のうち95%が単身者で、1人あたり数万円の引越費用はレオパレス21が負担し、一方、新たな住居の賃料が現状より上回ったとしても差額分は負担しない。

他社物件に転居する場合、敷金や火災保険料は入居者負担となるが、礼金や仲介手数料といった諸費用はレオパレス21が負担する。

レオパレス21は耐火性水準を満たさない天井だったアパートの他、外壁や界壁に問題のあったアパートの居住者にも引越しを促す予定で、最終的には1万4000人にのぼる。

この他、アパートオーナーへの空室時の賃料補償などもある。

レオパレス21の新たな施工不正発覚を受け、アパート投資への不信感が広がる。

2018年春に表面化したスルガ銀行の不正融資問題で金融機関はアパート融資に消極姿勢に転じ、別のアパート施工会社による融資資料改ざんも発覚し、相続税対策を担ってきたアパート投資を敬遠する地主等が増える可能性がある。

大東建託では融資が止まったと地方銀行の融資姿勢の変化があると話す。

これまで地方銀行がアパート融資をけん引してきたが、オーナーに自己資金の積増しや融資額の減額を求める事例が増えている。

地主等が契約を取り止めを申し出るキャンセル率も上昇傾向で、審査期間の長期化の影響もありアパート建設の着工は遅れている模様。

アパート施工会社のTATERUは営業員が融資資料の改ざんに関与し、画像編集ソフトで預金残高を書き換えたり、他人の預金通量の写しを別の顧客のものとして金融機関に提出していた。

不正に手を染めた背景には、TATERUが達成困難な過度なノルマを営業員に課していた事にあり、レオパレス21でも年度末の3月に合せアパート引渡しを間に合うよう建築基準法違反する部材を工場で作り、作業簡略化していた。

レオパレス21は新規受注について影響が出るとし、アパートを建てる7割がリピート顧客で、品質に対する意識が欠如したまま業績回復を優先すれば、顧客離れはさらに加速する。

2018年春の界壁未設置を理由とする退去申込件数は半年強で2000件に達し、信頼回復は遠い。

【2019年2月9日】
民泊売上、納税義務
2018年6月に施行された住宅宿泊事業法による民泊で副業で得た収入。

自宅の空き部屋を旅行者等に貸して収入を得た場合、雑所得の扱いになる。

民泊では部屋の掃除やタオル等の補充といったサービスを提供し、その対価として宿泊料を受取る。

これに対して、部屋を他人に貸して占有させる対価は家賃であり不動産所得になる。

収入を増やすため自宅で民泊を営業する場合、住宅ローン控除など税優遇制度を利用していれば要注意。

住宅ローン控除を受けていると、控除額が減少する可能性があり、民泊に使う部屋の部分は居住用とみなされず事業用となり、その分は対象から外れる。

【2019年2月9日】
シェアハウス仲介業者処分
国土交通省は、シェアハウス投資へのスルガ銀行不正融資問題を巡り、物件仲介した不動産業者に行政処分を行った。

物件オーナーの預金残高などの改ざんに関与したとし関東地方整備局が東京都のフューチャーイノベーションに宅地建物取引業法に基づき法令順守を求める業務改善を指示した。

フューチャーイノベーションは運営破綻したシェアハウスのかぼちゃの馬車の販売協力業者の1社で、売買仲介した5物件についてオーナーの返済能力が足りず本来なら融資承認が下りない案件に、預金水増しなどで資産を多く見せかけ契約成立させていた。

【2019年2月13日】
アパート融資減速鮮明
アパートやマンションなどの投資用不動産の取得資金を対象とした個人向け融資の減速が鮮明になってきた。

富裕層や会社員らの不動産投資ブームで急拡大してきたが、不正融資が横行したスルガ銀行問題で他の銀行も慎重姿勢に転じた。

2015年の税制改革で相続税課税対象が拡大され、土地所有者や富裕層を中心に投資用アパートやマンションの建築が増加した。

所有地にアパートを建てると土地の評価額が下がり、借金で純資産額を圧縮する事で相続税負担を減らす策が注目された。

土地所有者の節税需要が一巡すると、副収入や資産形成を狙った会社員の投資用不動産の取得に注目が集まり融資が増加。

日本銀行のマイナス金利政策もあり、銀行は投資用不動産融資の競争が激化した。

急変したのは2018年、投資用不動産を取得した会社員らへの融資を行っていたスルガ銀行の不祥事が発覚した。

借入希望者の年収や資産などの審査書類の改ざん、取引価格を水増しした不動産売買契約書の偽造が横行していた。

スルガ銀行は金融庁から投資用不動産融資で業務停止命令を受け、スルガ銀行の市場退出が市場を押下げた面もある。

アパート施工管理を手掛けるTATERUでも建設資金の借入希望者の預金残高を水増しするなどの改ざんが発覚。

アパート建設資金を融資していた山口県の西京銀行は新規融資を止めた。

金融庁が実態調査に乗出し、他行も一斉に慎重姿勢に転じ、今後、積極的にアパート融資を伸ばす銀行はゼロで、担保価値を保守的に評価したり、融資判断の審査を厳しくするとしている。

国土交通省によるとアパートを含む貸家の新築着工戸数は2018年では39万6000戸で減少し、銀行が融資を絞り始めた影響が顕著で不動産市況の変調を懸念している。

【2019年2月13日】
レオパレス21、法人解約増
アパート施工不良問題が響きレオパレス21は法人顧客が離れ始めている。

社宅などとして利用している企業が社員の安全性を考慮して解約している。

レオパレス21はアパートを借上げ転貸する事業が主力で、入居しているのは法人顧客が多い。

大企業を中心に法令順守の観点から利用を避け、賃貸住宅大手の大東建託や大和ハウス工業には、社宅利用をレオパレス21から乗り替えたいという企業の問合わせが増えている。

これについてレオパレス21は、界壁施工不備問題で紹介できる部屋が減少し、住替えの利用にあたって物件紹介できないケースが増えていると言う。

法人顧客離れは業績への影響が大きく、レオパレス21は主に地主から賃貸アパートの建築を受注し、完成後に物件を一括借上げて入居者に転貸する。

このビジネスモデルを支えるのが賃貸契約の過半を占める法人で、物件のオーナーには一定賃料を保証しており月250億円支払う必要があり、入居率が低下すると逆ザヤに陥る恐れが高まる。

2018年3月時点ではアパート契約戸数は58%を占め、住戸には予め家具や家電を備え付け、建設系企業が工事現場近くで借りたり、製造メーカーが地方工場の社員寮として利用するケースが多い。

2018年5月にアパートの一部で界壁の屋根裏部材が未設置である事が発覚し、そこから法人アパート契約戸数は11%減少した。

施工不良問題の影響は個人客の間でも強まる可能性がある。

不動産住宅情報サイトのホームズを運営するLIFULLはレオパレス21の入居募集物件2万件を削除した。

新たな施工不良発覚を受けレオパレス21が削除要請したもよう。

レオパレス21のアパート入居率は低下基調が続き2019年1月時点で85%としている。

レオパレス21の施工不良問題は行政による施工状態確認が徹底されていない現状も浮き彫りにした。

建築基準法では建築主が工事完了後、自治体に完了検査を申請、図面通りの施工や基準に適合しているかなどの確認を求め、問題なければ検査済証が交付される仕組み。

レオパレス21の施工不良は1990年代に着工した物件もあり、国土交通省によると1998年度の全建物における完了検査の実施率は4割にとどまる。

多数の施工不良が判明した千葉県では検査済証が発行されていない古い物件が多い。

その後、阪神大震災を機に検査体制が強化され完了検査の実施率は9割に達したが、建築主が完了検査を依頼しても全てを行政が確認する訳にもいかず、工事管理者からの報告書類を基に判断する部分もある。

今回の施工不良問題では天井裏など目視での確認が難しい部分で発覚しているため、施工確認の手法なども含め体制の見直しが問われる。

【2019年2月17日】
レオパレス21、多数が違法物件
レオパレス21のアパート施工不良で国土交通省は、2019年1月時点で1895棟で建築基準法違反が確認されたと発表した。

国土交通省は、レオパレス21による原因究明の検証や共同住宅の建築時の品質管理について検討するため調査する。

レオパレス21は防火のための天井裏の界壁が未設置など建築基準法違反の疑いがある物件があるとし、施工した全棟を調査している。

【2019年2月19日】
ヤフー、不動産賃貸仲介
インドのホテル運営会社のオヨホテルズとヤフーは日本で不動産賃貸仲介事業を立上げ、オヨテクノロジー&ホスピタリティージャパンを設立する。

利用者はスマートフォンで入居から退去までの手続きができ、部屋の賃貸借契約に必要だった敷金や礼金などは掛からない。

東京都内を中心に5000室の物件獲得を目指す。

オヨホテルズは日本で不動産賃貸サービスのオヨライフを開始し、オヨテクノロジー&ホスピタリティージャパンが空き家や空き部屋をオーナーから借受け、専用サイトを通じて貸出す。

賃貸借契約や退去時の解約もスマートフォンから申請できるようにし、物件には家具や家電を備付ける。

月額賃料は10万円〜15万円の1人暮らし向けのマンションタイプを中心に東京都内から始める。

【2019年2月19日】
ロシア、外壁が浮世絵の高層住宅
ロシアのモスクワ南部に葛飾北斎の富獄三十六景・神奈川沖浪裏が壁面に描かれた高層住宅が完成した。

住宅開発会社のエタロングループによると6棟の総戸数1500戸のうち1400戸は売却済で売行きは好調。

6棟は31階建てで東京タワーと称された集合住宅で、日本文化の象徴でロシアを含む世界で人気も知名度もある葛飾北斎の作品を選んだ。

【2019年2月20日】
新築マンション販売、西高東低
近畿圏の新築マンション販売が好調で、2019年1月のマンション契約率は70.2%と好不調の目安となる70%を上回った。

物件価格上昇が首都圏より緩やかな他、大阪市内などで人気のタワーマンション供給が増えている。

発売戸数は1044戸と減少したが、タワーマンションの発売が減ったためで契約は好調。

低迷が続く首都圏とは対照的な傾向である。

要因の一つがマンション価格で、2018年の近畿圏のマンション平均価格は3844万円と10年前比で9%上昇だが、首都圏は20%強上昇の5871万円まで上昇している。

首都圏は人口流入や東京五輪の開発ラッシュで値上がりが大きいのに対し、近畿圏はまだ一般所得者層に手が届く水準にある。

もう一つの要因は20階建て以上のタワーマンション増加で、立地の良さや投資物件として人気が根強く、大阪市内を中心に近畿圏では2019年以降で35棟の供給が見込まれる。

JR九州は大阪市内の堺筋本町駅から徒歩1分の旧帝人本社跡地にMJR堺筋本町タワーを建設中で契約率も87%と好調。

2019年のマンション供給数は2万戸程度と2018年比で微減少するが、国際博覧会(大阪関西万博)決定後、ベイエリアでの開発が進む可能性もある。

懸念は2019年10月の消費税増税でのマンション市場への影響。

消費税率引上げの影響は税制優遇で相殺されるとみるが、引上げによる景気悪化のリスクが留意点となる。

【2019年2月20日】
新築マンション販売増
2018年の全国新築マンション発売戸数は8万256戸と2017年比で3.7%増加した。

大型物件がけん引し、2019年は横ばいと予測。

事業主別の発売戸数は住友不動産が7377戸と首位。

平均価格は4759万円と最高値を更新し購入意欲に陰りが見えている。

【2019年2月21日】
レオパレス21問題、投資にも陰り
レオパレス21の施工不良門だいが金融市場にも影響を及ぼしている。

レオパレス21のアパートのオーナーには主に地方銀行が建築資金を融資しており、入居率低下で返済が滞れば焦付きリスクが高まる。

アパート融資を裏付けとする証券化商品には格下げの可能性が出ており、商品を持つ投資家に損失が広がる懸念も浮上。

減速感が強まるアパート融資に新たな問題が浮上した。

レオパレス21は地主からアパート建築を受注し、完成後に一括借上げて転貸するサブリースの大手事業者。

オーナーに毎月一定の賃料を保証し、入居率が下がれば家賃収入がオーナーに保証している賃料を下回る逆ザヤになるリスクもある。

2008年のリーマンショック後には実際に逆ザヤとなり2011年度までに1200億円の最終赤字を計上した。

新たな入居者募集は困難を伴うことがあり、空室率上昇や家賃下落につながるとし投資会社は、レオパレス21で発覚した施工不良について物件融資の裏付けとした証券化商品の信用力に悪影響を与えるとする。

アパートは築年数が古いほど空室率が上がり、家賃収入が安定しにくくなる傾向にあり、レオパレス21が今後、物件オーナーへの賃料保証を維持し、オーナーが融資返済原資を確保できるかどうかが証券化商品の信用力を左右する。

また、スルガ銀行でアパート融資審査書類改ざんの不正が横行していた事で厳しい目が注がれるようになったのは、本来は借りられない人に多額の借金をさせる銀行の姿勢だった。

建物や土地を担保に取っているため融資が焦付く懸念は小さく、銀行の財務に与える影響は小さい。

レオパレス21は地主を主に顧客層としており、副収入を狙った土地を持たない会社員向け融資とはリスクが異なるとされる。

ただ、スルガ銀行で明らかなになったのは融資額を増やすため周辺相場から乖離した価格で担保となる土地を購入させられていた実態。

レオパレス21の物件でも頼りの担保価値が想定を下回る可能性があり、物件向け融資で過半を占めるのは地方銀行で、レオパレス21に係る不透明感は信用評価上ネガティブで、与信費用増加につながる可能性がある。

証券化商品が格下げされたり投資家離れが起きれば、銀行は融資が慎重になり新規案件にも影響する。

金融庁も融資焦付きに証券化商品損失の恐れが加わると、リスクの波及経路が複雑になると警戒する。

すでに急減速しているアパート融資や新規着工にさらなるブレーキが掛かる可能性がある。

【2019年2月21日】
梅田に賃貸タワーマンション
住友不動産は、大阪梅田に関西最大級となる56階建て、総戸数836戸の賃貸タワーマンションを建設する。

JR大阪駅や梅田駅まで徒歩5分圏内の好立地で、建設中の複合ビルのうち9階〜56階の全住戸を賃貸にする。

大阪市内のタワーマンションは160棟程度あり分譲が主流だが、安定した賃貸収入を見込めると判断した。

建設地は曽根崎お初天神通り商店街の一画にある大阪北小学校跡地で、1階〜2階は店舗、4階〜8階はホテルが入居し、住宅は高級賃貸マンションのラトゥールにする方針。

賃貸戸数では東京新宿のセントラルパークタワーラトゥール新宿を上回り、住友不動産では最大規模。

国内では三井不動産の東京都港区芝浦の芝浦アイランドブルームタワー(48階建て、総戸数964戸)と芝浦アイランドエアタワー(48階建て、総戸数871戸)の2棟からなる規模に匹敵する。

住友不動産によると賃料は未定とするが、大阪駅北側にあるうめきた1期地区の分譲マンションの賃料は3.3u(1坪)あたり月額1万8000円が相場で、曽根崎エリアは交通の便や繁華街のため周辺より高い賃料を見込めるとしている。

※タワーマンション・・・地上20階以上、高さ60m以上を基準としているが法的定義はない。

【2019年2月25日】
大阪、賃貸タワーマンション増加傾向
大阪都心で賃貸タワーマンションが増加している。

住友不動産は2022年に梅田の複合ビルに賃貸タワーマンションを設け、JR九州は堺筋本町に分譲と賃貸を併設したタワーマンションを建設中。

2008年のリーマンショック後、タワーマンションは分譲が大半を占めていたが、経済回復から安定した賃料を見込める賃貸事業が見直されている。

住友不動産の複合ビルは曽根崎お初天神通り商店街に小学校跡地で、建物は地上56階建てで、1階〜2階は店舗、4階〜8階はホテル、9階〜56階の賃貸住戸は入る。

1住戸40u〜200uの高級賃貸マンションのラトゥールを計画する。

賃貸市場は大阪駅北側のうめきた1期の分譲マンションの賃貸しの賃料が3.3u(1坪)あたり月額1万8000円程度で、50uの住戸なら27万円になるが、梅田南側は交通便が良くや商業地のためそれより高い賃料を見込めるとしている。

タワーマンションは事業者が投資を短期で回収できる分譲で開発するのが大半で、賃貸にするには中長期的に収益性を見込める案件に絞られる。

住友不動産は複合ビルは、大阪駅、梅田駅から徒歩5分圏内と交通便がよく、阪急百貨店など商業地から南東すぐで中長期的に賃料収益が見込めると判断した。

住友不動産は系列でREIT(不動産投資信託)を持たないためREITへのオフィスビル売却はなく、分譲マンション販売で短期収入を得るよりも継続的に賃料収入を得る長期戦略志向の考え。

JR九州は、大阪市中央区南本町にあった帝人大阪ビル跡地に、賃貸144戸、分譲296戸の37階建ての複合タワーマンションを建設中。

地下鉄の堺筋本町駅直結する便利な立地で、賃貸需要も見込めると判断し、眺望の良い高層階は販売しやすいが、低層階は売れ残りやすいためそのタワーマンションの弱点をカバーする狙いもある。

大阪市内のタワーマンションは160ヶ所あり、2003年以降に竣工した物件が8割を占め、大阪都心6区(北区、福島区、中央区、西区、浪速区、天王寺区)が8割に建設された。

中心地の賃貸タワーマンションは16ヶ所で、2010年以降に竣工した物件は4ヶ所しかない。

関西でのタワーマンションは大半が分譲で、賃貸はあまり見ない。

直近に竣工したタワーマンションは2013年の大阪市北区東天満のエルヴェ東天満で、地上25階建て、総戸数246戸。

開発した大昭建設は、国道1号線など幹線道路に面した角地で、JR大阪天満宮駅にも近いから高層建築物にし、入居率は95%と好調。

大阪市福島区福島でSKハウジングが手掛けるリバーサイドタワー中之島で、地上31階建て、総戸数190戸、デベロッパーが開発し2010年に竣工した物件。

近年、住友不動産など大手不動産会社が大阪都心の賃貸タワーマンションを手掛けるのは大阪経済の再評価がある。

インバウンド(訪日外国人)の急増し大阪近郊のホテル客室稼働率が高止まりし、経済も好調で求人も増加傾向、2018年前後の人口転入超過数は東京都区部に次ぐ。

大阪関西万博もあり、長期的高水準で賃料が見込めると賃貸タワーマンション投資を判断する。

【2019年2月26日】
民泊掲載物件増加傾向
民泊仲介大手のエアビーアンドビー(Airbnb)は、民泊仲介サイトに掲載する物件がピークの6割程度まで増加したと発表した。

2018年6月の住宅宿泊事業法(民泊法)施行を機に違法民泊施設を削除し掲載物件が減少していた。

エアビーアンドビー(Airbnb)の民泊仲介サイトでは、民泊施設、旅館業法、国家戦略特区の施設を併せて掲載している。

以前のエアビーアンドビー(Airbnb)の民泊仲介サイトは許可や認可の無い違法民泊施設が大半で、住宅宿泊事業法(民泊法)が仲介も禁じる法のため、物件を削除し、予約も取り消して混乱を招いた。

住宅宿泊事業法(民泊法)施行五も違法物件を掲載していたため観光庁や自治体から指摘を受け削除している。

今後の課題は違法民泊物件の完全な排除で、届出番号などを入力すれば物件を掲載できるため、架空番号を入力する家主も多い。

そのため、届出や許可・認可の書類提示を求める仕組みに改め、年180日の宿泊上限があるため超えそう家主には通知し、超えたら予約停止する仕組みも取り入れる。

【2019年2月27日】
中古マンション、価格下落
2019年1月の中古マンションの平均希望売出価格は70u(21坪)換算で、首都圏は3710万円(176万円/坪)と下落した。

東京都は4942万円(235万円/坪)と横ばいで、他県が下落している。

東京都区部は5457万円(259万円/坪)、埼玉県は2291万円(109万円/坪)と下落。

近畿圏は2261万円(107万円/坪)と下落、中部圏は1931万円(91万円/坪)と上昇した。

【2019年2月27日】
大東建託、契約解約問題
賃貸住宅建設大手の大東建託が募集するアパートオーナーの契約を巡り、建設前の解約時に申込金返金を受けられないなどのトラブルが起きている。

大東建託は過去の約款では返金はできなとしていたが、指摘を受けて変更し現在は返金対応をしているという。

大東建託は土地の所有者らにアパート建設を提案し、建設工事契約締結前の段階で、地質調査費として30万円の申込金請求し、契約した際は一時金としてさらに平均200万円を請求していたという。

約款では契約に至らなかったり、解約しても返金できないと条文に記載していたが、消費者機構日本の指摘を受けて大東建託は約款を変更した。

【2019年2月28日】
3月
大同建設、破産
分譲マンション企画販売を手掛けていた兵庫県西宮市の大同建設が破産手続きに入った。

大同建設はバブル期全土にマンションデベロッパーとして、阪神間エリアで“ダイドーメゾン”“ロイヤル”などの名称でワンルームやファミリータイプの分譲マンションを企画販売していた。

【2019年3月6日】
マンション管理組合、電気一括購入無効
マンション管理組合が総会で低額の電気供給サービスを一括導入するため、個別の電気契約を解除するよう所有者等に義務付けた決議の有効性が争われた。

訴訟判決で最高裁判所は決議は共用部分の変更や管理にしか認められず、専有部分には及ばないとして無効との判断を示した。

分譲マンションは一般に居住者が個別に電気契約を結んでいるが、このサービスは管理組合が住民の代わりに電気を受ける一括受電を取っている。

区分所有法ではマンション共用部分の変更や管理は区分所有者が集会で決議すると規定しており、最高裁判所の判決状では個々の居住者の契約解除は専有部分の使用に関する事項であり、共用部分の管理や変更ではないとしている。

北海道札幌市の総戸数544戸の大規模マンションで、管理組合は2014年頃から北海道電力から一括受電するため、各居住者に従来の電気契約解除を義務付ける決議をした。

区分所有者2名が反対して実現せず、別の区分所有者1名が低額電気料を導入できなかったとして損害賠償を求め提訴した。

最高裁判所は訴えを認めた札幌地方裁判所、高等裁判所の判決を破棄し、原告の逆転敗訴が確定した。

【2019年3月6日】
老朽マンション大量増加
分譲マンションが増加し、2018年度で709万戸となっている。

世帯数に占める分譲マンション戸数の割合であるマンション化率は12.5%と、10件に1件強が分譲マンションに住んでおり、都道府県では東京都の27.4%。

過去10年内に竣工したのは152万戸と新設住宅全体の20%強で、日本住宅建設のなかマンションの比重は高い。

マンションは戸建て住宅に比べ建替えや取壊しが少なく、建設されれば50年前後は存在し造ればそれだけ総戸数が増えていく。

今後、老朽化マンション問題が大きくなっていく。

首都圏の新築マンション3.3u(1坪)あたりの単価は10年前に比べ44%上昇する、一方、地方などの交通便が悪い地域などは中古マンション価格が下がり続けている。

最近では購入より賃貸を選ぶシェア慣れした若年層も多い。

このような時代背景の中、分譲マンション資産価値が問われる事になる。

古くなっても魅力的なビンテージマンションも脚光を浴びるが、立地やデザインなどの要因が大きく、すべての古いマンションがビンテージになれる訳ではない。

今後は選ばれるマンションと、選ばれないマンションの二極化が進むと予測される。

築30年超の老朽マンションが増加し、全国で215万戸とされる。

新築マンションがこのまま供給されれば2030年頃には全国のマンションの40%近くが築30年超になっている。

日本の人口は減少し続けるため、老朽マンションも選別される事になる。

老朽化し管理不能に陥れば空き家が増え資産価値は下がるリスクがある。

分譲マンションは管理組合の総会等で修繕工事や建替えなどの決議が必要で合意までに時間が掛かる。

老朽化を放置すれば空き家や修繕積立金不足が増加し廃墟マンションとなる可能性が高いため、古いマンションの活用方法も考える必要がある。

【2019年3月6日】
レオパレス21、入居率低迷
レオパレス21の施工不良問題が波紋を広げ、入居者7700人が引越しを迫られ、改修アパートはさらに膨らむとみられる。

アパートオーナーが抱えるローンは総額2兆円規模とみられ返済計画が頓挫する可能性もあり、貸手の金融機関なども不良債権として無縁でもなくなる。

レオパレス21からは2019年3月末までに住替えの要望が入居者に届き、住替説明は各レオパレス21の営業店舗で受けて欲しいとしている。

さらに新たな住居に掛かる敷金等は入居者負担としていたため入居者の不満が高まり、その後、レオパレス21は自社負担に変更したが混迷は続く。

レオパレス21は地主からアパート建設を受注し完成後に一括借上げして転貸するサブリースを主軸としている。

今回の問題でこの事業モデルが揺らぐ事になる。

保有土地にアパートを建てたオーナーは地主などが多いが、建築資金は土地を担保にローンを組むケースが多い。

レオパレス21は30年一括借上でサブリース契約するため、施主のアパートローンも20年以上の長期返済となっている。

レオパレス21のアパート1棟の建築費は8000万円〜9000万円程度、20年内に竣工したアパートで換算すると全国のオーナーが借入れたローン総額は2兆円規模になると思われる。

オーナーらでつくる“レオパレス違法建築被害者の会”では問題発覚以降、参加希望者が増加しており、多額融資を受けてアパート建築したオーナーの中にはローン返済に不安を感じた人も多い。

2018年度のレオパレス21の賃貸売上は、毎月のレオパレス21の賃料収入は360億円で、ここからオーナーへ230億円支払う。

今後もこのお金の流れが維持できるかは入居率と賃料水準にかかっている。

賃貸経営の利益水準の損益分岐点の入居率は、販売管理費用などを勘案し80%程度となり、2018年3月は94%だった入居率は、2019年1月には85%にまで下落している。

施工不良問題が発覚し、未済改修物件を抱えるなか新たに入居募集できないため入居率を引上げるには不可能に近いうえ、レオパレス21のブランド毀損のため住居選択から外される事もある。

毎月の家賃収入がオーナーへの支払賃料を下回る逆ザヤになる可能性がある。

2008年のリーマンショック後に逆ザヤが発生し、2011年までに2年間の累計が1200億円の赤字が膨らんだ。

困窮したレオパレス21はオーナーに対する保証賃料の減額やサブリース契約解除の交渉を始めた。

入居率にかかわらずレオパレス21がオーナーに毎月一定賃料を保証するからローン返済原資として計画できる仕組みがこの時に揺らいだ。

2018年春に発覚したレオパレス21のアパート1895棟を、自治体は建築基準法違反を認定している。

天井の耐火性問題、設計図と建物に違いがある、遮音性不備など違反物件が次々と発覚。

レオパレス21は2018年10月までに補修工事をする計画だったが、国土交通省などは不備物件は2019年夏までに全棟改修工事を完了するよう要請している。

【2019年3月7日】
レオパレス21、改修工事夏までに
レオパレス21は、施工不良物件の改修工事完了時期を2019年夏までに前倒しする。

国土交通省から工事完了の前倒し指示を受け、人員を増やして対応する。

改修対象のアパートの入居者には、必要に応じて転居を要請する。

工事は屋根裏の界壁という部材に不備があるアパートで、全国で1万5000棟あるという。

本来、改修工事は2018年10月末までに完了する予定だったが、居住者が退去した部屋から順次調査していたため進捗が遅れていた。

レオパレス21のアパート入居率は85.57%と少し改善した。

入居募集を再開した部屋が順次埋まり、調査に伴う募集停止やイメージ悪化に伴う退去を補った。

建築受注高は減少し、新たな施工不良の発覚で担当者が顧客への説明や謝罪に当たっている影響がでている。

【2019年3月9日】
タワーマンション、災害備え
東京都港区のタワーマンションのワールドシティタワーズでは、2階の屋内プールの水を中庭に送り、浄水器を使い飲み水にする非常時対応型浄水設備を設置する。

地上42階建てのタワーマンションには2000世帯以上が住み、災害時には備蓄では賄えないためプールの水を活用する。

2018年9月に発生した北海道地震では大停電(ブラックアウト)になり、札幌市内のタワーマンションではエレベーターや水道水が数日間、使用できなくなり、災害時の弱点が露呈した。

建物が丈夫なタワーマンションの居住者には被災後は自宅にとどまるよう指導する自治体もあり、大多数が生活するタワーマンションの居住者は近隣の避難所に入りきれない可能性があるため。

東京都江東区のシティタワーズ豊洲ザ・ツインは、エレベーター停止で住戸に戻れなくなった居住者のために、3階エントランスなどには毛布300枚を常備する。

安否確認の“OKシール”も各住戸に配布し、支援の要否が分かるよう無事ならドアに貼ってもらう。

マンションとしての備蓄は以前は食料や水だったが、今は簡易トイレなど居住者が用意できない物資を中心に準備する。

一般遮断法人・湾岸防災ネットワークは、東京湾沿岸部のマンション17棟の管理組合が参加する団体で、大規模地震の発生時には船舶に燃料を供給するタンカーから燃料を一括購入して加盟マンションの自家発電などに充てる。

タワーマンションは地域防災の拠点にもなり、東京都品川区は2012年から帰宅困難者の避難拠点となってもらう協定を品川区内のタワーマンションと結んでいる。

駅に近いタワーマンションの集会室やエントランスなどの倉庫に、品川区の支援物資を備え、近隣の施設と合せて1万人が3日間滞在できる体制を整える。

【2019年3月11日】
マンション管理組合、電気一括購入
マンション全体で割安な供給方式に変更する事を決めた管理組合の総会決議が2/544の反対により否決された。

管理組合の元理事が起こした訴訟で、最高裁判所は専有部分の電力契約に管理組合総会決議の効力は及ばないと判決した。

インターネット回線やケービルテレビなども同様の問題が生じる可能性があり、関連業界に波紋を呼んでいる。

訴訟の舞台は北海道札幌市の5棟が建つ総戸数544戸の大規模なマンション団地。

管理組合は2014年8月に団地全体で高圧電力供給を受けると割安になる高圧一括受電方式の導入を総会の特別決議(3/4以上)で可決した。

2015年1月には高圧一括受電方式以外での電力供給を認めない規約変更の決議をした。

しかし、区分所有者2名が北海道電力との既存契約解約に応じず、団地全体との条件をクリアできずに新方式導入は頓挫した。

元理事が反対派2名を相手取り、方式を変更していれば電気代が割安になり差額分9100円の損害賠償を求めて提訴。

事前の判決は原告の訴えを認め賠償を命じる判決だったが、最高裁判所は、管理組合の総会決議の効力は専有部分には及ばず、既存契約解除する義務はないとし、損害賠償請求を退ける逆転判決を言い渡した。

高圧一括受電方式の普及は区分所有法の想定外で、判決は専有部分の適用な契約まで強制的に解約させる事になる可能性がある。

高圧一括受電方式を手掛ける電力会社は、今後、マンション全住戸の同意を得にくくなる可能性があると懸念する。

管理組合の総会決議で既存契約の解約を強制するような手法は取っておらず、反対する区分所有者には丁寧に説明を重ね、理解を得るしかないとしている。

【2019年3月11日】
学生向けマンション活況
東京都心などで分譲マンション開発用地の確保が難しくなるなか、東急不動産や三菱地所など不動産大手が額線専用マンション開発に乗出している。

大学進学率上昇と外国人留学生拡大で、大学の全国学生数は増加傾向。

不動産各社は安定収益を見込むが、ワンルームマンションなどの競合もあり供給過剰のリスクも伴う。

東急不動産が手掛けた東京都北区のキャンパスヴィレッジ赤羽志茂は部屋数233室。

共有部には食堂やラウンジがあり、住込みの管理人もいる。

東急不動産は今後、首都圏と近畿圏で同様の学生専用マンションを計画する。

当面は物件を所有するが、今後はファンドなどに売却する予定。

三菱地所レジデンスも学生専用マンションを開発する。

背景にあるのは少子化でも増え続ける大学生数にある。

留学生も20万人近く来日している。

不安定な新築マンション市場の対策面もあり、2018年の首都圏で販売した新築マンションの契約率は62.1%と低水準。

用地取得でも駅近の優良立地はホテルと競合し競り負ける事が多い。

そのため大学が近くにあれば駅から遠い立地でも成り立つ学生向けマンションに軸脚を移す。

大学生らの住居形態は、投資用ワンルームマンションや賃貸アパートが定着しているが、学生専用マンションは防犯対策、食堂などで違いを打出し魅力を高める。

ただ、今後は物件数や学生数により供給過剰になるリスクもある。

【2019年3月12日】
レオパレス21、オーナーへの保証賃料確約
レオパレス21はアパートのオーナーに支払う保証賃料について、2021年3月までの2年間は減額を求めない方針。

自らの施工不良の発覚で家賃収入は減少傾向にあるが、オーナーに負担は掛けられないとの判断。

家賃収入が保証賃料を下回る逆ザヤになればレオパレス21からの資金流出が加速する可能性がある。

周辺アパートの賃料相場が上昇している場合は、入居者から受取る家賃引上げに取組む。

レオパレス21はオーナーからアパートを一括借上げし、入居者に転貸するサブリース契約を結ぶ。

レオパレス21はリーマンショック後、入居率の急低下を受けて保証賃料の減額を要請し、オーナーの反発を招いた経緯がある。

現在の保証賃料の場合、入居率の損益分岐点は80%前後とみられ、2018年春の施工不良発覚を受けた時の入居率は94%だったが、2019年2月は86%まで低下した。

保証賃料の引下げに代わる資金繰りの改善方法は、保有する不動産売却などがある。

入居率改善には施工不良物件の調査・改修工事を完了しなければならないが遅れが目立つ。

不備の有無を判定したアパートのうち86%で何らかの施工不備が見つかっている。

【2019年3月12日】
賃貸住宅の火災保険
賃貸住宅を借りる時、契約時に不動産業者から火災保険加入も勧められます。

賃貸入居者向けの火災保険は、借家人賠償責任保険特約と個人賠償責任保険特約がセットとなっています。

火災保険は一般に建物と家財の損害補償し、借家人は建物は家主の所有物なので、主契約は借家人が所有する家電や家具、衣類といった家財損害が対象。

家主にとって重要なのは特約で、借家人賠償責任保険特約は借家人が家事や水漏れなどで借りている住戸に損害を与えた場合、原状回復に費用な費用を補償てします。

個人賠償責任保険特約は、日常生活で他人に迷惑を掛けたときにその損害を賠償するもので、火事で隣住戸に延焼したり、水漏れで階下の住戸を浸水させたりするときに使います。

2つの特約が家主と他居住者に対する補償を担っています。

保険料は補償金額500万円で年1万円程度で、火災保険加入後には保険証券のコピーなどを手元に置いておくといいでしょう。

【2019年3月13日】
訳あり物件や事故物件
高齢者が居住しその後、病気などで死亡した住宅をどう扱うのかが問題となっている。

自殺や殺人などは事故物件として扱うが、自然死の線引きはない。

こうしたなかで訳あり物件を専門に取扱う不動産業者も登場し、魅力的な安さで若者や高齢者が借りているという。

入居者が自然死した賃貸物件だけを扱うインターネットサイトも開設予定で、高齢者専門の不動産仲介を手掛ける東京都杉並区のR65は“ぽっくり物件.com”。

都市再生機構(UR)も、日本全国で管理する72万戸のうち毎年1000件近くが入居者が室内で死亡する。

そうした住戸は特別清掃や改修を済ませ、室内死亡告知した上で特別募集住宅の名称で募集する。

都市再生機構(UR)は原則として1年間は家賃半額としており、民間物件でも家賃減額するケースは多い。

訳あり物件は若い層も家賃の安さで注目しているが、高齢者も借りている。

一般の賃貸住宅は空き家は増えているが、高齢者を受け入れる物件は少ない。

日本賃貸住宅管理協会の調査では、60歳以上の単身高齢者の入居に拒否感があると回答する物件オーナーは6割以上にのぼる。

理由として、入居中に病死などがあった際、次の借手が見つかりにくいとし、高齢者が申込んでも入居を断る事もある。

訳あり物件なら、前入居者が死亡していれば、自分も安心して最期を迎えられるとする高齢者が多い。

高齢化が進めば、当然に住人が室内で死亡するケースは多くなる。

●訳あり物件の定義や告知義務
入居者の自然死や孤独死、自殺や殺人があった不動産は、心理的な嫌悪感など心理的瑕疵があるとされ、事故物件と呼ばれる。

不動産業者は、契約者の判断に重要な影響を及ぼす事柄を事前に告知しなければならないが、事故内容の範囲は明確な基準はなく不動産業者によって対応は異なる。

自殺や殺人と違い自然死や病死は事故物件として取り扱っていないのが一般的であるが、分かりにくい基準が契約者に不安を生んでいる。

国土交通省は心理的瑕疵に関するガイドライン策定のための調査し、過去の事例を参考に告知義務の目安を提示したいとしている。

【2019年3月15日】
民泊利用、活況
民泊を解禁した住宅宿泊事業法(民泊法)での営業届出が2018年3月15日に開始されてから1年経った。

当初は低調だったが、受理件数はここにきて増加傾向にあり、民泊施設での宿泊者も200万人を超えた。

ただ、違法な闇民泊も残っており、今後の対応が問われる。

住宅宿泊事業法(民泊法)で自治体に届出し受理された物件は直近で1万3660件で、2018年6月15日の解禁日の2210件から大きく伸びた。

民泊は旅館業法や国家戦略特区の許認可で営む方法もあり、これらと合せると3万件以上になるといい、利用者も400万人に達してるという。

民泊施設にもよるが稼働率も50%〜60%程度。

民泊解禁当初は届出は低調で、住宅地で営業できるものの、年180日の宿泊日数制限があるが、自治体は騒音やゴミ問題などのトラブルを懸念し、営業期間や地域を制限する条例の制定が相次いだ。

法律上、必要のない書類も提出させる自治体もあり、届出の複雑さで敬遠された。

その後、民泊支援サービスが登場する事で家主を営業の後押しした。

コンビニは本人確認やカギの受け渡しを店頭装置で行うサービスを開始し、騒音を検知して知らせるセンサーや金融機関の民泊向けローンなども登場している。

利用者が伸びた理由は物件の選択肢が増えた事と訪日客の増加。

日常体験をしながら長期滞在するニーズが高まり、民泊が受皿となっている。

民泊はシェアサービスの代表で、訪日外国人の誘致や空き家活用などの役割に期待がかかる。

《主な民泊関連企業》
●仲介サイト
・エアビーアンドビー
・ホームアウェイ
・ブッキングドットコム
・楽天ライフルステイ
・百戦錬磨

●不動産(施設開発、運営、管理)
・リクルートホールディングス
・住友林業
・パナソニックホームズ
・東武鉄道

●運輸・旅行(ツアー)
・全日空空輸
・日本航空
・JTB

●警備(駆け付けや苦情対応)
・セコム
・綜合警備保障(ALSOK)

●コンビニ(カギ受渡し、本人確認)
・ファミリーマート
・セブンイレブン
・ローソン

●金融(ローン、保険)
・みずほ銀行
・損害保険ジャパン日本興亜

●IT(騒音検知システム)
・楽天コミュニケーションズ

【2019年3月15日】
未だはびこる違法民泊
2018年6月15日に施行した住宅宿泊事業法(民泊法)は、届出や許認可のない違法な闇民泊の仲介を禁じたが、実態は残ったままだ。

交流サイトで家主と宿泊者の相対取引が横行し、違法民泊対策が緩い仲介サイトでも一部の家主が偽情報で闇民泊施設を掲載し続ける。

監視員不足で行政対応も後手に回り、対策はするが違法民泊撲滅までには至っていない。

自治体と観光庁が登録された仲介サイトを調査し、掲載物件の16%にあたる6585件が違法等だった。

削除要請するものの、そのまま掲載を続ける違法施設もある。

エアビーアンドビー(Airbnb)の掲載基準と対応は甘めで、家主が届出番号を入れなくても理由さえ書けば物件を掲載できる。

楽天ライフルステイなどは許認可を証明する書類提出を家主に求めているが、エアビーアンドビー(Airbnb)はこれを実施しておらず、家主は番号入力欄に偽番号を入れいる。

エアビーアンドビー(Airbnb)は違法と分かれば削除し、理由記入欄も停止し書類提出を求める形式に変更したが、以前から掲載される違法民泊施設はそのままになっている。

自治体の監視員も足りず、東京都の千代田区は警察OBなどを採用し民泊指導課の民泊Gメンとして活動するが、人員不足のため対応が十分ではない。

家主と宿泊者が直接やり取りするSNSサイトも活用され、ここに闇民泊が潜んでいる可能性もある。

無登録サイトも脅威で、大阪市の調査では中国系サイトに大阪市内の物件の8割程度が闇民泊の可能性がある。

国は無登録サイトの名前公表や対策要請に本腰を入れなければ民泊は無法状態に陥る。

観光庁は、家主から仲介業者に正確な住所・名前を伝えさせ、業者には合法物件リストとの照合や照明書類の収集を求める。

【2019年3月16日】
レオパレス21の施工不良、上層部指示
レオパレス21は施工不良のアパートが発覚した問題で、原因や背景について組織的・構造的に上層部が指示していたと発表。

仕様と異なる部材が使われていた事も当時の社長が指示しており、レオパレス21の創業者が関与していた。

2006年まで社長だった創業者の直轄部署の商品開発部門で、施工業務の効率化などを目的に仕様と異なる部材を使うよう指示していた。

組織的な体制不備もあり、アパート開発する段階で建築基準法など法規適合性を満たすかの判断も、専門的に行う部署が無かったとしている。

屋根裏の界壁が未設置だったアパートも、建築や法的知識がないため施工時に見抜けなかった。

【2019年3月19日】
レオパレス21、建築知識なく施工
レオパレス21は施工不良問題で、当時、創業者の社長が指示を出していたと発表。

2018年春に発覚した問題は、天井の耐火性に問題のある施工不良物件641棟に住む7700人に住替えが迫られる事態に発展。

施工不良が実施された件については、上層部の指示により内部充填剤として発泡ウレタンを使用する方針となり、レオパレス21の仕様書では違う内部充填剤を使用する事になっていたが、発泡ウレタンは施工手順を簡略化できるが、法令が定める遮音性能を満たしていない可能性がある。

開発段階でも性能試験をしていなかった可能性がある。

レオパレス21は建設会社として開発・施工としての建築・法令知識の欠落があったと見られる。

レオパレス21は発泡ウレタンを使用した理由について、作業の簡略化が図れるため知識不足による違法性の認識もなかった。

施工不良の背景には、物件への入居者数を増やすため工期短縮や施工作業の効率化を進めており、1990年以降、バブル崩壊によりレオパレス21の業績は低迷し、建築受注や賃料収入の拡大を最優先した可能性がある。

国土交通省は今回の問題で、レオパレス21に対して建築基準法違反に基づく処分を検討し、営業停止もある。

レオパレス21のアパートは2019年2月時点で86%と、2018年3月の94%から低下傾向が続き、イメージ悪化で入居率低下に拍車が掛かる可能性があり、経営への打撃は避けられない。

レオパレス21は国土交通省から2019年夏までに改修工事完了を指示されているが、入居者や特定行政庁との調整で手間取り計画は不明。

【2019年3月19日】
首都圏、新築マンション発売減少
首都圏の2019年2月の新築マンション発売戸数は2323戸と減少した。

景気回復の力強さも欠き、賃金の伸び悩みもある。

1住戸あたりの販売価格は6284万円と値上がりし高止まりしており、新築マンション市況の回復が見込みにくい状況に陥っている。

月間契約率は65.6%で目安の70%を下回っている。

2018年に供給を増やした反動で、在庫圧縮を優先して供給を抑える動きが出ている。

販売価格は共働き世帯が好む駅前などの好立地物件が増えて事や、労務費や建築費の高止まりで一般給与所得者には手が届かない水準に達している。

【2019年3月19日】
近畿圏、新築マンション発売減少
近畿圏の2019年2月の新築マンション発売戸数は1281戸と減少した。

消費税増税に向け政府の補助が手厚いため駆け込み需要がなく、不動産各社も新規物件の供給を控えている。

【2019年3月19日】
分譲貸しマンション賃料上昇
首都圏の2019年2月の分譲貸しマンションの平均募集賃料は1uあたり2798円と上昇。

東京都は3391円で、春の需要期を迎え埼玉県以外は上昇している。

【2019年3月19日】
中古マンション価格上昇
2019年2月の中古マンション平均希望売出価格は70u(21坪)換算で、首都圏は3725万円(177万円/坪)で上昇した。

築浅物件の売出が増加し、東京都は4955万円(235万円/坪)、神奈川県や千葉県でも共に上昇し、東京都区部は5472万円(260万円/坪)。

相場が高値水準に入り、今が売り時と捉える売主が多い。

近畿圏は2268万円(108万円/坪)で価格水準の高い大阪市の物件が増加した。

中部圏は1935万円(92万円/坪)。

【2019年3月26日】
違法民泊、偽装に余念
無許可で民泊を営む業者が行政の監視を逃れようと手口を巧妙化させている。

訪日観光客が増加する大阪市では違法民泊Gメンが徹底調査する。

ただ、民泊調査員が違法民泊施設の宿泊者に聞き取り調査をしても、『友人宅に遊びに来ている。』と返答されそれ以上は踏み込めない。

民泊業者からそう答えるように指示され、違法民泊施設内には“行政指導者とは話をしてはいけない。”などと書かれた掲示物もあるという。

違法民泊Gメンのメンバーは元警察官や保健所の職員で、大阪市は2018年6月に発足させ、市民からの情報を元に調査をし、宿泊客や清掃員などから聞き取りして違法民泊施設を洗い出している。

民泊仲介サイトでも違法物件を掲載続けている事業者があり、虚偽の住所や届出が掲載されているケースがあり、特に中国や韓国の民泊仲介サイトに多い。

大阪市は総領事館に対し、自国の旅行者に対し違法民泊への注意を呼び掛けるよう要請する。

観光庁に対しては民泊仲介業者に厳正な措置を取るよう求めている。

一般の住宅に旅行者を有料で泊めれる民泊は、旅館業法上の許可を得るか国家戦略特区を活用した特区民泊の認定を受ける必要がある。

また、2018年6月15日に住宅宿泊事業法(民泊法)が施行し、自治体に届出し認可を受ければ個人でも営業はできる。

ただ、自治体は周辺住民とのトラブルを防ぐため独自の上乗せ規制を設けたり、違法物件の監視を強めたりしている。

大阪市が指導した違法民泊施設は消防設備などの投資を嫌いほとんどが営業を取りやめた。

【2019年3月26日】
4月
2019年、新築マンション増加
2019年の首都圏と近畿圏での新築マンション供給予測は3万5963戸と増加する。

首都圏の2万4880戸のうち東京都区部が1万990戸で一極集中している。

住友不動産、三井不動産レジデンシャル、野村不動産、三菱地所レジデンスなど大手デベロッパーが供給を増やし、今後も値上げは避けられないとしている。

【2019年4月2日】
全国定額住み放題
定額を支払えば全国にある賃貸住居施設にどこでも住み放題になるサービスが登場している。

不動産系企業の東京都千代田区のアドレスは、一定料金を支払えば全国の施設に何日も滞在できるサービスを始め、年会員が年48万円、月額4万円となり、単発利用は月会員は月額5万円。

賃貸住居施設は首都圏や地方など全国に計11ヶ所あり、今後も空き家や別荘を改築して増やしていく計画。

個室の他、シェアハウスのようにリビングやキッチンを共有する形で、Wi−Fiも使えるため仕事場としても利用できる。

九州では長崎市のKabuK・Styleが定額住み放題サービスのHafH(ハフ)を始め、国内だけでなく海外にも拠点を設けている。

利用料は月額8万2000円で、月に数日限定利用なら1万6000円から取りそろえる。

【2019年4月4日】
レオパレス21、契約率低迷
レオパレス21の管理・運営するアパートの2019年3月の入居率が84.33%と低下し続けている。

入居率はこの1年間で10ポイントも低下した。

次々と施工不良問題が発覚する影響が出ている。

3月は春の移動時期となり、この繁忙期に低迷すれば年間を通じて先行きに暗雲が立つ。

家賃収入が大家に約束している保証賃料にとどかない逆ザヤの恐れが出る。

入居率も3月をピークに下がるため、レオパレス21はビジネスモデルの特性から入居率が一定水準より下がると経営に影響を受ける。

賃貸事業で家主からアパートを借上げて入居者に転貸するサブリース契約を手掛け家主に一定賃料を保証している。

入居率が80%前後まで下がると資金流出する逆ザヤに陥る。

2018年春にアパート建物の屋根裏に界壁が設置されていない施工不良が全国の1324棟が発覚し、レオパレス21のブランド力低下から個人客の離散が目立つ。

レオパレス21は保有不動産の売却で資金繰りを賄うが、施工不良問題が長引けばダメージは大きい。

【2019年4月6日】
レオパレス21、施工不良増加
レオパレス21はアパート施工不良問題で新たに3784棟が見つかり、全体で1万4599棟になった。

2014年までに施工したアパートが中心だったが調査範囲を広げた結果、2018年までに施工したアパートにも見つかった。

調査により屋根裏の界壁が無かったり、隙間があるなどの不備が発覚。

レオパレス21は建築基準法違反には該当しないとしているが、自治体などの調査では建築基準法違反と認定されている。

レオパレス21は2019年10月までに終えるとしていた不備改修工事を、国土交通省から夏までに完了するよう指示されており、新たな発覚に伴い完了が連れ込む可能性がある。

レオパレス21は天井の耐火性問題があるアパートの入居者に転居を促しているが、住替えは進んでいない。

不正発覚に伴いイメージ悪化し、繁忙期の3月でも入居率は84%と低水準となっている。

レオパレス21は一部アパートで入居募集を停止しているが、今後の入居率の見通しは不良アパートの補修工事後に入居募集を再開しているが、想定通りに入居率が回復するかは不透明。

入居率が回復しなければ家賃収入が支払を下回る逆ザヤが高まり、アパート一括借上げのサブリースモデルが行き詰る。

物件オーナーには一定賃料を保証しており、入居者から受取る賃料との差額がレオパレス21の収益となっている。

レオパレス21は施工不良問題を理由に、2年間はオーナーに支払う家賃を減額しないと説明しているが、入居率が80%を下回ると資金が流出する逆ザヤになり、アパート賃料事業が落ち込めば経営が揺らぐ事になる。

【2019年4月11日】
住友不動産、堺筋本町再開発始動
住友不動産は大阪市中央区備後町で最大級のタワーマンションのシティタワー大阪本町を2019年にも発売する。

総戸数は854戸で一般的なタワーマンションの200戸規模を大きく上回る。

大阪市内中心部の利便性と48階建ての眺望を売りに根強い都心居住の需要を取り込む。

シティタワー大阪本町は、地下鉄の堺筋本町駅から北西側で御堂筋線の本町駅からも近い。

延べ床面積は8万8000uで2021年完成予定。

大阪市内ではマンション用地確保が難しくホテルとの競合で減っているが、住友不動産は競合前からこの用地を取得していた。

【2019年4月11日】
レオパレス21、全棟調査
レオパレス21の施工不良アパート問題を巡り、新たに3700棟近くが発覚した事を受け国土交通大臣はレオパレス21に対し2019年夏までに全棟調査をするよう指示した。

施工不良アパートは2019年10月までに改修工事を完了するように通達。

国土交通省はレオパレス21から提出された資料を自治体に提供し、建築基準法違反に該当するかどうかの調査を依頼した。

これまで施工不良は2014年以前のアパートが中心だったが、2018年までのアパートにも発覚した。

【2019年4月12日】
大和ハウス工業も施工不良アパート等
大和ハウス工業は、建設した賃貸アパートや戸建て住宅など2000棟が建築基準に適合してない施工をしていた。

レオパレス21の施工不良アパート問題に次ぐ不正発覚である。

戸建て住宅など最大手の大和ハウス工業が不正に手を染めていた事が発覚しブランドイメージ低下は避けられない。

建築部材は耐久性や防火性などの基準を満たしていると認定を受ける必要があるが、この基準に満たしていない施工不良建築物の2078棟が見つかった。

2001年1月〜2010年6月に引渡したアパート200棟は、防火安全性が十分でない恐れのある柱や認定を取得していない柱を使用。

2000年10月〜2013年2月に引渡したアパート990棟と戸建て住宅888棟は、土台となる基礎の認定を受けていなかった。

その他にもアパートの2階外側の廊下を支える柱が防火基準を満たしていない可能性がある。

大和ハウス工業は設計者が認定の仕様を誤認していたと説明。

認定を受けていない部材を使用しても構造上の問題はないが、所有者と協議の上で改修対応を検討するとし、改修費用が膨大になる可能性もある。

施工不良建築物問題は2016年12月に大和ハウス工業の内部通報制度で発覚した。

2018年8月に外部から国土交通省に、認定を受けている形式に適合していない物件があるとの情報提供があり、国土交通省は各自治体に調査を依頼していた。

2019年2月には国土交通省に不適格の物件を供給があると大和ハウス工業から報告があり、国土交通省は追加調査を指示。

調査結果を受けて防火基準を満たさない可能性のあるアパートについて早期に改修工事の実施するよう求め、相談窓口を設置するなど所有者などへの説明を要請。

大和ハウス工業は2019年6月に第三者機関を通じて対象となる建物構造を確認し、7月までに再発防止策をまとめる。

【2019年4月13日】
大和ハウス工業が不良建築物
大和ハウス工業が不適切な部材や構造で賃貸アパートと戸建て住宅を建築していた問題で、2016年に問題を把握しながら役員などが発表したのは2019年になってからだった。

問題チェック機能部署を設けているにもかかわらず見抜けず、大和ハウス工業の経営統治の甘さが浮き彫りになった。

不良建築物は2078棟の賃貸アパートと戸建て住宅で、屋外の2階廊下を支える柱に国からの認定がない部材を使用したり、認定がない構造の基礎を施した。

防火性能を満たしていない柱を使用した建物は、防火性の素材で柱を覆う追加工事を実施する。

ここにきて大和ハウス工業は国土交通省に報告し、入居者や所有者への説明を始めた。

発覚は2016年12月に内部通報だが、大和ハウス工業が本格的に調査したのは2018年7月に入ってからで、担当者は22万棟と対象物件が多くすぐに調査する事ができなかったと、初動の遅れを認めている。

大和ハウス工業は2014年〜2016年に計3回、不適切な住宅を建てた事を公表しているが、過去の教訓を生かされていなかった。

再発防止策として専門部署を設け、新たな仕様や変更といった技術情報の管理などを図ったが、今回の案件は確認できていなかった。

大和ハウス工業は規模の急拡大に企業統治が追い付いていないとみられる。

【2019年4月16日】
投資用マンション賃料上昇
投資用マンション賃料が上昇継続しており、2019年3月の分譲マンション平均募集賃料は、首都圏が1uあたり2831円だった。

東京都は平均築年数が下がり3415円、東京23区を中心に投資目的の新築物件が多く出回り賃料水準を引き下げている。

千葉県はも680円と上昇した。

賃料水準の高い東京都内で建築年数の浅い物件が増えた事が要因。

近畿圏は1893円と上昇し、大阪府や兵庫県で築浅物件が増加している。

中部圏は1756円と上昇した。

【2019年4月16日】
TATERU、不動産売却損失
アパート開発のTATERU(タテル)は販売用不動産を売却する。

東京都などにある122棟の不動産で、TATERU(タテル)が開発したアパートが対象。

売却額は売上高10%相当で80億円以上とみられ、30億円の売却損を計上する。

東京都の58棟、愛知県の28棟、大阪府の26棟、福岡県の10棟など総戸数1092戸になる。

TATERU(タテル)は不動産融資審査の書類改ざんしていた事が判明している。

【2019年4月17日】
首都圏の新築マンション発売減少
2018年度の首都圏の新築マンション発売戸数は3万6651戸と減少した。

人気の都心マンション用地が不足し供給が減っている他、販売価格高騰で需要減退した。

消費税増税前の駆け込み需要は盛り上がりを見せなかった。

2018年度は2013年度の5万戸程度に比べ3割減り、2000年度の9万5479戸の4割にも届かなかった。

発売戸数が落ち込む要因は、地価上昇など物件価格高騰に加え、人気エリアの用地取得が難しくなっている。

平均発売価格は5926万円とバブル期の1990年以来の高水準。

都心や駅近など好立地の物件供給が市場をけん引したが、ただこの水準まで値上がりすると平均的給与所得者には手が届かなり、主な購入層は富裕層や高収入の共働き世帯に限られる。

2019年2月時点の建物完成後も販売を続ける完成在庫も3000戸以上あり、2014年2月時点の1109戸の3倍以上積み増せている。

発売月の戸数と契約戸数で示す初月契約率も平均62%と目安の70%を下回り、高値水準が続いている。

今後、不便な郊外物件は値引きして売出される可能性がある。

一方、中古マンションの販売戸数は増加傾向にある。

2018年の首都圏の中古マンション成約件数は3万7217件と高水準を維持し、新築マンションの発売戸数を上回る。

2019年10月の消費税増税の影響はほとんど見られず、2019年3月末までの契約分は8%の経過措置が適用できたが、それでも契約率は70%に達しなかった。

2020年の東京五輪で使用される選手村を改修して4000戸の分譲マンションとして売出される予定もあり、大量供給となるだけに首都圏のマンション市場変調になる可能性がある。

【2019年4月18日】
近畿圏、新築マンション発売増加
2018年度の近畿圏の新築マンション発売戸数は2万78戸と増加し、大阪郊外を中心に供給が増えた。

1uあたりの単価は66.3万円(219万円/坪)と上昇し、バブル期以来の高値水準。

地価上昇や用地不足の影響がある。

大阪市以外の大阪府の発売戸数は4395戸と増加し、給与所得者にとって手の届く郊外の物件が増えた。

都心部の投資用物件も増えて、神戸市は2383戸と増加した。

ただ、2019年3月の発売戸数は1449戸と減少している。

【2019年4月18日】
旭化成ホームズ、高齢者住宅参入
旭化成ホームズはシニア向けマンションなどを手掛けていたがシニア事業拡大に伴いサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に参入する。

施設名のヴィラージュリーシュで建物を設け、運営は介護事業者に委託する。

訪問介護やショートステイなど介護事業所を併設し、デイサービスも利用できるようにする。

【2019年4月20日】
東京五輪選手村のマンション
三井不動産など2020年の東京五輪選手村に利用される住宅を分譲マンションとして販売する。

東京都中央区晴海に13haの土地に5632戸の分譲と賃貸のマンション、商業施設を含め24棟を建設する“HARUMI・FLAG”に完成する。

そのうちの17棟ある中高層マンションの概要は、専有面積60u台〜150u台で価格帯は5000万円台〜1億円超になる見通し。

平均専有面積は84uと東京都心の63uより広く、また80u台の新築マンションは9000万円程度だが、販売価格はこれよりも低くなる見込み。

総戸数は計4145戸と東京23区の年間供給戸数の1/4にあたり、段階的に販売するが首都圏のマンション販売に影響が出る可能性がある。

大量供給により東京都心のマンション市場が変動するため、三井不動産の担当者は数年にかけて段階的に販売するとしている。

東京五輪選手村として利用した後は改装し、中層棟は2023年3月、高層棟は2024年9月に入居予定としている。

【2019年4月24日】
中古マンション価格上昇
2019年3月の中古マンションの平均希望売出価格は70u(21坪)換算で、首都圏は3737万円(177万円/坪)で上昇した。

東京都は4976万円(236万円/坪)、東京都区部は5489万円(261万円/坪)で上昇し、埼玉県も上昇したが、神奈川県と千葉県は下落した。

購入できる価格水準の購買層が限られ、売出価格に頭打ち感が出てきた。

近畿圏は2297万円(109万円/坪)で、大阪市や神戸市で上昇した。

中部圏は1931万円(91万円/坪)で下落した。

【2019年4月27日】
5月
神戸市、タワーマンション管理組合の認証
自治体が分譲マンションの管理組合に対するチェック体制を強化する。

神戸市は超高層マンションの管理組合に対する認証制度を2020年度にも導入する予定。

東京都は2020年度から築年数が古い物件の管理組合に運営状況などの届出義務付ける。

修繕積立金不足などで管理不全に陥れば地域に悪影響が出るため監視を強める。

神戸市の認証制度は高さ60m以上(約20階建て以上)のタワーマンションへの導入を想定し、神戸市内にある70棟の他、新築物件も対象とする。

人気が高いタワーマンションの管理組合の機能を自治体が審査する全国初の試みとなる。

専門家らでつくる審査組織が書類の確認や面談を通じて管理規約の内容や修繕積立金の残高を把握するなどの仕組みを検討する。

修繕積立金が足りなくなった場合の対策の有無も確認する。

管理が適切と認めた優良マンションはホームページなどで公表する。

数年ごとに管理状況を確認し、不十分とみなせば認証の取消しも検討する。

都市部で建設が相次ぐタワーマンションは住民増加につながる一方、高層建築のため修繕費がかさむ。

大勢の所有者や居住者の合意形成にも時間を要し、将来にわたる維持管理の難しさが指摘される。

修繕積立金不足などで管理不全となれば安全面や景観などで地域に悪影響を与える。

認証制度を通じて過度な開発を抑える効果も狙い、不動産関係の事業者からも意見聴取する。

神戸市は、タワーマンションは長い目で見ると課題があり、質の高い街づくりに向けた制度設計を進めるとしている。

東京都は適正なマンション管理を促す条例を2019年3月に施行し、2020年4月から管理組合に管理費や修繕積立金などの報告を義務付ける。

1983年以前に建設された住戸6戸以上の物件が対象で、東京都内のマンションの1/4程度の1万4000棟が該当する。

全国のマンションの3割近くが集中する東京都内では、2023年に築40年以上の物件が43万戸に達する見通しで、居住者らの高齢化も進む。

定期的な修繕がされないと老朽化で不良物件になりかねず、管理組合への関与を強める。

東京都は届出がない場合に督促・指導し、建物への立入を含めた調査を実施する方針。

国土交通省によると2017年で全国に644万戸の分譲マンションがあり、このうち築40年超えの老朽物件は73万戸あり、2037年には352万戸と5倍に膨らむ見通し。

国土交通省の調査では、現在の修繕積立金が長期修繕計画より不足するマンションが全体の35%を占め、今後、荒廃物件の増加も懸念される。

近畿圏では2019年以降に完成予定する20階建て以上の超高層マンションは47棟の1万4581戸ある。

大阪府内が39棟、兵庫県内は6棟で、近畿圏での完成戸数は2013年の6133戸から減少していたが、2016年の2200戸を底に上昇、2018年は2741戸に回復し、2019年は5000戸が完成する予定。

【2019年5月13日】
タワーマンション乱立、神戸市抑制
神戸市は超高層のタワーマンションの管理組合に対する認証制度を2020年度にも導入する。

高さ60m以上(約20階建て)のタワーマンションを対象に、審査組織が管理規約の内容や修繕積立金の残高を把握するなどの仕組みを想定。

神戸市内でのタワーマンション建設のハードルが上がり、神戸市は都心部の過度なマンション開発を抑え、郊外への人口誘導を図りたい考え、人口や都市規模の拡大ではなく、奥行きと深みある上質な街づくりを目指している。

神戸市は三宮の駅周辺など中心部での大規模マンション建設を規制する条例を2020年にも施行予定で、認証制度もタワーマンション乱立の歯止めにつなげる。

都市部は商業やオフィス機能を重視し、人口減少が続く郊外は居住地としての魅力を向上させる。

【2019年5月14日】
マンション管理員不足、各社対応
マンション管理会社大手は、深刻化するマンション管理員不足への対策に取組む。

三井不動産レジデンシャルサービスは採用年齢を引上げ、大京アステージは人工知能(AI)の活用で業務を効率化する。

管理員は企業を定年退職した人が働く事が多く、定年延長や再雇用で担い手の中心となる高齢者の採用が難しくなっており、マンション増加が続くなか対策が急務になっている。

マンション管理員や清掃員などの従業員の年齢は65歳以上が6割を占め、定年退職後の勤務先としてニーズがあったが、近年、定年延長や再雇用などで賃上げなど待遇を改善しても採用が難しくなっている。

三井不動産レジデンシャルサービスはマンション管理員の採用開始年齢を上限の68歳から72歳へ、雇用年齢も70歳から75歳へ延長した。

野村不動産パートナーズも雇用年齢を72歳から75歳に引上げた。

大京アステージは2020年から新築マンションの共用部分に人工知能(AI)による音声対話が可能な電子掲示板を設置し、マンション設備の使い方に関する疑問や、届出・手続きに24時間対応する。

マンション管理員の仕事内容は受付業務だけでなく、ゴミ収集や清掃、点検がある事から完全無人化は難しく、時間制限や複数のマンションを巡回するなど人工知能(AI)を組合わせマンション管理を効率化する。

【2019年5月14日】
レオパレス21、施工不良拡大
レオパレス21は、施工不良調査したアパートのうち新たに1029棟で不備が見つかり、施工不良アパートは全体で1万5628棟に拡大した。

レオパレス21が手掛けた3万9085棟で施工不良調査を実施しており、全体の4割で不備が見つかっている。

2019年4月までに全体の半数程度の調査を終えたが、7割使くのアパートが施工不良であり、残りのアパートの調査でさらに増える可能性がある。

レオパレス21は2018年春から施工不良アパートの補修工事を進めているが、2019年夏までに補修工事を完了するとしているが、補修を終えたアパートは800棟に止まっている。

【2019年5月15日】
つくば駅前の高層マンション計画
茨城県つくば市のつくばエクスプレスのつくば駅前で、閉鎖された商業施設クレオの再開発を巡り、取得した民間企業とつくば市の間にズレが生じている。

商業施設の一部をマンションに建替える計画に対し、つくば市は表玄関の駅前にマンション建設される事は街全体が衰退すると懸念を表明。

そんな中でもつくば駅前の衰退は以前から進んでいる。

2018年1月にクレオの全館閉鎖後、駅周辺の人通りは減り空き店舗が目立ち始めた。

クレオは1985年のつくば科学万博の開催に併せて開店したが、2005年のつくばエクスプレスが開業し、東京の秋葉原まで結ばれたため買物客が東京に吸い寄せられるストロー現象が起きた。

主要テナントの西武百貨店が2017年2月、イオンは2018年1月に閉店し、建物所有する筑波都市整備は経営状態が厳しくなり売却する意向を示した。

不動産開発の日本エスコンが数十億円で建物を購入し、商業施設やオフィス、マンションの複合施設にする計画を表明。

これに待ったをかけたのがつくば市で、建物購入する計画を表明したが資金面などで頓挫した。

つくば市が駅前マンションに懸念を抱くにはつくば市全体の街構造にある。

駅周辺の公務員宿舎には研究員などが住んでいたが、老朽化した建物が相次ぎ売却され、この40年間で駅周辺が荒れ果てた。

つくば駅から一駅の研究学園駅周辺は、東京都心に通勤するベッドタウンとして開発が進み、商業施設のイーアスつくばが開業し、市役所も移転した。

こうした中でのつくば駅前のマンション計画は、ターミナル駅としての顔が薄れマンション乱立で空洞化につながるとしている。

【2019年5月20日】
空き家をシェアハウスに
茨城県日立市と茨城大学が連携し、日立市の古い空き家を学生向けシェアハウスに改修し、日立市が費用負担し、学生がリフォームを手掛けた。

人口減少を背景に増加が社会問題化する空き家再生につながり、学生は低賃料で住める利点がある。

シェアハウス計画は茨城大学が地域の連携事業として日立市に提案し、空き家対策は懸念され問題解決として200万円の予算を計上した。

日立市の情報を基に学生が間取りや通学距離などから物件を検討し、日立市西成町の住宅地にある築45年の木造2階建てを選定し、所有者と交渉して許可を得た。

内装業者の指導を受けてリフォームし、和室をフローリングにし、襖を外して壁を設置し、ほぼ学生が工事を手掛け、1階にリビングを設けて地域住民との交流場にした。

家賃は月額5000円〜9000円で、4人の定員はすぐに埋まった。

周辺には日立製作所などの工場があり、高度経済成長期に集団就職で定住した人が高齢化に入り、今後、空き家増加が予想される。

日立市も所有者は家賃収入で固定資産税などに充当できメリットがあるとしている。

【2019年5月20日】
近畿圏、マンション発売減少
2019年4月の近畿圏のマンション発売戸数は852戸と前年同月比51.1%減少した。

消費税増税前に発売を控える動きがある。

大阪市内の供給戸数は438戸と減少し、ファミリー向け物件が少なく、低金利を背景に引合いが強い投資用マンションは増加した。

契約率は75.9%と上昇し、投資用マンションがけん引したが、それ以外の契約率は64.6%と好不調の70%目安を下回った。

【2019年5月22日】
中古マンション価格下落
2019年4月の中古マンションの平均希望売出価格は70u(21坪)換算で、首都圏は3691万円(175万円/坪)で下落した。

要因は高額な東京都の物件が占める割合が低下したため。

東京都は5002万円(238万円/坪)と5000万円の大台を超え、東京都区部は5550万円(264万円/坪)と上昇している。

神奈川県、埼玉県、千葉県は下落傾向にある。

近畿圏は2272万円(108万円/坪)、中部圏は1923万円(91万円/坪)と共に下落した。

【2019年5月24日】
賃貸住宅成約減少
賃貸住宅の成約件数が減少している。

2019年4月の首都圏の居住用賃貸物件の成約数は1万6775件と減少した。

働き方改革に伴う転勤の見直しや引越業者の人手不足が影響している。

東京23区が2ケタ減少で最多となり、新築ではマンションが17.2%、アパートが20.7%、既存ではマンションが9.1%、アパートが5.5%とどれも減少している。

引越費用の上昇もあり、賃貸借契約の更新時に住替えを見送る動きが広がっている。

賃料も下落傾向が続き、1住戸あたりの成約賃料はマンションが8万7000円、アパートは6万600円と下落が続いている。

【2019年5月28日】
外国人向け賃貸住宅
外国人向け賃貸住宅サービスを手掛ける大阪市のDID−GLOBALは、住宅のオーナーや管理会社と外国人の入居希望者をマッチングサービスを展開する。

外国人労働者や留学生が対象で、専用サイトを通じて来日前に予約し、入居審査や申込金の決済などの手続きが済む。

賃貸住宅の空き家が増えるなか、外国人労働者の増加に対応する。

サイト名は“Apartment Japan”で、外国人の入居希望者に対して英語で表示し、国内の日本人オーナー向けに日本語に切替えができるようにした。

大阪市内など関西の物件を掲載し、入居期間によるが単身者用で月額家賃4万円台からの物件で、保証人が要らない物件もある。

サービスは、アパートやマンションのオーナーや管理会社は入会金1万円とシステム加盟金10万円をDID−GLOBALに支払い、賃貸可能な物件を掲載する。

掲載料とシステム利用料は室数に応じて変わり、5件なら月額5万円となる。

入居希望者は出国前にサイトで物件を検索し、賃料、間取り、家具の有無などの条件を確認したり、室内の様子も動画で見られ、情報は随時更新し、予約済みの物件の申込は表示する。

希望物件予約はサイトで手続きし、パスポート、査証(ビザ)などを画像添付した上で電子署名し、敷金など入居にかかる費用はクレジットカードで決済する。

重要事項説明や契約書への署名、カギの引渡しは来日後に対面で行う。

DID−GLOBALはオーナーから建物を借上げ150件の賃貸住宅を運営する。

入居希望者から英語で送られる問合せメールの翻訳は月額1万5000円、緊急時の駆付けは月額1万5000円、通訳手配は月額7000円などのサービスも用意する。

空き家増加が全国的な問題になる一方、賃貸用のマンションやアパートの空室も増加している。

2018年4月の住宅土地統計調査によると、近畿圏の賃貸住宅の空き家は80万9500戸と2013年に比べ4万3300戸増え、このうち大阪府は45万4400戸と最も多い。

不動産業者などが相続税対策で土地所有者に建設を薦め、年金不安解消や資産運用などサラリーマン大家も増え、空室解消が課題となる。

インバウンド向けの民泊に活路を求める動きもあるが、ただ、民泊は自治体への届出などが必要でトラブルなどの問題もある。

DID−GLOBALは民泊の対象外になるよう物件の契約期間を1ヶ月以上に設定し、借手も留学生や技能実習生などに限定する。

契約を対面で行いオーナーに断る選択肢も残しトラブルを避ける。

【2019年5月29日】
レオパレス21、過半の役員退任
アパート施工不良問題のレオパレス21は社長を含めた役員を入替える。

建築基準法違反の疑いがある物件が従来発表済みの1300棟に、まだ相当数が存在するとみられる。

設計図に記載した国土交通大臣認定の仕様とは異なる構造の物件も見つかった。

耐火性能は一定水準を満たしており、入居者の退去までは必要ない。

今回の問題は、創業者の深山氏の関与により、業績拡大が優先され、法令や施工品質を軽視する企業体質にあったとしている。

【2019年5月29日】
レオパレス21、創業からの社風
賃貸アパート大手のレオパレス21はアパート施工不良問題で、創業者が法令順守(コンプライアンス)の体制を怠った社風から発生したものとした。

現時点で問題物件の改修はほとんど済んでいない。

2018年春に発覚した屋根裏に設ける延焼防止用の仕切り壁(界壁)が無い問題について、2018年からとレオパレス21が発表していた前から違法性が存在していた。

創業者のワンマン体制により違法建築が見過ごされ、販売拡大を優先し、自治体に虚偽申請するなど法令順守の姿勢が軽視されていた。

施工不良物件に対する取扱いは、レオパレス21は問題発覚後、全物件を対象に調査を進め、問題が確認されればレオパレス21負担で改修し、住人引越費用も支払っている。

2万棟近い物件の調査を終えたがまだ半数程度で、その調査済みの7割の1万5600棟で不備が発覚した。

大半の不良物件の改修は終わっておらず費用がさらに膨らむ見込み。

レオパレス21は地主からアパート建築を受注し、完成後に一括借上げして転貸するサブリース事業が主である。

入居率が80%程度まで下がると資金が流出する逆ザヤに陥り、2019年4月の入居率は82.35%と過去1年間で10ポイントも下落した。

改修費拡大やブランド毀損により入居率低下は避けられない。

【2019年5月30日】
賃貸マンション市場が活況
不動産大手が賃貸マンション開発に力を入れている。

住友不動産は2021年度の800戸、野村不動産は2020年度に700戸と、軒並み供給計画を増やしている。

分譲マンション向きの広い土地の取得が困難ななか、消費者の持家志向は低下している。

高級感や子育て支援など特徴を出して賃貸需要を掘り起こしている。

北海道札幌市のJR札幌駅近くに完成した住友不動産が手掛けた賃貸マンションのラトゥール札幌伊藤ガーデンは地上30階建てで総戸数330戸、賃料は月額16万円〜85万円。

住友不動産が展開するラトゥールは、高品質な設備を備える高級感の賃貸マンションで、コンシェルジュなども用意する。

野村不動産が手掛ける賃貸マンションのプラウドフラットや、三菱地所のザ・パークハビオなど数百戸規模に供給量を増やしている。

若年層の持家志向が低下するなか、賃貸マンションは生活の変化に応じて住替えがしやすいメリットがある。

総務省の調査で、全国の30代の持家世帯は2013年で38.6%と20年間に4.2ポイント下落している。

分譲マンションの価格高騰に受けて契約率と販売戸数が低迷し、逆に賃貸マンションは着工戸数が年間11万戸前後で安定している。

賃貸市場の活況は消費者の変化に加えて、デベロッパーの事業もある。

分譲マンションを購入する顧客は要求水準が高く、用地の広さや日照が求められ、一等地が減るさなかホテルなど用地争奪で土地取得が難しく採算が悪化している。

賃貸物件は狭い土地でも開発しやすく、賃料収入が継続的に得られ、事業リスクを分散できる。

三井不動産は千葉県柏市に超高層賃貸マンションを開発し、保育園やクリニックなどを併設し子育て世帯を呼び込んでいる。

賃貸市場も付加価値を高める競争が起きている。

【2019年5月30日】
分譲マンション価格割高感
首都圏の分譲マンション価格の割高感が強まっている。

2018年はマンションの平均価格が1割上昇し過去最高水準となった。

価格が賃料の何年分にあたるかを示す数値のマンションPERは、2018年は24.98となり最高水準で、住宅が手に届きにくくなっている。

ミニバブルと言われた2008年の高騰水準を超え、普通のサラリーマンでは購入できない価格帯となる。

資金回収に25年かかり、賃料に比べ価格上昇ペースが速く、収益効果は薄れる。

2018年の70u(21坪)換算の平均価格は7344万円(349万円/坪)で、投資回収を要する期間は2017年より半年ほど長くなった。

マンションPERは駅から徒歩20分以内の同じエリアで1住戸あたりの収益性や築3年未満の物件を対象とした賃料との見合いで買いやすさを示す指標。

価格を現在の評価額、賃料を現在の収益力とし、賃料が変わらないものとして何年で回収できるかを示す。

数値が大きいほど収益力は低く、20を超えると利回りが5%を切り割高となる。

駅別で最も割高なのはJR渋谷駅で41.21。

平均価格が1億8619万円と最も高いのは地下鉄の外苑前駅で37.52。

割安感のあるのは京王多摩センター駅の15.53、武蔵浦和駅の15.62で、地域の所得者は住居用の実需がほとんどとみられる。

割高感のあるエリアは、富裕層が居住用に購入する高級物件以外にも、実需と投資双方のニーズがあるタワーマンション開発が相次いでいる。

その結果、新築分譲マンションの価格相場を押し上げている。

《マンションPERの上位》
1:渋谷駅 41.21
2:元町・中華街駅 40.66
3:麹町駅 39.89
4:外苑前駅 37.52
5:神谷町駅 36.97

【2019年5月30日】
6月
民泊復調
民泊仲介大手のエアビーアンドビー(Airbnb)は、仲介サイトに掲載する日本での物件数が2019年5月末で5万件になった。

2018年6月の住宅宿泊事業法(民泊法)が施行し、違法の闇民泊をサイトから削除した当時は掲載物件が2万2000件に減少した。

今後は地方自治体や企業と連携し掲載物件を増やす予定。

岩手県釜石市や東京都新宿区などと提携し適正な民泊施設を運営したり、不動産仲介業者のハウスドゥが管理する空き物件を民泊施設にする。

【2019年6月7日】
サブリースの賃貸アパート経営
地主など所有する土地に不動産業者から勧められアパートを建てサブリース(転貸借)し賃貸経営をする手法があります。

サブリース(転貸借)とはそのアパート全室を不動産業者などが一括借上げし、入居者に転貸します。

不動産業者は入居者から転貸料を徴収とし、大家に賃料を支払いその差額が収益になります。

大家は毎月一定額が入るうえに、賃貸管理もすべて不動産業者がするため煩わしさがないメリットがあります。

ただ問題としては、その建物建設に伴う建築費を多額のアパートローンで賄い、そのローン支払を賃料を充てるのであれば、景気変動や建物劣化により賃料がいまのままで推移する保証はありません。

不動産業者とのサブリース(転貸借)契約は30年間の一括借上ではあるものの、賃料は同額保証とはしていません。

当初の10年間は同額保証するが、その後は2年〜5年ごとに見直す条項があります。

多額の建築費を借入れた場合、賃料が下がればローン支払額を下回る可能性があります。

そうなった場合、大家は当初の約束と違いサブリース(転貸借)契約違反と訴えるかもしれませんが、大家と不動産業者の関係は契約上、賃貸人と賃借人になります。

借地借家法では不動産業者であっても賃借人の保護が適用され、建物の賃料が経済事情の変動により不相応となったときは契約条件にかかわらず建物の賃料額の増減を請求できます。

また、サブリース(転貸借)契約は不動産業者から解約する事が可能です。

契約書に中途解約禁止条項が盛り込まれていても、借主の利益を一方的に害する特約として無効になります。

大家が賃料減額を拒否すれば、不動産業者は契約自体を解約する事もできます。

当初のうま味だけに目がいき、後ろに隠れている不動産業界の実情を知らないとアパート経営が行き詰り土地まで失う可能性があります。

【2019年6月7日】
レオパレス21、入居率低迷
レオパレス21は、管理するアパートの住戸数のうち入居している割合の入居率が2019年5月は81.95%となり下落し続けている。

2018年春に施工不良問題が発覚して以来、入居率は下がり続け、レオパレス21の経営への影響が出始めている。

レオパレス21は、アパートを一括借上げるサブリース(転貸借)を手掛け、物件大家に一定賃料を保証し、入居者から受取る賃料との差額が収益となる事業モデルだが、入居者が80%を下回ると資金が流出する逆ザヤになる。

新規アパート建設受注も営業活動を停止しているため、レオパレス21の下請業者も経営を直撃する可能性がある。

【2019年6月8日】
レオパレス21、施工不良アパート増加
レオパレス21は、施工したアパートのうち新たに1138棟で不備が見つかったと発表。

施工不良物件は2019年5月で1万6766棟にまで拡大。

レオパレス21が施行した3万9085棟に対し、2万2056棟の調査を終え8割近くが施工不良アパートだった。

【2019年6月11日】
民泊参入支援サイト
民泊仲介サイトの手掛けるアメリカのホームアウェイは、民泊運営を検討する日本の不動産所有者向けウェブサイトを開設する。

物件を民泊として運営した場合の収益シュミレーションができ、民泊許可申請の代行で運営に伴う業務を支援する。

【2019年6月11日】
レオパレス21、自社物件売却
レオパレス21は施工不良問題でアパート修繕費用を備えるため自社保有の賃貸マンションなどを売却する。

建物オーナーから一括借上げし転貸するサブリース事業は、施工不良物件の入居者募集停止で採算が悪化し、不動産売却資金で賄う計画。

レオパレス21は地主からアパート建築を請負いサブリースするのが主力事業で、かつては自社で土地を開発しアパートなどを分譲し、売残り物件などは自社で賃貸している。

売却対象物件は簿価ベースでマンションが90億円、アパートは50億円。

【2019年6月12日】
大阪集中する民泊
民泊解禁する2018年6月15日の住宅宿泊事業法(民泊法)が施行してから1年が経つ。

民泊施設は大阪市が全国最多の2000件超あるが、京都市など他都市には浸透していない。

住宅宿泊事業法(民泊法)は営業日数上限など規制が多く収益確保が難しく、規制緩和する大阪市の国家戦略特区の民泊がある大阪市に届出る事業者が多い。

観光庁によると2019年5月時点の住宅宿泊事業法(民泊法)に基づく大阪市の届出住宅数は2282件、京都市は546件、神戸市は47件、奈良市は31件、堺市は27件。

東京都新宿区は1050件、札幌市は1780件、全国でも1万5707件となっている。

大阪市は国家戦略特区に指定されており、営業日数上限のない民泊制度も導入し、民泊法物件とは別に認定居室が7298室ある。

住宅宿泊事業法(民泊法)は自治体に届出するだけで民泊運営できるが、営業日数を180日まで制限されるなど規制があり、周辺住民とのトラブル防止などを目的として条例でさらに規制を上乗せする自治体もある。

京都市の物件は10分以内に駆け付けられる場所に管理者を置くなどの条令規制を事業者に課している。

神戸市も一部地域に運営時期制限などを設ける。

住宅宿泊事業法(民泊法)は1年の半分以下の稼働で収益を上げるのが難しく、その上に自治体の条令規制も加わり事業化の動きが鈍い。

大阪市は特区民泊を導入しているから事業者を引き付ける。

特区民泊物件を運営するのに大阪市の認定が必要で、届出だけの住宅宿泊事業法(民泊法)よりも手続き時間や費用がかかる。

住宅宿泊事業法(民泊法)で参入した後、国家戦略特区の民泊に移行する事業者も多いという。

民泊利用者は訪日外国人が中心で、大阪市の民泊施設の宿泊料金は1日1室1万円が相場となっており、複数で泊まれるためホテルより割安になる。

事業者から観光スポットや地元の飲食店などの情報を得る事もでき、民泊ならではの地元の生活を感じる事ができるのが魅力となっている。

ただ、日本人の利用は低調で、違法民泊などがあり民泊は危ないというイメージ悪化し、日本民泊協会では、このままでは日本人に定着しないと危機感を募らせる。

【2019年6月13日】
投資用分譲マンション賃料上昇
2019年5月の投資用分譲マンションの平均募集賃料は、首都圏が1uあたり2927円と上昇した。

賃料水準の高い東京23区内は上昇傾向だが、東京都内は下落した。

東京都は3469円、神奈川県は2159円、千葉県は1619円。

近畿圏は1880円、中部圏は1767円で共に下落。

【2019年6月14日】
民泊の防災設備不備
民泊でスプリンクラー未設置などの重大な消防法令違反が相次ぐ。

住宅宿泊事業法(民泊法)に基づく届出が全国最多の大阪市は、消防局の立入検査で81施設で違反が発覚。

2018年6月15日、住宅宿泊事業法(民泊法)が施行し自治体に届出が義務化されたが、消防法令に適合と示す通知書の提出が必須でない事も背景にある。

消防法令は、建物の種類や用途によって必要な設備を定める。

スプリンクラーは一般共同住宅では建物構造により免除されるが、民泊はホテルなど同様に11階以上で設置が義務付けられる。

一般住宅に義務付けられていない自動火災報知設備や防火管理者の選任なども民泊の場合は広さなどによって求められ、消火器や誘導灯も必要。

消防局は通知書が未提出の場合は立入調査し、不備があれば施設名を公表する。

民泊は台所やストーブなど火元になるうる設備があり、ホテルより危険性が高いという。

重大な消防法令違反が増える背景には、消防局が現場確認した上で交付する消防法令適合通知書について、民泊の営業届出時の扱いが曖昧な事にある。

旅館業法の許可を受けるには通知書の提出が必須だが、住宅宿泊事業法(民泊法)は国のガイドラインで通知書の提出を求めるだけで義務ではない。

民泊届出の1位の大阪市や2位の札幌市は消防法令適合通知書が無くても受理しているが、京都市は条例で通知書提出を義務付け、仙台市は提出を厳格に求めるなど自治体でも対応が異なる。

観光庁は、通知書は必須事項ではないが、届出時に提出するのが望ましく、自治体と消防局で安全確認をして欲しいとしている。

さらに無許可民泊施設も多い。

大阪府と大阪市は違法民泊撲滅チームを発足し、寄せられる情報を元に担当者が物件を巡回して宿泊客に聞取調査を行うが、それでも違法民泊は存在する。

大阪市は民泊届出が2599施設あり全国最多となり、訪日客が増えるなか不足する宿泊施設を補っている。

国家戦略特区を活用した特区民泊も7578室あり、全国の民泊施設の9割が大阪に集中している。

違法民泊撲滅チームによると調査対象となった物件は4800施設あり、事業者を指導し民泊届出するか営業をやめるかを促し、4548施設が解決している。

ただ、違法民泊は平行して1ヶ月に150施設増えて、営業をやめた民泊施設を別業者が営業再開する事例もある。

《民泊施設の防火設備》
・消火器:述べ面積150u以上で設置。
・自動火災報知設備:原則設置。
・誘導灯:原則設置。
・スプリンクラー:11階以上の階室に設置。
・消防用設備等の点検:年2回
・防火管理者選任や消防計画作成など:建物全体の収用人数が30人以上は必須。

【2019年6月14日】
地域により増えぬ民泊施設
一般の住宅に旅行者などを泊める住宅宿泊事業法(民泊法)が2018年6月15日の施行してから1年が経過した。

届出件数は増えているが、一部自治体は消極的な対応も目立つ。

市場拡大に企業参入意欲は強く、観光立国を支えるビジネスとしてさらなる民泊制度改善は必須。

問題は各自治体の対応にあり、民泊を営業できる区域や期間を法律より厳格にする条例を制定する。

トラブル発生時に10分以内に管理人が駆け付ける事を要件にしている自治体もある。

年間の外国人観光客は9000万人にのぼり、地域社会で迎え入れる施設が欠かせない。

民泊事業者も住民への説明や衛生面の管理も行い、トラブルが地域の信頼低下につながる事にもなる。

東京都新宿区は民泊仲介会社と協力し、民泊事業者に法令順守するよう呼び掛ける。

岩手県釜石市は民泊事業者などと連携し、空き家を単身者向けのルームシェアや民泊として利用し、官民連携の取組みも広がる。

【2019年6月15日】
増えぬ民泊に規制壁
住宅宿泊事業法(民泊法)が2018年6月15日の施行から1年経過した。

届出件数は1万7301件となったが、営業日数が年間180日に限られるなど制約の厳しさがあり、大阪市では国家戦略特区の民泊制度に運用を転じる事業者も多い。

政府は2030年に6000万人の外国人観光客を受け入れる観光立国を目指しているため、宿泊設備の整備が急務となっている。

民泊仲介大手のエアビーアンドビー(Airbnb)の登録は民泊以外も含め5万件となるが最盛期の8割にとどまる。

法律制定により違法民泊は減少しているが、新規参入も少なく事業縮小が目立つ。

厳格な制度の一つに営業日数が年間180日以内とされ、1年のうち半分以下しか稼働できない状態。

旅館業法の簡易宿所や、国家戦略特区の特区民泊で運営する事業者も多い。

また改正建築基準法の規制緩和で、延べ床面積200u以下の簡易宿所は用途確認の変更申請が不要となる。

特区民泊は7864件にのぼり、その9割は大阪市に集中する。

2泊3日という最低宿泊日数はあるが営業日数の上限はない。

地方自治体が設ける上乗せルールが民泊離れに加速させる。

観光庁によると、国の民泊制度運営システムでオンラインで届出できるのに書面提出を求めたり、物件周辺地図など多くの添付書類を求めたりする例もある。

東京都千代田区は届出件数が少なく、理由として区条例で民泊施設に家主の常駐かそれに代わる管理者の常駐を求めて、千代田区は規制を緩める予定はなく、住民の安全安心を守る事が最優先としている。

観光庁によると民泊の事業廃止は982件で、民泊民泊や簡易宿所に転換して民泊事業は継続しているという。

観光庁は民泊仲介サイトの掲載物件リストを自治体への届出と照合し、合法と確認できない物件について仲介サイトに削除を要請している。

仲介サイトの掲載物件4万1600件のうち違法の疑いのある物件は16%程度。

東京都台東区の民泊担当者は、区民の苦情も減少しているという。

違法民泊監視サービスの民泊ポリスを提供する東京都大田区のオスカーは、違法民泊調査のマンション管理組合からの依頼は急減しているという。

《住宅宿泊事業法(民泊法)》
2018年6月15日に施行。

行政への申請が届出で済み、住居専用地域も含め全国各地で営業できる。

営業日数は180日が上限で、さらに厳しい規制を条例で定める自治体もある。

その他に旅館業法の簡易宿所、国家戦略特区の特区民泊もある。

【2019年6月15日】
首都圏、新築マンション発売減少
2019年5月の首都圏の新築マンション発売戸数は2206戸で減少した。

物件価格の高止まりで購入者の購買意欲が低下し、不動産業者は在庫圧縮を優先し、2019年10月の消費税増税前の駆け込み需要もみられていない。

地域別では東京都区部が781戸と減少し、売出物件の売れ行きが鈍く、新規物件の発売時期を遅らせる動きに出ているという。

販売在庫数は7655戸あり、前年同月の6377戸より1278戸多い。

1住戸あたりの価格は6093万円と前年同月比63万円上昇し高止まりが続く。

契約戸数は1323戸と60%で低調。

2019年7月から東京五輪の選手村を改築する分譲マンションの発売が控えており、消費者の様子見が続いている。

【2019年6月18日】
近畿圏、新築マンション契約率低調
近畿圏の新築マンション市況が悪化しており、2019年5月の契約率は68%と低下した。

短期間で売れやすい投資用マンション供給数が減っている。

消費税増税の対応措置として住宅ローン減税が拡充される2019年10月以降まで購入を控える消費者が増える。

発売戸数は1388戸と減少し、大阪市以外の大阪府、神戸市、京都市の落ち込みが大きい。

住宅ローン購入する場合、消費税増税後は減税措置の効果が大きいため消費者の買い控えがあり、それに伴い供給量も減っている。

大阪市内では急増する観光客の宿泊需要を受けて民泊対応マンション建設が相次ぎ、投資用マンションは堅調だが用地取得が難しくなっている。

新築マンション価格は上昇傾向で4152万円となり、前年同月より300万円近く上がった。

地価や人件費の高騰などで大阪市内のファミリー向けマンションは上昇し、消費者は堺市など郊外などに流れる。

【2019年6月18日】
TATERU(タテル)業務停止命令
アパート施行管理のTATERU(タテル)が建設資金の借入希望者の預金データを改ざんした問題で、国土交通省はTATERU(タテル)に業務停止命令を発令する。

国土交通省は、預金残高を実際より多く見せて金融機関の審査を取りやすくし、会社ぐるみで改ざんし不正は全国に広がっていた事を問題視し行政処分に踏み切る。

国土交通省は宅地建物取引業法に基づき、TATERU(タテル)に対する聴聞を開いたうえで、業務停止命令を出し、停止期間や業務範囲は今後詰める。

国内の不動産取引336件で銀行に提出した資料で借入希望者の預金残高を水増しするなどの不正が見つかり、営業部長など数十人が改ざんを主導していた。

TATERU(タテル)は30人近くの営業社員が不正に関与し、350件で不正が見つかり、過度なノルマにより資金の少ない顧客とも契約させるため書類を改ざんしていたとしている。

【2019年6月18日】
民泊市場横ばい
2018年、近畿圏の民泊市場規模(違法民泊含む)は235億円で、2017年の236億円と同規模となり拡大が一服している。

2018年6月の住宅宿泊事業法(民泊法)の施行で関西で多かった違法民泊が減少した事が一因。

2016年から2017年は2倍以上に急拡大し、2019年以降は回復基調にある。

国家戦略特区の特区民泊の認定件数や民泊法の届出件数は増加していないが、アジア圏からの訪日客が増加し民泊施設を利用している。

全国の民泊市場規模は737億円で、2017年の677億円から60億円増加し、中部地方や北海道、沖縄などで民泊施設が増えた。

【2019年6月20日】
中古マンション価格上昇
2019年5月の中古マンションの平均希望売出価格は70u(21坪)換算で首都圏は3740万円(178万円/坪)で上昇、東京都は5002万円(238万円/坪)で横ばい、23区内は5541万円(263万円/坪)で下落。

埼玉県は2325万円(110万円/坪)神奈川県などは上昇した。

近畿圏は2305万円(109万円/坪)で上昇、中部圏は1938万円(92万円/坪)で上昇したが名古屋市は下落した。

【2019年6月21日】
レオパレス21、他社施工でも不良
レオパレス21が設計し、他社が施工した766棟のアパートでも施工不良が発覚した。

1980年代に建てたアパートなどで延焼を防ぐ部材が無かったり、隙間があったりした。

工事を請負った工務店が設計通りに施工せず、レオパレス21も建物確認を怠っていた。

【2019年6月22日】
家賃滞納で住戸追出
賃貸住宅の借主の連帯保証を請負う家賃保証会社フォーシーズの契約書に、借主と連絡が取れない時などに住戸を明渡したとみなせる追出条項がある。

これは消費者契約法に反するとして消費者団体が条項の使用差止を求めた訴訟で、大阪地方裁判所は条項は違法として差止めを命じた。

判決によると、条項は借主が家賃を2ヶ月以上滞納し、本人と連絡が取れない場合など、物件を明渡したものとみなし、借主の承諾なく荷物を撤去できると定めている。

判決は、条項は賃貸借契約が終了しているかを考慮しないまま明渡したとみなすものと指摘し、一方的に荷物を撤去する事は緊急性など例外的な場合を除き不当行為に当たると判断した。

【2019年6月22日】
神戸三宮、タワーマンション禁止
神戸市は、中心部の大規模マンション抑制を狙った土地利用規制の条令改正案を提議し2020年7月の施行を予定する。

繁華街にある三宮地域は新たな住宅を原則禁止し、その外側地域は住宅の容積率に上限を設けタワーマンション建設できないようにする。

オフィスや店舗を核とした再開発を促し就業人口を増やす狙い。

規制対象はJRや地下鉄沿線を中心とした314.6haで、新たに住宅が建設できなくなるのはJR三ノ宮駅周辺の22.6haの百貨店など商業施設が集まる地域。

その外側の292haは敷地面積1000u(305坪)以上の用地を対象に、従来は最大900%まで認めたいた住宅部分の容積率を400%以下にし、タワーマンションなどの開発を抑える。

神戸市内は高さ60m以上のマンションが70棟程度あり、三宮地区など中央区に1/3が集中する。

神戸市はマンションがさらに増えると小学校不足、オフィスや商業施設が失われると判断する。

神戸市の人口は2011年のピークから2万人減り152万人程度で、川崎市を下回り全国6位から7位に順位を落とした。

三宮など中心部は人口増加傾向にあり、受皿となるのがタワーマンションだが、神戸市内からの転居が目立つ。

中心部の昼間人口は2015年で19万2000人と1995年の阪神大震災前と同程度。

神戸市は再開発でオフィスや店舗を増やす考えで、阪神間や神戸西から人が集まる街にする都市開発が必要としている。

また、神戸市はタワーマンション管理組合の認定制度を2020年度に導入する予定。

タワーマンション管理組合の機能を自治体が審査する試みで、駅前で需要が高い高層マンションの規制は珍しく、横浜市でもJR横浜駅周辺で建設規制する例はある。

都心居住と業務・商業機能のバランスをとる目的がある。

【2019年6月24日】
神戸市、タワーマンション禁止条例
神戸市は、三宮など中心部のタワーマンション抑制する土地利用規制の条令改正案を提議し、2020年7月に施行予定。

タワーマンションは都心居住の需要受皿になるが、人口減少に悩む神戸市はあえて規制し、ニュータウン再生に活路を見出す。

郊外にある拠点駅周辺を整備し、住宅地でも店舗やオフィスを設置できるようにする緩和策も検討し、若年層を呼び込む都市戦略を描く。

条例は、三宮益周辺の22.6haでは住宅建設を禁止し、外側の元町や神戸、新神戸の各駅を含む229haは敷地面積1000u(305坪)以上の用地を対象に住宅部分の容積率を現状の900%から400%以下に引下げる。

三宮周辺に人口集中する事に弊害が出始めた事による方針の施策で、住宅ではなくオフィスや商業施設を誘致する。

タワーマンション規制は、実需より投資目的の住戸が多く、阪神大震災で集合住宅の合意形成の難しさを経験した神戸市は、権利が細分化したマンション増加で駅前再開発が進みにくくなると懸念する。

神戸市より先に2006年にマンション規制条例を制定した横浜市は、オフィスは増えたが空室率は景気に左右され、企業誘致を自治体としてどれだけ支援できかが重要とし、企業誘致の補助制度も求められる。

神戸市の人口は2019年5月で152万4700人で、大規模マンションの立地が進む川崎市を下回り、全国6位から7位に順位下落した。

2015年の都市部人口5万7000人は1995年の阪神大震災前に比べ6割増加し、郊外の戸建て住宅から都心駅近のマンションに移る世帯が増加し都心居住の需要高まりがある。

ただ、都心のタワーマンションが増加すれば大阪のベッドタウン化がさらに進み、神戸市が人口減対策で問題視するのが2015年の人口49万人が1995年より5%減少した郊外ニュータウン。

神戸市の市域面積は川崎市の4倍、ニュータウンは市街化地域の1/3の6300haを占める。

郊外沿線人口が減ると公共交通の採算悪化で利便性が低下し、さらに沿線人口が減る悪循環を招くと懸念する。

神戸市は今後、拠点駅再整備して利用客数が多い駅周辺を順次整備、そこを中心にコンパクトシティーを形成する計画。

神戸市西区の西神中央駅近くでは芸術ホールなど整備計画があり、須磨区の名谷駅は駅ビルに子育て支援機能を導入する予定。

垂水区のJR垂水駅近くは子育て世代の利用を目的に体育館を新設する。

共働きが増え住宅だけの地域が生き残るのは難しく、仕事や子育てしやすい拠点が近隣に求められる。

神戸市はニュータウンの用途地域変更を検討し、住環境を優先する第一種低層住居専用地域を変更し、コンビニや空き家活用したオフィスなど設置しやすくする。

●タワーマンション管理組合の認証制度
神戸市は高層マンション管理組合に対する認証制度導入を予定する。

認証制度は高さ60m(約16階)以上の高層マンションを念頭に2020年度にも導入予定。

人気が高いタワーマンションの管理組合の機能を自治体が審査する全国初の試みとなる。

タワーマンションは長い目で見ると課題があり、審査組織による書類の確認や面談を通じて管理規約の内容や修繕積立金の残高を把握するなどの仕組みを検討する。

【2019年6月25日】
賃貸住宅成約減少
賃貸住宅の入居契約件数が減少傾向になっている。

2019年5月の首都圏の居住用賃貸物件の成約数は1万3783件と前年同月比15.7%下落した。

マイナス幅が2桁に拡大し、内訳はマンションは15.0%、アパートは17.8%、新築のマンションは18.5%、アパートは45.6%、中古のマンションは14.7%、アパートは14.4%と全て減少している。

1戸あたり成約賃料はマンションが8万9200円と上昇し、アパートは6万2400円と下落した。

物件募集賃料や引越費用の上昇で転居の手控えが続いている。

賃貸借契約の更新時に今よりも条件の良い物件に住替える動きが鈍く、成約数減少の一因になっている。

【2019年6月28日】
TATERU(タテル)業務停止処分
アパート施工管理のTATERU(タテル)が建設資金の借入希望者の預金データ改ざんした問題で、国土交通省は宅地建物取引業法に基づく業務停止命令を出した。

期間は1週間で宅地建物取引業法に関わる業務ができない。

TATERU(タテル)の会社として組織ぐるみの改ざんや不正が広域に行われ悪質と判断した。

国土交通省が調査をし、全国での不動産取引336件について銀行に提出した資料で借入希望者の預金残高を水増しするなどの不正を実施していたと認定した。

また、アパート管理は法に関わらないため業務停止処分の対象外となる。

【2019年6月29日】
7月
神戸三宮、タワーマンション建設禁止
神戸市は、神戸中心部の大規模マンション抑制に向けた土地利用規制を2020年7月から開始する。

商業施設などが集まるJR三ノ宮駅周辺は新たな住宅建設を原則禁止とし、その外側地域は住宅の容積率に上限を設けタワーマンションが建設できないようにする。

商業園確保のため中心部は店舗やテナントなど集中させる。

対象は新神戸駅やJR神戸線の元町駅などを含む計314.6haで、そのうち住宅建設できないのはJR三ノ宮駅周辺の22.6ha、その外側292haは敷地面積1000u(302坪)以上の用地を対象に住宅部分の容積率を現状の最大900%から400%以下とする。

【2019年7月1日】
三宮、タワーマンション1回建替容認
神戸市が神戸中心部の大規模マンション抑制を狙う土地利用規制条例改正が成立した。

2020年7月に施行し、JR三ノ宮駅周辺でタワーマンション建設禁止となる。

ただ、対象エリアには施行後に既存不適格建築物が50棟〜60棟程度あり、神戸市は資産価値の影響を考慮し一度なら今の条件で建替を容認する。

改正条例は、JR三ノ宮駅周辺の住宅建設を禁止し、その外側地域は住宅部分の容積率を引下げる。

都市計画変更などで基準外となる建物は既存不適格建築物となり、建築基準法では新基準に合わせて建替えるよう求めている。

神戸市は条例施行後も住宅に使う面積を増やさない限り一度の建替を認める。

また、神戸市は2020年にタワーマンション管理組合に対する認証制度の導入方針。

神戸市の審査組織が管理規約の内容や修繕積立金の残高を把握し、建替えに向けた円滑な合意形成につなげる。

【2019年7月2日】
契約トラブル、サブリース調査
国土交通省は、賃貸住宅などのサブリース(転貸借)契約を巡るトラブルが多発している事を受け、事業者かの実態調査を始めた。

賃貸住宅の管理業務を手掛ける事業者を対象に、重要事項説明の状況やビジネス手法を調べる。

サブリースは土地所有者が建てたアパートなどを事業者が長期間に渡る借上契約方式。

約束した家賃収入を事業者が大幅に減額したり、契約解除するトラブルが多発している。

【2019年7月4日】
賃貸住宅の原状回復義務
賃貸住宅を解約した際の室内の原状回復の借主の工事費用負担や義務範囲はどこまでなのか。

以前は賃貸住宅を借りる際の賃貸借契約に、室内は借りた当初に原状回復する特約が盛り込まれ借主が敷金などで工事費用を負担していました。

ただ、この貸主有利の賃貸商慣行は賃貸住宅を管理や仲介する不動産業者が長い付き合いをするお得意様でもある貸主に向いていた事に起因します。

しかし、この借主に不利な条件はインターネットが普及した2000年前後から疑問の声が高まり、借主が貸主を訴える裁判に発展する事もありました。

そこで国土交通省や自治体などが曖昧だった原状回復をある目安を元にした基準を策定しました。

賃貸住宅の解約した際の室内の原状回復義務の主な項目は以下になります。

@:室内価値は経年劣化が伴い、それは借主責任はない。
A:賃貸借契約の特約などで、借主不利な条項があればその箇所は無効となる。

例えば、室内の壁紙(クロス)や床のCFなどの建材は自然損耗するため、使用頻度に関わらず減価償却は5年程度なので単純に5年以上住めばその内装建材の価値はゼロとなります。

また、室内の汚損の責任範囲は、借主が住めば当然に生活した際の汚損が発生し、その損害は貸主が受取る家賃に含まれると解釈されます。

ですから、壁紙(クロス)や床のCFの汚損有無や程度に関係なく、借主が解約した時まで室内リフォーム費用を家賃に含めて支払っていたと言う事になります。

この事から退去後の室内リフォームは貸主が負担する事になります。

ただし、借主が普通の生活を送っていれば出来ない汚損や破損は、家賃に含まれていないためその原状回復に対して借主が退去前に負担する事になります。

一例として、建具(ドアなど)、ガラス、住宅設備(キッチン・トイレ・洗面台・浴室など)の破損などは借主負担になります。

ちなみに借りる当初から住戸に付帯している給湯器やエアコンの故障などは貸主に所有権があるため貸主負担になります。

国土交通省や自治体などが出している賃貸住宅に対するガイドラインもあるため、それを参考にするとよいでしょう。

また、管理している不動産会社から不合理な要求をされた場合、所轄する国土交通省や自治体にその内容を相談すると伝える事をお勧めします。

その要求が不正なもので法令違反となれば、所轄する行政などから不動産会社は業務の停止や禁止を命じられる可能性があります。

【2019年7月6日】
レオパレス21、さらに施工不良発覚
レオパレス21は、過去に施工したアパートで新たに2923棟で不備が発覚。

全国に3万9085棟の物件を調査し7割程度が調査完了したが、2019年6月時点の施工不良は1万9689棟で既に半分近くのアパートで不備が見つかっている。

施工不良物件は2019年10月までに改修工事を終える予定だが、工事完了した物件は839棟で施工不良物件の4%程度に過ぎず、さらに増加すれば期限を守る事も難しい。

職人不足による工事進捗の遅れや、既存の入居者住替えの調整なども足を引張る。

施工不良問題は入居率にも影響し81.4%と前年同月比10ポイント近く落ちている。

【2019年7月10日】
マンション、耐震構造不備
耐震設備でもある構造スリットが設計図面通りに施工されていない鉄筋コンクリート造のマンションが発覚している。

平時で建物倒壊の至るおそれはないが、地震に対しては構造体が破損する可能性があり、緊急性を要するため国土交通省は情報収集にあたっている。

不備原因の構造スリットは施工難度が高く、施工後は壁内に隠れるため建設業者は不備が生じている事を知らない可能性もある。

構造不備が発覚した東京都江東区の分譲マンション(竣工:2004年 総戸数:140戸)では、大規模修繕工事中に構造スリット未施工が判明した。

このマンションの建設会社では原因調査を実施し、事業主(売主)と共に過去に施工した多数のマンションでも同様の不備が見つかっている。

他の建設会社や事業主(売主)のマンションでも、愛知県や神奈川県でも構造スリット未施工や設計図面の位置がズレて設置されている不備が発覚している。

原因は施工難度の高さや設計図面の見落としがあり、建築過程で構造スリットを設置し、接する柱や壁の型枠にコンクリート打込みの際、圧力などで設計図書の位置からズレる事があり、施工業者も気付かない事がある。

地震など力が加われば壁などにヒビ割れが発生する事があるが、外壁内部のため外観から隠れており確認する事はできない。

通常時では建物破損する可能性は低いが、構造スリット未施工やズレて鉄筋に触れている場合は構造計算が変わってくるため、補修工事が必要となる可能性もある。

国土交通省は不備が明らかな物件について情報収集し、自治体に改修方法など指導する方針。

《構造スリット》
地震の揺れで建物破損しないよう、柱と壁、壁と床などを構造的に切離すため2cm〜5cm程度の隙間を設ける。

クッションの役割を果たす緩衝材として発泡ポリエチレンなどを注入する事もある。

1995年の阪神大震災で、揺れにより柱と壁が衝突して建物破損を引起こすケースが多発した。

日本建築センターは震災後、再発を防ぐため構造スリットを推奨し、鉄筋コンクリート造の建築物で採用されている。

ただ、2011年の東日本大震災では、被害を受けたマンションの施工問題が発覚したケースもあった。

【2019年7月12日】
分譲マンション、空き家問題
分譲マンションにも空き家問題が深刻になり、管理組合が対応に苦悩している。

住民の高齢化や理事会役員のなり手不足で機能不全に陥る管理組合も現れ始めた。

国土交通省は外部の専門家を登用するよう推進しているが費用負担などから進んでおらず、区分所有者の意識が乏しい事も背景にある。

管理費等の滞納などがある高齢者の区分所有者が亡くなると、さらに対応や問題がこじれる。

相続した親族などの相続人がいれば滞納している管理費等の支払義務が発生するが、価値が低い古いマンションなど相続放棄されるとその住戸の所有者は最終的に国庫に入る事になる。

そうなる前に管理組合は住戸を差押え競売にかけ売却額から未収金を回収する事になるが、その手続きでさえ総会の決議を得なければならない。

国土交通省によると、相続放棄などで所有者不明の住戸があるマンションは全体の14%で、このうち築40年以上が29%を占める。

マンションで空き家が増えると管理費・修繕積立金が収納率が低下し、収支が赤字になり修繕工事も実施できなくなる。

さらに区分所有者の高齢化で理事会役員のなり手も不足しており、管理組合の運営に支障をきたしている。

国土交通省は2016年、管理組合のルールとなる標準管理規約を改訂し、外部の専門家を理事長や監事に活用できるようにした。

通常は区分所有者以外の第三者は理事会役員に就任できないが、法改正があり役員不足ならマンション管理士・弁護士・司法書士などの専門家に依頼する事もできる。

ただ、専門家を登用する管理組合は小数派で、国土交通省の調査では専門家に依頼した管理組合は3%程度しかない。

外部登用が進まない理由の一つは費用で、マンション管理士などが役員就任すれば月額3万円〜11万円の報酬が発生する。

東京都は専門家を1回2万円程度で派遣しており、利用する管理組合もあるが、依頼するのはマンション管理に積極的な管理組合が多い。

空き家が増える管理不能のマンション管理組合ほど依頼は少ないとみる。

さらに外国人投資家や民泊の増加によるマンション問題も発生している。

国土交通省の調査では、現在のマンションに永住するつもりと考えている居住者は62.8%と、2013年の52.4%から上昇している。

さらに修繕積立金が不足している管理組合は34.8%もある。

老朽化が進むマンションに加え、区分所有者も高齢化となり問題解決能力の低下も進む。

空き家が増え管理費・修繕積立金が不足し著しい建物が老朽化が目立てば資産価値も低下し売却する事もできなくなる。

管理組合は幅広い事案を解決しなければならず、問題放置すればマンション自体が瀕死の状態に陥る事になる。

【2019年7月12日】
レオパレス21、消防設備不備
レオパレス21は、アパート施工不良問題からさらに消防設備不備も発覚し、消防法または火災予防条例の規定に違反する可能性がある。

天井裏に延焼を防ぐ部材が未施工や外壁不備があるアパートで、消火栓設置義務などに違反している物件が見つかった。

一定面積以上のアパートには消火栓や自動火災報知機などを設置する義務がある。

今後、違反するアパートには消火栓や火災報知機を設置していく。

【2019年7月13日】
マンション再生の必要性
建物は時が経てば構造体や設備などが劣化し時代にそぐわないものになる事もある。

日本最初の超高層ビルの霞が関ビルディングは築50年程度だが、過去に3度の大規模修繕工事を実施しておりいまだ現役で稼働している。

鉄筋コンクリート造等の建築物はオフィスビルであれマンションであれ躯体自体は基本的に同じで、マンションも12年周期で大規模修繕工事を実施する事が望ましい。

ただ、管理組合が主体する分譲マンションはきちんと管理されていない物件も見られ、しかも築年数が経過している物件ほど増えている。

2019年時点で644万戸のマンションがあり、その1割の64万戸(総戸数50戸とすると12万8000棟)が築40年を超えている。

2039年では844万戸の4割の337万戸(総戸数50戸とすると67万4000棟)が築40年を超え、マンション管理への重要性は増すばかりである。

分譲マンションの管理不全は建物の築古になれば管理費や修繕積立金が増加傾向するに対し、居住者の高齢化や空き家などで未払いや不払いも増加する事にある。

都市部の自治体ではマンション管理状況について届出制度を作り実態把握を始めたり、管理組合の認証制度を作り事も検討している。

国土交通省もマンション管理適正化法改正を検討する。

一方、居住者の財産と捉えマンション管理に対し積極的に活動する管理組合もある。

マンション建物は複数人の区分所有者が集まる集合住宅で、物事を決定するには理事会や総会でひとつひとつ決議する必要がある。

委託する管理会社任せにせず、マンション管理士など専門家に相談する管理組合も増えている。

マンション劣化はその建物だけでなく近隣環境をも悪化させる。

分譲マンションを購入すれば、地域に対しての責任感も付帯している事を自覚する必要がある。

【2019年7月16日】
レオパレス21、施工不良改修工事遅滞
レオパレス21の施工不良アパートについて国土交通省は、2019年夏前の完了を指示していた物件の改修工事が遅れている事を受けて、遅延理由と改修方針を報告するよう指示した。

国土交通省は施工不良は1万9000棟で見つかり、1万3400棟について夏前の工事完了を指示していたが、2019年6月時点で改修工事済は837棟に止まっている。

さらに6000棟に新たな設備不備が確認され10月までに工事完了を指示したが、改修済は2棟だけで5割は調査が終わっていない。

施工不良物件は、天井部に延焼を防ぐ部材が未設置や外壁不適切が発覚し建築基準法違反と見られる。

さらに7月には消火栓など消防法違反とみられる物件も複数棟で発覚した。

【2019年7月17日】
賃貸アパート修繕費の経費
賃貸アパートも築年数が経てば修繕工事を実施します。

その時の修繕費用はアパート経営の経費として扱えるかどうかです。

アパートであれ土地であれ不動産を賃貸し賃料収入があれば不動産所得として確定申告します。

その不動産事業で使う建物などの固定資産は、通常の維持管理や破損修繕などで費用が発生し、その年の必要経費となる修繕費を課税所得の収入から差引けます。

ただ、修繕費に該当しない費用は下記になります。

@:建物改造などのうち、資産価値を高めたり使用可能期間の延長する分。
A:建物の用途変更のための模様替えや改造。
B:設備部品を高性能のものに取替え。

建物のバリューアップ工事などのこれらは資本的支出であり、修繕費として適用できません。

資本的支出になった場合に必要経費になるのは、掛かった費用の全額ではなく、耐用年数などで決まる減価償却費の部分にあたります。

ただ、固定資産の修理などの費用が修繕費なのか資本的支出にあたるのか判断は難しいです。

そこで該当が明らかでない場合、一定額までは修繕費として必要経費に算入する事が認められます。

支出額が60万円未満か、取得価額の10%相当額以下なら修繕費として必要経費にできます。

【2019年7月17日】
投資用マンション賃料下落
2019年6月の投資用分譲マンションの平均募集賃料は、首都圏が1uあたり2916円と下落した。

都県全体では上昇傾向だが、賃料水準の高い東京都心部の物件が縮小した事が要因。

東京都は3484円、東京23区は3649円と共に微増だった。

【2019年7月18日】
首都圏、新築マンション高騰で低迷
2019年1月〜6月の上半期の首都圏の新築マンション発売戸数は1万3436戸と減少した。

バブル崩壊後の1992年の1万959戸以来の低水準となり、価格高騰で消費者の新築マンション離れが進んみ、さらに消費税増税前の駆け込み需要も見られなかった。

新築マンション販売不振を受けて在庫は積増し、6月時点の在庫は7438戸と、2018年6月比で1070戸増加した。

発売から完売までにかかる期間は2013年は7ヶ月〜8ヶ月だったが、2018年は1年超と長期化している。

販売中物件のうち竣工から半年以上の物件割合は26%と高水準に近づく。

販売不振のなか2019年の新築マンション価格は平均で6137万円と上昇している。

都心部を中心に不動産価格が上昇している他、駅近など好立地のマンション開発が相次いだ事が理由。

ただ、消費者の購買価格から乖離する高価格のため、契約率は66.5%と目安の7割を下回る。

一方、中古マンション人気が高まっている。

首都圏の成約件数は2018年に新築マンションを上回っており、立地や規模の優れた築浅の物件が中古市場に出回っている。

【2019年7月19日】
近畿圏、新築マンション発売低迷
2019年1月〜6月の上半期の近畿圏の新築マンション発売戸数は7514戸と減少した。

住宅ローン減税措置など政府の住宅購入支援策の充実により消費税増税前の駆け込み需要も見られない。

平均契約率は74.0%と低下した。

【2019年7月19日】
マンション保険高騰
東京海上日動火災保険と三井住友海上火災保険は、2021年に設備破損や水漏れなどが多発する分譲マンションの保険料を4割〜5割高くする。

保険金の支払頻度を保険料に反映させる制度を導入させるためで、利用頻度の少ない物件は保険料を2割安くする。

修繕積立金不足などで建物設備の管理状況が悪ければ保険料が上昇し、管理費の値上げにつながる可能性もある。

マンション保険は分譲マンション管理組合が一括加入し、共用部分の損害を補償する。

共用箇所からの水漏れや火災、設備破損など幅広く調査費や修理費等を支払う。

マンション保険は10万棟あるとされるほとんどの分譲マンションが加入する。

東京海上日動火災保険、損保ジャパン日本興亜、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の4社は2019年10月にマンション保険を再度、値上げする。

東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険は2021年から保険金支払状況で保険料を調整する制度を導入する。

保険金支払がない物件の保険料を安くする制度はあったが、建物設備の破損などが多発する物件で高くする制度は初の試み。

この制度は保険料を過去2年の保険金支払状況を基に算定する仕組み。

総戸数100戸のマンションで10件の保険金支払があれば、保険料を25%上乗せ、15件超は50%引上げるが、逆に2件以下なら2割以上引下げる。

これでいくとタワーマンションなど大規模マンションの保険料差は年間100万円規模になる。

引上対象のマンションは全国区で数千棟が対象になる見込み。

マンション保険料は1住戸あたり換算で、上がる場合と下がる場合で年4000円〜6000円程度の差が付き、最終的に区分所有者の管理費に反映され、負担増になる。

背景には築10年を超えるマンションが増えている事にあり、国土交通省によると、2007年の供給戸数は2018年の2倍にあたる22万戸に上る。

大規模修繕工事を実施できないマンションは配管破損や外壁劣化による漏水などが多発する。

損害保険会社では5年で水漏れに伴う保険金支払は3割、破損は5割増加し、マンション保険の損益は大幅赤字となっている。

漏水事故は大規模修繕工事を実施できない管理不全のマンションに偏っている。

【2019年7月20日】
単身女性向け分譲マンション
マンション開発のプレサンスコーポレーションは、新たな顧客層として単身女性を開拓する。

近年、社会進出し経済力のある30代〜40代の女性がマンションを購入するケースが増えている。

従来は若年ファミリー層が中心だが、経済力がある働く女性が増加し成長分野と位置付ける。

30u〜40uの住戸の玄関やキッチンを再現した単身女性向け分譲マンション専用のモデルルームを名古屋市内に設けた。

都心部物件に人気があり、転勤や結婚などでマンションが不要になっても賃貸用として底堅い需要があると考える女性が多い。

名古屋市は2027年にリニア中央新幹線が開通予定で、値上がり益を期待する需要もある。

今後は大阪市内でも同様のモデルルームを設置する予定。

【2019年7月23日】
賃貸不動産管理システム化
ビットフライヤーブロックチェーンと住友商事は、不動産管理事業で協業する。

インターネット上で取引履歴が記録されるブロックチェーン(分散型台帳)技術を用い、不動産取引の基盤を共同で開発。

住宅の賃貸契約を電子化した上で、物件見学から申込、審査、契約までネット上で行えるようにする。

【2019年7月24日】
神戸市、マンション管理組合認証
神戸市が分譲マンションの管理組合の機能をチェックする仕組みを策定する。

神戸市マンション管理支援制度検討会では、神戸市がマンション管理状況を審査し優良物件を認証する制度の導入で、2021年度に条例を施行する予定。

長期修繕計画の内容や修繕積立金の積立状況などマンション管理状況に関する神戸市への届出制度を決め、届出内容を基に優良物件が選別する。

認証では届出書類だけでなく、管理組合など理事会や居住者などの面談も検討し、届出項目として管理規約、区分所有者名簿、決算書の有無も対象となる。

神戸市マンション管理支援制度検討会は、弁護士、大学教授、全日本不動産協会らで構成する。

マンション管理組合団体からは、全体的に役員なり手不足、長期修繕計画が不整合、修繕積立金不足などが問題となっていると言う。

兵庫県不動産鑑定士協会は、管理状態は資産価値に本来は反映されるが、調査段階では見極めるのは難しく、認証があれば指標となりうると言う。

住宅金融支援機構では、修繕積立金不足の管理組合に資金融資を実施している。

マンションの資産価値が上がれば地域の魅力も増し、神戸市にとっても固定資産税の収入が増えるメリットがある。

マンション管理不全防止についての届出制度は、2013年に東京都豊島区が条例を施行し管理状況報告を義務化した。

東京都もそれに沿って2020年4月に条例を施行し、築年数が古い物件の管理組合に運営状況などの届出を義務付ける。

神戸市は届出と優良管理認証を合せた制度を構築する。

【2019年7月25日】
中古マンション価格下落
2019年6月の中古マンション平均希望売出価格は70u(21坪)換算で、首都圏は3672万円(174万円/坪)で下落した。

価格水準が高い東京都で下落幅が大きくなり、全体を押下げている。

東京都は4898万円(233万円/坪)、東京23区は5459万円(259万円/坪)と下落し、都心部物件が減少したのが響いている。

神奈川県は2909万円(138万円/坪)で上がり、横浜市が上昇傾向にある。

【2019年7月25日】
電通社員、賃貸物件で詐欺
特殊詐欺事件の関係者に対し、タワーマンションの住戸を賃貸借契約する際に名義貸しを行ったとして電通の社員が詐欺容疑で書類送検された。

社会的信用がなく賃貸借契約が締結できない人に対し、名義貸しを仲介するグループから数万円の報酬を受取っていたとみる。

【2019年7月25日】
神戸・垂水駅前タワーマンション
野村不動産は神戸市から都市計画決定を受け、JR・山陽電鉄の垂水駅北側の市街地再開発事業で30階建てのタワーマンションを建設する。

地権者の再開発事業に野村不動産が参画し2024年度に完成予定。

神戸市は三宮など中心地でのタワーマンション建設規制を表明したが、垂水駅周辺は対象外。

延べ床面積4万uのビルの中高層部分が住居層、低層部分が商業施設になる。

住戸は総戸数270戸で3LDKが中心となり、80人の地権者の一部も入居する。

当初計画では25階建てで事業費118億円だったが、30階建てに変更した。

垂水駅は東側と西側の再開発は2002年に完成したが、北側は遅れていた。

【2019年7月27日】
マンション管理組合、修繕積立金不足
日本に建つ654万戸の分譲マンションの管理組合の3割近くが、大規模修繕工事に備える修繕積立金不足が露呈した。

国土交通省の調査で表面化され、他の管理組合も建物老朽化に伴う修繕に不安を抱える。

修繕積立金不足について不明と回答した管理組合を含めると6割近くになる。

さらに修繕工事費も人手不足や建材高騰により値上げが目立つ。

東京五輪後には工事費が値下がるとの思惑から修繕工事を先送りにする管理組合もある。

ただ、高齢化社会の中で人手不足は解消されないため工事費が下がる要因は薄く、修繕積立金に余裕のある管理組合も工事費用高騰での対応は出来ていない。

修繕積立金の算定方法にも問題がある。

新築当時は建物修繕箇所は少なく、数年間は事業主のアフターサービスがあるため建物不具合が起こっても費用はあまり掛からないため修繕積立金は低く抑えている。

近年の新築マンションでは、5年経過してから段階的に増やす段階増額式を採用している物件が多く見られる。

以前は長期間一定金額の均一積立式が主流だったが、新築マンション価格高騰に伴い不動産会社は、買手の当初の負担感を和らげるため修繕積立金を低く明示できる段階増額式か一時金徴収式を採用する。

国土交通省の調査では2010年以降に竣工した新築マンションの68%が段階増額式を採用している。

たとえ少額の修繕積立金値上げでも管理組合が結成されれば、その都度、総会の決議にて諮る必要がある。

長期修繕計画などから不足する恐れがあるため、総会で修繕積立金値上げを決議しても否決される事が多い。

修繕積立金不足を解消するには今後の建物修繕箇所を明確にして長期修繕計画を作成し不足金額を明確にする事から始まる。

段階増額式は総会決議が必要な上、年数が経つにつれ区分所有者も高齢化し、年金収入だけでは修繕積立金値上げに耐えられない。

建物と居住者の高齢化の悪循環から修繕積立金不足などから建物修繕できず管理不全に陥る。

老朽化マンションは相続などから空き家が増加し、竣工1979年以前のマンションの7割近くが空き住戸を抱える。

住んでいない区分所有者に対し修繕積立金値上げを説得してもらうのは容易ではない。

管理不全問題が表明化する前から、居住するしない関わらず区分所有者などに管理組合の活動に積極的に参加してもらい、建物維持保全について認識してもらうよう交流や情報提供を実施する事が大切である。

【2019年7月27日】
8月
レオパレス21、改修工事完了延期
レオパレス21は、施工不良問題でアパート改修工事について、2019年夏までに工事完了する予定だったが、2020年6月までずれ込み見通し。

全棟調査により次々と発覚する施工不良により改修工事が増加した他、居住者やアパート所有者との工事工程の調整が難航している。

レオパレス21が施工した3万9085棟すべてで不備を調査。

調査自体も2019年6月までに終える予定が10月までにと遅れている。

【2019年8月1日】
レオパレス21、居住者の立退義務
レオパレス21の不良施工問題で、問題物件の居住者の立退義務はあるのか。

施工不良の不安はあるもののアパートでの生活は居心地が良く、そのまま住み続ける事ができるのか。

施工不良問題は別にして、通常、アパートを借りて住むと貸主と借主が賃貸借契約を締結します。

この賃貸借契約には、一般的な借家契約と定期借家契約があります。

一般的な借家契約は契約期間が2年程度と定められているものの、更新期日になってもお互い解約する意思がなければ自動更新し、今まで通り住み続ける事ができます。

また、借主は期日前でも1ヶ月前に退去通知を貸主に提出すれば賃貸借契約は解除できますが、貸主から借主に対し退去通知する際は、正当の事由があると認められる場合に限ります。

一方、定期借家契約は期限が定められその期日が来たら借主は無条件で退去しなくてはなりません。

今回、レオパレス21の不良施工問題では、建物に生命に関わる重大な瑕疵があると認められる可能性があるため、レオパレス21経由で貸主から退去通知が来たら、基本的には拒む事はできず退去しなければならないでしょう。

その際、退去に関わる費用は当然に貸主負担となります。

新たな住居を借りる際の敷金と賃料を除く礼金、仲介手数料など諸費用、引越費用、住居移転に伴うその他の負担金などです。

レオパレス21の問題物件は建築基準法などに適合していないため、そのまま住続ければ火災や震災などで通常以上の被害を被る可能性があるため、いくら気に入っているからといっても住み続ける事はリスクがあります。

【2019年8月2日】
管理不全マンション、敷地売却
国土交通省は老朽マンション建替促進のため、敷地売却のルールを緩和する方針。

現在は耐震性不足が認定された場合のみ特別決議の区分所有者4/5以上の賛成で売却可能だが、外壁や配管などが劣化した危険な物件も対象に加える。

管理不全マンションを放置して居住者や周辺に被害が及ばないように管理組合で自主的に再生しやすくする。

敷地売却制度は敷地を不動産会社などに売却し、区分所有者はその代金で建替マンションに再入居するか、別の住宅に引越しする仕組み。

国土交通省は適用できる建物の対象を広げ、耐震性に問題が無くても躯体や外壁、配管といった建物設備の劣化や、マンション管理不備などを加味する方針。

建替えに反対する区分所有者を念頭に、建物の危険性などに客観性のある基準にする事を検討する。

国土交通省は適用対象拡大により、1981年6月以降に建てられた新耐震基準の建物の老朽化に対応させる考え。

新耐震基準でも築40年超となる建物は、3年後の2022年に25万戸、18年後の2037年に250万戸に達する。

耐震性だけを基準とした現行制度では、老朽化を理由とした再生に対応できない。

国土交通省のマンション所有者向け調査では、1970年〜1974年に竣工した建物では2割の区分所有者が建替が必要と回答し、1975年〜1979年でも1割超が認識している。

古い建物でも周期的な修繕や改修で対応するとする区分所有者も多いが、築年数が加算するほど建替が必要と認識する区分所有者も増える。

老朽化マンション側の備えを把握するため、地方自治体がマンション管理状況を把握する制度も作り、一部の自治体で挿入が進む届出制度もある。

2020年4月に始める東京都の制度では、1983年以前に竣工した建物を対象に管理組合の運営体制や修繕積立金の額といった項目の報告を求める。

届出により備えが不十分な懸念があるマンション管理組合を事前に把握できる他、届出すら無い場合はより危険性が高いと判断する材料にもなる。

マンション管理組合に指導や助言ができる権限を与える事も視野に入れる。

国土交通省は2020年に関連法の改正案提出を目指す。

改正マンション建替円滑化法が2014年に成立したが、区分所有者の意見集約が難しく建替は進んでいない。

2018年4月時点で累計2万戸に届かない水準。

管理組合は築古建物の増加や居住者の高齢化を背景に合意形成の負担が重くなる。

分譲マンションは2017年時点で644万戸あり、1500万人が居住している。

築40年超の建物は20年後の2039年に5倍の352万戸に増える見込み。

【2019年8月3日】
大阪・堺筋に多い民泊施設
訪日客が大阪の地下鉄堺筋線沿いに集まっている。

モバイルの基地局やクレジットカードなどの利用履歴などのデータから判明した。

大阪市内の国家戦略特区で認定された民泊施設は、浪速区が471件、中央区が455件、西成区が429件となり、さらなる詳細は、中央区島之内が103件、中央区日本橋が80件、西成区天下茶屋が75件、浪速区恵美須西が69件と順位が続く。

民泊施設の上位が地下鉄堺筋線に集中している事が分かり、沿線には、キタから天神橋筋商店街、長堀橋(心斎橋)、日本橋(黒門市場)、新世界(通天閣)、天下茶屋など観光地が点在し、京都や関西国際空港にも連絡しやすい。

御堂筋線などに比べ再開発の乏しさや不動産価値の低さが幸いし、格安で民泊施設が設ける事ができた。

【2019年8月7日】
東京五輪選手村のマンション
三井不動産などは、東京五輪選手村を再利用する分譲マンションのHARUMI FLAG(ハルミフラッグ)の第1期分譲の供給戸数600戸に対し2.57倍の1543組の応募があったと発表した。

14階建て最高階の販売価格1億960万円の住戸は倍率71倍だった。

【2019年8月8日】
レオパレス21、新たに施工不良発覚
レオパレス21は、過去に施工したアパートで新たに2450棟の物件で発覚した。

レオパレス21が施工した3万9085棟のうち、施工不良物件は2万2139棟まで拡大した。

【2019年8月9日】
レオパレス21、赤字拡大
施工不良問題のレオパレス21が赤字拡大する。

入居率低下などで主力の賃貸事業が振るわず、施工不良アパートの補修工事費用も膨らむ。

2019年7月の入居率は80.7%で、前年同月比で10ポイント低下した6月の81.4%から低下が拡大。

レオパレス21の賃貸事業はサブリース方式で、物件オーナーに一定賃料を保証し、入居者から家賃収入を受取る仕組みで、入居率が80%を下回ると収支がマイナスとなる逆ザヤになる。

現在も施工不良物件は解明されておらず、7月時点は2万2139棟と6月から2000棟超増えている。

物件調査もレオパレス21が施工した3万9085棟のうち8割程度しか完了しておらず、新たに施工不良物件が発覚すればさらなる追加工事と費用が必要となる。

調査がすべて解明し、補修工事が完了する時期は見通せてない。

【2019年8月10日】
賃貸住宅の転貸借規制へ
国土交通省は、賃貸住宅などのサブリース(転貸借契約)の事業者に法規制導入の検討をする。

国への登録義務化、将来の家賃収入などについて顧客への説明を必須にする。

サブリース(転貸借契約)では約束した賃料が顧客に支払われないなどのトラブルが発生している。

悪質業者排除に向けて2020年以降に新法制定を目指す。

サブリース(転貸借契約)はアパートなどの所有者から建物を一括借上げし、長期間に渡り入居者にまた貸出すビジネス。

事業者が入居者の募集から建物の維持管理、家賃収納までを担う。

アパートなどの所有者が少ない負担で収入を得られるが、契約反故などでトラブルも発生している。

安定した家賃収入を保証すると勧誘し、多額融資を受けてアパート建設し、数年後に家賃減額やサブリース(転貸借契約)解除などのトラブルが発生している。

そうなれば借入金返済が滞り、金融機関がアパート所有者の担保不動産を差押さえる事態にもなりかねない。

サブリース(転貸借契約)問題でシェアハウスのかぼちゃの馬車を運営していた不動産会社が破綻し、スルガ銀行の多額の不正融資も発覚。

サブリース(転貸借契約)を規制する法律はなく、国土交通省は事業者に登録を義務付ける新法を検討する。

現在、賃貸住宅の管理業者に登録制度があるが登録は任意。

全国3万社とされる賃貸管理事業者のうち、登録は4000社程度にとどまる。

サブリース(転貸借契約)の登録事業者は遵守するルールを設け、将来的に渡り賃料の変動について顧客に説明するなど書面を交付する事を求める。

一定年数以上の実務経験を持つ人材や住宅管理の有資格者の配置の他、入居者から預かった賃料を登録事業者の財産と分けて管理する事も義務付ける。

違反した場合の処分や罰金などの規定も設ける。

《サブリース(転貸借契約)》
建物の所有者からアパートなどの賃貸住宅を一括借上げ、入居者に転貸する事業。

所有者は一定期間、一定額賃料の収入が保証され、家賃収納業務なども業者に任せて負担を減らせる。

国土交通省が設けている任意の登録制度上は賃貸住宅管理業の一形態とされる。

管理戸数は任意登録業者の分だけで全国300万戸で、民間の借家の2割を占める。

アパートなどの建設や土地購入に掛かる費用は所有者が金融機関からの借入などで賄う。

家賃収入が保証されるとはいえ、保証は数十年間に及ぶ借入金の返済期間中を保証するものではない。

業者とのサブリース(転貸借契約)は通常、賃料保証は当初10年間などに限られ、それ以降は数年ごとに賃料を見直す条項が盛込まれている。

年収数百万円のサラリーマンが1億円以上の借入しアパート経営する例もあり、所有者が予想していない家賃減額を迫られ、金融機関への返済が行き詰る問題が多発している。

【2019年8月11日】
シニア向け賃貸マンション拡大
旭化成は、60歳以上のシニア向け賃貸マンションを拡大する。

介護が必要ない高齢者向けに専門相談員が健康状態をチェックし、見守り機能も備える専用マンションで、首都圏を中心に建設する。

旭化成の住宅事業会社の旭化成ホームズがへーベルヴィレッジの名称でシニア向け賃貸マンション事業を手掛けている。

300u(90坪)〜500u(151坪)の土地の所有者が東京都や神奈川県で建設したシニア向け賃貸マンションを旭化成ホームズが借上げ入居者募集や施設運営管理を請負う。

へーベルヴィレッジは、社会福祉士が月1回、入居者を訪ねて健康状態確認や生活指導を行い、部屋には急病時に警備会社に通報する機器を設置する。

施設内はつまづき防止の手摺を配置するなどバリアフリー設備にし、地域の医療機関と連携し健康促進イベントも紹介する。

1部屋あたりの面積は45u〜70uで、賃料は月額15万円〜20万円で、通常の賃貸マンション相場より15%程度高い。

現状のへーベルヴィレッジの入居率は95%と空室の少なさを土地所有者にアピールする。

旭化成ホームズはサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)にも参入し、シニア向け賃貸マンションの入居者に介護が必要になったら紹介できるようにする。

旭化成ホームズの調査では、65歳以上の高齢者の単身や夫婦2人暮らしの世帯数は2035年に171万人と2010年比で5割増える見通しで、高齢者の8割は介護が不要とされる。

【2019年8月16日】
首都圏、投資用マンション減少
2019年1月〜6月(上期)に首都圏で供給された投資用マンションは3196戸、物件棟数は71物件と共に減少し、平均価格は3047万円と下がった。

ホテルやオフィスとの用地取得競争が激化している事が影響し、2019年の供給戸数は7000戸を下回る見込み。

2018年の供給戸数は7816戸と前年比増加だった。

東京都心や単身者に人気エリアの羽田空港周辺での物件が減少している。

【2019年8月16日】
投資用マンション賃料高水準
2019年7月の投資用マンションの平均募集賃料は、首都圏が1uあたり2933円と上昇している。

2009年2月以降では最高水準。

【2019年8月16日】
レオパレス21に居住中
レオパレス21の施工不良アパートに居住中の場合、どのように対応すればよいのか。

レオパレス21の建物不具合問題では様々な原因があり、どの様な不具合かによって大まかに下記の対応に分かれます。

@:耐火性能未基準
天井の施工不良で耐火性能が建築基準法で定められている基準に達していない場合、賃借人は住替えする事になります。

補償は実費損失方式などにより一般的に下記の通りです。

・転居先住居の賃貸借による礼金。
・契約による仲介手数料。
・新居の諸費用。
・引越費用。
・立退料。
・損害賠償金。
※新居の敷金(戻金)や家賃、火災保険料は一般的に請求できません。

A:天井裏の界壁未設置
各住戸の天井裏の界壁の未設置は耐火性能が低いとまでは言えないため、補償が変わってきます。

ただ界壁未設置の場合、火災時に隣住戸に燃え移る速度が速くなり耐火性能が低いため、賃借人の住替えは必要となり上記の様な補償請求は可能とも言えます。

B:未認定の建材使用
界壁内部の充填材や外壁建材など国土交通大臣認定等の未認定な建材使用は、建築基準法違反とまではいかず建物構造的には緊急性を要しません。

住替えが必要な補修工事を実施する場合は、当然に補償請求は可能と言えます。

賃借人が住みながらにして補修工事が実施できる場合は、転居費用は請求できないとみられます。

C:施工不良アパートに居住
どの様な不具合であれ施工不良アパートに居住していれば、日々の生活を送るなかでそれなりの不安が募ります。

安心して暮らせる住宅に引越したいと感じれば、精神的苦痛という点で補償請求できる場合もあります。

【2019年8月16日】
首都圏、新築マンション価格上昇
2019年1月〜6月(上期)の首都圏の新築マンション発売価格の中央値は5399万円、都心部の高級マンションが増えて価格上昇した。

下期も都心部や湾岸のタワーマンションが発売されるため価格は上昇傾向にある。

中央値は価格や面積を順番に並べた際に中央となる値で、平均値と比べ面積が広く高価格帯の住戸の影響は受けにくい。

専有面積の中央値は70uで縮小傾向にあり、デベロッパーが価格抑制するため住戸を狭くしている。

東京五輪の選手村を活用する大型マンションのHARUMI FLAG(ハルミフラッグ)も販売され、平均専有面積は80uとやや広め。

【2019年8月17日】
分譲マンションで家具リース
日鉄興和不動産は、分譲マンションの購入者サービスとして定額料金を支払って家具を借りるサブスクリプションを導入する。

世帯や間取りを考慮したコーディネートパッケージを用意する。

購入者は割安に利用でき、家具費用を抑える事もできる。

【2019年8月17日】
マンション設備不備を処罰
東京都千代田区はゴミ置場や駐輪場などの設備を備えていない新築マンションを規制する条例を制定する。

悪意のある事業者には懲役刑を科す内容も盛り込む予定。

地価上昇で開発建築費が上昇するため、住民生活に不可欠な設備を省いてコスト削減を図る物件が増加傾向にある。

対象は千代田区内の分譲と賃貸の新築マンションで、マンション管理の適正化を推進する条例案で、事業者に計画段階での千代田区との協議に求める条項を設ける。

協議でゴミ置場や駐輪場などの設置を確かめ、防音や防臭の構造や、緊急連絡先などの表示板の有無も確認する。

協議は建築確認申請前に実施し、生活設備を持たないマンションの建設を未然に防ぎ、指示に従わない悪意事業者の代表者に懲役を科す。

千代田区住民の9割がマンションに居住している。

首都圏の新築マンション平均価格は2019年上半期で6137万円とここ数年は増加傾向で、価格を抑えるため生活設備を省くマンションも目立つ。

【2019年8月18日】
マンション管理効率化システム
不動産分野を手掛ける東京都渋谷区のアクセルラボは、マンションなど物件管理会社を対象に業務効率化支援サービスを始める。

契約書をオンラインで作る機能や居住者への生活情報の提供などをまとめて提供する。

サービス名はスペースコアで、契約書のオンライン作成機能や外国人入居者とのやり取りに使える翻訳チャットを採用、管理業務の円滑化を図る。

【2019年8月19日】
老朽化団地の建替促進
国土交通省は、1つの敷地に複数の棟で構成する団地型の分譲マンションの老朽化対応のため、敷地を分割して売却しやすくする制度を検討する。

現在は、1棟だけの敷地と建物を売却する際も、団地の区分所有者全員の同意が必要だが、この要件を緩和する。

跡地を再開発し団地や周辺の魅力を高めるなどの再生手法を模索する。

空き家の区分所有者は売却しやすくする。

国土交通省の調査では、1つの敷地に2棟以上が建ち、50戸以上ある団地は全国に5000ヶ所程度あり、築45年超の団地は2015年で291団地と全体の6割程度、2035年には2769団地と10倍に膨らむ。

居住者の高齢化が進むなか、建物の老朽化でバリアフリー化も遅れているため団地再生は急務。

ただ、団地全棟を一括建替する場合、総会で団地区分所有者の4/5以上、かつ、各棟区分所有者の2/3以上の賛成が必要。

建替の合意形成が難しく進まないのが現状のうえ、1部の敷地を分割し売却するには棟の区分所有者だけでなく、団地の区分所有者全員の同意が必要となる。

このため国土交通省は団地再生の新たな手法として、敷地の一部を売却しやすくする。

このため要件を緩和した制度を検討する。

一部の棟を建替える場合は、総会で団地区分所有者の3/4以上、かつ、建替棟の区分所有者の4/5以上の賛成が必要という条件を参考にする。

敷地の一部を売却できれば、団地再生の選択肢は増える。

老朽化する一部の敷地と建物を売却し、跡地を商業施設や保育施設に転用できれば子育て世帯の増加につながる。

バリアフリーなど高齢者が暮らしやすい集合住宅を跡地に建てれば、団地内の高齢者が移り住む事もできる。

親などか住戸を相続し空き家のまま放置している相続人も売却の動機になりうる。

新制度は耐震性不足や老朽化による危険性がある建物を対象とし、管理組合とは別に区分所有者が構成する建替団地組合などが売却する。

一部の棟の居住者が団地全体の意向に沿わない再開発を抑制するため団地再生の区分所有者全員の共有化も盛り込む。

ただ、新制度が制定されても3/4以上の特別決議は建替等は容易に進まない水準。

これ以上の緩和も検討するが、個人の住戸所有という財産権の侵害にあたる。

連絡のつかない空き家の区分所有者などの意向などのみなし同意も含めてさらなる検討の余地がある。

【2019年8月19日】
首都圏、マンション発売減少
新築マンション発売の不振が目立ってきた。

2019年7月の首都圏のマンション発売戸数は1932戸と減少しており、7月の発売戸数が2000戸を下回るのは1976年の1571戸以来ぶり。

物件価格の高止まりで購入検討者が減り、不動産会社も売出戸数を減らしている。

1住戸あたりの価格は5676万円と前月比8%減少した。

地域別の発売戸数で高単価の東京都区部が922戸と3割近く減少した事が主因と、販売不振の不動産会社が新築マンション価格を引き下げている事が影響している。

発売した月に物件が売れた割合の契約率は68%と好不調目安の70%を下回っている。

いまだ高価格のため今後も販売不振は継続するとみられ、2019年10月の消費税増税の駆け込み需要もほぼ無い。

2019年7月の販売在庫戸数は7115戸と前年同月比で853戸も積上がり、累計発売戸数も1万5368戸に止まっている。

2020年の東京五輪の選手村のマンションを活用する東京都中央区のHARUMI FLAG(ハルミフラッグ)の第1期第1次の600戸の販売が始まり、ほぼ完売と好調の物件もある。

秋には豊洲など大型物件の発売を始まり、新築マンション販売の動向が明確になる。

【2019年8月20日】
近畿圏、マンション発売増加
2019年7月の近畿圏のマンション発売戸数は1788戸と増加している。

大阪市内でタワーマンションなどが売出され、低金利が続き消費者からの需要は高く、契約率は83.1%と好調を維持している。

大阪市内が970戸と6割弱の増加と発売増を貢献し、値ごろ感のある堺市も404戸と人気がある。

兵庫県は204戸と4割近く減少した。

用地取得競争で地価上昇し、マンション価格も上昇している。

【2019年8月20日】
マンション建設、建築確認取消
東京都文京区の新築マンション(名称:ルサンク小石川後楽園)で、避難階段不備などで竣工直前に建築確認取消をした東京都の裁決を不服として、事業主のNIPPOと神鋼不動産が裁決取消の訴訟で最高裁判所は上告を退ける判決をした。

2015年、地元住民から審査請求を受けた東京都建築審査会が、1階の駐車場は直接地上に通じる出入口のある避難階に当たらず、避難階段もない事から条例違反とし、建築確認取消を裁決した。

建物は竣工直前に工事が止まったまま残っている。

駐車場の床面と道路への出入口の高低差などから駐車場は避難階に当たらないと判断し、事業主の請求を棄却し、東京地方裁判所での判決も棄却されていた。

【2019年8月20日】
人口減少とタワーマンション禁止
全国の都市部で建設が増加するタワーマンションだが、神戸市は2020年7月に中心部周辺の建設を禁止する規制を制定する。

神戸市内全体では人口減少が始まり、街中心部の衰退をタワーマンションではなくオフィスビルや商業施設などで発展させる考え。

神戸市の担当者が危惧したのは滋賀県野洲市に建つ美和コーポ。

地上3階建て、竣工1972年の築47年、総戸数9戸の分譲マンションが、雑草の敷地に崩壊寸前の建物が管理されず放置され建っている。

JR守山駅が最寄り駅で数年前から廃墟状態。

野洲市は行政代執行により解体する予定だが、美和コーポは管理組合が存在せず修繕積立金もゼロ。

現状、9名の区分所有者は高齢者や物故者が多く、2名は連絡がつかないという。

一般的に建物解体費用は建物所有者に請求するが、このような管理不能マンションの区分所有者から費用回収するのは容易ではない。

解体費用は1億円程度かかると見積もられ、敷地を差押さえたとしても税金投入は避けられない。

神戸市は人口減少や分譲マンション管理の難しさを踏まえタワーマンション規制を2020年7月より制定する。

神戸市中心部のJR三ノ宮駅周辺の22.6haでの建設は原則禁止、新神戸駅やJR神戸駅などの292haは住宅建設の容積率は最大900%から400%に減少させ、タワーマンション建設不可能にする。

その他の地域はタワーマンション建設は容認するが、ただ、修繕積立金総額や長期修繕計画の有無など管理組合の監査を実施する。

2021年度には管理組合の運営状況や修繕積立金徴収など審査、認証する制度を作る。

1995年の阪神大震災で神戸市は管理不全に陥った分譲マンションが発生し、建替するにも合意形成が難しく長期間要した。

震災でその地域に住めなくなり区分所有者は離散し、管理組合は機能不能になった。

神戸市長も東京で生活していた時代、住んでいた東京都新宿区の分譲マンションで理事長を経験し、総会で修繕積立金増額の決議の難しさを経験した。

職住近接志向や良好な眺望などから都心部のタワーマンション人気は衰えていないが、中心部の居住増加につながっても居住者は大阪に通勤するベッドタウン化している。

神戸市西区や北区の郊外ニュータウンから中心部のタワーマンションに神戸市内移住で、事実上は人口増加につながっていない。

商業施設やオフィスなどが建設されなければ、さらなる神戸市都心部の衰退につながる。

さらに、長期的にタワーマンションが管理不全に陥れば周辺環境は劣悪になり資産価値も下落する悪影響の要素もある。

神戸市の人口は2011年がピークで、2018年には6235人減少し、全国の市町村で最大。

大阪市や京都市に比べ、神戸市以外から人を集めるほど活力がない。

タワーマンション中心の都市計画を黙認すれば、郊外ニュータウンの過疎化に加え、中心部に衰退すれば神戸市全体の存亡にかかわる事態が容易に想像できる。

神戸市ではニュータウンの世代交代を促し、子育て世帯に入居補助金を支給する他、住宅の店舗やオフィスへの改修を認めて若年層を呼び寄せる施策する。

ただ、マンション販売を手掛ける不動産会社からは、タワーマンションを締め出しても郊外に人が集まる要因にはならず、周辺都市に人が流れ税収が減れば逆効果になると分析する。

タワーマンション増加に懸念するのは札幌市も同様で、2019年度に札幌市中心部でオフィスやホテルの容積率緩和して開発誘導するが、マンションは対象外にした。

札幌市の担当者は、街のにぎわいのある大通公園周辺にマンションはふさわしくないと話す。

マンション増加した事で、大通公園周辺の商業施設で騒音苦情などマンション住民との近隣トラブルが発生するようになった。

一度、分譲マンションを建設すれば、その後、事態が急変しても管理形態や権利関係が複雑で容易に取り除くことができない事を滋賀県野洲市の美和コーポが示している。

このような事態は都市計画に置いても再開発の足かせになりかねない。

人口減少の日本で、住宅供給過剰になれば空き家増加を招くだけで、街全体の資産価値を維持するため自治体が建設規制する事は容易に理解できる。

【2019年8月22日】
自宅を一時的に民泊施設
住宅を旅行者に有料で宿泊させる民泊を一時的に活用する注意点はあるのか。

民泊は訪日客増加に伴い地方などの空き家活用として期待されています。

本来、料金を徴収する宿泊業を営むには旅館業法の規制を受け、行政の許可を得る必要があります。

旅館業法では、建物の構造や消防設備、衛生面など厳しく制限されており、一般住宅を旅館業を営む事はほぼ不可能です。

一般の住宅などで宿泊業を営む事ができるようになったのは、国家戦略特区の民泊や住宅宿泊事業法(民泊法)が制定されたからです。

民泊法の下、民泊事業者は民泊規定を遵守した施設の上で自治体に届出する営業します。

民泊施設には、家主居住型と家主不在型があります。

家主居住型は民泊事業者の自宅を民泊施設とし、宿泊者のお世話や管理を実施します。

家主不在型は民泊事業者が民泊施設の近隣に居住し管理するか、または国土交通省の登録を受けた住宅宿泊管理業者に物件管理・運営を委託します。

また、営業日数は年間180日以内に制限されて、地域によっては自治体の条令で日数制限や用途地域制限もあります。

分譲マンションの場合は、管理組合の管理規約で民泊可能と定められ、さらにゴミは事業に当たるため一般ゴミに投棄できず産業廃棄物用のゴミ置場を設置する義務もあります。

この事を踏まえて自宅を一時的な民泊施設にはハードルが高いと言えます。

【2019年8月23日】
賃貸マンションの借主リフォーム
賃貸住宅の改修可能なDIY型賃貸物件が増加しています。

ただ、一般的に賃貸借物件は貸主の建物を借主が家賃を支払って居住し、契約終了時には借りた時の状態で返すのが原則です。

その中でDIY型賃貸物件が増えているのは賃貸借住宅市場の事情があり、住戸供給過多で空き家増加や老朽化住戸の敬遠などがあります。

DIY型賃貸物件と言っても借りる際の賃貸借契約の特約は物件事情により様々で、借主は注意する必要があります。

そのため、建築家や不動産管理会社など民間団体は、安全安心な改修方法を解説したガイドラインを発表しました。

賃貸住宅の大量供給や空室リスクにより大家は何もしなくても住戸を借りてくれる時代は終わり、ニーズに合せた室内改修や設備投資をする必要があります。

ただ、借主の好みや様々で、こうした設備投資回避やニーズギャップから登場したのがDIY型賃貸物件です。

借主は内装費用を掛けてでも自ら好みの空間に仕上げる事ができ、貸主は設備費用が不要な上に住戸を借りてくれる双方メリットがあります。

ただ、お互いに良かっただけでは済まない法令や慣行の問題を解消しなくてはなりません。

建物を使用する際の法規などで、防災上では内装制限の規定があり、一定条件の基では不燃材などの建材を使用しなくてはなりません。

一般的に借主が内装を施す際にチェックできる専門家に依頼する事はまれです。

このため一般社団法人・HEAD研究会は賃貸DIYガイドラインを公表し、フローチャートで内装制限の有無を確認できるようにしています。

内装工事をする建物の種類、構造からフローチャートにしたがってチェックしていけば、どのような内装制限に抵触するのかが分かります。

また、内装制限による建材選定や施工方法も掲載しています。

貸主(大家)向けの提案書や賃貸借契約の書式例も掲載しているため、借主、貸主、賃貸仲介業者、賃貸管理会社が契約時にガイドラインを参考に取引を進めやすくしています。

【2019年8月24日】
若年層の賃貸ニーズ増加
国土交通省が住宅所有に関する調査で、賃貸住宅(借家)希望が17.8%と2009年比で2倍になり、1994年調査開始以来の最高値になった。

土地建物を所有したいは74.8%と多数派だが、2009年比で10ポイント程度低下している。

地方の不動産価格下落など資産としての位置付けが低下している事や、状況に合せて住宅を変えられる賃貸住宅やシェアに抵抗がない若年層の増加が影響している。

住宅市場も人口減少や所有する煩わしさなど時代の変化がある。

【2019年8月24日】
カジー、マンション見学代行
東京都品川区にある家事代行のカジーは、マンション販売のコスモスイニシアと提携した。

コスモスイニシアが運営するリノベーションマンションサイトのリノナビの掲載物件を内見するマンション下見サービスをカジーのスタッフがコスモスイニシアの社員に代わって下見に同行する。

カジーは7000人程度の家事代行スタッフと契約しており、空いている時間帯にマンション内見の仕事を紹介する。

コスモスイニシアも社員がマンションに出向いて立会負担を軽減できるメリットがある。

【2019年8月26日】
静岡ガスのスマートマンション
静岡ガスは、モノをネットでつなげるIoTの技術活用し、電力の世帯間融通するマンションを手掛ける。

静岡県長泉町のJR三島駅が最寄駅のシャリエ長泉グランマークス。

静岡ガスが電力融通システムを開発・運営し、12階建ての建物に全世帯に設置される家庭用燃料電池のエネファームの制御盤がIoTでつなげる。

エネファームはガスを使って発電し、その排熱で湯を沸かす装置。

マンションの電力を制御する計測器が、1分ごとに各家庭の電力使用量を計測し、住戸のエネファームの発電能力以上に電力を使い不足分は電力会社からの電力で補っている家庭があれば、電力不足の住戸に電力を送り、売電した家庭は収入を得られる仕組み。

この仕組みには電力計測のスマートメーター(次世代電力計)の登場によって可能になり、電力使用量を30分ごとに測り、通信機能で送信する。

【2019年8月27日】
京急電鉄、リノベ空き家を転貸
京急電鉄は東京都や神奈川県などの沿線にある空き家物件をリノベーションして貸出すサービスのカリアゲールを始める。

オーナーから物件を借上げて、京急電鉄が費用負担し改装して入居者に転貸借(サブリース)する。

沿線沿いの空き家対策の一環で環境や治安悪化を防ぐ狙い、住みやすい沿線を目指す。

【2019年8月27日】
UR、千里ニュータウン再生
大阪府吹田市と豊中市にまたがる千里ニュータウンの住宅団地の再生が加速する。

都市再生機構(UR)が吹田市の1100戸の千里津雲台団地の建替を計画し、他の団地も予定する。

団地を建替で高層化し、余剰土地を売却などで新たなマンションが建設され若年層の流入が続く。

千里津雲台団地は阪急の南千里駅から徒歩数分で、1964年に竣工し、【2019年8月27日】が千里ニュータウンで管理する9つの団地では最古。

広大な敷地に48棟の5階建て建物が北側と南側に配置されるが、エレベーター未設置の老朽化した建物のため高齢者対応などが出来ていない。

全体で8.8haの敷地のうち南側の3.8haに新たな建物を建設し、規模や棟数は今後詰め、2026年〜2028年頃に着工し、2028年〜2030年に完成予定。

建替後は、北側の居住者は南側に移住し、北側の5haの余剰地は民間売却か都市再生機構(UR)で再開発するか検討する。

都市再生機構(UR)は古い団地建替を進め、千里ニュータウンでは豊中市の新千里東町団地の一部で、耐震診断で補強必要となった建物を建替た。

大阪府住宅供給公社は10団地のうち吹田市の千里竹見台住宅を建替え、吹田市の千里青山台住宅(総戸数1846戸)を除く吹田市の千里桃山台団地(総戸数222戸)など8団地の建替に着手した。

東京都でも1959年に完成した西東京市と東久留米市にまたがるひばりが丘団地(総戸数2714戸)を都市再生機構(UR)が建替え、多摩市の多摩ニュータウンでは分譲団地の建替えが完了し若年層が入居している。

団地建替では、新しい団地の高層化で余剰地は民間の分譲マンションになる事が多い。

大阪府では近年の千里ニュータウンで7000戸の分譲マンション供給があり、そのうち2800戸が公的賃貸住宅の建替での余剰地に建った。

日本全国にある昔ながらのニュータウンでは高齢化が進むが、若年層の増加傾向が続くニュータウンはこうした分譲マンション建設が貢献している。

千里ニュータウンにある住宅は4万7000戸で、このうち公的賃貸住宅は2万2000戸と全体の47%、このうち1万戸が大阪府、9000戸を管理する都市再生機構(UR)。

千里ニュータウンは人口がここ10年間で1万人増加し、全体で10万人に迫り、2025年の高齢化率は25.9%まで低下する。

都市再生機構(UR)の団地建替が進めば、さらに若返りが図れる可能性がある。

《千里ニュータウン》
大阪府吹田市と豊中市にまたがる1160haの千里丘陵を宅地化し、日本初の大規模ニュータウンで、1962年に入居が始まる。

公園、緑地、道路など公共空間が4割を占め、その中に4万7000戸の住宅が12街区に配置される。

人口は1975年の12万9000人をピークに、2005年には9万人を割込んだが、2011年から増加傾向で2018年では9万9500人。

【2019年8月27日】
中古マンション価格に変調
2019年7月の中古マンションの平均売出価格は70u(21坪)換算で、首都圏は3684万円(175万円/坪)と小幅高になった。

東京都が5004万円(238万円/坪)、東京23区が5573万円(265万円/坪)と売出物件が増えた。

神奈川県や埼玉県は下落した。

近畿圏は2355万円(112万円/坪)と大阪市を中心に価格上昇が続く。

中部圏は1938万円(92万円/坪)と名古屋市を中心に伸びた。

【2019年8月29日】
関西、新築マンション好調
関西の新築マンション販売の好調が続き、契約率は8割超と好不調の目安の7割を超える。

大阪市を中心としたファミリー向けマンションが売れているが、地価上昇などに伴う販売価格高騰も続く。

高価格帯の首都圏は販売不振に陥り、近畿圏もその流れになる可能性がある。

積水ハウスは、JR福島駅近くのグランドメゾン新梅田タワーを建設中で、51階建ての総戸数871戸で大規模マンションだが販売は好調と言う。

近畿圏の2019年7月の新築マンションの契約率は83.1%で、ファミリー向けマンションの需要が旺盛で、大阪市をはじめ北摂や堺市なども好調。

首都圏の契約率67.9%とは温度差がある。

2019年10月の消費税増税に伴い住宅ローン減税が拡充され、住宅ローン残高や住宅取得価格の1%を税額控除する期間が10年間から13年間に延長される。

新築マンションで2020年12月までに入居する購入者が制度対象となり、対象者により増税前よりも割安になる事もあり需要を押上げている。

ただ、政治や経済情勢により先行きは不透明で、2019年の近畿圏の発売戸数は1万8500戸と1割強減少する。

要因はマンション用地不足で、ホテルやオフィスビルとの土地取得争奪が激しくなっている。

その影響で新築マンション販売価格にも及び、2019年7月の平均販売価格は4713万円と高水準を推移している。

その中でも千里ニュータウンなどの北摂エリアの高騰が目立つ。

首都圏は平均販売価格が6000万円超の地域もあり、税制優遇でもサラリーマンには手の届かない存在になっており契約率が下落している。

近畿圏はそこまで高騰していないにしろ、今後の価格動向により首都圏と同じ轍を踏む可能性もある。

今後、関西では大型物件の発売が相次ぐ。

住友不動産は堺筋本町に総戸数855戸のシティタワー大阪本町、近鉄不動産などは大阪湾岸に大阪ベイレジデンスを発売する。

【2019年8月29日】
9月
タワーマンション、災害への備え
日本にタワーマンションが増加したのが1997年の建築基準法改正による容積率緩和や2002年の都市再生特別措置法などが影響している。

2015年に最上階が15階以上の建物の住人は首都圏で89万7000人で、10年間で倍増した。

タワーマンションの構造は最新技術で建設され、躯体強度は高く地震の揺れなど強いとされるが、ソフト面の災害時に高層階の居住者が孤立する災害難民になる可能性も秘めている。

セキュリティー強化や棟内構造の複雑から被災時に救援しにくく、自治体からの支援も届きにくい。

大規模マンションの大所帯とはいえ管理組合が避難訓練の実施や防災委員設立などしっかりと居住者をサポートする必要がある。

(1)タワーマンション居住者の増加
日本全国で、2005年には99万人だったタワーマンションの居住者も、2015年には197万人に膨れ上がっている。

(2)タワーマンション建設増加
2019年以降もタワーマンション建設計画は衰える事を知らない。

首都圏で2016年〜2018年に58棟が竣工し、2019年以降も183棟が竣工予定。

(3)タワーマンションの耐震構造
建築基準法では震度6〜7でも倒壊しない程度の耐震性が求められている。

高さ60m超の高層マンションはさらに厳しい検査を受け、国の認定が必要となる。

耐震に加え免震、制震の機能を備えるタワーマンションも多い。

(4)震災時のタワーマンション
タワーマンションはしっかりとした強固な構造だが、ソフト面が脆弱である。

以下はタワーマンションに限った事ではないが、震災時にマンションで起こる注意点である。

停電になれば、すべてのエレベーターは停止し保守作業員が安全確認するまで動かない。

さらに水を上階に上げるポンプを作動せず、水の確保もできない。

ガスも着火は電気を使用するためガスコンロや給湯器も作動せず、料理やお風呂も使用できない。

東京都などは高層マンション向けの防災手引で、高層階の住民が難民になると警告を鳴らし、十分な備蓄を呼びかける。

(5)タワーマンションの高さ故の弱点
30階程度のタワーマンションなら高さは100m近くなる。

現実的に、上層階ならエレベーターが無ければ地上に行く事も、自宅に帰る事もできない。

ちなみに冬の時期に50階建てのタワーマンションで、階段を利用して50階まで行った時には30分以上掛かった。

(6)地震後のエレベーター
国土交通省では2018年6月に発生した震度6弱の大阪府北部地震で、大阪府内のエレベーター6万7000基の55.8%が運転停止し、95%が復旧に2日以上掛かった。

東京都内には14万6000基あり、同様の被害に遭えば復旧に4日以上掛かるとする。

復旧作業は、1番にエレベーターカゴ内の閉じ込め救助など人命最優先し、2番に官公庁や病院、老人施設など、3番にようやく民間のビルやマンションに来る。

日常のマンション生活でも、日頃の階段の上り下りできる階が理想とされる。

(7)ゴミ出しも困難
タワーマンションが震災に遭えば日常生活に支障をきたす。

住戸内で生活できてもゴミは出す事ができず溜まる一方。

1日に出るゴミの量は1人あたり920gとし、東京23区内のタワーマンション住民は46万人だから、10tトラックで42台分になる。

(8)トイレが使用できない
震災時には浴槽に水を溜めて、それを生活用水にする。

ただ、タワーマンションなど高層建築物は汚水管が長いため、地震の揺れにより破損している可能性がある。

トイレの排水にその水を使用すると途中の破損している箇所から漏れ出す事もある。

東日本大震災では、上層階のトイレ汚水が下層階で逆流し溢れ出す被害も発生した。

(9)独自の電気供給
東京湾岸岸にあるマンション17棟の管理組合は合同で、大規模地震発生時に燃料供給用タンカーから燃料を一括購入できる協定を締結した。

1週間程度の電力を賄えるよう自家発電用燃料として融通し、管理組合独自でマンション設備の早期復旧につなげる。

【2019年9月1日】
脚光を浴びる中古マンション
首都圏のマンション取引は中古物件が主流になりつつある。

中古マンションの成約件数は新築マンションの供給戸数をここ数年は上回っている。

新築マンションが本流だった市場の流れが変わったのは、首都圏の土地高騰による物件価格の高値や、顧客の中古マンションへの意識のハードルが下がった事にある。

東日本レインズによると、2018年の中古マンション成約件数は3万7217戸で、新築マンション供給戸数の3万7132戸をわずかに上回った。

2013年では新築マンションが中古マンションを2万戸上回っていたが、ここ数年は中古マンションの動きが大きい。

原因の一つが新築マンションの価格高騰で、2018年の首都圏の新築マンション坪単価は平均290万円と、2008年比で3割超も上昇している。

地価上昇に加え建設業の人手不足や建設材料の高騰でコストが上昇した。

東京23区の新築マンション価格は平均7142万円と横ばいを推移しているが、これは専有面積を狭くして価格を抑えているため。

中古マンションの坪単価は首都圏で平均170万円で、さらに中古マンションは竣工時期により良質な物件が多く供給されている。

首都圏では1994年から2007年までに新築マンション供給が8万戸を超える時代があった。

バブル崩壊後、企業の資産リストラにより一等地などが売却され、それを大手不動産会社が活用し新築マンションが大量に供給された。

マンションは築後10年経つと売却する人が増えるため、首都圏の中古マンション成約物件の平均築年数は21年。

築10年〜20年超の売却が活発時期となり、2018年の中古マンションの売出登録数を20万件に押上げた。

さらに駅近など好立地に建っているため消費者を引き付ける。

首都圏では徒歩3分以内の物件比率は2003年に20%超で、バブル期の10%だった。

直近の新築マンションも徒歩3分以内は20%前後だが、都心部の土地はホテルやオフィスと争奪になり地価が高騰し、その反動で新築マンション価格も高止まりしている。

顧客も意識が変わり中古マンションを購入しフルリフォームするリノベーション系マンションも増加。

中古のネット取引により若年層は中古マンションも抵抗感が薄れ、自分好みのデザインに仕上げる空間は魅力的に映る。

物件価格とリフォーム費用をセットにした住宅ローンや中古物件の品質認定制度も登場している。

住宅着工統計や住宅土地統計調査から、全国の新築住宅(着工戸数ベース)を含めた住宅取引に占める中古物件比率は2013年では15%に止まるが、欧米では7割〜8割を占める。

若年層が住宅購入の世代になれば、中古物件購入の流れは首都圏から近畿圏、そして全国に広がる可能性がある。

【2019年9月2日】
タワーマンション、地震の備え
都心部に増加するタワーマンションは、構造的には地震に強いとされ、地震時は建物外に避難する方が危険という事で自治体は自宅待機を呼び掛ける。

ただ、縦に長いタワーマンションは、電気は水道を絶たれば生活は困難になる。

エレベーターは動かず停電や断水になれば、水や食料の調達が困難になり、トイレも使用できない可能性がある。

東日本大震災後、首都圏のタワーマンションは防災意識が高まり管理組合で対応を模索する。

国の厳しい基準により耐震性は高いタワーマンションのため地震には強く、自治他はタワーマンション居住者に対し災害時に在宅避難を推進している。

大阪市港区に建つ54階建てのタワーマンションでは管理組合が中心となり知恵を絞る。

建物内に450戸分の水や非常食を備蓄しているものの、高齢世帯や子育て世帯に対しエレベーターが停止した時は他の居住者が協力しあって階段で運ぶ必要がある。

分譲マンションは年1回の防災訓練を実施するが、参加する居住者は少ない。

大阪市福島区に建つ築20年の43階建てのタワーマンションは年2回の防災訓練を実施する。

それに併せて防災セミナーやイベントも開催し参加者を増やす施策をする。

タワーマンションの防災意識を高めたのが、2018年9月に発生した北海道地震。

札幌市のタワーマンションのエレベーターが停止し、居住者は階段で上り下りする生活を強いられた。

東京都中央区晴海に建つタワーマンションの管理組合は2018年10月、防災マニュアルを作成し800世帯に配布した。

災害時に混乱なく自宅で避難できるよう、備蓄品の補充や配布方法を審議する。

晴海地区は住民1万6000人にうち99%がタワーマンションなどの高層マンションに住む。

自治体はタワーマンションなどの集合住宅は災害時には自宅待機を推奨しているが、居住者は地域の避難所に逃げると認識している。

大規模のタワーマンションの居住者が大勢で避難所に避難しても収容しきれない。

タワーマンションは一つの自治として災害時には自衛する手段を構築する必要がある。

《タワーマンションとは》
国が定める定義は存在しないが、一般的に高さ60m以上、20階建て以上のマンションを指す。

1971年に竣工した東京都港区に19階建ての三田網町パークマンションがタワーマンションの第1号とされる。

1976年に竣工した埼玉県さいたま市に60m超の21階建ての与野ハウスが高層住宅建設が続く。

1997年に建築基準法改正により階段や共用通路、ベランダなどの共用部を容積率の対象外にした事によりタワーマンションが増加し始めた。

建築基準法では、高さ60m以上の建築物に対し、大規模地震で生じる長周期地震動を想定して国土交通大臣認定を取得するよう定め、理論上では建築の際は高層建物より厳しい水準となっている。

20階以上の分譲マンションは2020年までに全国に1371棟となる。

【2019年9月2日】
タワーマンションの存在、都市で明暗
大阪市と神戸市ではタワーマンション建設の考え方が対極化している。

大阪市はさらにタワーマンション建設を推進する方針だが、関西で2番目にタワーマンションが多い神戸市はタワーマンション禁止の方針に乗出す。

都心の利便性が高いタワーマンションは人気があり販売も好調だが、過度な人口集中や管理の難しさが見え隠れしている。

タワーマンション建設はその都市の栄枯を左右する。

住友不動産は、大阪市中央区備後町にシティタワー大阪本町を建設し始めた。

48階建て、総戸数855戸と、1事業者の案件としては大阪市際大規模で、住友不動産はさらなるタワーマンション建設に意欲を示す。

2020年までに完成予定の大阪市内のタワーマンション(20階建て以上)は179棟で、東京23区の408棟に次ぐ多さで、特に北区、中央区の都市部に集中する。

大阪駅北側のうめきた2期にも2棟のタワーマンションが計画されている。

タワーマンション建設に関しては、歪な人口構成と管理不全の問題も指摘されているが、大阪市ではタワーマンション規制に動けば選ばれない街になると懸念している。

2000年頃から都市部のビルなど企業が売却し、その跡地にタワーマンションが建設されると同時に10万人近い人口増加につながった。

一方、神戸市は2020年7月から中心部のJR三ノ宮駅周辺の22.6haはタワーマンション建設禁止、新神戸駅やJR神戸駅までの周辺の292haは住宅の容積率を減らし、実質建設不可能になる。

神戸市内にはタワーマンションが60棟程あり、三宮地区が1/3を占める。

鉄道で大阪に30分前後で行けるため、神戸市は大阪市のベッドタウン化につながるタワーマンションを禁止し、市街地には商業施設やオフィスビルを誘致する。

神奈川県川崎市の武蔵小杉駅周辺ではタワーマンションが増加し、朝の出勤時に駅までに行列ができたり、小学校が足りない事態に陥っている。

大阪市はタワーマンションが増加しても上下水道や道路、鉄道など広域に都市インフラが整備されているため分散して建設され人口増加による混乱はない。

さらに大阪市の最大の税収は分譲マンションの区分所有者が支払う固定資産税と都市計画税で合計3408億円に上り、人口が多い横浜市の2727億円よりも上回る。

ただ、今後は建物の減価償却や不動産価格動向にもより税収が減る事が見えているため、新築のタワーマンションなどを建設し続ける必要がある。

神戸市は、都心居住が進むなかで北区や西区のニュータウンに若年層を取り込む、市街地は商業施設やオフィスビルを誘致する計画だが、都市力の弱い神戸市は思ったように進むかは不明。

災害時のタワーマンションは建物は強いが、避難施設としては弱く、居住者同士にコミュニティ形成が働いているタワーマンションだけが存続できるとみられる。

《災害時のタワーマンション》
都市部の駅近など利便性が高いタワーマンションと言われるが、建物が縦に高ければそれだけ駅などから遠く離れている。

1階エントランスを起点に、建物を横にした状態で1階を1kmと換算すれば分かりやす。

地震時にエレベーターが止まれば、50階建てのタワーマンションなら1階から階段を上り、5階の住戸は5km程度を歩く労力、25階なら25km、50階なら50kmとなる。

冬季に30代の男性が通常時に階段で1階から50階まで歩いて上っても30分以上は掛かり、夏季の災害時の仕事帰りなら2時間近くは掛かると見られる。

【2019年9月2日】
レオパレス21、施工不良物件さらに発覚
レオパレス21は、過去に施工したアパートで新たに1344棟の物件で施工不良が発覚した。

全体の施工不良物件は2万3483棟となる。

2018年春に施工不良問題が起こり、レオパレス21が施工した3万9085棟で調査を実施しており、2019年10月にはすべて終える予定。

【2019年9月6日】
レオパレス21、入居率下落
レオパレス21の2019年8月の入居率は80.21%で、さらに下落した。

2018年の不正不良アパートが発覚してから連続して下回り、経営の影響が広がっている。

【2019年9月7日】
鉄道高架下に学生向け賃貸住宅
JR東日本は、東京都内の鉄道高架下に学生向け賃貸住宅を設ける。

中央線の東小金井駅〜武蔵小金井駅の間の合計109室、食堂や交流スペースなども設ける。

鉄道高架下の住宅は珍しく、騒音や振動は生活に支障がない範囲に抑える。

家賃は周辺相場より安めに設定し5万円台にした。

【2019年9月12日】
首都圏、新築マンション発売増加
2019年8月の首都圏の新築マンション発売戸数は1819戸と増加した。

2020年の東京五輪の選手村を活用する東京都中央区の“HARUMI FLAG”(ハルミフラッグ)が全体の1/3を占める。

ただ、全体の売行きは鈍く、一時的な増加となる。

【2019年9月18日】
近畿圏、新築マンション発売減少
2019年8月の近畿圏の新築マンション発売戸数は1341戸と減少した。

前月に大阪市内の大型タワーマンションが売出された反動だが、契約率は84.9%と上昇し、市況全体は好調。

1住戸あたりの1uあたりの単価は下落し、奈良県と滋賀県以外のエリアで下落している。

大阪市内など都心部の投資用マンションが多く、高単価の物件が少なかった影響。

今後、大阪市内のタワーマンションが複数売出される予定で、当面は堅調に推移するとみられる。

【2019年9月18日】
投資用マンションの賃料上昇
2019年8月の投資用分譲マンションの平均募集賃料は、首都圏が1uあたり2952円と上昇した。

東京都心部の物件を中心に販売価格の高騰が賃料上昇につながっている。

【2019年9月19日】
中古マンション価格上昇
2019年8月の中古マンションの平均売出希望価格は70u(21坪)あたりで首都圏が3704万円(176万円/坪)で上昇している。

地域別では、東京都が5027万円(239万円/坪)、東京23区が5637万円(268万円/坪)で最高値を記録している。

神奈川県や埼玉県も上昇傾向。

近畿圏は2367万円(112万円/坪)、中部圏は1948万円(92万円/坪)と共に上昇している。

【2019年9月25日】
公営住宅、空き家活用
公営住宅を賑わいの拠点にする動きが関西で広がっている。

低所得者や住宅困窮者向けの公営住宅を、活動する人にも入居対象を広げる。

京都市では若手芸術家をアトリエとして活用、兵庫県は移住者にお試し居住を促している。

少子高齢化に伴い公営住宅の空室率が増加し、自治体も対応の一環として対策しており、利用者側も割安な賃料が魅力的。

公営住宅は低所得者や住まい確保に困っている人を支援するための住宅で、公営住宅法に基づき収入や住宅困窮状況などの入居要件が定められている。

ただ、自治体が地域再生計画など利用目的を申請して国土交通相の承認を受ければ、目的外使用として本来の入居対象者以外にも空き室を貸出す事ができる。

京都市下京区の市営住宅を若手芸術家支援事業として活用し、近々、京都市立芸術大学が近くに移転している事が決定しており、新たな芸術発信の場として盛り上げる。

家賃は月額3万5000円で周辺相場より安い。

兵庫県では郊外にある公営住宅16戸を利用し、1年〜2年のお試し居住を推進する。

県外の住人を対象に募集し、応募した人には近くで仕事を探す若者や、親族が近くに住むため引越してきた高齢者など様々。

公営住宅の空室活用が広がる背景には空室率の上昇があり、国土交通省では、公営住宅の空室率は2008年度で0.7%だったが、2017年度には1.6%と倍強上昇した。

神戸市内の公営住宅には応募が殺到するが、郊外の公営住宅は低調で空室も増加傾向だが、このお試し移住により住戸の稼働率が上がり地域活性化にもつながっている。

群馬県前橋市では、老朽化した公営住宅の1階部分を改修して地域開放スペースを設け、無料学習塾や高齢者交流場として開放している。

過疎化や少子高齢化が進む地域では、活性化につながる公営住宅の目的外使用が増える可能性がある。

【2019年9月25日】
投資マンションの注意点
老後資金不安や副収入などでワンルームなどの投資用分譲マンションに資産を投じる人が増えている。

不動産投資の中でも個人が参入しやすいのが1Rが中心の投資用分譲マンションで、現金で購入する人から、事業用ローンで借りる人など投資資金も様々で、中古の数百万円から新築の数千万円まで様々な住戸を購入し、賃借人を募り賃貸して賃料を得る。

賃料を得れば不動産所得として課税対象になります。

不動産経営は物件の減価償却費や固定資産税、建物維持保険費などの費用を計上し確定申告するため、赤字の場合は給与所得合算し納税額が減らせます。

ただ、不動産投資信託(REIT)など小口商品とは異なり、物件価額下落や空室などにより売却したくても数日で手放す事はできません。

また、投資用分譲マンションは住戸以外は共有になり管理組合が主体となっており、建物修繕ができていなければ資産価値も引きずられ下落します。

不動産市場からマンション管理を含めた知識が必要なため、素人が手を出すにはハードルは高めです。

【2019年9月25日】
10月
省エネマンションの光熱費削減
戸建て住宅が中心だった省エネ型のゼロエネルギーハウス(ZEH/ゼッチ)がマンションにも導入されている。

太陽光パネルや断熱材で熱効率を高め光熱費ゼロを目指し、野村不動産など大手12社が参入し計4000戸の供給を計画する。

マンション販売が不振のなか不動産各社は省エネや環境保護を売りするが、普及するには補助金頼みが不可欠となる。

大京が分譲した兵庫県芦屋市のライオンズ芦屋グランフォートは、地上5階建ての屋上に太陽光パネルが敷詰められ、屋内には発電した電気を溜める蓄電池や熱を逃さないための断熱材などの設備が導入される。

83uの一般家庭の場合、通常の光熱費は年18万9000円だが5万5000円程度に減らせ、内訳は冷暖房効率を高める断熱材やガラスによる省エネが6万8000円、太陽光パネルなどの発電の創エネが6万6000円の計13万4000円の削減額となる。

ただ、太陽光パネルは区分所有者の個人所有となり、故障した際は自己負担の可能性もある。

経済産業省が2014年から補助制度を導入したゼロエネルギーハウス(ZEH/ゼッチ)は戸建て住宅が中心で、2017年度には4万4000戸のゼロエネルギーハウス(ZEH/ゼッチ)住宅が建設された。

政府は、都市部に多いマンションの普及にも力を入れる。

ゼロエネルギーハウス(ZEH/ゼッチ)マンションは、消費電力の削減効果に応じ4つの区分に分ける。

20階以下のマンションが補助金対象だったが、2019年度の実証事業から21階以上の超高層マンションも対象にした。

高層は8億円、超高層は10億円を上限に補助金を支給する。

実証事業に野村不動産や近鉄不動産など12社が参画し、超高層マンション4棟、高層マンション26棟の計30棟が事業認可された。

ゼロエネルギーハウス(ZEH/ゼッチ)対応のマンションは4000戸規模となる。

最近の新築マンション市場は不振に陥り、2019年1月〜6月の首都圏の発売戸数は1万3436戸と減少し、価格高騰などを背景に1992年以降の低水準に落ち込む。

不動産各社は不振脱却のためゼロエネルギーハウス(ZEH/ゼッチ)マンションに期待する。

メリットは3つある。
(1)月々の光熱費の削減効果
(2)創エネ機能により防災性能の高さ・・・災害で停電になっても7日間、エレベーターや電気、水道などのライフラインを維持できるなど。
(3)資産価値の向上

積水ハウスは2018年度に、消費電力を100%賄えるゼロエネルギーハウス(ZEH/ゼッチ)マンションを44棟供給した。

主に低層の賃貸マンションが中心で、資産価値が落ちない物件を建てたいオーナーの需要に応えた。

ただ、高層マンションになるとゼロエネルギーハウス(ZEH/ゼッチ)対応には課題もある。

高層マンションは1住戸あたりの屋上面積が狭く、その分、太陽光パネルの設置スペースが限られ、削減できる電気代は省エネ中心に年間5万円程度とみられ節約効果は限定的。

政府はエネルギー基本計画で、2030年までに再生可能エネルギー比率を22%〜24%に引上る計画。

ゼロエネルギーハウス(ZEH/ゼッチ)マンションは再生エネルギー普及を後押しするが、本格普及には補助金に頼らない仕組みが不可欠。

ゼロエネルギーハウス(ZEH/ゼッチ)マンションは断熱材やサッシなど部材価格が高く、通常のマンションに比べ建築費が1割程度高くなる。

追加工費分を補助金で賄っているのが現状で、政府は補助金制度をいつまで続けるのか明確にしていない。

政府は2020年までに戸建て住宅の過半数をゼロエネルギーハウス(ZEH/ゼッチ)導入目標を掲げ普及を後押しする。

都心部は高層マンションが多く、普及には施工費用を圧縮や創エネ効果を高める工夫が必要となる。

住宅の省エネ化は欧米が進み、EUでは2020年までに全ての新築住宅をゼロエネルギーハウス(ZEH/ゼッチ)化にする方針。

日本は発電用の用地が限られるが、高層マンションでもゼロエネルギーハウス(ZEH/ゼッチ)の技術革新が進めばエネルギーの地産地消が広がる可能性がある。

《ZEHの省エネ機能》
●ZEH−M(マンション)
〔電力削減量〕【基本的な電力削減量(創エネ除く)】20%以上 【合計の電力削減量(創エネ含む)】100%以上

●ニアリーZEH−M
〔電力削減量〕【基本的な電力削減量(創エネ除く)】20%以上 【合計の電力削減量(創エネ含む)】75%以上

●ZEH−Mレディー
〔電力削減量〕【基本的な電力削減量(創エネ除く)】20%以上 【合計の電力削減量(創エネ含む)】50%以上

●ZEH−Mオリエンテッド
〔電力削減量〕【基本的な電力削減量(創エネ除く)】20%以上 【合計の電力削減量(創エネ含む)】20%以上

【2019年10月1日】
レオパレス21、資産売却
レオパレス21は、財務体質改善のため、所有するホテル3棟を160億円で売却する。

賃貸住宅やオフィスも計15棟を売却した。

施工不良問題で売上減少に伴い財務改善を急ぐ。

【2019年10月5日】
交流共同住宅
三菱地所は、住民同士の交流できる共同住宅を手掛ける。

東京都内に物件を開業し、大阪や名古屋など都市圏にも開業する予定。

新たな共同住宅は“コリビング”と呼ばれ、シェアハウスとは異なり入居者交流を運営会社が担う。

スマートフォンのアプリを通じ。建物内や近隣の飲食店で交流会を開催する。

東京都渋谷区で地上4階建て、総戸数12戸、部屋面積は18u〜38uで家具や家電を設置。

家賃は18uで15万円からで、周辺賃料相場に比べ3割ほど高く設定。

【2019年10月8日】
マンション管理費等の長期滞納者
分譲マンションの管理費や修繕積立金(以下、管理費等)を長期間滞納するとどうなるのか。

管理費等は建物の共用部分や敷地など、設備修繕、清掃などの維持管理の費用となり、マンションの区分所有者から徴収し義務でもあります。

滞納原因は、管理組合によっては残高不足などなら2ヶ月まとめて引落としできます。

ただ、様々な事情により管理費等を支払えない場合、管理組合もなかなか回収できないため、電話や手紙などで督促したり、滞納が長引けば内容証明を送達する事になります。

それでも未収が解消されない場合は、管理組合は弁護士に依頼し訴訟提起する事になります。

通常、訴訟すれば管理組合が勝訴するため、滞納区分所有者は支払義務を負いますが、回収できるのは支払う金銭などの財産がある区分所有者だけになります。

支払う、支払わないまでは裁判所は関与しません。

悪質な滞納区分所有者をマンション棟内の掲示板で張出した管理組合もありましたが、個人情報保護、名誉棄損行為など自力救済禁止の原則から不法行為となる可能性もあります。

また、水道を止める措置などが生命に関わる行為とし、滞納区分所有者に対する不法行為とし、裁判になり管理組合に非があるとし損害賠償を支払う判決もあります。

長引き数百万円の未収金にもなれば現実的に回収不能となり、管理費等の滞納は小額のうちに解決するのが鉄則です。

【2019年10月11日】
分譲マンションの処方箋(上)
分譲マンション管理の危機が表面化している。

老朽化が進む一方、修繕積立金が不足する管理組合が多発するうえ、災害リスクもある。

外国人居住者が増え、管理不全に陥る分譲マンションが増加傾向にある。

分譲マンションの居住者は永住希望が6割を超えるが、希望通りの建物維持が出来ない可能性がある。

宮城県内にある築23年、7階建ての分譲マンションでは、管理会社任せにしていたせいで修繕積立金が使い込まれ無くなっていた。

名だけの理事会は機能せず、防水工事をしようにも実施できず、危機感を感じた区分所有者達は臨時総会を開催し管理会社との契約を解除。

金融機関から資金を借入て防水工事を実施した。

いまだ大規模修繕工事も未実施で理事会で長期修繕計画を作成し、管理費等を長期滞納している区分所有者には督促も進め、正常なマンション管理に戻りつつある。

分譲マンションの修繕積立金不足が深刻化し、国土交通省の2018年度マンション総合調査では、現在の修繕積立金が計画より少ない管理組合は35%、3ヶ月以上の管理費等の滞納者は25%だった。

修繕積立金が不足する管理組合に対し管理会社は厳しい姿勢を取り、管理不全に陥る管理組合から撤退を始めている。

管理費等値上げを総会で提議しても、否決すればあっさり管理から引き上げる事もある。

東京都台東区のマンション管理組合は、大手管理会社から月額13万円の管理委託費を20万円超に値上げ提示された。

修繕積立金不足などもあり、管理委託費が安い管理会社に変更した。

管理会社の値上げ背景には人手不足と人件費高騰により管理員不足にあり、定年延長や再雇用により60代の男性が極端に減少した。

管理員の時給は2割〜3割は上昇し、管理会社も不採算の管理組合に対しては強い姿勢で臨む。

分譲マンションは全国に655万戸あり、国民の8人に1人が生活する。

国は景気対策として新築マンションを後押しした事もあり、右肩上がりで増加。

うち、築30年超が3割、2040年には築40年超が4割に達っする可能性があり、築40年超の7割が空住戸を抱え、管理運営費不足も露呈する。

政府は老朽マンションの建替えについて、合意形成のハードルを下げるなど対応を進めるが、原資となる修繕積立金は区分所有者負担になる。

滋賀県野洲市には管理不全に陥った廃墟マンションが放置される。

行政も老朽化した分譲マンションの区分所有者達に解体を命じ、空き家対策措置法をマンションに適用した異例の措置。

10年程前から無人化し、今では外壁が剥がれ建物もいつ崩れてもおかしくない廃墟マンション。

マンション総合調査では、老朽化対策を講じている管理組合は4割以下で、都市部に廃墟マンションが点在する現実はすぐそこまで来ている。

【2019年10月17日】
買手無き、高騰続ける新築マンション
2019年度上半期(4月〜9月)の首都圏マンション市場動向で、平均価格が1991年度上半期の6137万円以来の6006万円だった。

建設費上昇で価格が高騰し売行きは鈍化しており、契約率は低水準に陥っている。

需要低迷する中で価格高騰する異例な事態となっている。

東京都を中心とした首都圏が全体的に上昇し、1991年度はバブル期の最後で、1980年代から高級マンションが増え価格が高騰。

その後、バブル崩壊し地価下落し、マンション価格も2002年度上半期には3968万円まで下落した。

2003年頃から都心部のタワーマンションブームが起き価格上昇し始め、東京五輪開催決定した2013年から上昇の一途をたどる。

その反面、物件自体は売行きは鈍く、2019年上半期の契約戸数は1万3483戸と減少している。

契約率も7割を切る64.6%とリーマンショックがあった2008年上半期の65.3%以来の低水準となる。

販売在庫数も6780戸と増加傾向で、発売戸数は1万1996戸と減少し、1992年度上半期の1万357戸以来の低水準。

売行き鈍化で不動産業者は新規発売を延期し、在庫圧縮を優先しているが契約率は低迷したまま。

建設費や地価高騰によりマンション価格が上昇を続け、需要を下げる要因が大きく価格高騰に消費者が付いていけない状態が続く。

2018年の各地域の新築マンション価格が年収の何倍かを示す“年収倍率”が、首都圏で11倍に達し、東京都内は13倍と高水準。

東京都内ではホテルや公共施設の工事が急増し建設工事価格が高騰し、用地獲得でも都心部や駅近など人気エリアの土地取得が難しくなっている。

首都圏の住宅地地価も大幅上昇しており、高価格帯の物件発売が増えた事で価格を押し上げている。

【2019年10月18日】
近畿圏、新築マンション供給減少
近畿圏の2019年上半期(4月〜9月)のマンション供給戸数は8275戸と減少した。

大阪府郊外や神戸市、京都市では、駅近エリアで開発が進み用地取得が難しく、大型物件供給が減少した。

大阪市内の供給戸数は増加し4501戸で、単身者向けの物件を投資目的で購入する動きがあり、マンション開発は大阪市に集中している。

首都圏の平均価格は6006万円になりサラリーマンには手が届かない水準になる一方、近畿圏は3700万円と価格帯は抑えられており、需要はまだ底堅い。

【2019年10月18日】
分譲マンションの処方箋(中)
日本語が読めないマンション居住者が増加している。

東京都荒川区にある築37年、総戸数32戸の分譲マンションには、区分所有者の大半が中国人などの外国人。

出席も委任のない総会の出席票の提出もなく、議決数が足りず管理規約改定や修繕工事実施もできない状態。

日本では外国人受入を促進し、今後ますます外国人居住者が増加し、マンションのコミュニティーをどう維持するのか現場では苦慮する。

国土交通省の2015年の調査では、この10年間で外国人の住戸売買が増加した不動産会社は85%にのぼり、古くても立地がよく割安なら買手が付くという。

埼玉県川口市の2018年の分譲マンション実態調査では、外国人のみの住戸があるマンションは42%と、1970年以前に竣工したマンションは66%となり、古い物件ほど外国人が多く購入している。

高齢者が手放した住戸を外国人が購入する例が増え、千葉市にある築51年の分譲マンションでは総戸数700戸の1割が中国人という。

管理組合では中国人を理事会の役員に就任させるなど融和や責任感を理解してもらう。

売買により空室が埋まり外国人が入居してマンション自体に活気が生まれる事もある。

ただ、住環境の違いからすれ違いが生まれる事もある。

横浜市にある築40年超の総戸数34戸の分譲マンションでは、建物が古いという理由で管理費や修繕積立金の支払を拒絶する中国人もいる。

分譲マンションのルールを知らず、食用油を排水管に流して詰まる問題も多発している。

管理組合では戸別訪問をし、生活マナー改善や管理費等支払の理解を説明する。

文化の違う外国人に対しマンション管理の理解を得るのは難しい。

投資増加がさらに事態を悪化させる。

東京都新宿区にある総戸数300戸のマンションでは、投資目的で購入し賃貸に出す外国人の区分所有者は管理組合運営に無関心という。

区分所有者がすぐに変わり、滞納管理費等を徴収できなかったり、管理組合書類の送付先が分からない事態も発生している。

国土交通省の調査では、外国人対応マニュアルを整備している管理会社は1%程度で、外国語による管理規約を作成している管理組合は0%だった。

マンション管理業協会は、暮らしのルールを英語、中国語、韓国語に翻訳した“多言語文例集”を作成するが、契約書や管理規約の翻訳こそ必要と言われる。

東京都豊島区にある5階建ての分譲マンションでは、屋上に設置された7台の物置の撤去作業が行われた。

物置の中には粗大ゴミが詰まっており、9戸の居住者は外国人だった。

管理組合もなく機能不全に陥り、マンション管理士が奔走し管理組合を立上、管理規約を中国語に翻訳し、外国人の区分所有者に建物修繕の説明を実施した。

国土交通省は管理組合の外部専門家を登用する事でマンション問題を解決するよう促進するが、実際に理事会等に就任している外部専門家は1%程度にとどまる。

日本人だけの区分所有者でも問題多発だが、その上に外国人への対応が増えれば分譲マンションの管理不全は目に見えている。

【2019年10月18日】
分譲マンションの処方箋(下)
首都圏など都心部に増加したタワーマンションは、新築マンション購入者の5人に1人がタワーマンションとなるが、そのリスクも表面化してきた。

川崎市のJR武蔵小杉駅周辺には10年程前からタワーマンションが乱立し、築11年の47階建てのタワーマンションでは台風19号の影響で、地下3階が浸水し電気設備が故障し、エレベーターや給水・排水設備が稼働せず、住戸のトイレも使用できない状態が続く、生活用水も断水している。

このタワーマンションは東日本大震災を教訓に防災対策を見直し、地下3階にあるペットボトルや簡易トイレなどの防災備蓄品を各階に移し、災害対策を講じてきたが地下の建物設備が浸水する事は想定外だった。

タワーマンションは狭い敷地に高層建物に必要な多数の設備が地下に設置される。

特に電気系は水に弱いため浸水すればタワーマンションはほぼ利用できず致命的になる。

そんな中、河川氾濫の浸水を防いだ分譲マンションもある。

東急電鉄の二子玉川駅近くの東京都世田谷区にある分譲マンションでは、多摩川沿いと言う事もありエントランスに高さ1m20cmの止水板を設置できるようにしていた。

周辺の建物は床上浸水する程だったが、このマンションはあと10cmの所で助かり、事前の防災対策が明暗を分ける。

被災したタワーマンションは復旧作業にも壁が立ちはだかり、地下などの建物設備は共用施設となり、修繕工事を実施するにも高額なら管理組合は臨時総会を開催し決議を取らなければならない。

さらに修繕積立金が足りない場合、一時金を徴収するなら特別決議で3/4以上の賛成が必要となる。

災害時には、損害保険や地震保険で一時的な対応の保険金支払もあるが、それでも時間は掛かる。

タワーマンションにはそれ以外でも問題を抱える。

鉄筋コンクリート造の建物では12年〜15年周期で実施する大規模修繕工事、当然にタワーマンションも実施する。

埼玉県川口市にある55階建てのタワーマンションでは、1回目の大規模修繕工事に12億円に費用が掛かり、1住戸あたりの工事費は一般的なマンションの2倍程度になる。

国土交通省のマンション総合調査では、20階建て以上のうち修繕積立金が計画より不足している管理組合は28%、管理費等の滞納になると40%となり、タワーマンションでも資金不足が深刻化している。

大規模修繕工事が1回目なら建物劣化も少なく工事費も抑えられるが、2回目、3回目と建物の経年劣化が進むと、それに併せて工事費も増加し、長期修繕計画をきちんと策定しなければ建物を維持できなくなる。

築25年を超えると、エレベーター更新工事、機械式駐車場更新工事、給水・排水管更新工事とどんどん工事項目が増えていき、多額の修繕積立金が必要となるが、タワーマンションの場合は負担割合で高層階と低層階での意識の違いが出てくる。

各区分所有者の懐具合もあり、工事を実施するにも総会での合意形成が難しいのが実情となっている。

国土交通省は2016年にマンションの標準管理規約を改定し、高層階と低層階で価値の差が大きい場合、議決権に差を設ける事も選択肢を追加し、住戸価値割合に連動した設定も可能とした。

議決権割合の変更は資産価値維持との観点から合意的ではあるが、そもそも変動する資産価値を誰がどのように査定し、それを議決権割合に付加させるのか、その査定に伴う手間暇や費用を誰が負担するのか、さらに高層階でも事故・事件物件対象となればどうなるのか、一時しのぎの対応では長期的なマンション管理は混乱を招くだけである。

国内で最初のタワーマンションは1971年と言われ、急速に増えた2000年頃からすでに20年が経過し、これからタワーマンションの大規模修繕工事が本格化する。

【2019年10月19日】
起業家向けシェアハウス
三井不動産は、起業家向けのシェアハウスを手掛ける。

起業家を支援する東京都中央区のプロトスターと連携し東京都内に開設する。

優良な起業家を支援し、早くから囲い込み将来の有力なテナントに育成する。

シェアハウスは東京都中央区の日本橋や小伝馬町、浜町などで、20人程度が入居できる建物を想定する。

日常生活を共にする空間で生活し、起業家が互いに知識などを共有する事を目的としている。

三井不動産は、本拠地の日本橋でベンチャーやスタートアップの企業に力を入れ、ベンチャー企業支援事業の31VENTURES(サンイチベンチャーズ)を手掛け、経営や資金の支援をしている。

【2019年10月19日】
神戸市、タワーマンション規制
神戸市は全国に先駆けタワーマンション規制を制定する。

神戸市中心部で高層マンションを規制する条例を2020年7月に施行する。

都心部は商業施設を誘致し、高齢化が著しい郊外ニュータウンを再生し若年層を移住してもらう。

都心居住の需要が高まり、神戸市中心部でもタワーマンション建設が増加した。

2020年7月よりJR三ノ宮駅周辺の22.6haでマンションを含む住宅建設禁止にする。

新神戸駅から元町駅までの292haの広域範囲ではタワーマンション建設ができない容積率を減少する規制を設ける。

都心部を商業施設やオフィスビルを集中させる。

神戸市は逆に西神などの郊外ニュータウンに居住空間を重視し、地下鉄の西神中央駅を再整備する予定。

西神ニュータウンは街開きから数十年が経ち高齢化が目立ち、若年層の流出が加速している。

住みやすい街に整備し、子育て世帯に移住を促す。

新神戸と神戸市北区を結ぶ北神急行電鉄を神戸市の地下鉄と一体化し運賃を下げて、居住者の利便性を良くする。

また、2020年度には神戸市内のマンション管理組合に認証制度を導入し、修繕積立金や建物劣化などの状況を神戸市の機関が調査する。

【2019年10月24日】
投資用分譲マンション賃料、下落
2019年9月の投資用分譲マンションの平均募集賃料は、首都圏が1uあたり2866円と下落した。

東京都の物件を中心に販売価格の高騰が、賃料上昇傾向につながっていたが、価格限界点が見えてきた。

東京都は3492円、東京23区は3675円と共に下落。

古い物件が増加した神奈川県や埼玉県も下落したが、千葉県は上昇した。

近畿圏は新しい物件が多く供給され1918円と上昇し、中部圏は1672円の下落している。

【2019年10月24日】
中古マンション価格高騰
2019年9月の中古マンションの平均希望売出価格は70u(21坪)あたりで、東京都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、文京区)は8065万円となった。

築年数の浅い物件が多く売りに出された事が影響した。

東京23区は5764万円、東京都は5165万円、首都圏では3727万円で値上がりしている。

近畿圏は2367万円で横ばい、中部圏は1988万円で上昇し愛知県で高騰している。

【2019年10月24日】
マンション総会、所有者に温度差
中古マンションの成約戸数が新築マンションを上回るなか、区分所有者の中で修繕工事を巡って意見が分かれている。

分譲マンションの決定事項は総会で決議されるが、実際に出席する区分所有者は10%程度で、ほとんどが委任状による理事長に委ねる。

東京都心部にある築50年で15階建てマンションは、耐震補強などを含めた大規模修繕工事を実施する。

ただ、区分所有者同士の意見が分かれ、着工までに2年を費やした。

長く住む高齢者は老い先短いためか多額費用を掛けて耐震補強する事に反対で、最近居住をはじめた若年層は長期間住むため賛成する。

通常は総会で理事長委任が多いため、決議はほとんど理事長の意向により決定するが、今回は区分所有者の意識と危機感が高まり、賛成派の理事も増えて、耐震補強を含めた大規模修繕工事を実施する事となった。

東京都内にある築30年のテナント付き分譲マンションでは、1階にカフェレストランが入居するが、店主から建物敷地をオープンテラスにする要望が出たが、他の区分所有者から反対意見が出て実現しなかった。

マンションの魅力を高め資産価値向上するには人が集まる工夫も必要だが、敷地や共用部分は区分所有者が勝手に利用できない。

管理規約改定や専用使用権による賃料設定など総会の特別決議による採決が必要となる。

中には非現実的な管理規約や使用細則の変更もある。

駐輪場の駐輪ラックの邪魔になる子供乗せ自転車を禁止し、子育て世帯の多いマンションでは生活に支障をきたす。

分譲マンションでは管理組合の総会決議が生活のルールを決める。

国土交通省の2018年度マンション総合調査では、総会に出席するのは3割、委任状提出を含めた参加は8割に上る。

委任状のほとんどが白紙委任で理事長に一任される。

東京都文京区のマンションでは、耐震工事検査を巡り、区分所有者の多くから委任状を取付けた理事会が独断で施行業者を選定し、300万円程度の建物調査費を1000万円の支出をしていた。

最近のマンションの総会の出席票は、出席・委任状・議決権行使書の3項目用意している。

総会に欠席しても議決権行使により議案ごとに賛成・反対の意思表示ができる。

東京都足立区の築10年で総戸数515戸のイニシア千住曙町では、管理組合法人にして理事会が総会を取り仕切り、議決権行使書を含めた出席票の回収率はほぼ100%。

マンション専用のサイトも開設し、総会出席可否についてネット経由でもできるようにしている。

●マンションの老後は修繕積立金が決め手
中古マンション取引が旺盛になり、世代間対立が目立ってきた。

その最もたる事案が修繕積立金増額で、若年層はこれから長い間生活するため理解を示すが、高齢者はこの先短いマンションに多額の費用を掛けて修繕工事をする必要性を感じていない。

修繕工事がキチンと実施されているマンションは、総会の議案内容や修繕履歴、区分所有者の総会出席の高さ、理事会の役員が積極的など、昔から言われている事を実施しているかが分譲マンションの明暗を分ける。

それがマンション価値を高め、中古マンション価格に反映される。

高齢になっても売却する事もあるため、資産価値を高める意識は必要である。

【2019年10月25日】
賃貸借契約、民法改正
賃貸借契約に基づく改正民法(債権法)が2020年4月に施行する。

アパート退去時の原状回復義務について、通常、賃貸借契約では『原状回復して明渡ししなければならない。』と明記されている。

原状回復範囲について現行では規定はなく、借手(賃借人)義務の範囲が明確ではない。

このため、退去時に室内のリフォーム費用を請求され、敷金返金も拒まれるトラブルが多発している。

改正民法では原状回復義務は借手(賃借人)の不注意による壁や床などの汚損や破損のみが対象となる。

生活損傷や経年劣化によるものは借手(賃借人)に請求できなくなり、家主(賃貸人)から請求されても支払義務はありません。

賃貸借契約上の保証人に対しても改正があります。

家主(賃貸人)は借主(賃借人)の家賃滞納などに備え保証人を立てる事を契約条件にしています。

保証人は借主(賃借人)の家賃滞納だけでなく、部屋などの事故や事件による損害にも補償しなければなりません。

保証内容は金額の上限を定めていないため、保証人にはリスクが高過ぎます。

そこで改正民法では保証人が負う責任の上限額(極度額)を定めていない場合、その部分の保証人契約は無効になり、責任は限定されます。

約款などのも細か過ぎや利用者に不利な場合は無効や取消できます。

不特定多数の人を相手方として定型的な契約内容を定める場合、利用者側に過大な責任が及んだり、過度に権利を制限したりしないよう定める。

【2019年10月26日】
神戸市、マンション管理届出制
神戸市は、同意が得られた神戸市内の分譲マンションの管理状況を公開検討する。

2021年度、マンション管理不全防止のため管理状況の届出制度を導入する一環で、ホームページで閲覧できるようにし、不動産市場評価に連動させる事で、管理組合に適正管理をしてもらう。

優良物件への認証制度では、認証期間を3年〜5年程度とする。

新制度は『届出制度』『情報開示制度』『認証制度』の3段階とする。

『届出制度』は、神戸市内の分譲マンションを対象に、3年〜5年に1回程度の届出を求める。

総会や理事会の議事録、長期修繕計画、修繕積立金徴収、自主防災組織などの有無を必須の回答項目とし、届出があれば管理組合の合意の元にマンション名と必須回答項目を公開する。

情報開示したマンション管理組合を対象に、管理状況が優良物件への認証制度も設ける計画で、認証期間は3年〜5年程度とする。

神戸市は新制度を通じて神戸市内の分譲マンションの適正管理を促進し、届出をしていない管理不全の分譲マンションに、管理規約作成や組合設立などの支援強化を検討する。

【2019年10月31日】
11月
神戸市、マンション管理組合届出制
神戸市はマンション管理支援制度検討会で、神戸市内の分譲マンション管理実態を一般公開する案を呈した。

2021年度にも管理状況に関する神戸市への届出制度を導入する方針で、不動産市場の評価材料とする事で、管理組合に適正管理を促す狙い。

神戸市によると、マンション管理実態に踏み込んで情報を開示する制度の創設は全国でも珍しい。

マンション管理支援制度検討会が神戸市に提示した案は、『届出』『情報開示』『認証』の各制度を新設する。

届出はマンション管理組合に3年〜5年に1回程度を求め、総会や理事会の議事録、長期修繕計画、修繕積立金の徴収、自主防災組織などの有無を必須の回答項目とした。

管理組合の同意のもとにマンション名と必須回答項目をホームページで公開も検討する。

情報開示制度では、東京都が管理組合の届出を受け『優良』の評価制度を適用しているが、マンション名の公表のみで、物件の流通価格に反映できていないとの指摘がある。

神戸市は、届出や認証に関する制度詳細を詰める。

届出方針については、管理不全に陥るマンション管理組合が登録できなければ、優良と不良の二極化が進む恐れもある。

『届出』を受けて神戸市はホームページなどに情報を公開したのち『認証』の作業に移る。

神戸市の認証が不動産市場評価に反映できれば、マンションのデベロッパーが安い修繕積立金を設定しなくなる利点もある。

一方、大規模修繕に将来いくら掛かるのかなど、詳細項目が無ければ購入判断は難しい。

神戸市は届出制度を義務化する検討もするが、全ての分譲マンションを対象にするのが望ましいが、義務化にすれば管理不全に陥ったマンションは取り残される可能性がある。

神戸市内には、分譲マンションの管理組合は2018年度で3500あり、神戸市は届出をしていない分譲マンションにも、管理規約作成や管理組合設立の支援をする方針。

《マンション管理組合の届出制度》
●届出制度
神戸市内の分譲マンションを対象に、3年〜5年に1回ほど管理組合の活動状況を届出もらう。
 ↓
●情報開示制度
届出た分譲マンションのうち管理組合の同意を得て、マンション名と届出内容を神戸市のホームページで公開する。

●認証制度
情報開示した分譲マンションで、神戸市が定める一定基準をクリアすれば優良物件として認証し、マンション名を公表する。

【2019年11月1日】
賃貸借契約、保証人規定制限
2020年4月に改正民法(債権法)が施行に併せて、賃貸借契約の保証人規定制限が設けられる。

アパートなど不動産を借りる場合、保証人を立てるのが商慣行。

不動産業界では、アパートを賃借する場合に必要な連帯保証人に、どこまで請求できるのかという問題が生じる。

これまでは、家主(賃貸人)は家賃滞納などに備えて借主(賃借人)に保証人を立てる事を求めている。

進学などで子供がアパートを借りる際、親が保証人になり賃料を滞納した場合に補償するなど、根保証(ねほしょう)と呼ばれ、債務対象が特定されず、保証人負担が重いのが特徴だった。

改正民法(債権法)では、一般賃金と同じように、アパートなどの賃借に関わる根保証も、契約時に負担上限額(極度額)を定める必要があり、定めない場合は契約無効となる。

不動産業界では、上限額は家賃1年〜2年分とするケースとなりそうだ。

改正民法(債権法)は、借主(賃借人)が死亡したとき保証人が負担する額が決まる。

借主(賃借人)が病気や事故で孤独死した場合、死亡後に生じた滞納家賃や室内の原状回復工事費用など保証人が負う義務は無効になる可能性がある。

ただ、負担やリスクが増える家主(賃貸人)から費用を巡る裁判が発生する事も踏まえ、家賃債務保証会社の存在意義が増してくる。

【2019年11月4日】
地方の防災民泊
和歌山県と徳島県に挟まれた海域の徳島県阿南市で、シームレス民泊という仕組みがある。

民間の宿泊施設を災害発生時には自治体管理下に置かれ、避難所生活が困難な高齢者などを優先的に受け入れる。

徳島県規制改革会議では、住民の力を借りながら、平時と災害時のつなぎ目を無くすシームレス仕組みに取組む。

旅館業法など関連条例の改正や要件緩和を提言し実現した。

シームレス民泊のパンダヤは、平時に稼げるビジネスモデルを確立しないと継続できないと言う。

【2019年11月4日】
違法民泊、仲介サイト3%
観光庁は、2019年3月末で民泊仲介サイトに掲載された7万1289件の物件について、少なくとも3%程度の2154件が違法民泊だったと発表した。

不明の1万2862件を併せると、違法民泊はさらに増えると見る。

観光庁は民泊仲介サイトに違法物件の削除を求める。

仲介サイト業者68社が観光庁に提出した物件リストと、家主からの届出情報を各自治体が照合し、違法物件では住宅宿泊事業法の規定に反し、事業者の名称や届出番号、住所が一致しないという問題があった。

観光庁は2019年4月から適法物件のリストを仲介サイト業者に提供し、リストに無いものは掲載しないよう求めている。

【2019年11月6日】
大阪メトロ、民泊施設
大阪メトロ(地下鉄)は民泊事業に参入する。

大阪市浪速区のマンション1棟を20億円強で購入し、営業規制がない国家戦略特区を活用し2021年頃に開業する。

急増する訪日客の需要を取り込み、沿線活性化につなげる。

民泊専用マンションは、地下鉄の恵美須町駅から徒歩圏内に建設で2020年12月に竣工し、地上13階建てで総戸数72戸。

大阪メトロが建物所有し、民泊運営は事業者に委託する。

【2019年11月6日】
レオパレス21、赤字拡大
施工不良問題に直面しているレオパレス21の業績悪化が止まらない。

入居率低下により、主力の賃貸事業が不振に陥り、空室が増えた場合のアパートオーナーに補填する損失も重くのしかかる。

アパートオーナー(賃貸人)とのサブリース(転貸借)事業の入居率が低迷したままで、改善の見通しが立たない。

2019年9月の入居率は80.07%で、施工不良問題が発覚した2018年春から連続して低下している。

入居率が80%を下回ると収支がマイナスの逆ザヤとなり、今後、その傾向が濃厚となる。

レオパレス21は、ホテル3棟、賃貸住宅、オフィスビルの売却で78億円を捻出したが、それでも赤字を補う事ができない可能性がある。

【2019年11月7日】
賃貸住宅の短期解約
居住用賃貸住宅を期間の定めがある契約した際、その後、定められた期間より短い期間で解約した場合、どうなるのか。

居住用賃貸住宅の賃貸借契約では、民法や借地借家法などが適用され、基本的に大家(賃貸人)より借主(賃借人)が守られいるため、期間の定めのある賃貸借契約でも借主(賃借人)が解約通知を出せば3ヶ月程度で解約できます。

ただ、なんでもかんでも借主(賃借人)有利の契約条項にすれば、賃貸住宅市場のバランスが崩れ、大家(賃貸人)がより借主(賃借人)を選別し、条件の悪い人が家を借りられなくなります。

一般的に居住用賃貸住宅の賃貸借の契約期間は1年〜2年程度で、期間内でもお互いに解約通知を出せば3ヶ月後に契約解除できるようになっています。

例えば、入居後の数ヶ月は無料のフリーレントや敷金礼金(保証金)がゼロ円など借主(賃借人)優遇の契約締結したにも関わらず、借主(賃借人)から入居後に1ヶ月程度で解約通知した場合は、少し事情が変わってきます。

1年以内の中途解約に違約金が発生する事は認められ、その額は家賃1ヶ月程度とみられています。

【2019年11月8日】
レオパレス21、入居率低迷
レオパレス21は施工不良問題に伴い、主力のアパート賃貸事業の入居率が2019年10月には79.49%となり、オーナーへの支払が家賃収入を上回る逆ザヤの基準となる80%を割り込んだ。

物件調査と改修工事のため入居者募集を停止している物件が多いのが要因のひとつ。

施工不良問題が発覚した2018年5月から入居率は低下傾向にある。

レオパレス21は、オーナー(家主)からアパート1棟を一括借上げし、入居者に転貸するサブリース事業を主力とし、一定賃料をオーナーに家賃保証している。

入居率が80%以下になると、レオパレス21が入居者から受取る家賃収入が、オーナーに支払う賃料を下回る逆ザヤになり赤字となる。

現在は、賃貸住宅やオフィスビルなど所有資産売却でしのいでいる。

ただ、このまま施工不良問題が長引けば、入居率改善も遠のき資金繰りがさらに悪化する。

施工不良の物件調査や改修工事は計画通りに進んでいない。

従来は85.2%だが、今年度の入居率は平均81.42%を見込んでおり、1%下がれば営業利益で40億円程度が減益になる。

【2019年11月9日】
アパート経営で相続税対策
更地などを相続税対策として賃貸アパートを建設する地主などが多い。

土地にアパートやマンションなど賃貸住宅を建設すれば土地の評価額が下がり相続税対策になる。

更地なら自由に利用できるが、賃貸アパートを建設すれば家賃収入こそあるが、入居者が住み続けるため土地は自由に活用はできなくなる。

土地の上に賃借権が生まれ、税務上は、地主の自由にならない財産として、その分、相続時の税額の評価額が下がり、節税につながるというもの。

不動産取引の実勢価格指数を100とする土地なら、土地評価額は路線価で算出し、路線価は国税庁が公表しており実勢価格の約80%程度とみられ、指数は80となる。

アパートを建設し賃貸すると土地は貸家建付地として扱い、アパートの入居者がいるため土地利用に制限があり、その分を評価額から差引きます。

借地権割合、借家権割合の数値があり、それを掛け合わせて減額する。

借地権割合はその土地により異なり、路線価と合せてA(90%)〜G(30%)で示されている。

地価の高いエリアほど、借地権は高めの設定になり、住宅地では60%〜70%程度とされる。

借家権割合は、全国ほぼ一律で30%です。

80%(借地権割合)×30%(借家権割合)=18%
指数80×18%=14.4
指数80−14.4=指数65.6

最終の土地評価は指数65.6になり、実勢価格の指数100から34.4ポイント減額できます。

その分が節税につながるカラクリになっています。

ただし、本筋は相続税節税ではなくアパート経営なので、アパートの入居率や家賃収入あって成り立つ仕組みでもある。

土地は所有していても、建物を金融機関から借入して建設すれば1億円前後の負債を抱える事になり、アパート経営がうまくいかなければその返済が滞り、担保として土地含めた差し押さえになれば元も子もありません。

【2019年11月9日】
マンション管理の品質制度化
マンションの管理会社などが、管理品質を適正評価する指標を策定する。

管理状況を資産価値に反映し、中古マンション売買の活性化につなげる。

首都圏の新築マンションの販売価格が高騰するなか、中古マンションの需要が増加している。

管理指数が普及すれば、中古マンションの購入希望者の目安にもなる。

マンション管理業協会はマンション管理適正評価研究会を立上げ、不動産協会や不動産流通経営協会などのマンション売買や開発に携わる業界団体も参加する。

マンション管理適正評価研究会は、管理に関する情報を中古マンション価値に反映させるための評価指標を作り、管理状態の総合評価を良好な順から“S・A・B・C・D”の5段階で示す事を検討する。

管理組合の議事録の有無や法定点検の実施など項目ごとにポイント化し、その合計の数値で総合評価する。

管理状況の見える化が進めば、居住者や所有者が資産価値を高め、維持努力を誘導しやすくなる。

評価指標の認知や普及が進めば、高い評価を得た物件は築年数や立地で算出される従来の中古相場を上回る売却額や販売価格となる可能性もある。

現在の不動産取引では中古マンションの管理状況について、購入者が契約締結する前の重要事項説明で認知する程度で、理解度はかなり低い。

新たに策定する評価指標があれば物件見学する時から、管理状況が把握できる。

また、新たな管理指標は売買価格だけでなく、管理費・修繕積立金の適正化を示す基準にもなる。

管理会社では、人手不足に伴い人件費の上昇が続いている。

最大手の東急コミュニティーは、契約更新時に管理委託費を2%〜5%程度の値上げ交渉を管理組合としている。

管理水準が客観的に示せるようになれば、管理会社も区分所有者の水準に見合った管理委託費を請求しやすく、区分所有者も適正かを判断できる。

マンション管理センターでは国土交通省の助成を受け、管理状況を公開する“マンションみらいネット”を開設したが、ただ、数万円の登録料や更新費用の他、PR不足もあり、利用する管理組合は370程度と低迷している。

今回は、費用負担を抑え、消費者の利用率が高い不動産サイトで情報を見られるようにする。

マンション管理適正評価研究会は新たな評価指標を2020年度にも立ち上げる予定。

【2019年11月10日】
投資用分譲マンション、賃料上昇
2019年10月の投資用分譲マンションの平均募集賃料は、東京都区部は1uあたり3716円と上昇が継続中で過去最高を更新している。

東京都も3547円と上昇し、千葉県も同様の傾向にある。

神奈川県は少し下落したが、首都圏では2911円と上昇している。

近畿圏は1892円と下落、中部圏は1678円と上昇。

【2019年11月15日】
民法改正で変わる賃借保証人
2020年4月から民法(債権法)が改正される。

改正民法は2017年に成立し、2020年4月に施行する。

アパートなど不動産を賃借する場合に必要となる連帯保証人の補償限度も変わる。

契約時に将来の債務額が特例されていない根保証の扱いが焦点となる。

アパートなどの住居を借りる際、貸主(大家)と借主(居住者)は賃貸借契約を締結するが、その際、必ず借主の連帯保証人を付ける事が条件となる。

借主の賃料未払いや住戸の損傷に対しての根保証となり、契約時点では保証額が定まっていない。

ただ、この連帯保証人になった場合、借主が不注意で火災を起こしアパート建物を全焼させてしまった場合も、貸主などの損害賠償請求される事もあり支払義務が生じる。

この事から、民法改正では、保証人を保護するため上限額(限度額)がない根保証の契約は無効となる。

また、金銭消費貸借契約などで、事前に金利を定めない場合に適用する法定利率も見直す。

現行は年利5%だが、民法改正で3%になり、今後は3年に1回、見直す。

【2019年11月17日】
首都圏、新築マンション価格高騰
首都圏の新築マンション価格が過去最高水準にあり、2019年1月〜10月の平均価格は6089万円となった。

ただ、売行きは鈍り、月間契約率は64.1%に低下している。

首都圏の過去最高価格はバブル期の1990年の6123万円。

現在、価格上昇の理由には、ホテルやオフィスビルなど都心部の建設用地を争奪しており、建設費用の上昇も加えてさらに新築マンション販売価格が高騰している。

購入層も、東京都心部が勤務地の共働きによって世帯収入が1000万円超のパワーカップルの増加が新築マンション購入を下支えする。

2018年に首都圏の新築マンションを購入した世帯の平均年収は960万円で過去最高で、1000万円超も増加している。

その内、共働き割合は7割弱で、低金利のうえ、返済余力が高まり、高価格帯の新築マンションも購入している。

パワーカップルのニーズは都心部や駅近の新築マンションに偏る。

首都圏の2019年1月〜6月の新築マンション発売戸数のうち、最寄駅から徒歩5分以内の比率は2015年比で10ポイント高い50%近く、売却する際は資産価値が下がりにくい利点がある。

新築マンション価格が高騰している背景には供給する不動産会社(デベロッパー)の減少がある。

主な不動産会社(デベロッパー)は2001年には429社あったが、2008年のリーマンショックや金融危機で倒産が続発し、2019年は110社まで減少した。

大手7社の不動産会社(デベロッパー)は、住友不動産、三井不動産、三菱地所、野村不動産、東急不動産、東京建物、大京。

この7社による供給は2007年には22%だったが、2018年は46%。

これら不動産会社(デベロッパー)のマンション事業は一部に過ぎず、オフィスビルや商業施設、物流施設、都市開発など多数手掛け、経営が多様化し資本体力がある。

しかも、売れ残りマンションを値引いてイメージを悪くするよりも、販売期間を長くして販売管理費等のコストが増加しても価格維持の方策を取っている

新築マンションを販売する不動産会社(デベロッパー)は、世界的に見て東京はまだ割安と読んでいる。

東京都港区元麻布にある高級マンション価格指数を100とすると、香港が212.8、ロンドンが197.4、ニューヨークが105.3となっている。

中国などアジア系の富裕層が投資目的でタワーマンションを購入する動きが東京都心などで目立ち、中国経済停滞に伴い勢いも減速しているが、今後も投資マネーは流入すると見られる。

不動産会社(デベロッパー)は、新築マンションは高価格帯を維持できると見ている。

物件に付加価値を付けるため、住戸の自由設計や地域交流などを売りする新築マンションも増加している。

ただ、高騰する新築マンション価格帯はすでに異常値に突入しており、年収倍率は2017年の東京で13倍になっている。

新築マンション価格が年収の何倍かを示す年収倍率は、2000年の7倍から倍近くになっており、1990年の18倍に近づいている。

新築マンション価格が今後も上昇し続ければ、それに年収が付いて行けず、高年収とて実需の需要が萎む可能性がある。

新築マンション在庫を抱えても値引き販売をしない不動産会社(デベロッパー)も、景気悪化など経済の歯車が逆回転すればどこまで耐えれるかは、バブル崩壊やリーマンショックですでに証明されている。

【2019年11月19日】
近畿圏、新築マンション発売減少
2019年10月の近畿圏の新築マンション発売戸数は1271戸と3割弱減少した。

価格上昇に加え、不動産会社(デベロッパー)が売れ残りを警戒し新規物件の売出しを遅らせた。

2019年11月の発売戸数は1500戸程度で、さらに実績を下回る。

大阪市内や郊外の新築マンションでは値引きする動きが出てきた。

【2019年11月19日】
スルガ銀行、シェアハウス物件放棄
スルガ銀行による不正融資で過大借入したシェアハウスの所有者が、物件放棄すれば借金返済を免除される調整を進めている。

スルガ銀行がシェアハウス所有者向けの貸出債権を事実上、放棄する方向になった。

土地建物の返却を条件に借金を帳消しにする異例の対応は、シェアハウス所有者側の弁護団が要求していたもの。

スルガ銀行のシェアハウス融資を巡って返済に行き詰る所有者と係争が続いている。

スルガ銀行はシェアハウス向け債権を第三者に売却するための入札手続きを行う。

投資ファンドなどが転売可能な価格を見積り応札する。

シェアハウスの所有者が土地と建物を物納すれば、借金返済を無くす事を債権売却の条件とする。

借入には自己責任が伴うが、スルガ銀行の書類改ざんなどで身の丈を超える借入した人が多発。

スルガ銀行は被害者補償の観点から、物納を受け入れる。

【2019年11月21日】
滞納管理費の支払義務
分譲マンションの管理費等を滞納する区分所有者に対し、管理組合が裁判所にに訴訟を起こし勝訴判決を得たのに、その後、いまだ滞納区分所有者から支払がない場合はどうしたらよいのか。

この場合、判決内容を実現するため、強制執行の手続きを取ります。

強制執行とは、滞納区分所有者が判決等に従った支払をしない場合は、裁判所等の国家権力の力を借りて、滞納区分所有者の財産から強制的にお金を回収する方法です。

一般的に強制執行の手法は、不動産、動産、債権に対する差押さえになります。

滞納区分所有者は当然のマンション住戸の不動産所有しているので、その住戸を差し押さえ、競売に掛けて、落札代金からお金を回収します。

住戸という不動産は数千万円規模になるから、最も確実な回収方法です。

そこまではいかなくても、数十万円の滞納額なら、動産に対する強制執行のあり、車や家財道具、家電製品などを差し押さえ、これらを競売に掛けて回収する事もできます。

現金があれば、競売する事なくそのまま回収できます。

ただ、生活に欠かせない動産や職務上不可欠な動産などは差し押さえが禁止されています。

債権に対する強制執行は、滞納区分所有者が有している債権を差し押さえ、その債権を債務者から取り立てる事もできる。

滞納区分所有者が銀行に預金債権(預貯金残高)を有している場合、銀行に対して判決で認められた金額を払うよう請求する事ができる。

差し押さえ範囲は裁判所から差し押さえの書類が銀行に届いた時点の滞納区分所有者の預金額に限られるので、その時点で預金額が債権額に満たない場合は当然に全額回収できません。

債権差し押さえの場合、滞納区分所有者の生活保護という趣旨から、給与等の請求権は3/4に相当する額の差し押さえは禁止され、国民年金受給権や生活保護受給権はその全部が差し押さえを禁止されている。

【2019年11月22日】
中古マンション、価格下落
2019年10月の中古マンションの平均希望売出価格は70u(21坪)あたり首都圏で3682万円(175万円/坪)で下落している。

東京都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、文京区)は8027万円(382万円/坪)、東京23区は5609万円(267万円/坪)で下落した。

埼玉県、千葉県は上昇したが、東京都、神奈川県の高価格帯地域が下落し始め首都圏の平均を押し下げた。

近畿圏は2369万円(112万円/坪)で上昇、中部圏は1925万円(91万円/坪)で下落した。

【2019年11月23日】
中古マンションをリノベーション
リフォーム済、リノベーション実施などで販売される中古マンションが増加している。

新築マンションの価格高騰で、割安感のある中古マンションにニーズが動いている他、購入者の希望通りに間取り変更できる中古マンションの魅力もある。

一般的に、リフォーム済中古マンションは個人の売主が価格を高めで売りやすいように間取りはそのままでキレイに内装工事を実施する。

一方、リノベーション中古マンションは不動産業者などが物件を購入し、スケルトンにして自由設計のように一からデザインして販売する。

最近は古いマンションでも住戸はデザインに凝った新築同様に生まれ変わる物件が増加している。

ただ、リフォームであれ、リノベーションであれ、内装工事を実施できるのは専有部分のみで、建物躯体や共用部分の配管などは手を付けれない。

デザイナーズ住戸のような見た目に惑わされて購入後、換気不全などで結露が発生したり、上層階や壁面からの漏水などで水浸しになる事もある。

分譲マンションは管理組合が主体で建物や設備を管理して修繕している。

管理組合が機能していないと、どれだけ住戸内をキレイにしていても、マンション内のエントランスやエレベーター、消防設備、給水排水設備が古いままで修繕工事を実施していない事もある。

中古マンションを購入する際は、リフォームやリノベーションされたキレイな住戸だけでなく、そのマンションの過去5年分くらいの総会議事録、会計報告書、長期修繕計画、修繕履歴は最低でも理解する必要がある。

【2019年11月23日】
民泊運営コスト削減
急増する訪日外国人への対応を急ぎ、IoTを活用した省力化投資が進む。

民泊事業を展開する楽天LIFULL・STAY山梨県河口湖の湖畔近くで運営する別荘風の戸建て型民泊施設はIoT設備が装備されている。

施設には人員は配置せず、予約時に通知される番号を入力し、ドアを開閉するスマートロックを解除して入室する。

部屋にはSIMカードを内蔵した専用タブレットが置いてあり、予約番号や住所氏名を入力し、チェックイン手続きを進める。

訪日外国人の本人確認もIoTを活用し、楽天が開発したAI顔認証システムで、タブレットのカメラで顔を撮影して送信、パスポート写真と実際の顔を照合、本人確認ができる。

タブレットにはテレビ電話機能も搭載し、コールセンターの担当者とも本人確認やサポートが受けられる。

騒音対策は、部屋に騒音センサーを設置し、話し声や音楽などの音を一定レベルを超えると管理者に通知し、備え付けタブレットに連絡が入り近隣住民とのトラブルを防ぐ。

このシステムを利用すれば、1部屋あたりの対応時間を80分から30分に短縮できる。

1人で3施設を管理できるようになり、大幅な省力化につながり、施設運営にかかるコストを1/3に削減できる。

【2019年11月25日】
レオパレス21、業績悪化
レオパレス21がアパートオーナーから借上げサブリース(転貸借)する賃貸事業の入居率が2019年10月に損益分岐点の80%を下回った。

入居者からの家賃収入とアパートオーナーへの支払いで逆ザヤが発生する水準で、資金繰りに影響を及ぼす。

レオパレス21は自社所有不動産を売却し資金を確保するが、その不動産も残り少ない。

ホテルなど3棟を160億円で売却したが、ホテルは築30年以上の1棟だけとなり、グアムの大型リゾートホテルは簡単には買手は見つからないと予測する。

賃貸不動産も、築20年〜25年の木造住宅が多く、高値で売却できる不動産は限られる。

2019年10月の入居率は79.49%で、偽装施工問題発覚後は下がり続けている。

物件調査や改修工事が完了した物件も増えつつあり、2020年春の引越シーズンに向けてアパートに入居が増加すれば経営は改善に向く。

2020年3月までに入居率85%を確保する事がレオパレス21の経営安定の目安となる。

【2019年11月27日】
世界のマンション価格
世界主要都市の不動産調査で、2019年10月のマンション価格の上昇率が最も高かったのは大阪だった。

国内外の富裕層らの高額物件取得がけん引した。

大阪は東京に比べ割安な物件が多く、上昇余地がある事が背景にあり、東京のマンション価格の上昇率は1%にも満たなかった。

賃料の変動率は6居で、東京のマンション賃料は高く、変動率全体では2位と順位を上げている。

取得価格の上昇が賃料に反映されている側面もある。

政治不安がある香港はマンション価格がマイナスが続くが、減少幅は縮小し最下位を脱しているが、オフィスは価格、賃料とも下落している。

世界の不動産調査はアジアや欧米の都市で、不動産鑑定士が物件価格や新規契約賃料を調べ指数にする。

【2019年11月28日】
マンションの空き家でトラブル
分譲マンションの空き家住戸から下階の住戸に水漏れが起こった場合、被害者は上階住戸の区分所有者に当然に損害賠償請求ができる。

ただ、区分所有者は亡くなったまま所有権移転登記をせず、相続人も不明の場合はどうしたらいいのか。

建物が築15年を超えたり、高齢の居住者だったりすると、と排水管や水回り設備から漏水を起こす事がある。

上階に居住者が不注意で水漏れを起こせば、下階の居住者は水で濡れた室内を原状回復工事などを請求できる。

この場合、上階の居住者が加入している損害保険で補償するが、加入していない場合は管理組合が加入しているマンション総合保険の個人賠償責任保険でも補償できる。

この時の賠償は時価であり新品同様になる訳ではないが、現実の古い仕様の原状回復工事は無理なため、一部分だけだが新品になっている。

空き家の漏水は、原因は排水管か壁やベランダなど躯体から雨水が侵入している可能性もあり、この場合は共用部分になる事が多く、管理組合が損害を負担する。

排水管は竪管は共用部分だが、そこかは横に延びる横引き管は専有部分に該当するのが一般だが、それも調査してからの判断になる。

マンション総合保険には、先の調査に対する費用も限度額はあるものの支払われる。

住戸の区分所有者が不明の場合、漏水事故以外に管理費等の長期未収金が多額になっている事がある。

回収方法として、債権者(管理組合)が家庭裁判所に相続財産管理人を選任してもらい、相続財産管理人がマンションの住戸を売却し、その代金から滞納管理費等を支払ってもらえる。

ただ、この手続きには予納金を納めるなど諸費用が掛かる。

多額の住宅ローンなどが残っており、申立人(管理組合)が債権を回収できない事例もある。

【2019年11月29日】
マンション保険、値上げ
分譲マンションの管理組合が加入する損害保険の値上げが相次いでいる。

老朽化が著しいマンションが増加し、排水管や建物劣化に伴い漏水事故が多発し、漏水事故の保険金支払が膨らんでいる。

さらに大型台風などによる浸水など自然災害も多発し、マンションの共用部分に大きな被害が出ており、これらも損害保険の対象となる。

管理組合は値上げに伴い、5年の長期など契約更新に注意を払いたい。

分譲マンションには2種類の損害保険があり、区分所有者が購入した住戸に加入する専有部分の損害保険と、管理組合が加入する建物全体や共用部分の損害保険がある。

値上げするのは管理組合が加入するマンション総合保険。

損害保険各社は、数年前から損害保険の値上げをしており、2019年10月にも改定した。

変化率は地域やマンションの規模や築年数により違いはあるが、東京都内の物件では1年契約で20万円だったのが25万円の値上げもあった。

2012年以降は、築年数により保険料に差を付ける仕組みも浸透し、1年ごとに保険料が数%上がる仕組みになっている。

共用部分保険の期間は最長5年で、更新する際、過去数回のベース保険料の上昇がまとめて反映される上、築年数が古くなった分を加算されるマンションもある。

5年前に契約した金額より、数倍に膨らむ例が出ており、前回100万円程度だった保険料が、5年後の今回は200万円近くに増加しているマンションもある。

値上げの原因は、大量供給した分譲マンションの築年数が30年超になり、建物の老朽化や設備の劣化に伴い漏水事故などが増えている。

共用部分保険は主契約が火災補償で、水濡れなどは特約で補償している。

鉄筋コンクリート造のマンションでは、火災は少ないため、保険支払対象で一番多いのは漏水事故。

住戸の専有部分での配管で水漏れが起これば、当然にその区分所有者が下階の被害者に対して損害賠償責任を負うが、マンション総合保険では個人賠償責任特約が付いている事が多く、結果的に専有部分での漏水でも保険金支払が発生している。

漏水事故を起さないよう建物設備点検や調査は欠かせない。

日新火災海上保険は2015年からマンション管理士が給水管や排水管の工事実施状況や長期修繕計画の設定などを診断し、高評価を受けると平均20%〜30%程度の保険料を引き下げる商品を提供する。

損害保険会社は2019年10月、各マンションの事故率で保険料を変える制度を一斉に導入した。

一定期間の事故数をマンション戸数で割って事故率を算出し、2%以下など低水準なら保険料を大幅に下げる。

事故が少ないマンションに対しては、独自基準により保険料の割引制度を導入している。

修繕積立金が足りずに工事を実施できない管理組合が保険料を下げるには、賠償特約に免責を付けると若干下がる事もある。

1%〜5%など免責額を設定すれば、保険料が総額で数万円〜数十万円下がる事もある。

免責額以下の事故は保険金請求が不可能になり、その分だけ事故数が減り、次回更新時の事故率算定にも影響する。

ただ、やみくもに保険料の特約を外すと、いざ使いたい時に対象外になる事もある。

台風でタワーマンションの地下にある建物設備が浸水した時、水災特約があれば補償される事もある。

そのマンションに適した保険内容と保険料を検討する事が大切である。

【2019年11月30日】
12月
増加する副業大家
首都圏のワンルームマンションの発売戸数は2018年で7800戸で、景気浮上し始めた2012年以降で最多となった。

会社員の職住近接が主流となり、東京都内の板橋区や練馬区など住宅地域が構成されたエリアが人気を集める。

現在のワンルームマンションの投資家は会社員で、20代から共働き世帯まで幅広く、年収も400万円〜500万円程度と一般的所得者。

貸家業向け貸出残高は、2012年の26兆円から2019年には30兆円に膨らみ、借入に自己資金を加えれば不動産投資額の金額はさらに膨らむ。

ワンルームマンションブームの背景には低金利の長期化で、預貯金の利息はほとんど付かないのに対し、ワンルームマンションの賃料収入表面利回りは5%〜10%あり、他の金融商品よりも高い。

さらに副業を後押しする企業の影響もあり、不動産管理業として法人登記をすれば、借入の融資枠も増加する。

ただ、不動産投資は賃借人があっての賃料収入となり、空室を抱えればたちまち赤字に陥る。

多額の融資を受けてアパート建設した問題も表面化し、後から家賃を減額されて支払が滞るケースも多い。

現在は金利が低く返済に支障はないが、将来、金利が上昇した場合、その金利負担で返済できるかも計算しておいた方がよい。

【2019年12月5日】
新築マンション、竣工在庫増加
新築マンションは建物を建築中に全て売切る竣工時完売や即日完売などが不動産会社にとって理想と言われる。

不動産会社が新築マンションを開発するには、用地取得や建物建設、販売経費などの投資が先行し、売却して資金を回収するまで時間が掛かる。

ただ、新築マンション価格高騰が続く首都圏では、竣工時完売の比率は5割を割り込む。

価格上昇のため売りにくい局面でもあるが、売り急がなくてもよい事情もある。

東京都江東区の東京湾岸に建つ大規模マンションのシティタワーズ東京ベイを開発する住友不動産は、トリプルタワーの総戸数1500戸超で2019年7月に竣工したが、いまだ55%程度を販売している。

野村不動産は2020年1月に竣工する東京都渋谷区に建設するプラウド渋谷本町は、新宿と渋谷が生活圏となる好立地で、60u〜70u程度の2LDKは8000万円前後だが、70戸近くは成約済。

販売手法が対極的な両社で、住友不動産は在庫を抱えても値引きせず購入できる顧客に販売し、野村不動産は富裕層など顧客情報、商品力やブランド力で竣工前に完売できる新築マンションを販売する。

この開発力は、無形資産の“のれん”として不動産業界では一目置かれている。

首都圏で2018年に竣工した新築マンションのうち、完成前に分譲完了した比率は49%で、2016年から半数を下回っている。

1980年以降では、最も高い1986年の97.5%で、2000年代から低下傾向が続いている。

ただ、増加しているのが竣工後も販売継続する新築マンションで、2018年は32%と高水準となり、大手不動産会社に絞ると52.4%にのぼる。

資金力のある大手不動産会社が新築マンション市場のシェアを広げ、販売価格の上昇圧力も強まっている。

竣工後も売り続けれるのは販売価格の高騰にもある。

2018年の首都圏の新築マンション価格の平均年収に対する倍率は11倍で、東京都限定では13.3倍で上昇し続けている。

一般世帯では東京都心で新築マンションを購入するのは困難な価格帯になっている。

それでも購入できるのは富裕層など、経営者や高年収の共働き、資金が豊富な高齢者などに限定される。

良質なマンションを吟味し無理して購入する必要のない購入者と、高価格帯でも購入できる世帯向けのマンションを開発する不動産会社の関係が築かれている。

【2019年12月6日】
レオパレス21、入居率低迷
レオパレス21は、アパート賃貸事業で2019年11月の入居率が79.21%となり、損益分岐点の80%を下回った。

入居者から得られる家賃収入が、オーナーへの家賃支払を上回る逆ザヤになる水準。

レオパレス21は春の繁忙期に向けて、不備のある物件の改修工事を進めるが、入居率は低迷が続く。

レオパレス21は3万9085棟すべてを調査し、施工不良が発覚した物件の改修工事を実施している。

施工不良物件は2万9774棟あり、その内、900棟で改修工事が完了した。

【2019年12月7日】
パナソニックホームズ、宿泊事業参入
パナソニックホームズは大阪市内で宿泊事業に参入し、大阪市の国家戦略特区民泊制度を活用する。

外国人観光客のニーズ対応するが、需要変化に応じて賃貸マンションへの転用可能な建物にする。

大阪市中央区の特区民泊を活用した10階建ての施設を開設し、設計や施工はパナソニックホームズが行った。

パナソニックグループの不動産会社が、土地・建物を一括借上し宿泊事業者に転貸する。

40u程度の部屋が54室ある。

【2019年12月12日】
多才能を発揮するマンション管理員
分譲マンションには基本的に1階の管理事務所に管理員が常駐している。

その管理員のなり手は定年退職をしたシニア層が多い。

元の仕事を活かし、接客や営業のスキルを発揮している管理員が増加している。

コニュニケーション力や柔軟な対応力、笑顔や気配りなど居住者の目線は厳しく、求められる能力も高まっている。

東京都豊島区のタワーマンションでは総戸数400戸の大規模マンションのため防災センターが設置され、そこで居住者の入居概要や建物設備の点検などを管理する。

働くスタッフは警備や清掃など15人程度おり、そのグランドマネージャーの前職は高級ホテルで英語も堪能で外国人居住者の相談にも応じる。

東京都港区の高級マンションの女性管理員は、設備点検や清掃などの日程調整をこなす。

前職は銀行や外資系不動産会社などで役員を務め、10年以上の外国勤務を経て定年を迎えた。

高級マンションに住む富裕層の居住者への気配りや会話は前職ならではのスキルとも言える。

2000棟近い分譲マンションを管理する住友不動産建物サービスは、チームワークで仕事をした人に管理員は適しており、大規模マンションになると管理員や清掃員が複数人になる事からマネジメント能力のある人が求められると言う。

管理員は、居住者の要望に臨機応変に対応する能力が求められ、仕事経験が豊富なシニア層には適している。

ただ、ほとんどの分譲マンションの管理員は1人勤務が多く、清掃から点検など全て自分でしなければならないため、口だけの仕事では成り立たない。

【2019年12月12日】
住み放題、定額制で賃貸住宅
多地域で居住でき、定額で各地の賃貸住宅に暮らせる会員制サービスがある。

都市と地方を結ぶ地方の自治体も協力体制を築く。

東京都千代田区のアドレスは月額4万円から、各地のシェアハウスに住めるサービスを手掛ける。

物件は北海道から九州まであり、会員はいつでも使える拠点を1ヶ所持ち、他のシェアハウスは予約制で、1ヶ所につき連続7日間の滞在ができる。

全国の移動も全日空を提携し月額2万円〜3万円の定額で月4回利用でき、JR東日本とも連携する。

物件には家守(やもり)という管理人を置き、会員が地域に溶け込めるよう手助けする役割を担う。

シニアや富裕層向けの住み放題を手掛けるのは東京都千代田区の全国渡り鳥接勝倶楽部。

各地の別荘やマンションを借上げ、会員に月単位で賃貸し、利用料は入会金の他、月額15万円〜20万円。

大分県国東市は海を望む古民家、熊本は実業家から阿蘇にある別荘を借り、京都の町家や東京都のタワーマンションも揃えてニーズに応える。

地元のコンシェルジュが生活ルールを教え、地元での体験も味わえる。

泊まるのではなく、その地で暮らす住み放題サービスで、交通費も抑えられ、何度でも訪れるため故郷に感じる事ができる。

【2019年12月16日】
投資用分譲マンション賃料、高値水準
2019年11月の投資用分譲マンションの平均募集賃料は、東京23区が1uあたり3722円と上昇している。

東京都全体では3537円、神奈川県も含め下落に転じた。

家賃水準の高い東京23区が上昇しており、首都圏全体では2916円と高値水準となる。

近畿圏は1874円と下落、中部圏は1701円と上昇した。

【2019年12月17日】
ヤフー、賃貸仲介事業変更
ヤフーは、日本国内の不動産賃貸仲介事業で、インドの格安ホテル運営を手掛けるOYO(オヨ)ホテルズアンドホームズとの合弁関係解消した。

不動産賃貸サービス“オヨライフ”を手掛け、空き家や空き部屋をオーナーから借上げ、サイトを通じて貸出てたが、複数のオーナーから契約を巡るトラブルが発生していた。

【2019年12月18日】
首都圏、マンション発売減少
2018年11月の首都圏の新築マンション発売戸数は3293戸と減少した。

東京都区部を中心に減少し売行きも低調で、大型物件の発売予定されるが、2019年の発売戸数は3万1000戸強と前年を大きく下回る見込み。

【2019年12月18日】
近畿圏、マンション発売減少
2019年11月の近畿圏の新築マンション発売戸数は1492戸と減少した。

価格上昇に加え、投資目的での購入が減少し、不動産各社が大型物件の発売を遅らせた。

2019年12月の発売戸数も2000戸程度と減少する見通し。

契約率は60.1%と好不調の目安の70%を下回った。

大阪府や兵庫県で1住戸あたりの価格が上昇し、ファミリーマンションの購入が減少している。

【2019年12月18日】
プレサンスコーポレーション、事件で社長交代
マンション開発会社のプレサンスコーポレーションは、大阪府熊取町の学校法人・明浄学院を巡る21億円横領事件で、プレサンスコーポレーション社長が逮捕された事を受け、副社長に代表権を与えた。

取締役会で決定し、プレサンスコーポレーション社長の業務執行が逮捕により困難になっていた。

【2019年12月18日】
神戸市郊外の駅近マンションを後押し
神戸市は、郊外駅近の市有地を提供し、2024年までに1850戸分の民間マンション整備を促進する。

三宮周辺の都心部ではタワーマンション建設を規制し、郊外に住民を呼び戻す政策を推進する。

ニュータウンにある既存住宅も売買活性化させるため、専門家の相談窓口を設置する。

神戸市営地下鉄西神山手線の名谷駅、西神中央駅、JR垂水駅の3駅周辺で、市有地を活用し民間マンション開発を促す。

30年以上前に開発されたニュータウン地区で、高齢化や人口流出で居住者が減り、低水準の住宅供給を増加させ、人口も増やしたい考え。

利便性の高い駅前にマンションが建てば、ニュータウンの戸建て住宅からの住替えも期待できる。

名谷駅と西神中央駅には、戸建て住宅の売買相談に応じる窓口を設置し、不動産の専門家がリフォーム支援制度の紹介を手掛ける。

神戸市は2020年7月から都心部の三宮周辺でタワーマンション規制を発動する。

神戸市西区や須磨区は人口減少に歯止めを掛けるため、投資の重点を置く。

神戸市北区の鈴蘭台駅も街の再生に力を入れる。

【2019年12月19日】
首都圏、新築マンション発売増加
2020年の首都圏の新築マンション発売戸数は3万2000戸程度と2019年より増加する見込み。

東京都区部の駅近や湾岸などの大型物件が発売予定されるが、価格上昇で売行きが鈍り、マンション用地が少なくなってきており、今後は発売戸数は低調に推移すると見られる。

直近の発売戸数は2018年の3万7132戸、2019年は3万1300戸になり、低水準が続いている。

【2019年12月20日】
近畿圏、新築マンション発売増加
2020年の近畿圏の新築マンション発売戸数は1万7000戸程度と2019年より増加する見込み。

建築コスト増などで価格上昇に買い控えが目立ち、供給は微増にとどまる。

大阪市は7700戸と土地価格上昇で用地確保が難しく、ファミリーマンションの供給が減少。

京都市は1300戸、神戸市は1900戸と共に増加し、逆にファミリーマンションの供給が増えている。

【2019年12月20日】
プレサンスコーポレーション、社長単独犯か
大阪府熊取町にある学校法人の明浄学院の土地売買契約を巡る横領事件で、マンション開発業者のプレサンスコーポレーションは、業務上横領容疑で逮捕された社長が学院理事長に貸付た18億円について、会社として把握していなかったとしている。

18億円は学院理事長が学院の経営権を握るための原資に使われ、プレサンスコーポレーションの新社長は、会社として支出した記録はないと説明。

プレサンスコーポレーションは2017年7月、明浄学院が運営する大阪市阿倍野区にある明浄学院高校の土地一部をダミー会社に迂回させ取得する契約締結した。

プレサンスコーポレーション社長は逮捕前に、土地売買に先立ち、資金が必要との要望で18億円を個人的に明浄学院に貸付たが、学院理事長に資金が渡るとの認識はなかったと、着服の否定をしていたと言う。

結果的に土地売買の手付金21億円を着服したとして業務上横領容疑で逮捕された。

【2019年12月24日】
中古マンション価格高値水準
2019年11月の中古マンションの平均希望売出価格は70u(21坪)換算で、東京都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、文京区)が8050万円(383万円/坪)と小幅な上昇となった。

千代田区や渋谷区の8000万円代の高価格帯物件が多かった。

東京23区は5609万円(267万円/坪)、東京都は3697万円(176万円/坪)だった。

近畿圏は2378万円(133万円/坪)、大阪市中心部は4477万円(213万円/坪)で上昇し、中部圏は1923万円(91万円/坪)は小幅下落した。

【2019年12月25日】
住宅設備故障の保険
東京海上日動火災保険は賃貸住宅の管理会社向けに、住宅設備が故障した場合の居住者への家賃減額分を補償する保険を扱う。

2020年4月の改正民法で、トイレやエアコン、ガス機器など賃貸住宅の設備が故障した際は、オーナーが家賃の一定額を値引く必要がある。

東京海上日動火災保険はその値引き分を補償する。

民法改正で、賃貸住宅の設備故障した場合は家賃は減額されると明記される。

その場合でも家賃請求可能だった従来ではなく、設備使用できない債務不履行とみなされ家賃減額が認められる。

ただ、家賃減額率などで賃貸住宅のオーナーや管理会社、居住者の間で家賃を巡るトラブルも発生しやすくなる可能性がある。

【2019年12月26日】
マンション向け蓄電池リース
東京電力エナジーマートナーが出資する東京都墨田区のTEPCOホームテックは、マンション居住者向けに蓄電池リースを手掛ける。

台風など相次ぐ大規模災害で集合住宅の災害対策のニーズが高まり、非常時の電源として蓄電池が活用できる。

首都圏の集合住宅の居住者向けを中心に、月額1万円弱の料金で小型蓄電池を設置する。

居住者は平時時は蓄電池に電気を溜め、停電時には家電の操作や携帯電話の充電などに使う。

TEPCOホームテックは戸建て住宅向けの蓄電池リース事業を開始しており、集合住宅向けには展開はしていなかった。

家庭向けの小型蓄電池は、これまで高額費用がネックで普及していなかった。

リースにより初期費用を抑える事で、これまで蓄電池の導入をためらう家庭の需要を開拓している。

集合住宅向け事業を拡大する背景に、マンションの防災対策の重要性が増している事ある。

大規模台風等でタワーマンションが水害で停電する事態に陥るなど、気候変動の影響で大規模災害は今後も増加すると予測されており、マンションでの蓄電池は今後は増加すると見られる。

【2019年12月30日】




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