経済見聞録マンション情報

■2020年■


■経済見聞録■  ■目次■


初述:2020年 1月 8日
改訂:2020年12月26日



1月
大阪中心部、都市型マンション急増
大阪市中心部のビジネス街にマンションが急増し職住接近の街へと変貌している。

大阪市等への届出済の建設計画では、新規物件の6割近くがマンションなどの共同住宅だった。

企業が都心の自社ビルを売却し梅田など大規模オフィスビルに移転し、その跡地がマンションに生まれ変わる循環が生まれている。

大阪市中心部のオフィス街で、3年後までに完成する民間の新規建設計画は160件程度で、内訳はマンションが55%、ホテルが23%、オフィスビルが13%。

元の敷地はオフィスビルが57%、駐車場・更地が26%で、オフィスビルがマンションに変わっている。

背景には梅田や中之島の大規模再開発に伴い高機能高性能な大型オフィスビルが建設されている事にある。

日本IBMは肥後橋の自社ビルを売却し、中之島フェスティバルタワーウエストに入居し、自社ビル跡地はマンションが建設されるという。

企業の敷地の広い自社ビル跡地はタワーマンションが建ち、中小ビル跡地は投資用マンションが建つ事が多い。

堺筋本町東側の中央大通沿いには帝人ビルディング跡地に、JR九州などが37階建てのMJR堺筋本町タワーを建設しており、平均価格は7600万円と高額だが、契約者の65%は実需で購入している。

他の大阪府内の注目エリアとしては、JR新大阪駅周辺のオフィス開発計画は、10階建て程度のビルは3件のみ。

ホテル計画も無く、リニア中央新幹線が新大阪駅まで延伸するのは2037年、北陸新幹線は2046年とまだ20年近くも先の話しで開発機運は高まっていない。

大阪湾の夢洲(ゆめしま)周辺では大阪メトロが夢洲タワーを建設する計画があるが、他にはまだない。

関西国際空港の対岸にあるりんくうタウン周辺では、関空アイスアリーナやりんくうプレミアムアウトレットの増設や大型ホテルなどが完成し、訪日外国人向けの再開発が動いている。

《オフィスビル跡地のマンション等建設》
〔旧ビル名〕帝人ビルディング 〔所在地〕大阪市中央区南本町 〔建替後用途〕マンション
〔旧ビル名〕瀧定大阪本社ビル 〔所在地〕大阪市中央区備後町 〔建替後用途〕マンション
〔旧ビル名〕イトキン大阪本社ビル 〔所在地〕大阪市中央区久太郎町 〔建替後用途〕ホテル・マンション
〔旧ビル名〕日本IBM大阪事業所 〔所在地〕大阪市西区靭本町 〔建替後用途〕マンション
〔旧ビル名〕東洋ゴム工業本社ビル 〔所在地〕大阪市西区江戸堀 〔建替後用途〕ホテル
〔旧ビル名〕ラピーヌ本社ビル 〔所在地〕大阪市北区天満 〔建替後用途〕マンション

【2020年1月8日】
アパートローンの保証不要
2020年4月の改正民法の施行により、金融機関が融資条件の個人保証を見直す。

個人が貸家を建てる際のアパートローンで、法定相続人の連帯保証を原則廃止する。

ローン主体の債務者が返済が滞ると、保証人の生活にも影響が及ぶ問題がある。

今後は借金を連帯する保証人になる前に、公証人に引受の意志を示す必要がある。

保証人の設定手続きが煩雑になり、大手金融機関では原則として保証人を取らない方針。

2015年に相続税課税が改定され、節税効果のあるアパート建設が急増した。

相続税対策で高齢者が長期の事業資金を借り、当人が亡くなった時に法定相続人に債務を引継ぐ融資条件を付帯していた。

アパートローンは銀行競争が過熱し、スルガ銀行では不正融資が蔓延化し、担保割れでも個人保証があるため審査が甘くなっていた。

今後、個人保証が無くなると審査が厳しくなったり、融資の貸出金利が高くなる可能性がある。

【2020年1月13日】
インド系不動産、賃貸撤退
インドの格安ホテル運営会社のOYO(オヨ)ホテルズアンドホームズは、日本国内の不動産賃貸事業で大阪と名古屋から撤退する。

2019年にソフトバンクグループと提携し日本国内で事業拡大する予定だったが、稼働率が低迷したままだった。

今後は首都圏のみで展開する。

2019年3月に不動産賃貸会社のオヨライフを立上げ、空き家や空室をオーナーから借上げ、ネットで募集し貸す予定だった。

敷金礼金、仲介手数料を不要にしネットですべて完結するシステムだが、稼働率が伸び悩み一部物件のオーナーと売上最低保証を巡るトラブルも発生していた。

賃貸事業の伸び悩みから、ソフトバンクグループとは2019年11月に資本関係を解消しした。

【2020年1月15日】
神戸市、分譲マンション管理認証制度変更
神戸市はマンション管理支援制度検討会で、管理状況が良好な神戸市内の分譲マンションを優良として認証する制度を白紙にして別の制度で検討する。

代わりに修繕積立金総額や滞納状況などを任意で公開する情報開示の仕組みを提示した。

認証制度が無くても他の制度で不動産市場の評価材料になるとみる。

分譲マンションの管理状況に関する神戸市への届出と、神戸市のホームページで管理詳細を公開する情報開示の2制度とする。

神戸市内の分譲マンションを対象に3年に1回、総会の毎年開催や修繕積立金徴収の有無について届出を義務化する。

地域の自治会との交流や防災訓練実施の有無なども把握する予定。

届出した分譲マンションを対象に、管理状況の詳細を外部からも評価できる情報開示制度を設ける。

修繕積立金徴収の有無だけでなく、修繕積立金総額や借入金の残高、大規模修繕工事の履歴や今後の計画などの公開を検討し、提出は任意で、毎年の情報更新を想定する。

制度は管理組合の総会や理事会の議決を条件とする。

管理組合の設立や、管理状況の悪い分譲マンションに対する適正な維持管理への支援も強化する。

神戸市によると、神戸市内の分譲マンションの管理組合は3500程あり、認証制度については管理組合から一気に書類が提出された場合、神戸市が迅速な処理能力があるのかも課題となる。

神戸市は、情報開示が分譲マンションにとってインセンティブとなり、不動産市場で評価されれば情報開示も有効と捉えれる。

情報開示のと開示内容を充実させる事で、認証制度は不要と判断した。

分譲マンション適正管理制度では、東京都が管理組合の届出を受けて優良と評価する制度を運用しているが、修繕積立金総額や借入金残高などの公開までは踏み込んでいない。

ただし、分譲マンション比較で滞納件数と総額は公開できても、1年後の会計報告で収支が悪化しても訂正しなければ、誤った情報が残る懸念がある。

虚偽の情報で不動産取引すれば、被害が出たときの責任の所在が問題となる。

管理組合や神戸市に対しての罰則は難しいが、自発的に正しい情報を掲載するような仕組みが必要となる。

分譲マンションの管理組合に対して強制するわけではないが、適切な管理の要素として修繕積立金や滞納総額の状況などは重要な情報となり、神戸市は制度を早期に整える考え。

【2020年1月16日】
神戸市、マンション管理認証制度白紙へ
神戸市は、神戸市内の分譲マンションの管理状況が良好物件を優良として認証する制度を取り下げる。

神戸市は管理組合に適正な管理を促すため、管理状況の届出制度と情報開示制度を新設する予定。

この2つの制度で認証制度の情報範囲も把握でき、マンション管理の適正化が進むと判断した。

【2020年1月16日】
マンション、大規模修繕工事の事情
マンションでの建物修理や設備更新などに対応する大規模修繕工事の修繕積立金が不足する管理組合が多い。

●永続するマンション、退廃するマンション
昭和時代までの分譲マンションは戸建て住宅を購入する前の通過点でしかなかった。

ただ、人口減少や少子高齢化、都心回帰など時代の変化と共に分譲マンションに永住する人が増加した。

このため分譲マンションの建物永続や管理組合の役割が重要になってきた。

12年周期で実施する大規模修繕工事が建物永続には欠かせない。

ただ、近年の建材値上げや人手不足による工事費高騰が著しい。

大規模修繕工事の原資となるのは区分所有者が支払う修繕積立金である。

要は各区分所有者がしっかりとした収入や資産があれば、管理組合の会計も安定する。

管理組合がしっかりとするには資産価値の高いマンションである必要もある。

駅近いの生活環境が整ったマンションなら空き家率も低く管理組合運営もしっかりとする。

逆に郊外の不便な立地にあるマンションなら空き家が増加し、理事会役員のなり手不足や高齢化に伴い管理組合運営に支障をきたす。

古いマンションでも手入れをきちんとすれば見栄えもよく中古市場に出ても買手がすぐにつき、敷いては資産価値も上昇する。

それには管理組合の会計を安定させ、定期的に維持保全を行い、大規模修繕工事もきちんと実施する事が重要となる。

●大規模修繕工事の実施に伴い
マンションの大規模修繕工事を実施するにあたり発注者は管理組合である。

ただ、管理組合の組合員は工事の知識や経験が乏しいため、そのため1級建築士などのコンサルタントに依頼し、大規模修繕工事を実施する施工業者との調整や助言を行う。

大規模修繕工事は居住しながら実施するため、足場や窓回りなどのセキュリティも重要となる。

大規模修繕工事は、調整診断、基本計画、基本設計、実施設計、工事実施、アフターサービスの流れで進み、中規模マンションで半年、タワーマンションなら2年近く掛かる事もある。

このため管理組合は理事会とは別に修繕委員会を設置する事が多い。

大規模修繕工事の準備段階では、竣工図面や修繕履歴、総会・理事会の議案書・議事録、管理規約などの書類や資料を揃える必要がある。

コンサルタントを選定した後は、1級建築士の助言や提案などを受けて施工業者をコンペ方式で公募する。

その際の各施工業者の見積書も比較しやすいよう同じ基準の雛形の見積書で依頼する。

その見積書を基に得意分野や価格差などからランク付けを行い施工業者を3社程度に絞り込み修繕委員会でまとめ、施工業者の工事説明会を開催し、最終決定は臨時総会を開催して決定する。

大規模修繕工事が総会で可決されれば、あとは工程表に沿って工事を実施していく。

●大規模修繕工事実施のためのすまい・る債
住宅金融支援機構の大規模修繕工事のための支援制度として、修繕積立金の計画的な積立を支援する“マンションすまい・る債”および大規模修繕工事等の工事費を融資する“マンション共用部分リフォーム融資”の2つがある。

修繕積立金は長期修繕計画に基づき積立ていくため、計画的な積立・保管がある。

すまい・る債は住宅金融支援機構が発行する修繕積立金を積立る債券で、国土交通省によると、普通預金、定期預金等に次いで4番目に多い運用先である。

10年満期の債券で、毎年1回利息が受取れ、満期時に元本が戻ってくるもので一定期間を経過すれば途中換金もできる。

一口50万円単位で、同一口数で最大10回連続で積立が基本で、既に一定額が貯まっている積立金をまとめて1回積立る利用方法もある。

最近では、すまい・る債を積立ている管理組合がマンション共用部分リフォーム融資を利用する場合の融資金利が0.2%引下げる特典があり、高経年マンションの管理組合のすまい・る債の利用も増えている。

一方、計画的に修繕積立金を積立ても、様々な事情で資金不足に陥るケースも多い。

社会環境の変化に対応するような耐震改修工事、機械式駐車場解体工事等の場合、長期修繕計画で想定していないケースもある。

住宅金融支援機構では、その様なケースでの借入がしやすくなるよう最長返済期間を20年にするなど、マンション共用部分リフォーム融資の融資要件の見直しているため、資金計画で困れば活用を検討できる。

大規模修繕工事のためにはマンションの将来を見据えた長期的な資金計画が重要。

そのために住宅金融支援機構の“マンションすまい・る債”“マンション共用部分リフォーム融資”により管理組合の運営をサポートできる。

●大規模修繕工事の成功の秘訣
(1)
分譲マンションは建物の維持に加え時代に合せた長期的な計画が必要である。

築40年で建替るのか、または修繕工事で使い続けるのか。

建替るにも、容積率に余裕のある敷地がある団地型マンションなどはスムーズに行くケースが多いが、それが郊外ならニーズはあまりない。

利便性の高い都市部ではニーズは十分にあるが、敷地に余裕がなく同規模の建物で建替できない事がある。

また、建物がしっかりしていても、区分所有者が管理組合運営に積極的に参加しているかも重要となる。

そうした上で長期修繕計画を立て適正な時期に大規模修繕工事を実施するのが望ましい。

(2)
大規模修繕工事は、管理組合が施工業者に高額な工事を注文する。

管理組合は理事会任せではなく、修繕委員会を結成し大規模修繕工事に備える。

大規模修繕工事の発注方法には、設計と施工を分けて1級建築士のコンサルタントを選任する設計監理方式と、施工業者や管理会社にすべてを任せる責任施工方式がある。

国土交通省では基本的には設計監理方式を推奨しているが、ただ、悪質なコンサルタントが施工会社と結託して高額な大規模修繕工事を管理組合に受注させる問題も多発している。

長期修繕計画での修繕積立金が足りない場合は、“マンション共用部分リフォーム融資”を申込む際は、総会の決議が必要となり、資金計画をしっかり考える必要がある。

(3)
修繕積立金には均等積立方式や段階上昇方式、一時金徴収方式がある。

段階上昇方式、一時金徴収方式は5年から10年程度で修繕積立金を上げるが、均等積立方式なら当初は高めだが、後から徴収される事もない。

大規模修繕工事は12年後の1回目が戸あたり80万円〜100万円、2回目の築24年後は設備などを加え150万円〜200万円、3回目の築36年後は躯体な配管などを加えて300万円近くになる。

一時金徴収方式の管理組合でも、実際、大規模修繕工事を計画する際は一時金を徴収できない区分所有者も多い。

長期修繕計画を基に“マンションすまい・る債”“マンション共用部分リフォーム融資”も選択肢になる。

【2020年1月16日】
投資用分譲マンション賃料横ばい
2019年12月の投資用分譲マンションの平均募集賃料は、東京23区が1uあたり3722円、東京都は3536円で横ばいになった。

東京都内の賃料水準が高騰し天井感が強まっている。

首都圏は2936円の増加傾向で、高額家賃の東京の物件が増え、神奈川県も下落に歯止めがかかった。

近畿圏は1857円と下落、中部圏は1717円と上昇した。

【2020年1月17日】
余剰する分譲マンション駐車場
都市部の分譲マンションで駐車場の解約が増加している。

駐車場代は建物の補修費や修繕積立金に付替原資になるため管理組合としては痛手である。

余剰駐車場の方策について、車所有の有無により区分所有者間で認識の違いも出ている。

東京都内の分譲マンションでは余剰駐車場の2台分をカーシェアリングに貸出している。

総戸数30戸だが、都市部のため駐車場契約が少なく空きが目立つようになり、駐車場代も減少していた。

管理組合はオリックス自動車のカーシェアサービスを利用し、2台分の駐車場代を受取る。

マンションの居住者以外の利用もあり、車両は公道に面している駐車場のため防犯面でも問題はなかった。

ただ、マンション敷地内の駐車場だと部外者が敷地内に入ってくるため、防犯対策として居住者から反対する意見も出やすい。

都市部など利便性の高い分譲マンションの駐車場は空きが増加する。

さらに高齢者が免許返納したり、若年者の車離れがさらに空き駐車場を加速させる。

東京都多摩地区の分譲マンションでは、駐車場総数260台のうち50台の空きになり、駐車場収入が年間数百万円減少した。

駐車場料を建物の補修費や修繕積立金に付替ていたため、修繕計画にも支障が出ている。

一般的に分譲マンションの駐車場は機械式やタワーパーキングが多く、平面自走式に比べ維持費が掛かり、空きが出てもメンテナンスは必要となる。

維持費は年間1台あたり1万円程度で、25年前後で更新工事が必要となり、1台あたり100万円掛かり、30台あれば3000万円のリニューアル工事費がかかる。

空き駐車場対策は、外部の第三者に貸出したり、機械式駐車場の地下ピットを埋戻し平面式にして維持費を減らす方法がある。

全国499管理組合での2019年の調査では、空き駐車場が増加したのは35%、逆に足りないのは61%で地方の分譲マンションが多い。

空きが増加してもその対策を実施しているのは9%程度で、59%は何もしていない。

空き駐車場対策を決めるにも総会での合意形成が必要となり、前に進まない事が多い。

機械式駐車場を撤去するにも工事費用の支出は管理組合から賄うが、車を所有していない区分所有者からは反対する人が多い。

車所有に関係なく、利便性向上のためカーシェアは有効手段となっている。

横浜市の分譲マンションでは、駐車場総数89台のうち14台が空きだったが、居住者の駐車場区画を入替えて点在していた7台の空き区画を訪問医療や介護車両の停車スペースに転換した。

マンションの資産価値について時代に合せて転換する必要があり、その時々の暮らしやすさを実現できている分譲マンションが資産価値が上がる。

ただし、共用施設の駐車場を用途変更する場合は、総会の特別決議となり3/4以上の決議が必要となる。

分譲マンションの空き駐車場対策の足かせとなるのが、規模に応じて一定台数を確保する設置義務がある自治体の条例。

東京23区の場合、建物の延べ床面積が2000u超の分譲マンションは、350uあたり1台の設置義務がある。

東京都は2019年3月に基準緩和する運用助言を公表し、利用者が減っている場合、利用実績を上回る程度まで減少でき、申請書の雛型や手続き手順を公表している。

機械式駐車場を廃棄するにも撤去費用が掛かり、首都圏の管理組合役員が参加するマンション管理組合理事長勉強会では、契約者がある程度いる段階で早く手を打つ必要があると言う。

対策が遅れると建物の修繕積立金から取崩して駐車場費用に充てる事になる。

【2020年1月17日】
災害対策する団地型マンション
災害多発時代の近年、阪神大震災を経験し団地型マンションの再建などの仕組みも出来つつある。

阪神大震災によりマンションの建物が倒壊し、100棟近くが建替えした。

まず、神戸市須磨区一ノ谷の団地再生から始まった。

11棟の分譲マンションのうち、基礎部分が損傷した2棟で建替えが必要となったが、ただし、団地の一部建替えの前例や法整備がなかった。

区分所有法の総会での建替決議の要件を基に、棟の区分所有者4/5以上、かつ、団地所有者3/4以上の合意で建替えできるように提案した。

残り9棟の区分所有者や団地管理組合を説明し承認を得て再建した。

団地の敷地を分割しやすくする法整備は、個別の棟を建替るのに、団地全体の大多数の賛成が必要なままでは進まない。

敷地が分割しやすくなれば、被災団地の再建は進みやすくなる。

【2020年1月17日】
中国、マンション価値損失拡充
中国の経済成長が減速している理由に不動産の失速がある。

新築マンションを買ってもすぐに値下がりし、ローンで購入すると巨額損失を抱える事になる。

天津市郊外の高層棟・中層棟・低層棟のある団地型マンションで、1uあたり23万円(76万円/坪)の新築マンションの高層棟の住戸110uを購入した場合、販売価格は2530万円。

高層棟の販売2ヶ月後に中層棟の販売価格が1uあたり19万円で売出された。

この団地型マンションでは、低層棟が高額物件、中層棟が通常物件、高層棟が低額物件だったため販売直後から値下げを意味し、1uあたり15万円とすれば110uで1650万円、2ヶ月で880万円の資産価値下落になる。

このマンションを購入した居住者は販売した不動産会社に抗議し、政府にも不当値下げと苦情を訴えた。

ただ、不動産会社からの回答はなく、政府も不動産価値の上下は通常あり得るとの回答だった。

中国の不動産売買が稼働してから20年間は右肩上がりで、マンション価値は上昇するとの思いは根強く、値下がりは中国人の動揺を招いている。

転機は2016年12月、政府が不動産は住むためのもので投資するものではないとの姿勢を示してから。

マンション売買を制限し、住宅ローン審査を厳格化し、不動産バブル崩壊と個人債務急増した。

北京や天津では戸籍がないとマンションは買いにくい。

天津市は戸籍開放政策を発動し、北京でマンションを購入できないニーズを天津が取り込んだ。

ただ、実態は天津の経済は低成長で、マンションの値動きも中国の中でも低水準に陥り下落が続く。

不動産会社は資金繰りが悪化し、現金回収するため新築マンションを値下げしている。

その中での戸籍開放政策だったため、天津市内の売れ残った在庫マンションを処理するための政策だったとの思惑がある。

【2020年1月18日】
サブリース賃料減額
国土交通省の調査で、アパートなどの家主から借上げて貸出すサブリース契約を巡り、賃料減額リスクや修繕工事費用といった重要事項を事業者から説明された所有者が6割程度しかいないと判明した。

国土交通省はこの実態を踏まえ、適正化に向けた新法を提出する予定。

サブリース物件は、所有者(家主)から賃貸住宅を借上げ、入居者にまた貸しする事業。

所有者(家主)は一定期間の収入が保証されるが、ただ、所有者が予測しなかった段階で家賃減額を迫られ、金融機関への返済が行き詰るトラブルが多発している。

国土交通省は規制強化に向けた判断材料にするため、サブリース業者を含む賃貸住宅管理業社や物件所有者(家主)、入居者に実態調査した。

サブリース業者には契約に際して重要事項説明をしているか聞き、トラブル原因になっている賃料減額のリスクや、家賃変動の条件、賃料の固定期間、改定時期などを説明しているのは6割程度だった。

サブリースを巡っては、専業事業者だけでなく不動産や建設など周辺企業も営業に関与している。

所有者(家主)に対しては、物件購入の際に6割程度が不動産会社や建設会社が勧誘に関わっている。

国土交通省は現在は任意になっている登録制度を義務化し法規制を検討する。

サブリース業者だけでなく周辺事業者も含めて適正化を進める必要がある。

【2020年1月20日】
部屋探しもスマートフォン
部屋探しも進化する。

昔は駅前などの不動産屋で探すのが普通だった。

最近ではスマートフォンで探すのが主流で、移動中や隙間時間でチャットで物件検索したり、ネット予約で直接物件を内見できる。

賃貸物件を探すのに不動産屋に行く人が少なくなっている。

東京都渋谷区のiettyが運営するサイト型不動産仲介のイエッティ。

まず、氏名や住所を入力し会員登録をし、引越し時期や最寄駅、間取り、家賃など希望条件を設定する。

引越し時期により人工知能(AI)が物件を自動検索し、プロのアドバイザーがチャットで部屋を提案する。

お気に入り物件はオンラインで内見を申込める。

東京都港区のイタンジが運営するオヘヤゴーは、自分の都合で部屋探しをしたい人が不動産屋の同行なしで物件を見に行くセルフ内見ができる。

オンラインで内見予約し、スマートフォンからスマートロックを解除するか、指定コンビニのカギ受渡しシステムでKEY STATIONでカギを受取り解除する。

東京都中央区のBluAgeが運営するカナリーは、スマートフォンで内見予約から契約までできる。

内見したい物件と希望日時に応じて、一定以上の評価を獲得しているエージェント1人がマッチングされる。

賃貸物件は期限がある中で探すため営業員の対応力が重要になり、物件情報量以外にも、契約などの段取りも大切で、優秀な担当者が対応する事で最適な物件を見つける事ができる。

東京都新宿区のウチコミが運営するウチコミは、大家と直接やり取りでき、大家の人柄も分かり、様々な相談にも応じる。

東京都港区のCHINTAIのぺやさがしは、2人暮らしの部屋探しに特化する。

東京都渋谷区のグッドルームが運営するgood roomは、古民家やデザイナーズ物件など個性的な部屋が探せる。

【2020年1月20日】
大阪市、特区民泊の規制増加
大阪市は国家戦略特区法に基づく特区民泊について、開業前に住民説明会を開くよう義務付ける。

住民説明会の義務付けは全国初で、開業に関する住民への説明不足などの苦情が寄せられており、条例で民泊事業者に住民への説明や周知を図る。

民泊への不安を解消し、インバウンド(訪日外国人)の受入れ拡大への環境を整えたい考え。

特区民泊は国が国家戦略特区に指定した地域に限り、自治体が定める条例に基づき事業者が民泊を営業できる仕組み。

2018年に施行した住宅宿泊事業法(民泊法)に基づく民泊は、住居専用地域も含め全国各地で営める。

住宅宿泊事業法(民泊法)では法令上、周辺住民への事前周知は義務付けられていない。

特区民泊では、国は性理恵で周辺住民への適切な説明を事業者の認定要件としている。

大阪市は条例のガイドラインに当たる容綱で、住民説明会だけでなく、戸別訪問による説明も認めており、住民が不在ならポストに資料を投函する。

大阪市は条例改正で、戸別訪問だけでなく、説明会開催を民泊事業者に義務付ける方針。

書面配布や掲示で説明会開催を住民に周知したうえで、当日は騒音尾節対策や苦情対応窓口などを明示する。

条例改正を強化するのは、特区民泊に関する住民からの苦情増加がある。

2018年度に大阪市に寄せられた特区民泊に関する苦情361件のうち、55件が事前説明に関する内容で、地域との軋轢が民泊自体のイメージ低下につながる。

全国の特区民泊の9割が大阪市で開業しており、住民の苦情も多い。

《特区民泊》
自宅などを宿泊客に有料で泊める民泊は、法律により3種類に分けられる。

2018年施行の住宅宿泊事業法(民泊法)に基づく民泊。

旅館業法に基づくホテルや簡易宿所。

国家戦略特区法に基づく特区民泊があり、大阪府、大阪市、八尾市、寝屋川市、東京都大田区、北九州市、新潟市、千葉市が特区民泊を導入している。

【2020年1月21日】
大阪市、特区民泊に異変
国家戦略特区法に基づく特区民泊について、大阪市は開業前に住民説明会を開催するよう民泊事業者に義務付ける方針。

特区民泊の9割が大阪市に集中するが、住民からの苦情が多発している。

民泊事業者からもハードルが上り民泊参入しにくくなると言う。

民家を民泊施設として開業する案内が近隣住居に投函されたが、大阪市が物件を調査したところ特区民泊の申請が出ており法令違反はなかった。

ただ、戸別訪問を実施し、近隣住民のゴミ出しや部屋の増改築についての質問に対し回答したと書面には記載されていたが、近隣住民からは質問をした人が見つからなかった。

大阪市が民泊事業者に問い合わせると、内容を捏造したと認め、改めて住民説明会を開催するよう指導した。

大阪市の保健所には苦情が相次ぎ、ゴミや騒音の次に事前説明会に対する内容が多い。

民泊事業者は申請時に住民説明会をや戸別訪問の記録を提出しなければならないが、大阪市の調査では説明会の議事録を捏造したり、遠方で説明会を開催するなど近隣住民が出席しにくくする悪質ケースも目立つ。

大阪市は条例のガイドラインの要綱で、民泊事業者に住民説明会だけでなく、戸別訪問による説明も認めていたが、相次ぐ苦情により説明会開催を民泊事業者に義務付ける方針にする。

《民泊事情》
自宅などを宿泊客に有料で泊める民泊は、法律により3種類に分けられる。

2018年施行の住宅宿泊事業法(民泊法)に基づく民泊。

旅館業法に基づくホテルや簡易宿所。

国家戦略特区法に基づく特区民泊があり、大阪府、大阪市、八尾市、寝屋川市、東京都大田区、北九州市、新潟市、千葉市が特区民泊を導入している。

特区民泊は、住宅宿泊事業法(民泊法)は営業期間が年間180日以内という制限がないのが利点。

東京都大田区は、民泊施設名や住所、ゴミの廃棄豊富を記載した書面を投函する方法で、近隣住民への周知する事を条例で定める。

民泊事業者側には懸念が広がる。

民泊の届出手続きなどを支援する東京都港区のジーテックは、住民説明会の義務化は人手不足の中で民泊事業者に取って負担は重く、新規参入のハードルが上がると言う。

【2020年1月22日】
内田洋行、マンション管理システム
内田洋行系でソフト開発を手掛ける内田洋行ITソリューションズは、マンション管理の必要情報をクラウド上で一括管理するサービスを、管理会社向けに販売する。

居住者ごとの管理費等の支払状況をどこでも確認できる。

これまでもマンション管理会社向けにシステムを手掛けていたが、これをクラウド化する。

居住者ごとの管理費等の引落状況などは事務所でなければ確認できなかったが、スマートフォンで外出先からも確認できる。

新サービスのパッケージ利用料金は月額10万円から。

都心部の再開発などのマンション増加を受け、管理会社の仕事量は増加傾向にある。

システムをクラウド化する事で管理会社の業務負担を軽減し、マンションのオーナーや管理組合などへの情報伝達を迅速にする。

【2020年1月22日】
サブリース業者、不当勧誘禁止
政府は賃貸住宅の悪質なサブリース(転貸借)を防ぐ規制法案を規定する。

サブリースの業者や関連企業が所有者(大家)へ不当勧誘する事を禁止し、契約締結前に書面説明を義務付ける。

違反サブリース業者には業務停止命令や罰金を科す。

現在の任意のサブリース業者登録制度を改め、一定規模の戸数を持つサブリース業者に登録を義務付ける

サブリースはアパートなどの所有者(大家)から建物を一括借上げし、入居者に転貸する仕組み。

建物の所有者(大家)の高齢化や管理業務負担が増えて事を背景に、サブリース業者に管理業務を委託する所有者(大家)が増えている。

ただ、サブリース業者から保証された家賃収入を得られないなど不満が多く、所有者(大家)が入居者とのトラブルに巻き込まれるケースもある。

悪質サブリース業者を排除するためにも新たな規制を盛り込む。

住宅の所有者(大家)はサブリース業者だけでなく、建設や不動産業者など周辺企業から営業を受ける事もあり、サブリース業者が絶対に損しないとった不適切な勧誘行為を禁止する。

契約締結前に家賃収入を保証する期間や将来の減額リスクなどを書面で説明する重要事項説明を義務付ける。

賃貸住宅管理業者への登録制度も新設し、登録業者には事務所ごとに住宅管理の有資格者を設置するよう求める。

入居者から預かった賃料や保証金は不動産管理業者の口座と分けて管理させる。

不動産管理業者は物件の入居乗kょや入居者がトラブルを抱えていないかなどを定期的に所有者(大家)に報告する。

【2020年1月23日】
首都圏、新築マンション、高値水準
首都圏の新築マンションの価格上昇が続く。

2019年の平均価格は2018年比で1.9%高い5980万円とバブル期以来の高水準。

ただ、高水準価格の高止まりで売行きが鈍化し、発売戸数は15.9%減少の3万1238戸と3万5000戸を下回った。

2020年の発売戸数も低水準にとどまる見通し。

2019年の首都圏の平均価格は高水準で、1990年の6123万円に次ぐ価格帯。

東京23区は7286万円と高く、東京都、埼玉県、千葉県は2018年を上回る水準。

不動産各社は人気が高い都心部や駅近の好立地に発売物件が集中している。

都心部の土地代や建築コストの高騰により価格も上昇している。

首都圏の契約率は62.6%と70%を下回り、価格上昇で消費者が付いていけてない。

【2020年1月23日】
近畿圏、新築マンション発売減少
近畿圏の2019年の新築マンション発売戸数は1万8042戸と2018年比で14%減少した。

消費税増税に加え、地価高騰などによる販売価格上昇で買い控えを招いている。

2020年も発売戸数は1万7000戸程度と低水準が続く予想。

2019年の平均価格は3866万円と上昇したが、ただ、1住戸あたりの専有面積が縮小し、1uあたりの単価は68万円(224万円/坪)と高くなった。

契約率は74%と横ばいで、発売戸数は大阪市が8992戸と減少し、用地獲得競争が激化し投資利回りのよいオフィスやホテルとの競合している。

神戸市は1726戸は30%近くも減少した。

近畿圏の2019年12月のマンション発売戸数は3230戸と増加したが、価格上昇による需要低迷を受け、不動産業者が売出しを控えていたが、決算時期に合せて物件を発売する動きがあった。

【2020年1月23日】
中古マンション価格高騰
2019年12月の中古マンション平均希望売出価格は70u(21坪)換算で、首都圏は3744万円(178万円/坪)と過去最高値となった。

価格水準の高い東京都心部がさらに上昇している。

東京都は5035万円(239万円/坪)、東京23区は5635万円(268万円/坪)、特に都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、文京区)は8109万円(386万円/坪)で全体的に上昇傾向にある。

近畿圏は2401万円(114万円/坪)、大阪市中心部は4564万円(217万円/坪)、中部圏は1938万円(92万円/坪)と全体的に上昇している。

【2020年1月24日】
滋賀県、腐朽マンション解体
滋賀県野洲市の老朽化のうえ空き家になった分譲マンションが危険な状態で放置されている事により、野洲市は空き家対策特別措置法に基づく代執行措置を取り、腐朽マンションの解体工事を始めた。

費用は9500万円で、解体期間は2ヶ月程度掛かる。

野洲市によると、この分譲マンションは築50年程度で、バルコニーや共用廊下の一部が崩落し、鉄骨にアスベスト(石綿)が吹き付けられている事も判明。

立入調査のうえ、このまま放置は不適切と判断し特定空き家に認定した。

区分所有者に解体を命じたが高齢者や不明者が多く実現せず、自主解体は困難と判断した。

【2020年1月27日】
投資用マンション、不正融資横行
投資用マンションへの融資を巡る仲介案件で、ローンの借入希望者の審査資料が改ざんされる案件が横行している。

年収や職業などを改ざんしその多くは年収300万円程度の人で、投資用不動産向け融資の審査基準の問題を浮き彫りにした。

書類改ざんしたのはアルヒやアプラスで、投資用マンションへの融資だった。

アルヒは、自己居住の住宅取得するための長期固定金利の住宅ローンのフラット35で、偽りの書類で投資用不動産購入に不正利用した。

国土交通省はフラット35を手掛ける住宅金融支援機構に再発防止を指示、アルヒも顧客の管理体制を確認するなど審査を厳格にした。

また、投資用マンション向け融資の種類改ざんはフラット35とは別に判明。

アルヒは投資目的で分譲マンションを購入したい人を新生銀行系の信販会社アルプスに仲介し手数料を得ていた。

投資用マンションの購入者は、無職にも関わらず融資書類に架空の会社名と年収500万円を記入し源泉徴収票などを偽装していた。

また20代の購入者は、家賃保証の付いたサブリース契約のため、賃借人有無に関わらず家賃が入るとの営業トークで3000万円程度のワンルームマンションを購入。

融資申込書には、ARUHI提携型サポートクレジット残高型という商品で、融資申込先はアプラスになっている。

無職でも不動産業者の指示に従い必要事項を記入し、購入後はアルヒ経由でアプラスに渡った審査書類には、前年年収が明記されている源泉徴収票には650万円と偽装さてていた。

投資用マンションの購入者は、転貸業者とサブリース契約を締結し安定した家賃収入を保証されていたが、購入2年後にはサブリース契約を解除されたり、保証家賃減額により当初の半分程度になった人がいる。

書類偽装し不正融資したアルヒは神奈川県のフランチャイズ店の代理店で、アルヒ本体は代理店による書類改ざんの不正行為は確認できていないという姿勢を取る。

融資を実行したアプラスも、提出された審査書類は正しいという性善説に基づき、顧客の信用情報と照合して審査し、偽装された改ざん書類という認識は無かったという。

勤務先が発行する源泉徴収票の改ざんは私文書偽造に当たり、偽造された書類を基に融資を不正に引出せば詐欺に問われる可能性もある。

不動産業者が主導して融資書類改ざんを実施したとしても、アルヒやアプラスの審査体制にも問題がある。

【2020年1月28日】
投資用マンション、種類改ざん融資
信販会社アプラスは、アルヒと提携して手掛けている投資用マンション向け融資で、審査種類改ざんの調査している。

不動産価格が不当につり上げられた疑いのある物件もある。

アプラスとアルヒの提携ローンは、借入希望者の源泉徴収票や課税証明書が改ざんされたり、周辺相場より大幅に上回る高値でマンションを購入する事例が判明している。

不動産販売業者から持ち込まれた案件をアルヒがアプラスに仲介し、アプラスが融資を実行していた。

誰が不正行為を主導したのかは現段階では分かっていない。

アプラスは、審査書類の改ざんに関わった不動産販売業者が判明すれば、取引停止にして、法的措置も含めて対応するとしている。

【2020年1月31日】
中古マンション価格高
2019年の首都圏の中古マンション平均希望売出価格は3395万円と上昇し、3.3u(1坪)あたり185万4000円となり連続上昇している。

新築マンション高騰で、中古マンションにも波及している。

新築マンションの平均価格は5904万円と上昇し、坪単価は309万4000円と3年連続上昇している。

単価が300万円を超すのはバブル期の1991年以来となり、拡大していた平均専有面積も2019年に縮小に転じた。

【2020年1月31日】
2月
賃貸借契約の電子書面
不動産の賃貸借取引の書面を電子化する試みがはじまる。

国土交通省と消費者庁は、書面で交付が義務付けられている賃貸借取引の重要事項説明書を電子化を進める。

新技術を進める規制のサンドボックス制度を、事業者が取りまとめる方法で始める。

テレビ画面などで宅地建物取引士が重要事項を説明、賃借人はパソコンやスマートフォンを見ながら書面を確認する。

重要事項の説明される箇所が画面上の書面を示す。

東急住宅リースは管理する賃貸物件取引は年間2万件程で、貸主と借主に重要事項説明を郵送等で実施すると費用が1件1000円程掛かり、原本を保管するオフィススペースもいる。

不動産取引の重要事項説明は消費者保護のため、対面での説明と紙での書面交付が前提となっている。

国土交通省は、賃貸借の重要事項説明は対面と同等の配慮ができればテレビ電話などでも可能としてガイドラインを改正し、2017年10月から運用している。

一方、書面交付は宅地建物取引業法に規定があり、メール送信などを可能にするには法改正が必要となる。

現在は規制や法律を守りながらの実験のため、賃借人から同意書を得たり、紙と電子の書面を二重に送付したりと、不動産業者にとって手間が掛かっている。

【2020年2月3日】
無駄を省いた極狭住戸
東京都心の居室の広さが5u(3帖)のアパートが増加している。

室内には、ソファ、机、衣装ラック、冷蔵庫が置かれ、残ったのは寝る空間だけ。

玄関入った通路にIHとシンクのキッチンがあり、水回りはトイレとシャワーだけで、洗面台、浴槽、収納、洗濯機はない。

洗濯は近くのコインランドリーで済ませる。

ロフト付きで、それを合せても13uで、一般的なワンルームの25uから比べると半分程度。

立地にもよるが家賃は月額6万円程度。

この極狭住戸を設計施工するのは東京都港区にある不動産会社で、新宿区や目黒区で70棟、1200室ほど展開する。

入居率は99%で、20代〜30代の若者が借りている。

極狭住戸とはいえ、壁や床は白色で統一したデザイナーズ風のアパートで、家賃は一般単身住居より数万円安くし、敷金礼金は不要。

ただ、人気の秘密は安い家賃だけではなく、様々な無駄を省いた生活環境にある。

まず時間の無駄を省け、勤務先の近くに住めば通勤時間から開放される。

狭い空間だからこそ厳選した所有物を選び、持ち物を極力減らす。

物をたくさん抱える生活は、逆に身動きが取りづらくなるリスクもある。

一番重要視されるのは駅から近いなどの利便性。

必要な物を絞り込み、通勤や通学に掛ける時間も極力減らせる極狭住戸を選択してる傾向にある。

全国宅地建物取引業協会連合会が2018年の意識調査で、1人暮らしの際の部屋探しで重視するのは“駅が近い”が55.5%と半数で増加傾向にある。

建物で重視するのは“間取りの広さ”で63.7%で最多だが、減少傾向にある。

駐車場の有無は27.2%で20ポイントほど落ち込み、若者の車離れが顕著になっている。

年配になれば自然など良好な環境を選択に入るが、若者は利便性を求める傾向にあり、築年数やセキュリティーも重要視される。

【2020年2月3日】
フラット35、不正申請
長期固定金利の住宅ローン・フラット35が投資用分譲マンションの購入に悪用されていた問題で住宅金融支援機構は、利用者に融資額の全額一括返済を求める。

返済できない場合は、物件を差押さえて競売に掛けて売却した上で、負債が残った場合は残額も分割で返済を求める。

投資用分譲マンションの仲介案件で審査書類の改ざんが発覚したアルヒは社内調査を始めた。

フラット35の利用は自己居住が原則で、2019年に投資用分譲マンションの購入する悪質な不正利用が発覚した。

住宅金融支援機構は、投資目的の利用や住宅購入価格の水増しが100件以上を把握している。

不動産業者から進められた購入者は、フラット35を利用し東京都足立区の投資用マンションの住戸を1800万円で購入し、契約時には900万円の架空リフォームや家具購入の融資契約も結んでいた。

信販大手への融資申込書には本人ではない印鑑押印など偽装工作が施されていた。

所有者から物件を借上げ転貸するサブリース業者による家賃保証額も、一定期間後に切り下げられている。

物件取得からサブリース契約まで、一貫して不動産業者による悪質な不正行為であり、購入者の弁護士は、契約取消しを求める他、不法行為責任に追及するとしている。

フラット35を不正融資による斡旋していたアルヒは、信販大手アプラスに仲介している投資用分譲マンション向け融資で調査するとしている。

不正行為は複数の不動産業者などが関わっており、主犯は誰なのかが不明となっている。

【2020年2月5日】
不動産協会の新築マンションの談
新築マンションの売行きは消費税増税の影響は受けていない。

今後も価格高水準が続いても住宅ローンの低金利により販売は好調。

住宅の購入検討者は、満足する物件を選定しすぐに購入しない傾向にあり、マンション高値が続いている。

高値の新築マンションの発売戸数が減少すれば、中古マンションを選択する人が増える。

【2020年2月5日】
神戸市、マンション管理組合の届出
神戸市はマンション管理支援制度検討会で、神戸市内の分譲マンションの管理組合に義務付ける管理状況の届出について“義務化までに一定の移行期間を設ける必要がある”とした。

届出制度は総会の毎年開催や修繕積立金徴収の有無などを神戸市に報告するもの。

希望する管理組合向けに、修繕積立金の総額や滞納状況などを神戸市のホームページで公開する情報開示の仕組みを取り入れる。

修繕積立金総額や借入金の残高などに踏み込んで公開するのは全国初の試みで、購入者の評価材料にする。

神戸市内の分譲マンションの管理組合は2018年度で3500あり、管理状況の悪いマンションに対しては、神戸市が維持管理への支援も実施していく。

【2020年2月8日】
レオパレス21、入居率回復
レオパレス21のアパート賃貸の入居率低下に歯止めがかかってきた。

2020年1月の入居率は80.19%と損益分岐点となる80%を若干上回った。

施工不良問題による物件調査や改修工事が進み、入居者募集を再開できる物件が増えた。

ただ、繁忙期の3月に入居率が85%まで回復するかは不透明。

レオパレス21は建物オーナーからアパートを借上げ、個人などにサブリース(転貸)する事業がメインとなる。

2019年10月に全棟調査が完了し、月1万戸ペースで賃貸募集を増やし、契約戸数の6割が法人契約になる。

【2020年2月8日】
マンション管理認定制度
マンションの適切管理を促す仕組みを創設する。

国土交通省は修繕積立金や管理組合の活動を計画通り実施する物件の認定制度を2022年までに創設する。

認定物件には税制上の優遇措置などを検討する。

老朽化したマンションをそのまま放置しないようにする。

今後、築40年超のマンションが2040年には4.5倍の370万戸に増加する見通し。

管理組合は建物の共用部分や敷地を維持管理するが、3割超で修繕積立金が不足している。

501戸以上の大規模マンションでは管理組合の総会の出席率も14%にとどまる。

国土交通省は適切に管理している物件を認定する“管理計画認定制度”を国会に提出し、マンション管理適正化法の改正案に盛り込む。

具体的には地方自治体が修繕のための資金計画や実際の積立状況の他、総会の定期的な開催や議事録保管など管理組合の運営状況などを評価する。

自治体は改善の必要がある管理組合に対して助言や指導をする他、必要に応じて専門家を派遣する。

マンション管理適正化法改正は2022年までに施行する予定。

【2020年2月9日】
アルヒ、投資用マンション融資撤退
アルヒは、投資用マンションの仲介案件で融資の審査書類改ざんが発覚し、今後、投資用マンション向け融資から撤退する。

アルヒはフランチャイズ(FC)の店舗による書類改ざんや指南の事実は確認できなかったが、不適切な業務がローン市場を歪める事になる。

アルヒは投資用マンション向け融資の取扱いを中止し、完全に撤退して住宅ローン事業に集約する。

種類改ざんの調査では、疑いのある不正案件について、不動産業者とアルヒのやり取りも調べているが、アルヒの担当者からの不正は見つかっていない。

不動産業者から受取った書類と、実際に融資する信販大手のアプラスに審査用に送った書類が同じかも確認したが、内容は同じだったためアルヒによる改ざんは見つからなかった。

【2020年2月13日】
投資マンション不正融資横行
アルヒやアプラスによる投資用マンション向けの提携ローン審査書類で不正改ざんが発覚している。

金融庁は実態調査に乗出し、貸金業者への監視を強める方針。

不正問題は、不動産業者から持ち込まれる投資用マンションの購入資金の融資申込を、アルヒがアプラスに仲介した案件。

2018年に、不動産業者から強引勧誘を受けて東京都内の投資用マンションを3000万円で購入した顧客は、源泉徴収票の年収を改ざんされてローン申込がされていた。

顧客は不動産業者の指示通りに、アルヒとアプラスの提携ローンの申込書に年収650万円、勤務先は退社した企業名を記載した。

一般的に調査すれば不正は判明するが、無職の顧客はローン審査が通り投資用マンションを購入する事ができた。

住宅ローン等を取扱うアルヒは、フランチャイズ(FC)店は書類不備、誤植記載チェックするのみで、収入、顧客属性、物件評価は一切行わないとしている。

融資を実行したアプラスと、融資案件を仲介したアルヒは実態解明の調査をしている。

貸金業者を監督する金融庁は、誰かが不正に気付いて制止する仕組みが必要だが、融資に関わる業者は改ざんへの関与の有無以前にゲートキーパーとしての役割を果たしていないと話す。

不正をチェックできない業者にも問題があるとしている。

スルガ銀行での不正融資問題を受けて金融庁が2018年に銀行などを対象実施した調査では、借入希望者の年収状況などを原本で確認すると答えたのは2割強だった。

不動産業者を経由してローン申請資料を取り寄せる金融機関も多く、ずさんな融資審査が目立つ。

金融庁は貸金業者の管理体制が適切か監督を強める。

【2020年2月14日】
首都圏、新築マンション価格最高値
2020年1月の首都圏の新築マンションの平均価格は8360万円と上昇継続し、1973年の調査開始以降の過去最高値となった。

埼玉県などの発売戸数が大幅に減少し、東京都区部で高額な大規模物件が発売され、平均価格を押し上げている。

発売戸数は1245戸と減少しており、実需に基づいた価格上昇とはかけ離れている。

過去最高額だったバブル期の1990年11月の7497万円を上回っている。

東京都区部は1億511万円で、1億円を超えたのは1992年11月の1億260万円以来。

東京都港区の白金ザ・スカイや虎ノ門で大規模マンションが発売された高額物件が影響している。

【2020年2月18日】
近畿圏、新築マンション発売減少
2020年1月の近畿圏の新築マンション発売戸数は641戸と減少し、バブルが崩壊した1992年以来の低水準。

人件費高騰や消費税増税などによる物件価格上昇で、消費者の買い控えが起きており、不動産会社は売出調整に入っている。

契約率は66.8%と好不調目安の70%を下回っている。

【2020年2月18日】
中国、新築マンション価格上昇に停滞
2020年1月の中国主要都市の新築住宅価格動向によると、上昇した都市の数が減少している。

北京、上海、広州、深センのマンション価格は上昇していが、それ以外の都市は上昇が停滞し始めている。

【2020年2月18日】
投資用分譲マンション、賃料下落
2020年1月の投資用分譲マンションの平均募集賃料は、首都圏で1uあたり2874円と下落した。

賃料水準が最高の東京都区部は上昇しているものの、それ以外の東京都や埼玉県、千葉県で下落している。

近畿圏は1856円、中部圏は1699円と共に下落している。

【2020年2月19日】
2019年、新築マンション発売低調
2019年の全国の新築マンション発売戸数は7万660戸と減少している。

1976年の4万9955戸以来の43年ぶりの低水準。

価格上昇で購入に慎重な消費者が増え、不動産業者も発売戸数を調整している。

2020年の発売戸数も7万戸と横ばいで推移する予測。

地区別では、首都圏は15.9%減、近畿圏は13.9%減と大都市部で減少が大きい。

首都圏では新規に発売するよりも、積上がった在庫を減らす動きが目立ち、首都圏の全体割合は50%を下回っている。

2019年の1住戸あたりの平均価格は4787万円と上昇し、調査以来の最高価格帯で、首都圏から近畿圏も購入に慎重になっている。

事業主・売主の発売戸数は住友不動産が5690戸で首位、プレサンスコーポレーションが5305戸、野村不動産が3941戸と続いている。

【2020年2月21日】
多様化で賃貸契約減少
賃貸住宅の入居契約が減少しており、首都圏の不動産情報サイトに登録された物件成約率はマイナスとなっている。

既存物件の入居率は高いものの、転勤減少や人手不足による引越難が影響している。

また、身軽に転居できる月極契約物件の増加など、賃貸住宅市場の変化もあり、賃貸仲介する不動産業者の倒産も目立ち始めた。

2019年12月の首都圏の居住用賃貸物件の成約数は1万3846件と減少しており、東京23区では20%近く下落した。

首都圏で物件の新築と中古、マンションとアパートの区分を問わず、いずれも成約数は前年実績に対し2ケタ減少が続いている。

不動産事業者の収益源でもある賃貸住宅の入居者への物件仲介の落ち込みが著しい。

ただ、物件の稼働率は下落しておらず、日本賃貸住宅管理協会などがまとめた2019年度上半期の賃貸住宅市場景況感調査では、入居率は95.7%で若干下がり傾向にはあるものの、90%以上のほぼ満室状態にある。

反面、物件仲介は下落している傾向は、転勤の減少や人の流動が鈍くなっている事にある。

住替えするにも引越業者の人手不足により、1月〜3月の移動時期には価格高騰や対応してもらえない状況が続く。

さらに都市部の不動産価格が上昇し、それに合せて募集賃料も上昇し、住替えせずに現在の住居を更新して住み続ける住民が多くなっている。

また、家具家電付で敷金無しなど初期費用を抑えた月極マンションという業態も市場拡大しており、普通賃貸借や定期賃貸借などの契約が減少している。

インドの格安ホテル運営会社のOYO(オヨ)ホテルズアンドホームズは、スマートフォンで簡単に申込できる個人向け短期賃貸住宅サービスを2019年3月に始め、若年層を取込んでいる。

OYO(オヨ)など部屋の提供会社と直接契約を締結するため、不動産仲介業者は間に入る事ができず収益確保ができない。

さらに不動産仲介店舗は増加傾向にあり、インターネットで物件検索や比較がしやすく、店舗同士の競合が激しくなっている。

2019年の首都圏の不動産業の倒産件数は104件と増え続け、他の業種に比べ増加率は高い。

2019年10月、東京都内の不動産仲介業者が破産手続きを開始し、負債総額は1億7300万円にのぼり、固定客を取り込めなかった事が経営に響いた。

中小不動産業者は危機感を募らせ、神奈川県大和市の小菅不動産は、ネットでは分からない地域情報などを顧客に伝えるなど地場業者の強みで地道な取組みをしている。

ただ、住居探しはインターネットが情報の入口には変わりなく、不動産仲介業者の淘汰が加速する可能性がある。

【2020年2月27日】
近畿圏の新築マンション事情
2019年の近畿圏の新築分譲マンションの発売戸数は1万8000戸で全体的に供給減少し、1992年以来の低水準となっている。

土地価格や建築材料費、人件費の高騰により物件価格を押上げているが、契約率は70%超の高水準を維持する。

近畿圏の2019年の新築マンション発売戸数は1万8042戸と1割以上の減少し、1住戸あたりの平均価格は3866万円と2割以上の上昇、1uあたり68万円(224万円/坪)も上昇している。

ただ、契約率は74.1%と好不調の目安となる70%を超えており消費者の購入意欲は衰えていない。

2019年10月の消費税増税による駆け込み需要の影響もなく、それとは別の開発費用高騰により販売減少となっており、大阪市など中心部で減少が目立つ。

物件価格は上昇を続け、全体的に平均価格やu単価が高くなり、設備投資増大や工事費・人件費の高騰に加え、ホテルやオフィスビルとの競合でマンション用地確保が難しくなっている。

2020年の新築マンション発売予測は、建築費や地価の高騰で1万7000戸程度とみる。

大阪中心部の超高層マンションが堅調で、エリア別でも、京都市、大阪府、兵庫県、神戸市などで大規模マンションなどの供給が見込まれる。

最近の新築マンションはコンパクト化とICT(情報通信技術)化が進む。

大阪市内中心部でも、従来は3LDKの70uのファミリータイプが基準だったが、現在は50uの1LDKや2LDK程度の単身用が増加している。

IoT(IT化)やAI(人工知能)などに対応した設備も搭載され、暮らしやすさやセキュリティの対応も進化している。

共用部分にライブラリーを併設したり、仕事や打合せできるコワーキングスペースを設けるなど、居住者のワークライフバランスに対応した物件も登場し始めると予想される。

近年の自然災害により、蓄電池などエネルギーの効率化を図る設備や、台風や地震などの災害に備えた工法や設備配置も重要となってきている。

エリアでは、千里ニュータウン、阪急西宮北口駅がアクセスや環境良好で人気あるが高価格帯の物件が多く、JR京都線沿線や堺市などの広域で低価格帯物件も登場している。

子育て世帯には、北摂、守口、堺市、明石市などが教育環境や公的支援により人気が高い。

消費税増税後、国の支援として住宅ローン控除やすまい給付金など充実されている。

【2020年2月28日】
老朽マンション再生の法整備
政府は、老朽マンション再生を促すための敷地売却ルールを緩める項目を盛り込んだマンション建替円滑化法などの改正案を決定した。

現在は、耐震性不足が認定された場合のみ所有者の8割(4/5)以上の賛成で売却可能だが、外壁などが劣化して剥落し事故につながる恐れの物件も対象に加える。

【2020年2月28日】
老朽マンション再生促進の法改正
築30年超の分譲マンションの老朽化対策で、政府が決定したマンション管理適正化法などの改正案は、適切な管理をしている物件を認定する制度創設や、敷地売却をしいやすくする。

区分所有者で組織する管理組合に、修繕積立金の備えや円滑建替を促す狙いがある。

国土交通省では、分譲マンションは2018年末時点で全国に655万戸あり、国民の8人に1人にあたる1500万人が分譲マンションに住む。

そのうち、築40年超の物件は12%の81万戸あり、2040年頃には367万戸の4.5倍に増加すると予測する。

その一方、管理費等滞納や空き住戸による修繕積立金不足が深刻になり、計画に比べ不足する分譲マンションは35%に達する。

管理組合の機能不全も問題になっている。

501戸以上の大規模マンションでは、総会の会場出席割合が14%にとどまり、高齢化により理事会役員のなり手不足も深刻化している。

分譲マンションを人生最後まで過ごす住まいとして考える人が急増しており、国土交通省はマンション再生に向けた対策を拡充する。

その一つが、管理計画認定制度の創設。

適切な修繕計画策定や修繕積立金状況、管理組合の活動などを評価する。

認定基準も含めて自治体はマンション管理への関与を強める事になる。

必要に応じて管理組合に対して指導や助言を実施し、総会を開催できなかったり、修繕積立金が著しく少なかったりする場合は改善を勧告する。

複数棟で構成される団地型マンションの老朽化に対応するため、敷地を分割して売却しやすくする制度も制定する。

現在は、1棟だけを切売りする場合でも団地全体の区分所有者全員の同意が必要だが、この要件を8割(4/5)以上に緩める。

跡地に店舗や保育所を誘致して団地としての魅力を高めるなど、多様な再生手法を選択できるようにする。

マンション管理業協会では、資産価値や居住環境を維持する上で基本的で重要な事としている。

認定制度創設と適正管理基準が示される事で、マンション管理の質の底上げにつながると期待する。

ただ、区分所有者の分譲マンション適正管理への社会問題意識は依然低く、法改正だけでは課題解決にはつながらないとしている。

改正法案には、マンションの敷地売却をしやすくする規定も盛り込まれ、敷地売却制度は、敷地を不動産会社などに売却し、区分所有者はその代金を元手に建替られたマンションに再入居したり、別の住居に転居したりする仕組み。

現在は、耐震性不足が認定された場合のみ区分所有者の8割(4/5)以上の賛成で売却可能だが、外壁などが劣化しタイル崩落し事故につながる危険がある物件も対象に加える。

ただ、制度として制定するのはいいが、最後は区分所有者の合意形成で成り立つ管理組合は、現実的にどこまで浸透するかは不透明。

区分所有者の収入格差や年齢といった属性の違いは管理組合の意思決定の壁となっている。

最後は、管理組合の日頃からのコミュニケーションが決定付ける。

《老朽マンション再生の概要》
〔適正管理〕
・適切な管理計画を持つマンションの認定制度創設。
・管理組合に対して自治体が指導、助言、勧告。
〔建替促進〕
・外壁の剥落により危害が生じる恐れのある建物も敷地売却可能にする。
〔団地再生〕
・敷地の分割、部分的な売却をしやすくする。

【2020年2月29日】
賃貸アパート経営、節税対策に異議
賃貸アパート経営、マンション投資と言った富裕層向けの節税策が封じられる見通しとなった。

政府は、税制改正や監視強化により相続税や所得税を厳しく課す。

不正融資や施工不良工事などのトラブルが多い賃貸住宅建設は課税面からも抑制され、地価の下押し圧力になる可能性がある。

賃貸経営は自己資金や借入金によってアパートやマンションを建てて、家賃収入を得て生計を立てる。

定期収入が入り老後は安心などと不動産会社や金融機関が、富裕層などを勧誘している。

地主などに賃貸住宅建設需要を掘起こしていた。

賃貸契約は節税余地が大きく、方法次第では家賃収入に掛かる所得税を減らし、将来の相続税も抑える事ができる。

その典型が消費税の還付スキーム。

アパート施工業者に支払った建設費用の中から、そこに含まれる消費税10%分を取戻す離れ業。

カラクリは消費税特有の仕組みにあり、消費税は事業者が売上高10%を国に納めるが、通常は仕入段階で費用の中に消費税分が含まれる。

二重課税を避けるため、仕入税額控除を適用し、その分を納税額から差引ける。

ただし、賃貸経営では売上高となる家賃は消費税が掛からない。

売上高自体が非課税なら控除不可なのが消費税の原則で、家賃収入だけだと本来、控除は受けられない。

そこで、作為的に消費税課税対象となる売上高を立てる手法をとる。

常套手段は金地金の取引で、消費税対象である金を売買して売上高を作り、その仕入税額控除を適用させ認められる支払った建設費用の中から消費税分が還付される。

賃貸と金取引は無関係に思えるが、この裏技は広く用いられている。

自動販売機も利用され、現在は禁じ手になったが、自動販売機を設置して売上高を作り税還付を引出していた。

消費税還付スキームを封じ込めるため政府は、2020年度の税制改正の中で消費税法を見直す。

賃貸住宅建物の取得については仕入税額控除の適用を認めない。

財務省主税局によると、いかなる手法を用いて課税売上高を作ろうとしても控除は認めないという。

新築する場合は2020年4月以降、中古で購入する場合は2020年10月以降に契約する分から適用する。

相続税に関しても税務局は監視する。

賃貸不動産は相続税の課税ベースとなる評価額が低くなり、現預金などで相続するより税額が低くなる。

例えば、現金2億円を掛けて土地を購入しアパート建設し賃貸経営する。

土地は賃借する入居者がいるため利用が制限される賃借権の理由から評価額が一定比率下がり、建物部分も評価額は下がる。

土地建物の合計評価額は7000万円程度に下がる。

将来の相続税負担を減らそうと、高額の借入をして賃貸住宅を建てる高齢の富裕層が多く、不動産会社と組む金融機関は、条件の良い案件には低金利で融資している。

ただ最近では、税務署が税務調査で評価減を否認する例が目立ち、中には路線価すら認めず購入価格で課税する例もある。

厳しいのが駆け込み節税で、高齢者が賃貸経営の話しを持ち掛けられ着手している場合で、節税以外に理由がないと税務署は否認する。

賃貸経営に伴う不動産所得にも厳しく対応する。

不動産所得は家賃収入から必要経費を差引いて計算し、経費が大きいと所得税・住民税は減る。

対策として不動産管理会社を設立し、そこに物件を移して経理処理する。

管理会社に支払う管理料など必要以上に高く設定する例が多く、管理料が一般的水準より高ければ税務署が修正申告を求める例が増加している。

【2020年2月29日】
3月
海外、若年層で賃貸派
日本では、春は移動の季節で住宅を探す人が多くなり、このタイミングで購入、賃貸で迷う事になる。

一方、海外のアメリカやイギリスでは、ジェネレーションレント(賃貸世代)という若年層が現れた。

ジェネレーションレント(賃貸世代)は2010年頃からイギリスで使われた言葉で、1980年代以降に生まれ、2000年代に社会に出た30代〜40代のミレニアル世代で、賃貸住宅に暮らしている人達を指す。

世界的な投機マネー流入により住宅価格上昇や都市人口増加によるのが背景にある。

イギリスの統計では25歳〜34歳の持家率は、1991年には66%だが、2013年には35%に半減している。

親が裕福で資金提供がある若年層しか購入する事ができない事情がある。

アメリカも同じで2018年のリポートでは、1981年〜1997年生まれの2016年の持家率は34%。

1946年〜1964年生まれベビーブーマー世代が同じ年齢だった頃は48%だった。

単身世帯だけでなく、子供がいるファミリー世帯も賃貸が多い。

日本では新築マンション価格が過去最高となり、それに引きずられ賃貸マンションの賃料も上昇し、若い世代の持家率は高まっている。

30代の持家率は2000年に46%だが、2015年に52%まで上昇している。

親の贈与や住宅ローンの低金利を背景に若年層で住宅を購入している人が増えている。

共働きなら資金力も豊富で都心マンション購入も可能になり、また、郊外の戸建て住宅も低価格帯の住宅開発が進む。

ただその一方で、結婚しない人や転職する人などが、将来の不安から賃貸を選択している若年層も増加傾向にある。

【2020年3月2日】
大阪、ウイルスで民泊苦境
大阪市内の民泊施設がウイルス拡散の悪影響で深刻化している。

大阪市北区の民泊施設マグロハウスは、2月〜3月の予約が全部キャンセルになった。

民泊施設の清掃を受託している業者も、掃除する部屋が無く同じくキャンセルとなっている。

清掃業務のキャンセルは拡大しており、宿泊客が訪日を取りやめて民泊施設の利用者が皆無状態となっている。

大阪市では民泊施設は好調で、新規参入が増加していた。

2018年6月に施行した住宅宿泊事業法(民泊法)により参入が下がり、大阪府や大阪市の国家戦略特区民泊の後押しもある他の都市より民泊施設が普及している。

日本民泊協会では、民泊はホテルより訪日外国人の割合が高く、これ以上、コロナウイルス拡散すれば、さらに深刻化すると危機感を募らせる。

【2020年3月5日】
賃貸の仲介手数料
春の新生活に向けて賃貸不動産業界は1月〜3月は繁忙期になる。

新入社員や新入生など初めて1人暮らしをする際、部屋を決めた後に紹介してくれた賃貸不動産会社から仲介手数料を請求される。

この仲介手数料には家賃の0.5ヶ月分と1ヶ月分があるが、当然に半分の方がお得である。

それでも1ヶ月分が存在するのはなぜか。

不動産業者への仲介手数料は宅地建物取引業法で規定され、賃貸の居住用物件は貸主と借主を合せた仲介手数料が家賃の1ヶ月分と決まっている。

だから貸主(家主)から1ヶ月分、借主(賃借人)から1ヶ月分を取得すれば宅地建物取引業法違反になる。

ただし、仲介手数料1ヶ月分を請求する事に対し借主の承諾があれば受領する事ができる。

東京ではこの案件に関する裁判があり、借主が不動産仲介をした東急リバブルに対し訴訟を起こしました。

借主の承諾を得ない賃料1ヶ月分の仲介手数料支払は、宅地建物取引業法の定める仲介手数料の原則0.5ヶ月分に違反し返還せよ。

この裁判は、第一審の東京簡易裁判所では借主の請求を認めなかった。

ただ、第二審の東京地方裁判所では、不動産仲介業者が賃料1ヶ月分の仲介手数料を請求する場合、物件の仲介前に承諾を得る必要があり、今回、事前に借主から承諾を得ていなかったと判断し、東急リバブルに超過する0.5ヶ月分を返還するよう命じた。

東急リバブルは上告したが東京高等裁判所は棄却し、第二審の判例が確定した。

ただ現実問題、不動産仲介業者がただでさえ採算の悪い賃貸事業で、仲介手数料を1ヶ月分から0.5ヶ月分の半分されれば、単純に売上が半分になるという事です。

だから、賃貸物件を仲介する前に借主の事前承諾があれば1ヶ月分の仲介手数料を受領する事ができる特例を設けている。

@:不動産仲介業者は、仲介手数料を賃料1ヶ月分とする承諾をいつまでに取得する必要があるのか。
A:賃貸不動産仲介契約はいつ頃に成立したのか。

この事から判決は、@で仲介契約成立までに得る必要があり、Aは書面による賃貸借契約の前でも、紹介した物件について借主が申込書などにより借りる意思表示をすれば認められ、そこで賃貸物件の仲介契約は成立するとしている。

この判決以降、不動産仲介業界は、入居申込手続きより前に、借主から仲介手数料を賃料1ヶ月分とする承諾を書面で取付るよう徹底している。

また、借主から仲介手数料を賃料1ヶ月分を受領したとして、貸主からの仲介手数料はどうなるのか。

これは昔からの賃貸不動産業界の慣例で、元々、貸主から仲介手数料を受領する事はほとんどありませんでした。

ただ、物件を紹介してタダという訳にはいくはずもなく、これは明細項目を変えて請求しています。

仲介手数料では宅地建物取引業法違反になるため、広告料という明細にしています。

紹介する物件を店舗に掲示しお客さんに案内したり、雑誌や新聞などに掲載するための広告料を請求する。

そうすれば1ヶ月分という縛りもなくなり、賃料の3ヶ月でも5ヶ月でも請求できる。

案内する営業員に対するKB(個人バック)なるものもある。

現在は仲介手数料0円(無料)なるものも増えており、裏を返せば貸主(家主)の手数料を出し具合で案内物件が決まる事が多い。

【2020年3月6日】
サブリース(転貸借)の法規制
政府は、アパートなどの賃貸用住宅を所有者から借上て入居者に貸出すサブリース(転貸借)と呼ばれる事業に規制を掛ける法案を決定した。

営業で『絶対に損しない。』など不当勧誘を禁止し、一定期間保証する家賃が将来的に減額させるリスクについて、所有者に対して適切に説明するよう求める。

違反した不動産事業者などには業務停止命令や罰金を科し、サブリース(転貸借)業界に適正な業務運営を促す。

《消費者契約法でも規定》
消費者契約法では、以下の内容での営業による契約は取り消す事ができる。
買主等が損害を被った時は無効となる。
〔誤認〕
・不実告知:嘘の説明。
・断定的判断の提供:絶定に儲かるなどの営業。
・不利益事実の不告知:不利な事を言わない。
〔困惑〕
・不退去:押売り。
・退去妨害:キャッチセールス。

【2020年3月6日】
賃貸住宅サブリース(転貸借)の法整備
アパートなど賃貸住宅を一括借上し、入居者にまた貸しするサブリース(転貸借)に対し法整備する。

家主に対して約束した賃料が支払われないなど問題が多発している。

営業で『必ず儲かる。』といった勧誘を禁止する他、家賃の保証期間など重要事項の契約内容は書面を交付して説明する義務を不動産業者など課し、不適切な不動産業者などを排除する。

政府は、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案を決定。

サブリース(転貸借)は一般的に不動産業者などが入居者の募集から建物の維持管理、家賃収納まで一括して担う。

管理戸数は2019年で316万戸にのぼり、民間の賃貸住宅の2割を占める。

ただ、物件の所有者と不動産業者などの間で家賃保証などを巡る問題が多発。

不動産業者などが一定期間の定額家賃保証していても、実際には特約や条件が付いており、物件の入居状況や周辺家賃相場の動向次第で減額の可能性を条文に盛込んでいる。

不動産業者などから十分な説明がないまま家賃が減額される事例が多い。

減額すれば家賃収入を当て込んで組んだアパートローンの返済が滞る事になる。

サブリース(転貸借)方式では、シェアハウスのかぼちゃの馬車を運営していた不動産業者が経営難で家賃支払を停止し、そのあおりでシェアハウス所有者の自己破産に連鎖した。

その後の2018年には運営会社が経営破綻している。

法案では、保証家賃の減額リスクなどの重要事項を説明しなかったり、『絶対に損をしない。』など虚偽を伝える行為は禁止する。

家賃保証の期間や金額、契約解除の条件といった内容は、書面を交付して説明する義務が不動産業者に課せられる。

【2020年3月7日】
賃貸契約に法改正
契約ルールを定めた改正民法(債権法)が2020年4月から施行される。

アパートなどの賃貸借契約も明確化され、退去時の敷金返還や原状回復義務の範囲が規定された他、住戸の設備故障などで家賃が減額される事が明記された。

2020年4月以降に賃貸借契約を締結する、また更新する場合は新しい規定となる。

現行民法では、敷金の定義や原状回復義務の範囲が曖昧であり、貸主(家主)と借主(賃借人)の間で問題が起こっている。

改正民法では、これまでの裁判例や国土交通省が定める“原状回復をめぐるトラブルとガイドライン”などに沿ってルールを明確にした。

敷金についてはどんな項目であっても、賃貸借契約によって借主が貸主に対して負担する金銭債務を担保するために貸主に預けるお金との趣旨を規定。

退去時に貸主は債務を控除した金額を借主に返還しなければならない。

具体的には、月額家賃の滞納があれば、それを敷金から差引いた残額を返還するとなる。

原状回復義務は原則として借主にあるとしつつ、その範囲については明確化した。

借主の不注意によって床や壁を汚したり、傷を付けたりした場合を対象とし、普通に暮らして生じる損耗や経験劣化は含めない。

エアコンや給湯器などの住宅設備の故障、屋根などの建物一部が破損して使用できなくなった場合、現行民法では、借主は賃料の減額を請求できるとしていた。

改正民法は、その程度に応じて賃料が減額されると明記した。

どんな故障で、どれだけ減額されるかはケースバイケースとなり、日本賃貸住宅管理協会が目安を示している。

例えば、給湯器が故障し風呂が使えない時は減額割合は月額家賃の10%となり、期間に応じて日割計算とするのが原則。

月額家賃が10万円、10日間故障で使用できなければ家賃10万円の10%の1万円を30日で割り、免責期間の3日間を引いた7日分の2333円が減額となる。

設備故障や建物の一部が破損した場合、貸主(家主)の責任で修繕するのが原則で、借主が連絡しても修繕されない事がある。

改正民法では、貸主(家主)に連絡しても、なお相当の期間、修繕されない場合は借主が自ら修繕できると規定した。

近年では、貸主(家主)と直接契約するのではなく、貸主(家主)から物件を借上げた不動産業者などのサブリース(転貸借)業者が入居者を募り契約するケースが多い。

このサブリース(転貸借)業者の経営悪化により貸主(家主)に賃料が入らなくなれば、貸主(家主)から直接、借主に請求が来ることがある。

この場合、借主に及ぶ債務の範囲を改正民法では明確化した。

借主がサブリース(転貸借)業者に支払う月額家賃が10万円、サブリース(転貸借)業者が貸主(家主)に支払うのが8万円で、貸主(家主)から家賃を直接請求された場合、借主はサブリース(転貸借)業者分の8万円を支払えばよい。

ただし、借主が賃料を前払いしていた場合、二重払いになり現行法が適用される。

例えば、4ヶ月分の家賃を3月中にサブリース(転貸借)業者に支払い、その直後、サブリース(転貸借)業者が倒産し、貸主(家主)が4ヶ月を借主に直接請求した場合、前払いした事を貸主(家主)に主張できない事がある。

貸主(家主)がサブリース(転貸借)業者の債務不履行を理由に契約解除すれば、サブリース(転貸借)業者と契約締結している借主は退去を求められる。

借主は賃貸借契約の貸主が、その住戸の所有者なのか、また貸しのサブリース(転貸借)業者なのかを注意する必要がある。

家を借りる時に身元保証人が必要をとなる。

保証契約で保証人は、借主の一切の債務を引き受けるとされる連帯保証人に該当する。

改正民法では、保証人が負うべき責任の上限額(極度額)を定めない場合の保証契約は無効となり、保証人の責任が限定される。

改正民法は2020年4月1日に施行されるため、それ以前に締結された賃貸借契約には遡ってまで適用されない。

賃貸借契約を更新する場合は、改めて内容の確認を実施し、保証契約は極度額の入った契約書で再締結するよう注意する。

《改正民法の賃貸住宅の主な項目》
〔敷金〕原状回復費用などに充て、残額があれば借主に返還する。
〔原状回復義務〕借主は義務を負うが、経年劣化による損傷は貸主(家主)が負担する。
〔修繕〕貸主(家主)に頼んでも一定期間実施されない場合、借主が修繕できる。
〔保証人〕限度額(極度額)を定めない保証契約は無効。
〔家賃減額〕住宅設備が故障などで使用不能となったら一定基準の家賃を減額できる。

《家賃減額の目安》
▼生活インフラ
【電気】〔減額割合〕40% 〔免責〕2日
【ガス】〔減額割合〕10% 〔免責〕3日
【水道】〔減額割合〕30% 〔免責〕2日
▼住宅設備
【トイレ】〔減額割合〕20% 〔免責〕1日
【風呂】〔減額割合〕10% 〔免責〕3日
【エアコン】〔減額割合〕5000円 〔免責〕3日
【テレビ等】〔減額割合〕10% 〔免責〕3日

【2020年3月7日】
公営住宅保証人、不要進まず
身寄りのない高齢者らの公営住宅入居を妨げる連帯保証人規定に関し、国の削除要請にも関わらず、保証人を不要とする自治体は2割以下である事が国土交通省の調査で判明。

国土交通省は2020年4月の民法改正で、保証人が責任を負う上限額が明示が義務化され、確保がより困難になるとみており、高齢化進行で行き場を失う高齢者が増える恐れがある。

国土交通省は保証人が支払うべき額が示されるようになると引受が減るとして、2018年3月の通知で規定削除を促した。

しかし、保証人や、法人などの機関保証を求める自治体は4割超あり、国土交通省は背景に家賃滞納や緊急連絡先の把握といった課題があるとしている。

公営住宅の家賃は周辺の民間賃貸住宅より安く、住まい確保に困窮する低所得者や外国人の受皿にもなっている。

国土交通省は2018年の通知に合せて保証人規定を削除した条例案を示し、削除しない場合も低所得者らの保証人を免除するといった配慮も要請する。

国は民間賃貸住宅に関しても、高齢者らの入居を拒まない物件を公表する制度を2017年に始め、2020年度に17万5000戸を目標にしたが、2万5000戸に止まっている。

【2020年3月14日】
短期賃貸物件、急増
春の移動シーズンで、新生活のため新居探しをする人が増える。

最近は、単身生活者には家具家電付で身軽に入居できる短期賃貸住宅が増加している。

1ヶ月から借りられる月決めマンションは増加傾向にあり、一定期間までは通常2年の契約で物件を借りるよりも安く住めるケースもある。

マンスリーマンションを手掛けるのは、インドのホテル運営会社のオヨテクノロジーアンドホスピタリティジャパンが2019年3月から始めた短期賃貸住宅サービスのオヨライフ。

スマートフォンで部屋探しから入居契約や支払の手続きまでを一貫して提供するサービス。

ベッド、テレビ、冷蔵庫などは原則、部屋に備え付けで、敷金礼金や仲介手数料は掛からず、電気代や水道代など公共料金も家賃に含まれ、支払はクレジットカード決済。

月決めマンションなど短期賃貸住宅サービスは、運営会社が物件所有者や管理会社からマンションなど集合住宅の住戸を借上げ、その上で家具や家電を備え付け、サイトを通じて個人向けに転貸借(サブリース)する。

一般的な賃貸借契約の場合、不動産情報サイトで物件を探して、気にいった物件があれば、問合先の不動産会社に連絡を入れて物件見学をして、そこに決める場合は、不動産会社の店舗で申込をし、重要事項説明をした上で賃貸借契約書を締結する。

その後、カギをもらって入居するまでには申込から約2週間近く掛かる。

契約費用も、賃貸借契約は、敷金礼金や仲介手数料が家賃の数ヶ月分など必要となり、その他に火災保険加入やハウスクリーニング代、生活するための家具を購入しなければならない。

これに対し、月決めマンションなどの短期賃貸住宅サービスは、予約手数料や清掃費などを事前に支払だけの事が多い。

1ヶ月の家賃を比べると公共料金分などが含まれる月決めマンションの方が割高になり、普通家賃の1.5倍程度が多い。

不動産情報サイトのマンスリーズでは、東京都内で築5年、専有面積20uの住戸の月額家賃が、月決めマンションは16万円、一般賃貸マンションは9万円で、8ヶ月目に総額支払額は逆転する。

賃貸借契約は1年以内の退去は違約金が掛かる場合があり、1年未満であれば月決めマンションが割安になる事がある。

月決めマンションは増加傾向にあり、東京都港区のリブマックスは系列でグッドマンスリーを手掛け、長期出張者の利用が多いという。

短期賃貸住宅サービスは、賃貸住宅とビジネスホテルの中間を位置するが、位置付けは住宅などで、入居には収入要件など審査はある。

《月決めマンションと賃貸マンションの比較》
▼月決めマンション
〔家賃(1ヶ月の管理費込)〕16万円
〔1ヶ月の水道代、光熱費〕0円(家賃込)
〔一時金〕3万円(清掃代など)
〔火災保険〕0円(家賃含)
〔家具・家電・寝具など〕0円(家賃含)

▼賃貸マンション
〔家賃(1ヶ月の管理費込)〕9万円
〔1ヶ月の水道代、光熱費〕2万円
〔一時金〕18万円(敷金礼金・仲介手数料)
〔火災保険〕2万円(2年間)
〔家具・家電・寝具など〕20万円

【2020年3月14日】
マンション、家事代行
洗濯物の折り畳み、ボタン付けの裁縫から家具の組立てまで、ちょっと人の手が借りたい時の短時間や軽作業の家事代行をするサービスが広がっている。

家事代行を手掛ける東京都中央区にあるベアーズが運営するサービスのMAUCHI(マウチ)。

東京都内の分譲マンションなどの共用部分にスタッフが待機し、既存の家事代行は1時間単位で料金を支払うが、短時間依頼は10分500円から頼める。

総戸数180戸で33階建てのタワーマンションでは、25%がMAUCHI(マウチ)のアプリを利用し、月に100件以上の依頼がある。

依頼内容は様々で、洗濯物を畳む、お風呂の排水口や水回りの掃除、ゴミ捨て、上履き洗い、電球交換、住戸の小修繕なども依頼可能。

ベアーズは、首都圏の大規模マンション77棟でサービス展開し、今後は拡大する計画。

管理組合の承認を得てスタッフが常駐して、1日数件の依頼があれば軌道に乗る。

ベビーシッター仲介を手掛ける東京都港区のキッズラインも家事代行を展開し、1時間1000円から依頼を受ける。

マッチングアプリのエニタイムズは、家具組立や買物代行の依頼を30分から受ける。

【2020年3月16日】
首都圏、新築マンション発売減少
首都圏の2020年2月の新築マンション発売戸数は1488戸と減少した。

マンション販売各社が発売より、在庫物件(クリアランス)の圧縮に注力を注いている。

東京都区部、神奈川県が減少、東京都と千葉県は現状維持だった。

価格高騰で購入が鈍く、発売が見送られた他、100戸以上の大規模マンションの売出しがなかった。

【2020年3月18日】
近畿圏、新築マンション発売減少
近畿圏の2020年2月の新築マンション発売戸数は1035戸と減少した。

物件価格高騰が続き、買い控えにより不動産各社が慎重姿勢に転じている。

契約率は75.3%と好調を維持し、大阪市内の投資用物件が好調。

ただ、新型コロナウイルスの影響で、世界経済のマヒにより不動産市場が急激に萎む可能性はある。

大阪市内の発売戸数は587戸、大阪府は187戸で共に減少している。

【2020年3月18日】
投資用分譲マンション、賃料上昇
首都圏の2020年2月の投資用分譲マンションの平均募集賃料は、1uあたり2978円と上昇した。

平均築年数の浅い物件が増えて、神奈川県や千葉県で大幅に伸びている。

賃料水準が高い東京都区部は1uあたり3792円と最高値を更新している。

さいたま市も築浅物件の増加で2000円台に迫る。

近畿圏は1867円で上昇し、中部圏は1762円で上昇した。

【2020年3月18日】
日本初の公営団地
1956年3月19日、日本住宅公団が管理する第1号の賃貸住宅団地の東長居・金岡団地が完成し、900戸の入居者募集を開始した。

家賃は月額4050円で共益費は150円。

台所に食卓を置くダイニングキッチンを採用し、日本住宅公団が建てた住宅に導入され、全国に普及していった。

日本住宅公団は日本の高度経済成長に伴い、農村部から都市部に流入する人の住宅需要を吸収するため、一世帯一住宅を掲げて成立した。

その後、時代の流れと共に住宅都市整備公団になり、2004年に都市再生機構(UR)となった。

東長居・金岡団地は1990年代に建替えられ、サンヴァリエ東長居になり、高齢社会に対応した在宅介護支援型住宅も取り入れられている。

家賃は月額7万円台と周辺相場と変わらず、敷地の一部は売却されマンションや戸建てが建てられた。

【2020年3月18日】
家賃安い地方に住む
高齢者が単身で地方に移住する動きがある。

家賃などの安い地域で暮らす事で、老後の生活を安定させるニーズを生んでいる。

人口減少に悩む自治体も移住者を受け入れるため、空き家などを活用し支援する。

山梨県都留市にある高齢者住宅の“ゆいま〜る都留”は富士山が見える場所に建つ。

2019年9月に雇用促進住宅をリフォームして開業し、2棟で80戸ある。

入居資格は60歳以上で、ほとんどが単身者。

家賃は月額6万円強で、一時金はなく、相談員が常駐しており、入居者の安否確認や、医療や介護の相談にものる。

高齢者の移住を推進する自治体は増加しており、高齢者住宅を建設して受入れる事業を始めている。

鳥取県南部町は2013年以降に28軒の空き家をリフォームし、1世帯あたりの家賃を最高5万円程度を抑え、移住者は78人にもなる。

岡山県奈義町は2017年にガソリンスタンド跡地を利用し職業紹介所を設け、草刈りや清掃などの仕事を紹介し、移住者の職業安定所を担っている。

長寿社会の中、老後が長くなり、都市部でも老後資金の不安を抱える世帯は多く、住居生活費が安い地方に移住を考える人が増加している。

受入れには空き家を活用し、軽作業など就労紹介が欠かせない。

また、地域交流のための、温泉や喫茶など気軽に立ち寄れる場所も必要。

移住者だけでなく、現居住者も楽しくなるような地域計画が長く続くカギとなる。

【2020年3月19日】
投資用マンション、融資不正
信販会社のアプラスは、アルヒと提携して手掛けた投資用マンション向けローンで審査書類が改ざんされた問題の経過を公表した。

特定の不動産販売会社が絡む案件のうち、7%強の案件で融資書類の改ざんがある。

アプラスが保管する顧客の収入証明などの書類と、顧客が持つ書類の内容が異なっていた。

【2020年3月20日】
衣食住のサブスクリプション
シャープ、日立キャピタル、旭化成ホームズは、家電や賃貸住宅、家事代行といったサービスをサブスクリプション(定額課金)方式で一括して提供する事業を共同で始める。

世帯人数や生活習慣に合せ、シャープが家電、日立キャピタルが料金回収、旭化成ホームズが賃貸住宅を手掛ける。

【2020年3月24日】
物件放棄で債務免除
スルガ銀行は、不正融資で過大借入をしたシェアハウスの所有者が、物件放棄すれば借金返済を免除する。

東京地方裁判所に民事調停を申立てた約250人を対象に、土地建物の物納を条件に借金棒引きする。

シェアハウス融資を巡り、借入希望者の源泉徴収票や預金残高を改ざんしたり、契約書を偽造したりする不正行為が蔓延していた。

実勢価格より高値物件を購入させたケースも多く、返済に行き詰る所有者が相次いだ。

スルガ銀行がシェアハウス向け貸出債権を投資ファンドの第三者に売却。

所有者がこの債権購入者にシェアハウスの土地建物を物納すれば借金帳消しにする。

所有者には債務免除益が発生するが、非課税扱いにする。

スルガ銀行は、シェアハウス所有者側が求めていた物納による借金棒引きに応じる事で、不正融資で地に落ちた信頼回復を目指す。

【2020年3月26日】
マンションに無人コンビニ
日鉄興和不動産が手掛ける分譲マンションと賃貸マンションに無人コンビニを設置する。

無人コンビニ事業を手掛ける東京都千代田区の600に業務提携する。

在宅勤務が広がり、マンションの利便性を高める。

無人コンビニは冷蔵のショーケース型で、利用者は専用端末にクレジットカードを通じて解除し、商品を取出し自動的に決済し購入する。

ショーケースは幅60cm、高さ190cmで80商品前後を置く事ができる。

【2020年3月28日】
インドでマンション開発
丸紅はインドでマンション開発を手掛ける。

インドで住宅やオフィスビルを開発運営する不動産開発会社のワドワグループホールディングスと提携し、ムンバイ郊外で200億円の計画に参画する。

2万5000u(7562坪)の敷地に47階建てのタワーマンション3棟の700戸を建設する。

ムンバイ近郊は人口2300万人程度で、経済成長が著しく中間層向けの住宅が不足している。

丸紅は日本や中国、アジアなどでマンション販売してきたノウハウを生かし販売戦略で協力する。

【2020年3月30日】
好調なマンション市場に暗雲
東京建物など数社が手掛ける地下鉄の白金高輪駅から徒歩3分の新築マンションの白金ザ・スカイは、JR山手線内側では最大級の1247戸の大規模マンション。

2019年11月に発売し、平均価格は3.3u(1坪)あたり670万円と超高額で、首都圏の新築マンションの平均309万円を大幅に上回るが、好立地や利便性から売行きは順調。

2020年の公示地価で東京都区部の住宅地の平均上昇率は4.6%で、鈍化しているが上昇はしている。

共働き世帯などが勤務地の近い都心部の駅近な住宅地を好んで選んでいる。

北海道の札幌市では東急不動産が手掛けるブランズ円山外苑前は、地下鉄駅まで徒歩3分、中心部まで車で数分の好立地。

平均価格は1億円超と周辺相場より高額だが、販売は好調。

札幌市の住宅地の地価上昇率は7.1%と高水準で、沖縄県那覇市の9.9%に次ぐ。

2019年の首都圏の新築マンションのうち、駅から徒歩5分以内の物件が占める割合は50%にのぼる。

不動産会社は駅近のマンションを売りたいものの、そうした立地はホテルやオフィスと競合し地価が高騰していた。

人手不足などで建設費も高騰し、2019年の首都圏の新築マンション1住戸あたりの販売価格はバブル期後半の最高値5980万円まで上昇している。

首都圏では大手不動産7社(三菱地所レジデンス・三井不動産レジデンシャル・住友不動産・東急不動産・野村不動産・大京・東京建物)の発売戸数に占める寡占度割合は50%前後で、資本力がある大手のけん引により高値水準は継続される予想。

ただ、ここに来て新型コロナウイルス拡大により、今後はマンション市場にも影響が出始める。

直近でホテルが大打撃を受けて、都心部経済活動自粛によりオフィス街の空洞化、緊急時に住宅など不動産購入意欲が委縮するマンションなどの販売が低迷する。

地価上昇でマンション資産価値は維持向上しやすく、これまでは実需に加え富裕層や投資家の資産形成目的や投資目的の購入が目立っていた。

投資家などの購入低迷など一時的な不調はある。

2008年のリーマンショックでマンション販売が低迷した際、在庫を抱えた事業主が採算度外視の値下げに踏み切り、アウトレットマンションなどと叩き売りに出た。

結果的に中小の事業主が相次いで倒産した。

ただ長期的に見れば、観光客減少や在宅勤務でホテルやオフィスビルとの用地獲得競争は減り、安価で手に入れる事ができる土地。

数年先に販売する時期には新型コロナウイルスは沈静化している可能性を考えると、資金力のある新築マンションの事業主にとっては、またとないチャンスでもある。

【2020年3月31日】
4月
マンション投資、不正融資
アルヒは、投資用マンションの仲介案件でローン融資の審査書類が改ざんされた問題で、不正に関与した事実は無かったと発表した。

ただし、改ざんを主導した不動産業者の調査はできていない。

アルヒは信販大手のアプラスと手掛けていた投資用マンション向けローンで、借入希望者の源泉徴収票などが改ざんされた事例が判明している。

この不正融資で、アルヒのフランチャイズ店舗の関係者が借入希望者の書類を改ざんした上でアプラスに提出したり、申込書に虚偽の記載をするよう指示したりした事実は確認されなかったという。

主導した不動産業者への調査では、担当者が退職し実態判明には至っていない。

【2020年4月1日】
新築マンション販売、供給会社
2019年度の新築マンション販売実績の供給専有面積ベースでのランキングで、1位は2年連続で住友不動産だった。

供給専有面積は39万1386uで2割近く減少したが、2位の野村不動産に比べ10万u以上の差を付けている。

【2020年4月2日】
中古マンション売出価格上昇
2020年2月の中古マンションの平均希望売出価格は70u(21坪)換算で、首都圏が3824万円(182万円/坪)で上昇した。

埼玉県は小幅な下落したが、他の地域が上昇している。

東京都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、文京区)は8203万円(390万円/坪)となり、その他の区は下落しているが、都心部の高騰ぶりが際立つ。

近畿圏は2441万円(116万円/坪)で上昇し、大阪市中心部は4427万円(210万円/坪)で小幅ながら下落している。

中部圏は名古屋市で築年数の古い物件が出回り1925万円(91万円/坪)と下落した。

【2020年4月2日】
アメリカ、家賃不払い要請
新型コロナウイルス感染拡大で、失業者が急増しアメリカで家賃支払猶予を求める要請が出ている。

内容は、家賃や住宅ローン、水道光熱費などの請求を2ヶ月程度、停止を求めている。

ニューヨーク、サンフランシスコ、シカゴなど大都市で、経済封鎖により仕事を失い収入が途絶えた人達が急増し、家賃不払運動が世界的に広がれば不動産ビジネスや金融市場にも影響を及ぼす。

ニューヨークでは人口の6割以上の540万人が賃貸住宅に居住し、3月分の家賃や水道光熱費が4月1日に支払期限を迎え、収入が途絶えた人には賃料問題は深刻である。

この問題に対し、自治体などでは90日間は強制的な立退きを禁止する措置を取入れたが、期間終了後には3ヶ月分の支払が発生するため、その時に資金が無ければ意味の無い対策になる。

家賃不払運動が拡大すれば、物件保有者(大家)への影響が避けられない。

家賃をアパートローンに充当していれば、元本返済や金利支払が滞る可能性がある。

アメリカでは延滞請求をできるが、元利払いの減免や免除ではなく、家賃不払が広がり収入が滞ればそれを原資にしていた債務負担が増加する。

金融市場にも波及し、金融機関は住宅ローンを担保にした証券化商品(MBS)を発行し、投資家に販売している。

借手が返済を延滞した場合、金融機関側がMBS投資家への金利払いを立替えなければならない。

【2020年4月2日】
賃貸物件、間接説明
対面が基本の不動産取引。

接客や物件案内をする不動産業者には、新型コロナウイルス感染拡大は業務不能を意味する。

そこで、東京都品川区にある賃貸業者の三都市アースは、無料対話アプリを用いた仲介サービスを導入した。

事前に転居者に契約書類を郵送し、スマートフォンの画面越しに契約条件や重要事項説明を行う。

不動産取引は従来、消費者保護のため契約条件や耐震診断など重要事項説明について、有資格者の宅地建物取引士の対面が基本となっていた。

国土交通省は2017年10月、賃貸物件に限り対面と同等の配慮を条件にテレビ電話で説明できるIT重説を解禁した。

新型コロナウイルスで思わぬ効果が表面化した。

【2020年4月3日】
マンションと戸建ての企業提携
住宅大手のオープンハウスは、プレサンスコーポレーションと資本業務提携を締結した。

オープンハウスがプレサンスコーポレーションの株を取得する。

関西圏で投資用マンション開発分譲事業を展開するプレサンスコーポレーションと、関東圏で戸建て分譲事業を展開するオープンハウスは補完関係にあると見て事業拡大する。

【2020年4月7日】
タワーマンションの防災対策
地震や台風など災害に対しタワーマンションの防災はどうなっているのか。

建物構造に関しては高い防災力を備えており、居住者の防災意識を高め、得意分野を集結し予防や対応にあたればさらなる威力を発揮する。

タワーマンション内の在宅避難を基本に防災行動を計画する物件が増えつつある。

東京都中央区にある39階建てのリガーレ日本橋人形町では、1階倉庫にご飯が炊ける釜が3つ、テント20部、発電機、マスクなどが備蓄されている。

防災品購入に毎年200万円を予算計上するが、所有者からの反対はない。

1年に2回、イベントを兼ねた災害訓練を商店街や近隣住民と共に実施する。

マンションのコミュニティー力は、災害時や事後対策にも役立つ。

2019年10月、台風で被災した川崎市の47階建てのパークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワーは、地下4階の貯水槽が雨水で流水し、地下3階の電気設備が浸水して停電し、給水ポンプも稼働せず断水した。

管理組合内に設置された居住者が参加するタスクフォースが、原因究明と予防策をまとめる。

管理会社だけでは原状復旧できないとの思いで、居住者1500人のうちタスクフォースには40人以上が参加し、石油プラントのエンジニア、建築士らが専門職業の居住者が原因となった配管類の補強など防止策をまとめた。

今後は電気設備を移設する検討もし、居住者の得意分野を活用する。

災害当時は、200人以上の居住者が浸水防止のため集まり、土嚢を積み上げ地下駐車場への浸水を防いだ。

高層階から低層階まで各々の世帯が住むタワーマンションは居住者の交流が薄いが、災害多発の時代には逆にコミュニティー形成を促進する。

タワーマンションなどの大規模マンションは、災害時に自宅にとどまる在宅避難が進めやすい利点がある。

エントランスロビーなど共用スペースが広く、建物が大規模のため災害用品の備蓄倉庫が確保しやすい。

各フロアごとに備蓄スペースを設け、水や簡易トイレを保管しているタワーマンションもある。

ただ、建物設備や防災備品などモノだけでは災害対応は不十分で、大切なのは居住者間の情報共有。

東京都杉並区にある総戸数680戸のグランドメゾン杉並シーズン。

東日本大震災では、居住者が1階エントランスに集まり情報を求めた。

その事から、通信やエレベーターが停止した場合でも、各住戸と情報伝達できるようにした。

各階で安否をまとめ、ロープ付きのフォルダー“伝令パック”に入れて吹き抜けから落とす。

1階の災害対策本部からの情報も“伝令パック”で各階に伝え、居住者の安否確認など情報を共有する。

タワーマンションは修繕積立金や理事会役員のなり手不足など問題が山積みである。

管理組合を支援する東京都千代田区の“つなぐネットコミュニケーションズ”は、防災活動からマンションの問題を表面化し、災害対策を通じて居住者の意識を高める事ができると言う。

●災害時、都市インフラになるタワーマンション
タワーマンションには、都市の防災インフラとしての機能も備える。

東京都品川区のタワーマンションなど10棟は、品川区の呼びかけで帰宅困難者を1階ロビーや共用スペースで受入れる協定を結ぶ。

東京都港区は、地域住民が使う水や簡易トイレの置場として、地域のタワーマンションなどに備蓄スペースを借りる協定を結び、協力分として一部をタワーマンション側も利用できる。

災害に備えて各住戸が自前で確保しておく生活必需品は3日分を目安にするが、実際は7日分は必要という。

港区の取組みは、マンション居住者にとっても各住戸の備蓄量を増やす事を促進する。

【2020年4月10日】
首都圏、新築マンション低迷
新型コロナウイルス感染拡大で、不動産会社が強気な価格設定してきた新築マンション市場は転機となっている。

2019年度の首都圏の発売戸数は前年比2割減少し3万戸割れとり、1992年度以来の低水準となった。

2020年度も新築マンション低迷のうえ、新型コロナウイルス影響が追い打ちを掛け3万戸割れは確実と見られる。

消費者も社会不安や収入減少で慎重姿勢を強め、不動産会社の戦略が見直される。

2019年度の首都圏の新築マンション発売戸数は2万8563戸と前年比22%減となった。

2020年3月は2142戸と前年同月比36%の急減し、新型コロナウイルス感染拡大に伴い新築マンションのモデルルームを閉鎖する動きもある。

発売戸数が減れば価格は下がるのが市場道理だが、近年の動きは異変を見せている。

2019年度の平均価格は6055万円、2020年3月は6156万円と高水準を保っている。

不動産会社は、土地や建築資材、人件費、販売管理費など高い時期に建設した物件を抱えており、高値で売りたい事情がある。

供給を絞り価格維持をしながら、在庫圧縮している。

需要側では富裕層や投資家、共働き世帯のパワーカップル世帯が新築マンション市場を支えていた。

不動産会社はこの状況を静観や楽観しており、住宅需要は減っておらず、新型コロナウイルスが収束すれば需要は戻ってくると見ている。

2020年度も新築マンション高値が維持される可能性がある。

ただ、2019年1月〜12月の首都圏の年間総契約戸数は3万1695戸と減少傾向にあり低水準。

価格高騰も響き、発売した月に売れた割合を示す契約率は、2019年度で61%と好不調目安の70%を割り込んでいる。

新築マンション購買層は、もともと高値水準を敬遠していた上に、新型コロナウイルスの自粛規制により日々の生活対応に追われ住宅購入自体ではなくなっている。

都心の高額物件を購入していたアジア系投資家も、入国制限が続く状況では物件見学すらできない。

2020年2月から海外投資家の接客ができなくなり、購入件数が前年比3割減となっている。

2008年のリーマンショック後に新築マンション市場は値崩れを起こした。

2009年度の首都圏の発売戸数は4万戸割れ、平均価格は2008年度比4%減の4573万円となった。

資金繰りが悪化した中小不動産会社が値引き販売で現金化を急ぎ、大手不動産会社も巻き込まれていった。

その後、新築マンションの中小不動産会社の破綻が相次ぎ、2005年に328社だった不動産会社が2009年には半減した。

当時との違いは、首都圏の新築マンション発売戸数は不動産会社大手7社の比率が、当時は3割程度だったが5割近くある。

新築マンション市場の支配力を強め資金力のある大手不動産会社は、値崩れを避けるため3年程度かけ販売し、購入の動きが鈍ってもすぐに値下げしない。

一部で先に販売した物件の所有者がいるため、残住戸の価格を下げにくい事情もある。

まだ発売していない潜在在庫は2019年度で2万1908戸あり、実体経済が悪化すれば、高額物件を支えてきた資産化が減り、実需層の所得も下落し、大手不動産会社も売り切りを優先させる可能性もある。

高値で売りたい不動産会社の事情と、中古マンションを選択肢も増やし様子見する消費者。

もともと新築マンション市場は縮小しており、新型コロナウイルス感染拡大が追い打ちを掛けている事だけは判明している。

●郊外物件に光明
新型コロナウイルス感染を予防するため、大都市を中心に在宅勤務が日常化する。

テレワークやサテライトオフィスが定着すれば、マンションの立地選択も変わってくる。

2010年頃から共働き世帯増加などを背景に、職場への交通便など利便性が高い都市部や駅近の物件に人気が集中し、不動産会社は都心部開発に軸足を置いた。

首都圏の新築マンションのうち徒歩5分以内の物件は、2015年で37.8%、2019年で44.6%と上昇している。

利便性の高さから平均価格も上昇してきた。

ただ、テレワークやサテライトオフィスが普及すれば、都心での職住接近や駅近の利点は必要なくなる。

今後は、自然環境が良く価格が安くて専有面積の取れる郊外物件の需要が高まる可能性がある。

三井不動産が開発する大規模の新築マンションでは、共用部にコンセント付きテーブルや1人用のブースを置いたワーキングスペース、子供を遊ばせるキッズスペースを設け、利用は上々という。

不動産会社は、働き方改革や通勤のあり方により、今までの常識を外した対策を講じる必要がある。

【2020年4月17日】
近畿圏、新築マンション低調
関西の新築マンションに逆風が吹き始めた。

2019年度の新築マンション発売戸数は1万7452戸で、単価上昇が響き前年比13%減となった。

さらに新型コロナウイルス感染拡大に伴い、足元ではモデルルーム閉鎖が相次いでいる。

関西の新築マンション市場は、発売戸数を増やし高い契約率を保っていたが、ここに来て転換期となる可能性がある。

近畿圏の新築マンション発売戸数が減るのは3年ぶりで、1万8000戸割れは27年ぶりの低水準。

1住戸あたりの平均価格は3903万円と横ばいだが、ファミリー用の物件で専有面積が狭くなり1uあたりは69万1000円(228万円/坪)とリーマンショック直後の2009年度と比べ4割高い。

建築資材や人件費の高騰、消費税増税、ホテルやオフィスビルの用地獲得による激化で、新築マンション価格は高騰している。

ただ、契約率は73%と高く首都圏の61%と比べても好調で、不動産会社は供給数の引上げ絞って販売を安定させている。

発売戸数が減少に転じたのは、価格上昇によりデベロッパーが売れ残りに慎重になり、大阪市内を除き、近畿圏全体に落ち込みが目立つ。

発売時期をズラす物件が増えてきたところに、新型コロナウイルス感染拡大でさらに延期を余儀なくされる。

緊急事態宣言を受けて、新築マンション販売現場は困惑が広がる。

阪急阪神不動産は新築マンションのモデルルームをすべて閉鎖し、この状況が長引けば販売延期もあり得るとしている。

住友商事も27階建てのタワーマンションのクラッシィタワー靭公園で、4月に販売センターを開設する予定だったが見直す。

近鉄不動産は広告を控え、販売センターでのイベントを中止している。

原則、大阪府と兵庫県の新築マンションのモデルルームは休業している。

そうした中、顧客対面しない販売を模索する。

大阪ガス都市開発はウェブサイトでコンサルティングしたり、住友商事はモデルルームを疑似体験できるコンテンツを検討している。

三菱地所レジデンスは東京の販売拠点でオンライン接客を導入しており、関西でも検討する。

新築マンション購入した顧客への引渡しが遅れる可能性も出てきた。

大阪ガス都市開発は、建築現場で建設資材の納入が遅れており、工事が進まない物件が出てきたという。

さらに清水建設などゼネコン各社が工事中止を表明し始めた。

関西の中堅ゼネコンも、発注者の要望があれば協議のうえでマンション工事を中止するとし、工事が遅れる物件が増加する可能性がある。

関西では大阪や神戸など都心部のタワーマンションが増加し、資産価値が保てるとし投資対象として購入されていたが、一時的にも投資マネーが流れなくなる可能性がある。

2025年の大阪関西万博が控えており、長期的には訪日客が戻ることを念頭に関西にはプラス要素は残っている。

働き方改革の促進の中、今回の新型コロナウイルス感染拡大に伴い、テレワークやサテライトオフィスがビジネススタンダードとなれば、安くて環境の良い郊外のマンションが注目される可能性がある。

地震、台風、ウイルス感染など非常時の脆弱な都心部のリスクが表面化した今、資産価値で購入する判断基準も揺れ動く。

投資対象の新築マンション動向は変調する可能性はある。

【2020年4月17日】
投資用分譲マンション、賃料上昇
2020年3月の投資用分譲マンションの平均募集賃料は、首都圏で1uあたり3050円と上昇した。

東京都をはじめ新しい物件の流通が増えて賃料上昇した。

東京23区は3846円となり最高値を更新し、横浜市が2487円、さいたま市は2024円で共に上昇した。

近畿圏は1907円も上昇し、大阪市は下落したが、大阪府は2150円と上昇している。

【2020年4月18日】
民泊物件、売却急増
新型コロナウイルス感染拡大や東京五輪延期に伴い、民泊事業者の経営が圧迫されている。

入国規制により訪日客が激減し宿泊客が蒸発、民泊事業者の物件売却はここ半年で6倍に急増し、廃業も目立つ。

2018年に住宅宿泊事業法(民泊法)施行後、民泊届出は増加傾向だったが、ここに来て事態は一変、民泊仲介業者の民泊事業者への資金支援の動きも出てきた。

M&A(合併・買収)の情報サイトを運営する東京都港区のトランビがまとめた民泊の譲渡希望案件の理由は、宿泊客ゼロで資金枯渇や東京五輪延期で事業整理が多い。

民泊譲渡物件は東京、大阪、博多など幅広い地域に及び、新型コロナウイルス感染拡大で利用客が激減し、副業で民泊をやっていた人や、複数物件を所有していた人が事業見直しに動いているという。

一番影響が大きいのは訪日観光客の依存度が高い関西。

撤退を選択する民泊事業者も増えており、事業廃止件数は2020年4月で4100件に達し、2万5000件の民泊届出件数全体から見れば少ないが、2018年11月の200件の20倍近い。

日本民泊協会は、民泊はホテルに比べ訪日客が利用する割合が高く、観光目的の利用者が多いため、予約ゼロになった物件も多いという。

経営悪化した民泊事業者を支援する動きもあり、民泊仲介サイト大手のエアビーアンドビー(Airbnb)は民泊事業者に資金補助を始め、自宅を民泊の事業所として運営し、収入を住宅ローン返済などに充てる家主らの民泊事業者を対象とする。

2018年の民泊市場規模は702億円、2020年には1297億円になる見通しだったが、新型コロナウイルス感染拡大と東京五輪延期で見通しは不透明となった。

ただ、海外などから帰国した社員の一時住まいや、サテライトオフィスとしての活用などで認知度を上げるきっかけも考えられる。

宿泊以外の利用法が民泊事業を定着させるキーワードになる。

【2020年4月18日】
マンション管理組合、どうする総会開催
分譲マンションで構成する管理組合は、1年に1度、総会を開催しなければならないが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い総会の会場に区分所有者らを招集する事が困難となっている。

マンション総会は、年間予算や管理会社との契約、管理組合の役員選任など決議集会。

適正に開催しなければ日常管理の費用支出や点検業務に支障をきたし、しいてはマンション管理運営が揺らぐことになります。

区分所有法でも、総会は最低年1回開くと定められ、国が推奨しているマンション標準管理規約の雛型では、新しい会計年度の開始後2ヶ月以内に招集するとされている。

一般的な総会は、区分所有者が集会所などに集まり、総会議案書に基づいて質疑応答し審議して決議します。

密接・密度・密閉の高い空間に集会所に人が集まる事自体、会場での総会自体の開催は避ける事が望ましい。

ただ、総会開催は法的にも定められているため、このような場合、書面総会で決議する方法があり、区分所有法でも認められていますが、ただし、書面総会を開催するには区分所有者全員の合意が必要です。

総戸数30戸以内の小規模マンションならなんとか可能かもしれませんが、総戸数100戸以上の大規模マンションなどでは全員一致の承認は、時間が無い中でも現実的ではありません。

その対応策として、総会は開催するが、議決権行使か委任状を事前に提出してもらう方法が採用されています。

総会会場には、理事長など理事会役員や次期役員候補、管理会社の関係者など最低限に人数で開催します。

総会を延期する方法もあり、法務省の要旨は、最低年1回開催は、前年開催から1年以内の意味ではなく、延期して年内に開催すればよいと示しています。

4月開催の総会なら、4月ではなく2020年内に開催しても違法にはならないと言うもので、法律では延期の手続きを具体的には定めていません。

ただ、総会月は、当然に次期に今期を開催しており、総会延期すれば今期役員は1年以上の任期になり、次期の役員は1年未満の短い任期になってしまします。

次期予算や事業計画にも支障をきたすため、2ヶ月以上の延期はあまり望ましくありません。

理事会も総会延期を決議できるとしているが、管理組合の理事長で構成する理事会が、総会に出す議案を決めると一般的な管理規約で定めています。

理事会が総会延期を決めれるが、あくまでも緊急措置の範囲内で、長期延期や開催中止は管理組合運営への影響から責任問題に発展する可能性はあります。

理事会で総会延期決議をすれば、理事会の議事録に延期理由を明記し、区分所有者に周知する必要があります。

【2020年4月18日】
マンション管理、市場評価へ
●財政健全化
マンションが日本で供給され50年近く経ち、マンションストック戸数は655万戸に達し、都市部の居住形態として人口の1割程度がマンションに住む。

中古マンション成約件数は新築マンション販売戸数を上回り、永住を考えてマンションを購入する人も増加し、マンション管理の適正化が重要視される。

分譲マンションには1500万人程度が暮らし、平成30年度マンション総合調査では、いずれ住替えるつもりという意識の居住者が大半だったのが、2018年度は63%が永住希望しており、居住者の70歳以上の割合も増加している。

マンション高経年化も進み、2020年には築40年超は81万4000戸程度が、2030年には2.4倍の195万35000戸、2040年には4.5倍の366万3000戸に増える見通し。

マンションに対する時代や環境が変化する中、快適に住続け、マンション価値を維持していくためにも適正な管理が重要となっている。

共用部分や敷地の管理はマンションの区分所有者による管理組合が、日常管理については管理費などから管理会社に委託して行い、長期修繕計画や事業計画により修繕積立金等から活用し工事実施する。

新築マンションや築浅マンションではIT(情報技術)化が進み建物設備の管理も複雑化し、管理会社の対応や知識への要求は高まっている。

マンション管理で基本になるのが共用部分の長期修繕計画と、それに向けた修繕積立金総額。

築年数が浅いマンションは、当初計画通りの修繕積立金で賄えるが、経年に伴い修繕箇所が増加し修繕積立金総額が足りなく工事実施できない管理組合もある。

また、地震や台風など災害による被害補修のため長期修繕計画と修繕積立金徴収を大幅に見直す管理組合もある。

毎年のように発生する災害を見据えて、災害対策等を踏まえた長期修繕計画の策定も必要となっている。

マンション総合調査では、2018年度に長期修繕計画を作成している管理組合の割合は90.9%だが、計画期間25年以上の長期修繕計画に基づいて修繕積立金を設定している管理組合は54%に止まる。

現在、修繕積立金が長期修繕計画に対し不足している管理組合の割合は35%あり、マンション価値の維持向上、暮らしの安心安全のためにも管理組合の財政健全化が求められる。

●マンション管理品質を流通価格に反映
分譲マンションの増加に対して居住者と建物高齢化により資産価値維持が難しくなっている。

マンション管理業協会は、マンション売買する際、購入者は管理状態は契約前の重要事項説明で知る事となり、購入する判断材料にはなっていないとし、管理状態を分かりやすく示して不動産市場価値を決める方向性が必要と強調する。

マンション管理業協会は、不動産流通関係も含めたマンション関連業界と共に、マンション管理適正評価研究会を立上げ、管理情報を開示し管理の質が市場価値に反映される必要性や、その評価基準について検討し、管理状態を示す評価項目を示した。

管理組合体制、収支状況、耐震診断等170に渡る項目を評価したポイントを“S・A・B・C・D”まで5等級で示し、マンション購入の際の参考にしてもらう趣旨。

損害保険業界にも協力を促し、等級が上がればマンション総合保険料を下げる方向で交渉をしている。

管理の質が価格に反映されれば、リセールバリューやリバースモーゲージの際にも有利になる可能性がある。

等級が低ければ管理レベルを上げるよう管理組合のモチベーションも上げられる。

共用部分に掛かる保険料が下がれば管理費にも反映され、資産価値の上昇により区分所有者にもメリットが明確になり、2020年度に導入を予定している。

政府も、マンションの管理の適正化の推進に関する法律、および、マンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正することを決定。

マンション管理は、地方公共団体の役割を強化して管理適正化の推進を図る事がポイントとなる。

管理計画認定制度で、適切に修繕積立金が徴収されているか、総会が年1回開催されているかなど、管理組合が適切に運営されている事などを地方公共団体が評価・認定する。

認定基準の詳細は国土交通省が検討し、2020年度の改正法施行を目指している。

これらの施策で、25年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立金総額を設定している分譲マンションの管理組合の割合を、現在の54%から2025年には70%に引き上げる事が目標。

国土交通省・渋滞曲市街地建築課では、認定制度にプラスして専門知識を持つマンション管理士や管理会社などの支援をさらに高めて管理レベルを上げる事を期待していると話す。

築年数が古くても積極的に管理を実施しているマンションは、不動産市場で評価される事をインセンティブとしたい。

管理体制がどうなのか、機能しているのか、大規模修繕工事の実施時期、居住者のコミュニティー形成など、暮らした後の生活が快適にするためにも、マンション管理情報は事前に得られる仕組みが必要となっている。

ただ、適正にマンション管理できない管理組合の支援策も必要で、マンション管理指針の評価項目や、国の認定基準を適正化に役立てる事が重要となる。

建替円滑化法に関し、外壁の剥落などで危害の恐れがある老朽マンションの敷地売却をしやすくする仕組みや、老朽化マンションを含むマンション敷地の分割を可能とする制度も創設する予定。

日本の分譲マンションの管理品質が向上し、高齢化マンションの維持や建替を促進する制度の充実が求められる。

●分譲マンション管理の理想と現実
分譲マンションは区分所有者で構成される管理組合が主体となって、建物の維持や運営を担っている。

管理状態の劣悪なマンションは、当然に資産価値は下がり、その責任は区分所有者で構成される管理組合に跳ね返ってきます。

自分達の財産価値を守るのは、自分達という事です。

ただし現実は、ほとんど素人の区分所有者が建物や管理規約の専門知識がないまま主体となり運営するには無理がある。

そのため日本の分譲マンションの大半は、建物管理を専門とする管理会社が管理組合から委託を受け実質管理している。

マンションの管理組合と管理会社は運命共同体でもある。

マンション管理会社の主な業務は建物設備管理と管理費等の会計出納業務になります。

管理会社の団体でもあるマンション管理業協会が、管理組合に対して分譲マンション資産向上を推進すると言う事は、おのずと自らの受託業務に対して品質と責任に反映する責任感とも言えます。

分譲マンションの管理組合は管理会社に委託しており、劣悪な状態に陥ったマンションは一番に管理会社の知るところによるもので、財産低下による毀損を問われるものでもある。

管理組合から訴訟を起こされれば、設備の修繕履歴、総会や理事会の議事録から過去の管理状態から鑑み、資産価値低下により損害賠償請求をされる可能性もあります。

今回のマンション管理業協会の行動は、日々の受託管理業務の品質、技能、知識の向上などプロの専門家として管理組合から求めれており、裏を返せば資産価値低下の責任追及が管理会社に及ぶ危機感でもあると言う事です。

インターネットなどにより管理状態は公になり、マンション管理業の従事する人達ひとりひとりが、マンション資産価値を含めた理解力や対応力など専門性が問われる時代になった言えます。

【2020年4月20日】
大和ハウス工業、家賃支払猶予
大和ハウス工業は、オーナーから一括借上方式で管理する賃貸住宅の50万戸の入居者に賃料支払を最大3ヶ月間猶予する。

新型コロナウイルス感染拡大により収入減少した人を対象に、最大3ヶ月分の家賃や駐車場代、共益費を最長2年間かけて分割で納めるようにする。

【2020年4月23日】
自宅担保で修繕積立金融資
老朽化が進む分譲マンションの修繕積立金を金融支援する仕組みができる。

住宅金融支援機構は分譲マンションの区分所有者が自宅を担保に修繕積立金を借りられるローンを2020年度に始める。

大規模修繕工事の費用を民間金融機関と協調融資する事も検討している。

深刻になりつつある住宅資産劣化を資金面から防止する仕組みを構築する。

住宅金融支援機構は毎月の修繕積立金を将来分もまとめて貸出す。

一般に修繕積立金は月額1万円〜2万円程度を管理組合に支払っている。

ローンの借手は利息支払だけで済み、負担は軽くなり、現金は死亡後に自宅売却で返済する。

高齢者が自宅担保に生活資金を借り、死後に物件売却するリバースモーゲージのマンション修繕積立金版となる。

管理組合は修繕積立金を確保でき、滞納を抑える事ができる。

修繕積立金値上げの総会議案で区分所有者負担が増すタイミングで、ローン活用も選択肢として意見集約すれば管理組合も決議しやすくなる。

【2020年4月27日】
中古マンション価格下落
2020年3月の中古マンションの平均希望売出価格は70u(21坪)換算で、首都圏が3748万円(178万円/坪)と下落した。

価格が高い東京都が横ばいで、神奈川県などは上昇している。

東京都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、文京区)は8282万円(394万円/坪)と上昇、東京23区は5673万円(270万円/坪)で小幅高だった。

横浜市や千葉市は築浅物件が増えて上昇、さいたま市は下落した。

近畿圏は2444万円(116万円/坪)で、大阪市は3390万円(161万円/坪)で上昇している。

【2020年4月29日】
レオパレス21、施工不良工事延期
レオパレス21は施工不良の賃貸アパートについて、不備が確認された物件改修工事の完了時期を延期する。

これまで完了時期を2020年12月末としていた。

【2020年4月30日】
5月
空きビルを学生寮に
山形市の中心市街地で、空き家や空きビルを改修し、学生に住んでもらうプロジェクトが始まった。

山形県、山形市、山形県住宅供給公社が改修費補助などし学生寮をオープンさせる。

物件の所有者が補助金を活用してワンルームアパートに改修。

山形県住宅供給公社が10年間借上げて管理運営する。

家賃は3万円前後で、家庭の所得が一定額を下回る場合、補助を受けられる。

ビルを改修した“山形クラス七日町一番街”と、住宅を改修した“同香澄町の家”がオープンし、入居する計25人の学生が都市部で生活する。

ビルを改修したリズムイノベーションは、街中の活性化につながり、改修には課題も多いが、物件をどんどん広げる事を目標にしている。

【2020年5月4日】
コロナ危機、民泊へ
インバウンド(訪日外国人)に依存してきた民泊は一気に低迷した。

大阪市内で民泊を9室営む事業者。

民泊は大阪府の休業要請の対象外だが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い宿泊客は皆無となった。

1泊3500円の宿泊料を1000円に下げても客足は戻る事はない。

2019年3月〜5月に月額40万円〜60万円ほどあった売上高は、2020年から月額1万円〜2万円という。

国家戦略特区に認定された大阪市の特区民泊は自治体別で全国最多の1万1278室ある。

新型コロナウイルスにより4月からの関西国際空港の出入国者数は前年同月比99.7%減と過去最低を記録し、事態が収まっても観光客の早期回復は見込みにくい。

民泊は大阪府の休業要請支援金の対象外で、民泊事業者は部屋に消毒液を設置し、連続して同じ部屋に宿泊しないよう1日〜2日の間隔をあけて感染防止対策を取っている。

国や自治体は観光立国により民泊促進の政策を取ってきたが、今では民泊事業の保護まで手が回らないのが実態である。

【2020年5月16日】
民泊施設、減少傾向
2018年に施行した住宅宿泊事業法(民泊法)から増加傾向だった民泊戸数が減少に転じた。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い訪日客が激減した影響により需要が瞬間蒸発した。

民泊事業の売却や賃貸物件に用途変更する施設も出ている。

観光庁によると、5月時点の民泊戸数は2万1176件と前月比で1%減少し、事業廃止届出は15%増の4755件にのぼる。

大阪市の民泊事業者は民泊事業を売出しており、ビル1棟を借上げ70区画の大規模な民泊施設だったが、3月の売上が好調時より1/3に減少したのが響いた。

【2020年5月20日】
コロナ危機、民泊変化
新型コロナウイルス感染拡大に伴い訪日客が激減した影響により民泊事業者が苦境に陥っている。

大阪市内で民泊施設を手掛けるFURUEL(フルエル)は民泊事業を停止し、担当者を不動産テック事業に振り分けた。

リフォーム受注発注システムの“リモデラ”を稼働させ、施主と職人をマッチングし、賃貸物件の原状回復工事の依頼をオンラインで完結できるようにする。

3Dカメラを使い登録したデータを基に非対面で見積が取れる。

空き家を活用した分散型ホテルを展開する大阪市のセカイホテルは、地域での体験を売るECサイトを立上げ、地元での拘りの日常体験を提供しコト消費を付帯させる。

【2020年5月20日】
完成物件、ほぼタワーマンション
2020年以降に完成する20階以上の超高層マンションの計画が全国で10万3000戸に達する計画で、前年比で8000戸の増加となる。

ただし、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、一部物件で工期が延期し、完成が遅れる可能性もある。

2020年以降に全国で完成予定のタワーマンションは258棟の10万3100戸、2019年比で27棟の8009戸増加する。

首都圏で完成するタワーマンションは8万1525戸と8割を占め、その内、東京23区は5割の5万4952戸となっている。

一方、2020年に完成するタワーマンションは前年比9%増加の1万8498戸となり、2021年は1万4212戸と減少する。

タワーマンションは一般的に中古物件でも値崩れしにくく、売却目的でも収益的にも魅力とされる。

今後も東京都心部や湾岸エリアを中心に超高層ビルなどの大規模再開発が計画されているが、コロナ危機により建設会社が工事を停止しているため、完成に遅れが生じている。

【2020年5月21日】
首都圏、新築マンション減少
2020年4月の首都圏の新築マンション発売戸数は686戸と前年同月比50%近く減少し、1973年の調査開始以来、過去最低水準となった。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、不動産会社が活動自粛した影響が出ており、当面は低調が続くと見られる。

【2020年5月21日】
新築マンション発売減少
2020年4月の新築マンション発売戸数は、近畿圏が494戸と前年同月比42%減となり1992年8月以来の低水準で、大阪市も249戸だった。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、モデルルームの6割近くが営業休止となり販売も低調となった。

契約率は77.9%と目安となる70%を上回り、投資用物件や奈良の初回売出物件が好調だった。

不動産会社の営業休止が続けば、今後の供給戸数が絞られ、5月の発売戸数は300戸程度と78%減少するとの予測。

【2020年5月22日】
中古マンション価格下落
2020年4月の中古マンションの平均希望売出価格は70u(21坪)換算で、首都圏が3701万円(176万円/坪)と下落した。

高価格帯の東京都の売出物件が縮小し、神奈川県などもマイナスとなった事が要因。

東京都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、文京区)は8345万円(397万円/坪)、東京23区は5736万円(273万円/坪)と上昇している。

横浜市は3130万円(149万円/坪)、千葉市は1927万円(91万円/坪)と下落した。

近畿圏は2427万円(115万円/坪)と下落し、大阪市は3420万円(162万円/坪)と中心部が上昇した。

【2020年5月22日】
マンション管理組合の活動変調
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、マンション管理組合の活動にも変化が出ている。

定期開催の理事会をオンライン化する中で、ネット上で決議した事が対面会議の同等の承認に当たるのか、IT(情報技術)に不慣れな高齢者などから不満が格差がでないなどの問題もある。

コロナ危機により、時代の技術を活用した管理組合運営を模索する。

東京都調布市にある総戸数570戸の深大寺レジデンスは、ビデオ会議のZOOM(ズーム)を活用して理事会を開催した。

理事会役員22人のうち18人が参加し、これまでの集会では10人超程度だったため効果があった。

コロナ危機を契機にオンライン会議に関心を持つ管理組合は増加しているが、実際に導入まで至るケースは少ない。

問題のひとつにオンライン会議が、法令上や管理規約による正式な総会や理事会と認められるかどうかがある。

ネット上での理事会が正式な意思決定機関に位置付けできる条文がない。

国土交通省が定めるマンション標準管理規約では、理事会は理事の半数以上の参加で成立し、総会は組合員の半数以上が出席または書面か電磁的方法(メール)の委任状・議決権行使などで参加するとされている。

個々のマンション管理組合がオンライン会議を正式に認めるには、総会にて管理規約に改訂の特別決議に諮る必要がある。

東京都杉並区にある総戸数680戸のグランドメゾン杉並シーズンは、理事会役員22人に対し集まる事なく会議を開催できるかを調査した。

基本的に民法の定義に従い、全員の合意があれば総会や理事会開催なしでも書面やネット等は認められるが、権利者1人でも反対すれば認められない。

深大寺レジデンスでは、総会にて管理規約の改訂し『テレビ会議等でも理事会に参加でき、議決権行使できる。』との条文を設ける。

ただ、ネットなどに不慣れな高齢者など、住民間の意見対立、世代間格差を深めない配慮は欠かせない。

例えば管理費・修繕積立金の値上げなどの総会決議の場合、値上げに理解ある給与所得世帯に対し、年金生活者の高齢世帯は反対意見が多い。

オンライン総会により参加世帯が偏れば、高齢世帯の意見が置き去りになる可能性がある。

ネット活用による管理組合運営により、世代間対立が起これば決議や解決の信頼性が問われる。

千葉県千葉市にある総戸数440戸のブラウシアは、会議での質疑応答で『どう思いますか?』という聞き方を改め、『この議題に対し、賛成ですか、反対ですか。』と明確な意思表示を促すようにした。

議題ごとに利点や課題を端的に説明し、オンラインで発言しやすい方式をとる。

オンラインによる理事会は、役員不足にも効果が出る可能性があり、ネット上での管理組合運営を誰にでも便利なものにする必要がある。

●ネット上による管理組合運営
マンション管理組合の総会は区分所有法で1年に1回開催する事が定められているが、法務省はコロナ危機など非常時には延期可能との見解を示している。

ただ、総会延期なども含め、マンション運営の課題を議論する理事会は定期に開催する必要もある。

東京都千代田区にある管理支援サービスを手掛けるつなぐネットコミュニケーションズでは、理事会の議事録や日程管理などのネット対応を支援する“エムクラウド”を展開する。

オンライン理事会の運営機能を追加し管理組合を支援する。

オンライン会議は、参加者が均等に発言できるように進行役や端末操作が求められ、理事会にネット環境に詳しくない役員しかいなければ、他の区分所有者にも協力を要請する事も有効である。

ネット上による管理組合運営は、理事会役員だけでなく区分所有者や居住者が柔軟に参加できるような組織体制が重要となる。

【2020年5月22日】
大東建託、AI物件
賃貸住宅建設会社の大東建託は、AI(人工知能)を活用した家賃査定システムを導入する。

いままでは既存物件の家賃相場を対象にしてAI(人工知能)査定しているが、新築物件の査定にもAI(人工知能)を取り入れる。

手間のかかる家賃査定業務の効率化を目指し、査定精度向上で、割安な家賃物件を減らす効果も期待する。

大東建託は、2019年6月からAI(人工知能)を活用した家賃査定システムを導入し、他社物件の賃貸募集広告などのデータを基に、AI(人工知能)が物件の築年数や最寄駅、広さなど個別状況を加味しながら適正家賃を算出する仕組みを構築している。

これまでは担当者が周辺相場を調査した上で、建物や設備などを考慮し適正家賃を算出していた。

首都圏、中部圏、近畿圏、福岡の既存物件の一部でAI(人工知能)システムを活用していたが、夏頃をメドに新築物件の家賃査定にも活用する。

物件が竣工してから入居者が決まるまでの時間も考慮し、募集家賃の上限を提示する。

大東建託は年間6万戸の賃貸住宅を供給し、管理戸数は110万戸と年々増加している。

担当者が家賃査定業務に携わるが、周辺物件の情報収集など労力と時間を割いていたが、既存物件に加え、新築物件にもAI(人工知能)査定を活用し、担当者の業務負担軽減につなげる。

【2020年5月26日】
6月
社宅に家賃補助
厚生労働省は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、収入減少の人に家賃補助する住居確保給付金について、社宅や寮も対象とする。

社宅や寮に住む労働者が解雇や雇い止めになり、仕事と住居を同時に失うための対応。

新しい住居が決まらず、社宅等に継続入居を希望する労働者を支援する。

住居確保給付金は、コロナ危機により収入が一定水準まで減少した世帯に対し、賃貸借契約を結ぶ家賃補助。

【2020年6月1日】
レオパレス21、人員削減
経営再建中のレオパレス21が1000人規模の人員削減に踏み切る。

管理するアパート施工不良により入居率も低迷し、2020年3月期は7000億円規模の赤字に陥った。

資産売却を進めて損益改善を目指すが、施工不良のイメージがぬぐえず入居率の低迷が続き、先行きは不透明である。

そのため人件費を削り6000人近い社員の15%程度の1000人程度を削減する。

レオパレス21は建築基準法に適合しないアパートを施工していた事が表面化し、イメージ悪化によりアパートの空室が増加していた。

主軸の賃貸事業で家賃収入が減少する一方、施工不良による補修工事の費用が増加したため経営が悪化した。

【2020年6月4日】
レオパレス21、経営再建途上
賃貸アパート大手のレオパレス21の経営再建に暗雲が漂う。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い主力の法人利用が急減し、2018年春に発覚した建築基準法違反によるアパート施工不良問題の改修費用負担も重くのしかかる。

環境悪化により入居率回復する兆しもなく、信頼も低迷したままの経営再建は険しさを増している。

レオパレス21が手掛けたアパートで、全32室あるなか半分が空室となる。

当アパートは施工不良が確認され、2019年12月に改修工事は完了しているが入居者が集まらない。

レオパレス21は土地所有者にアパートを建設させ、1棟の全室を借上て入居者に転貸するサブリース事業が主流となっている。

契約者の6割が法人で社員の宿舎として活用が多いが、コロナ危機により利用が急減している。

2020年3月期の入居率は80.8%と損益分岐点の8割となっている。

所有者の賃料支払が家賃収入を上回る逆ザヤ状態となる入居率80%ラインが経営の生命線となる。

家賃収入以外にも礼金もなく、部屋の維持コストもかかり収益が悪化している。

さらに2018年春に発覚した施工不良問題による改修工事も遅れている。

屋根裏の延焼を防ぐ壁が設置していないなど、建築基準法など法令違反のアパートが相次いで発覚している。

レオパレス21全物件の1/3の1万3000棟で施工不良が見つかり、作業員不足もあり作業は遅れ完了も2020年12月までには終わるはずだったが、未だに見通せていない。

施工不良が見つかったアパートでは、工事に着手しても作業員手配が上手くいかず工事完了が見えない。

そのため入居者募集ができず、売るにも欠陥物件扱いになってしまい売却活動もできない。

レオパレス21の財務は悪化により痛んでおり、資本注入するスポンサーに頼るのが現実味をおびている。

さらに、レオパレス21の主力のサブリース事業は逆風が吹いている。

スルガ銀行など個人向けアパートローンの不正審査問題をきっかけに、政府は契約トラブルを防止するため、業者規制する法案を制定する予定。

過大家賃収入などをうたい不当勧誘を禁じ、違反した業者には業務停止命令や罰金を科す。

サブリースは一定期間の収入は保証されるが、入居者が減った場合は、家賃減額を迫られ金融機関へのアパートローン支払が滞るトラブルが多発している。

サブリースによるアパートの家主は、企業や富裕層以外のサラリーマンなど一般人が増加していた。

賃貸住宅市場は、コロナ危機により景気悪化すれば会社員のオーナーがアパートローンを支払えなくなるケースが増え、サブリースを含むアパート市場全体が低迷する可能性がある。

【2020年6月5日】
レオパレス21、1000人削減
経営再建中のレオパレス21は2021年3月期の損益の赤字が80億円になる。

施工不良が発覚したアパートの改修は遅れており、新型コロナウイルス感染拡大に伴い賃貸事業も低迷する。

固定費の人件費削減のため1000人規模の希望退職者を募る。

レオパレス21はオーナーからアパートを1棟一括借上げして転貸するサブリース事業を手掛けるが、2018年春に建築基準法違反による施工不良が見つかり、建物改修が思うように進んでいない。

2020年5月の入居率は80%と損益分岐点の水準となっている。

経営再建計画により、まず人員削減により固定費を削り、名古屋市のホテルやグアムのリゾート事業も売却する。

業績悪化に追い打ちを掛けたのが、コロナ危機により人の流動が止まり春の会社員や学生の新入居も停滞した事が響いた。

資本注入するスポンサーも探すなど、経営のテコ入れをする計画。

【2020年6月6日】
マンションと株価の関連性
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、日本の株価は一時、大きく下落したが、その後、企業業績や景気悪化とは関係なく持ち直しました。

株価が下落傾向にあれば景気悪化予測により、不動産を含めた分譲マンションの価格も下落するのが通例です。

国土交通省の不動産価格指数と日経平均株価は相関関係はあるのか。

一般的に株価は小刻みな上下が激しく、一気の上昇したり下落したりします。

一方、マンションを含む不動産価格は長い時間を掛けて価格が上昇したり下落したりします。

また、不動産価格を決定付ける公的な指数などの影響もあります。

株価の暴落に備えて政府など公的資金が導入される事はあっても、不動産価格が下落したからといってマンション1住戸数千万円を下落分を買い支えるほど資金は導入できません。

これらから、マンション価格と株価は相関関係はないとの見方ができます。

ただ、株式の投資家などは、同時にマンション投資にも資金を投入しているため、株価が悪化すれば資金繰りなどからマンションも売却に動き、一時的にマンション売買市場に売却物件が増加し価格が下落する事はあるでしょう。

【2020年6月6日】
積水ハウス、入居手続簡素化
積水ハウスは、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使い賃貸住宅の入居を簡素化する。

積水ハウスの賃貸住宅への入居希望者は、現住所や電話番号などを登録すれば、物件の内覧や契約、電気・ガスなどの手続きをワンストップでできるようになる。

【2020年6月9日】
サブリース法整備
アパートなどの賃貸住宅を借上げ、また貸しするサブリース(転貸借)に法規制がかかる。

不当な勧誘禁止や重要事項書面での説明義務を事業者に貸す新法が成立する見通し。

2020年度にも規制が始まり、約束された賃料が事業者に支払われないなどのトラブルを未然に防ぐ。

サブリースは賃貸物件を所有者から借上げ、入居者にまた貸し(転貸借)する事業。

所有者に一定期間の収入が保証されるが、十分な説明が無いままに減額され資金繰りに行き詰るトラブルが多発している。

【2020年6月13日】
民泊、他利用模索
住宅の部屋を宿泊施設に有料で泊める住宅宿泊事業法(民泊法)が2018年6月に施行され、訪日客の増加で成長していたが、コロナ危機により需要が瞬間蒸発した。

民泊事業者は、利用されない部屋を医療関係やテレワーク等に使用してもらうなど知恵を絞る。

大阪市浪速区は関空路線の沿線という事もあり民泊施設が集積していたが、コロナ危機前は訪日客で8割近くが利用していたが、国外渡航が制限され、現在の稼働率は10%前後と低迷している。

関西は観光地が多いため大阪市は2016年に国家戦略特区による特区民泊制度を導入した。

ただ、ここに来て、民泊利用が減り、空き部屋を賃貸に切り替える事業者も多い。

観光庁によると、2020年5月の国内民泊戸数は2万1176戸と減少し、住宅宿泊事業法(民泊法)を施行以来、減少に転じた。

2020年2月〜3月の民泊利用者は17万5485人と、2019年8月〜9月に比べ半減。

大阪府は1万741人と7割減少している。

民泊事業者は、縮小や宿泊寮減額するも、訪日客は今後1年は戻ってこないと予測している。

空き民泊施設を他利用に活路を見出す事業者も現れた。

千葉県松戸市のMATSUDOは、管理する部屋をコロナ対応する医療関係者の宿泊施設として提供している。

近隣住人の理解も得て、医療関係者の退去時には部屋の消毒を徹底する。

民泊施設の利用では、千葉県勝浦市や茨城県つくば市など東京近郊、長野県や富山県など地方で増加している。

国内居住の外国人を中心に都心部を避けて、郊外に住む需要が増加。

郊外で長期滞在してテレワークするワーケーションとしての用途も増え、感染の第2波、第3波への不安が続く中、地方の民泊を求める需要が増加しつつある。

海外の民泊施設も需要回復しており、民泊大手のエアビーアンドビーは、短期旅行での利用の他、医療関係者のコロナ感染防止の利用も見られる。

観光需要は徐々に戻ってくるが、その時に民泊施設が活用できるよう規制を緩和する必要もある。

【2020年6月16日】
マンション管理適正化法改正
老朽マンション放置を防止するようマンション管理適正化法が改正される。

マンション管理を適切にされているか、地方自治体が評価認定する制度も2022年度までに策定する他、自治体には管理組合に指導・勧告できる仕組みも設ける。

外壁が剥落する恐れなど限界マンションについて、本来、区分所有者の全員同意が必要な総会決議について、4/5以上の賛成で敷地を売却できる制度も設ける。

【2020年6月17日】
分譲投資用マンション、賃料下落
2020年5月の分譲投資用マンションの平均募集賃料は、東京都区部で1uあたり3843円(25u・1LDK/96000円)と下落した。

築年数が古い賃料を低めの物件が増加し、さいたま市や千葉市もマイナスになった。

近畿圏では、大阪市が2541円(25u・1LDK/64000円)と下落、神戸市は1798円(25u・1LDK/45000円)と小幅上昇。

中部圏は、名古屋市が1890円(25u・1LDK/47000円)と上昇している。

【2020年6月18日】
首都圏、マンション発売激減
2020年5月の首都圏の新築マンション発売戸数は393戸と8割強激減し、単月の発売戸数で過去最少を更新した。

好立地の用地が減り供給が絞られた上、緊急事態宣言で営業活動が止まった。

不動産各社は、テレワークの対応空間など新常態への対応を進め、新たな消費者を喚起する。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、ほとんどの販売センターが営業自粛したが、6月に入り販売センターも営業を再開して来訪者は増加している。

駅近物件を中心に需要は根強いが、ただ、景気後退で所得が減りマンション購入が落ち込む可能性もある。

在宅勤務などで、多様な働き方に対応する必要が出ており、不動産会社は機能面で消費者のニーズを捉えようと新たな提案をする。

三菱地所レジデンスは、基本プランにある収納スペースをワークスペースに無料変更できるようにし、洋室を仕事場に変える有料プランもある。

2020年秋から東京都内で販売する物件に導入し、状況に応じて対象物件を広げ、ファミリー層や富裕層のニーズに応える。

住友不動産は、室内の一部を1畳〜3畳の個室に変更できるオプションを設ける。

東京都内近郊のファミリー物件に取り入れ、売行きに応じて対象を増やす。

東急不動産も新築マンションを対象に、室内ワーキングスペースの設置を検討する。

【2020年6月19日】
近畿圏、マンション発売激減
2020年5月の近畿圏の新築マンション発売戸数は214戸と8割強激減した。

大阪市内のタワーマンションの販売延期もあり、不動産会社は販売や入居手続きの現場で3密(密閉・密集・密接)を防ぐ工夫をする。

1976年から発売戸数は単月で最低水準。

契約率は50.0%で目安の7割を下回り、バブル崩壊後の1992年3月の35.8%以来の低水準。

地価の高い大阪市の供給が絞られ、単価も1uあたり61.6万円(203万円/坪)と下落した。

緊急事態宣言が発令され販売センターの6割近くが営業自粛し、首都圏も同じように発売戸数が8割強減少した。

中古マンション取引もコロナ危機の影響が大きく、近畿圏不動産流通機構(レインズ)によると、2020年5月の近畿圏の中古マンション成約は764件と3割強減少した。

激減するマンション市況を受けて、大阪市内ではタワーマンションの販売延期が相次ぐ。

住友商事は大阪市西区に27階建てタワーマンションの建設予定のクラッシィタワー靭公園の販売を延期した。

コロナ対応として、モデルルームの映像コンテンツ作成を進め、オンライン接客の導入も検討する。

契約手続きの現場でも3密(密閉・密集・密接)を避けるための対応が急がれる。

不動産会社は従来、購入者を一斉に集めてカギなど物件引渡しを行っていた。

関西不動産開発では、2020年3月の入居説明会を1回10世帯に限定し、通常1回〜2回実施するところ、6回に分けて開催した。

大阪ガス都市開発も、入居手続会をテーブルの間隔を広げて実施し、会場を増やしている。

2020年6月の発売戸数も1000戸程度と3割近く減少する見込みで、説明会などで大量集客が難しい状況が続き、秋までは供給数が絞られると予測される。

【2020年6月19日】
コロナ危機、マンション価格は
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、世界経済が大不況に陥ると見られていた。

ただ、コロナ危機から数ヶ月が経つが世界の株価が暴落したり、経済悪化の情報は入ってこない。

そんな中で住宅を含めた不動産価格への影響はあるのか。

昭和の日本では不動産価格は上昇し続けるという土地神話は通説で、実需用の住宅以外にも投資用マンションブームも到来していたが、1992年のバブル崩壊で不動産価格は半値近くまで下落した。

その後、10年近くは低迷したままだったが、2000年頃から金融政策や都市計画などの規制緩和などで価格が上向き始めた。

国土交通省が発表する東京都の不動産価格指数は戸建て住宅の指数では、1990年代のバブル崩壊以降、160以上あった価格指数は下落し続けている。

2000年頃から、最低90台から最大120程度の範囲を推移し、この指数が一般的な適正価格と見られている。

マンションは2012年までは戸建て住宅と同じような動向だったが、2013年以降は上昇継続し、2020年に140〜150程度となっている。

利便性の高い都市部のマンションの供給が増え、タワーマンションが節税対策や投資用として人気が集まり、アジア系の海外投資家などの購入も増加した。

不動産価格指数と日経平均株価の関係では、住宅価格調整が終わった2000年以降は、株価の底値が戸建て住宅の指数にほぼ一致しており、2008年のリーマンショックのような株価下落がなければ、戸建て住宅の価格が下落する事はないと見られる。

多少下がったとして現在の106から1割減の95程度となる。

一方、マンションは株価動向に左右される可能性があり、都市部のマンションは実需よりも投資目的が多く、さらに日本だけでなく世界中のファンドや投資家が保有している例がある。

世界経済や株価が維持できればマンション価格下落は阻止できると見られ、戸建て住宅の価格指数の最大値120より高値水準を維持できる可能性はある。

ただ今後、世界の景気が悪化し、企業の業績低迷や人員削減が表面化すれば、株価とともにマンション価格も引きずられるように暴落する事はあるかもしれない。

【2020年6月20日】
フィリピン、高級マンション事情
中国の不動産企業や投資家がフィリピンのマニラの高級マンション等の購入意欲が高まっている。

新型コロナウイルス感染抑制のため、都市封鎖や移動制限などの影響でフィリピン経済が打撃を受けて、不動産価格が下落予想される事が理由。

マニラでは資金繰りのためやむを得ず物件売却を検討する不動産所有者が多発する。

2020年のマニラ首都圏の新築高級マンションの平均販売価格は前年比15%低下すると予想される。

コロナ危機により多額損失を抱えた企業が資金捻出で買手の言い値で保有物件の売却を迫られる可能性がある。

中国からフィリピンの不動産市場への投資が急増し、コロナ危機が世界的に蔓延する前までは不動産市況も回復傾向にあった。

新築マンションへの投資も盛り上がり賃貸市場にも波及し、2020年1月〜3月期のマニラ湾沿いの賃貸料は1uあたり1700ペソ(3600円)と2015年比の2倍以上に大きく上昇していた。

中国の不動産企業や投資家がマニラの新築マンション市場に傾斜する理由は他にある。

フィリピンではここ数年、オフィスビルやマンションなどの一角で営業するオンラインカジノが増加し、オンラインカジノはインターネット経由でカジノのディーラー相手にギャンブルする仕組み。

利用者は中国本土でカジノが認められていない中国人がほとんどと言われる。

フィリピンに100棟近いマンションを保有する中国人は、価値ある物件があれば購入すると意気込む。

ただ、マニラの不動産を中国人が買い叩き、新築マンション相場に大きく影響を与えれば政治問題まで発展しかねない。

地元住民が購入できない程に不動産価格が値上がりしたとき、その所有者が中国人だったと明らかになれば、不満の反動が大きくなる。

フィリピンの新築マンションなどの購入を検討する中国人投資家の7割近くがマニラの物件を物色している。

中国人にとってマニラは地理的に近く、コロナ危機前までは将来の値上がりや物件賃貸の底堅い利回りがあった。

ただ、コロナ危機により、フィリピンの不動産大手会社は中国人投資家向け販売額が5割近く減少し、2020年の投資額を削減すると表明している。

2020年のマニラ首都圏での新築高級マンションの販売戸数は1万1000戸と従来予想より3000戸少ない。

ただし、市場が蒸発した訳ではなく、高額物件への引合いはあり、中国系投資家が55億ペソ相当(105億円)の物件購入する契約をフィリピンの不動産会社と締結した。

フィリピンでは外国人が購入できる新築マンションなどの戸数は制限されているが、現地法人を介して物件購入する際には規制回避できる。

マニラの高級マンションなど不動産購入して値上がりと転売好機を待つやり方は、中国の伝統的な投資手法とされる。

【2020年6月21日】
マンション向け宅配サービス
スーパーの紀ノ国屋は、タワーマンション施設内の店舗で居住者向けに食料品の宅配を始める。

マンションは好立地が多く、総戸数が多ければ居住者の取込みも見込める。

東京都小金井市にあるJR武蔵小金井駅前の野村不動産が開発するタワーマンションのプラウドタワー武蔵小金井クロスに併設される複合施設のSOCOLA(ソコラ)内に紀ノ国屋の新店舗を開設する。

都市部では、生活者の需要が見込める一方、一定の敷地を確保しなければ出店できないため、紀ノ国屋では、タワーマンションなどの大規模集合住宅に併設できれば、安定した集客と駅近の好立地への出店が両立できるとしている。

紀ノ国屋は、今後、住宅施設全体のブランド向上にもつながるモデルケースとして、不動産会社と組んだ出店を増加させる予定。

【2020年6月21日】
民泊施設、コロナ対応
大阪観光局と日本民泊協会は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、民泊事業者向けの運営指針を策定する。

民泊施設内に体温計を常備し、宿泊客に検温や体調の申告を提示してもらう。

訪日客が激減した中、廃業する民泊施設が相次ぎ、感染対策の徹底で日本人客の利用を促進する。

もともと民泊施設はマンション住戸など居住用として室内を利用しているため、生活する長期滞在やサテライトオフィスなどに活用してもらうよう模索する。

【2020年6月22日】
東京五輪選手村マンション
東京五輪の延期を受けて三井不動産レジデンシャルなどは、東京都中央区の選手村を改修して販売する分譲マンションのHARUMI・FLAG(ハルミフラッグ)の入居時期を、当初の2023年3月から1年程度延期する。

HARUMI・FLAG(ハルミフラッグ)は三井不動産レジデンシャルなど10社が共同で販売し、分譲と賃貸を合せて総戸数5632戸あり、1万2000人が居住する予定だった。

分譲マンション4145戸のうち、既に940戸は販売しており、東京五輪開催延期を受けて、現在はマンション販売を中止している。

延期しても選手村として使用するため、引渡しが1年程度遅れ、購入者には説明を始めている。

引渡延期に伴う購入者への補償は未定であり、東京五輪延期は売主責任ではないため契約上の免責の可能性はある。

【2020年6月23日】
賃貸管理会社の登録制
国土交通省は2021年までに、賃貸住宅を200戸以上管理する事業者に国への登録を義務付ける。

管理報酬などの重要事項を物件所有者に事前に書面で説明し、監督者配置などを求める。

オーナーや入居者と契約条件を巡るトラブルが相次ぐサブリース事業を含め、幅広く法規制の網を掛け、不透明な商慣行を是正する。

国会で賃貸住宅管理業適正化法が成立し、アパートなどの賃貸住宅を借上げてまた貸しするサブリース(転貸借)業務の規制が制定された。

国土交通省は賃貸住宅管理業適正化法に基づき、登録制度を新設する。

これまでの制度は任意で、不動産管理会社など3万社とされる事業者のうち、4000社程度しか実態はつかめておらず、200戸以上の住戸管理を対象にすれば賃貸住宅の9割以上を把握できるとみる。

新制度では、登録業者に物件所有者への重要事項説明を義務付け、管理受託契約を締結する前に業務内容や報酬などの条件を書面で確認する。

所有者と管理業者の間で金銭のやり取りを巡るトラブルが相次ぐため、徴収した家賃と管理業者の資金の分割管理を求める。

また、営業所ごとに監督者を設置し、家賃徴収や住居管理といった賃貸業務に不備がないか点検させ、監督者には宅地建物取引士や賃貸不動産管理士など資格保有者の起用を想定している。

国内には賃貸住宅が2018年時点で1580戸あり、所有者が管理を第三者に委託する割合は、1990年の25%から2019年には82%に上昇している。

所有者の高齢化や相続対策による素人大家が背景にある。

国土交通省の調査では、オーナーの半数近くが管理業者との間でトラブルが生じており、この割合を10年後には1/3に減らす方針。

【2020年6月24日】
アパートローン減退
金融機関が注力していたアパートローンが減退している。

建設資金を借入たオーナー向けに賃料を保証しているレオパレス21の動向もある。

業績悪化で保証のための体力が消耗し、借入金返済に影響する可能性もある。

アパートローンの潮目が変わったのが2018年で、借入希望者の年収や資産を記載する書類の改ざんし不正融資を手掛けていたスルガ銀行が表面化した。

その後、金融庁は監視強化に動き、銀行の審査が急に厳しくなったと不動産関係者は明かす。

それまでの銀行は、利回りの見込めるアパートローンに注力し、融資量を競って貸出ていた。

2015年に相続税の課税強化されると、節税対策として土地にアパートを建設して評価を下げる地主が増加した。

土地の所有者が建てたアパートを一括借上し、入居者に転貸するサブリースが活況し、不動産業者の勧誘も旺盛していた。

こうしたサブリース業者は複数の金融機関の金利や頭金の水準など条件を競わせ、1%以上だった実勢の貸出金利は0.50%〜0.75%まで下がっている。

そこに来てサブリース事業大手のレオパレス21の業績不振に陥っている。

レオパレス21は2018年にアパートの屋根内側の仕切り壁がないなど建築基準法違反の建物を建設していた施工不良が発覚し、住戸を貸す事もできず2019年の入居率は80.78%と下落が続き、収支分岐点の8割ギリギリとなっている。

レオパレス21の財務が悪化すれば、サブリース契約をしているアパートの大家との契約内容も賃料減額の変更する可能性がある。

大家はレオパレス21との賃貸借契約で一定の賃料が保証されているが、経営状態が悪化すれば契約更新で保証される賃料の引下げを要求される事になる可能性がある。

大家にとって賃料減額は、収入の想定が下回り建設資金を借入れた銀行へのアパートローンの支払に影響を及ぼす。

レオパレス21に資金融資をしてきたりそなホールディングスは数十億円の貸倒引当金を計上した。

コロナ危機により賃貸住宅市場の先行きも不透明感が漂ってきた。

今まで甘めの査定でアパートローンを貸出してきた金融機関の対応は回収に入る可能性がある。

【2020年6月25日】
コロナ危機、民泊廃業相次ぐ
観光立国・日本を推進しインバウンドの宿泊施設として注目を浴びた民泊。

近隣トラブルなどから規制強化されたが、合法民泊施設は安価で泊まれ、地方では地域密着の体験が出来る。

それがコロナ危機により、客の来ない民泊施設を維持できず、耐えきれず廃業する事業者も増えている。

2018年6月に住宅宿泊事業法(民泊法)が施行され、2020年東京五輪がけん引しインバウンドを受け入れていた民泊施設が窮地に追いやられている。

戸建てやマンションなどの住宅に有料で宿泊する民泊施設。

宿泊客のマナー違反などトラブルに対する近隣住民らの懸念は多い。

名古屋市名東区のマンションを民泊施設にする事業者は、2019年11月に3室を民泊として開業した。

民泊を利用する外国人とふれ合う事を楽しみに、ハードルの高い基準をすべてクリアして営業した。

賃貸マンションに自動火災報知機や避難用スロープを設け、老朽化していた壁紙(クロス)や床を張り替え、初期費用は総額200万円程度かかった。

ただ、2020年3月以降は利用客はゼロが続く。

名古屋は外国人に人気の京都や飛騨高山へ観光に向かう拠点として中国人宿泊客が多く利用していたが、コロナ危機後は全てキャンセルになった。

2019年12月は月額50万円を売上げたものの、いまはゼロが続き、維持管理費で月額20万円が支出され、水道光熱費の基本料金も合せると赤字が膨らむ。

観光庁では、民泊解禁から1年で1万6000件の民泊施設が増え、2020年4月には2万1385件に達した。

ただ、コロナ危機により5月は200件減少し、6月もさらに減り2万700件程度になると見る。

2020年1月〜5月で1912件の民泊が廃業している。

民泊事業者団体の一般社団法人・日本民泊協会では、公的な給付金がなく、個人おーなーの休業や廃業が相次いでいると言う。

会員の民泊のうち、所有する物件を活用した個人が3割〜4割を占め、個人の多くは民泊で得た利益を自身の雑所得として申告しており、事業収入が急減した中小企業の支援を目的とする持続化給付金の対象外となる。

東京五輪延期もあり、インバウンド需要を諦め、格安の月決めマンションに業態を変更する事業者もいる。

東京五輪特需を見込んで参入した民泊事業者が、借金返済のため採算度外視で物件を賃貸に回している。

名古屋の民泊事業者は愛知県春日井市にある自宅を民泊施設として登録している。

そこに意外な利用者が宿泊する。

庭付き戸建て住宅の民泊施設に、近所の住民がバーベキューや花火を目的として利用する。

インバウンド頼みの民泊施設は衰退するだけだが、日本人を相手として様々な使い方を提案する民泊施設は新たなニーズが生まれつつある。

●トラブル回避の規制強化
住宅宿泊事業法(民泊法)を制定した背景には、旅館業法の許可を受けずに営業する闇民泊が広がっていた事にある。

騒音やゴミ出しなど近隣住民とのトラブルが多発し、身元不明な不特定多数の人が出入りするため、犯罪の温床になる懸念もある。

住宅宿泊事業法(民泊法)は規制を厳しく設定し、届出に10種類以上の書類を揃え、消防法に適合しているか検査を受ける必要もある。

規制強化が民泊市場の拡大を妨げており、採算面も低くなる。

国家戦略特区による民泊を除き、住宅宿泊事業法(民泊法)は営業日数を年間180日と定め、自治体により条例で設置エリアや営業日をさらに制限する地域もある。

東京と大阪で民泊施設の全体の半数を占め、福井や鳥取では20件程の登録しかない。

地方での広がりが乏しく、農業や漁業など地域の体験ができる民泊施設などを増やす必要もある。

【2020年6月29日】
7月
神戸市、タワーマンション規制
神戸市は2020年7月1日に、神戸市中心部でタワーマンション建築抑制を促す条例を施行した。

三宮駅周辺では新築住宅を原則禁止し、その外側では容積率に上限を設ける。

中心部から郊外への人口分散につなげ、中心部にはオフィスや商業施設を集約する。

海と山に挟まれた都心部の限られた用地や鉄道駅など、既存インフラを有効活用するバランスの取れた街づくりを目指す。

条例はJR三ノ宮駅周辺の22.6haで住宅新築を禁止し、その外側の新神戸駅やJR神戸駅などを含む292haでは住宅の容積率を最大900%から400%に下げ、1000u(303坪)以上の敷地が対象で、タワーマンション建設はほぼ不可能になる。

利便性が高く需要がある中心部でのタワーマンション規制は異例の措置となるが、神戸市は、中心部に人が集中する事で、郊外ニュータウンの人口減少を懸念している。

利便性が低い郊外の町は過疎化が進むため、神戸市全体を考え阻止するため条令を導入した。

神戸市の人口は152万人をピークに減少し続けており、2019年には福岡市や川崎市に抜かれ、政令指定都市で5位から7位に転落した。

神戸市北区や西区のニュータウンから人口流出しており、それに歯止めをかける。

一方、都市部ではオフィス需要を開拓し、神戸市のオフィス空室率は2020年3月期で1.5%と最低水準だった。

新規開設が少なく、神戸市では今回の条例でオフィス建設で固定資産税などを5年間減免する仕組みを導入した。

タワーマンションは総戸数が数百戸あり、1棟建設されるごとに人口が一気に増加し税収増にもつながるが、神戸市はタワーマンションで人口を呼び込む政策は取らない。

条例を巡っては、施行前に駆け込み需要による土地取得の動きがあるとの観測もあったが、エリア内で取得可能な敷地はもともと少なく動きは限定的だった。

マンションデベロッパーの和田興産がJR元町駅から徒歩6分の1300u(393坪)の敷地を確保したのは異例といえる。

和田興産は、高さ59m、総戸数128戸のマンションを2022年にも分譲する予定。

神戸市は一律に高層建築物を規制するのではなく、低層階に商業施設などを入居するなど容積の上限まで活用できる要件も設けている。

マンションデベロッパーは、土地取得が規制対象になっても、採算が合うか見極めが必要となる。

中心部でのタワーマンション規制の一方、神戸市は郊外への人口増加を促す。

郊外駅周辺の市有地などを民間に提供し、2024年までに1850戸程度のマンションを整備する予定。

地下鉄の西神中央駅近くでは総戸数300戸のマンション建設が予定され、事業主のひとつでもある和田興産は、郊外でも需要の見込める場所と判断した。

神戸市内では中心部意外でも駅近の再開発が進み、マンション供給は今後も続く。

神戸市の思惑通りに郊外のマンション建設や人口増加が進むかは不明だが、拠点駅を重点に開発を進める事は新たな都市開発になる。

都市の中心部がベッドタウンになると、郊外で空き家が増加し世代交代も進まず街全体が衰退する。

都心と郊外のバランスを重視する都市開発は、どの都市にある課題である。

【2020年7月1日】
首都圏、中古マンション価格下落
2020年5月の中古マンション平均希望売出価格は70u(21坪)あたりは、首都圏が3674万円(174万円/坪)で下落し、東京都がマイナスに転じ、神奈川県も連続下落した。

築年数の古い物件割合が増えた東京都区部で5692万円(271万円/坪)と下がった。

一方、東京都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、文京区)は8373万円(398万円/坪)と上昇しているが、2019年11月からの上昇率が鈍化している。

神奈川県横浜市は3096万円(147万円/坪)、埼玉県さいたま市は2670万円(127万円/坪)と共に下落した。

【2020年7月1日】
レオパレス21、家賃値上げ
経営再建中のレオパレス21は、アパートの家賃引上げを実施る。

新規契約者を対象に、平均家賃の2%強の月額1000円程度を値上げし、2020年7月からは都心部など需要の多い物件の賃料はさらに値上げする。

施工不良が発覚したアパート改修工事が遅れ、コロナ危機も影響し業績が落ち込むなか、収益を底上げを狙う。

全国の57万戸のうち、空き部屋として募集する6万戸程度で値上げを始める。

引上げ額はレオパレス21の全国の平均賃料44000円の2%強にあたる。

レオパレス21はアパート施工不良の発覚後、2019年春から賃料を順次値下げしており、今回の対応で施工不良問題前の水準に戻す。

東京都区部、愛知県、広島県など需要のある物件を対象に、相場をみて賃料をさらに値上げする計画で、家賃増額による経営基盤を強化する。

家賃引上げは新規契約が伸び悩む恐れもあるが、レオパレス21は主力の法人契約は施工不良問題後も底堅く、影響は限定的と見ている。

個人利用者の契約が伸び悩んでも、入居率を押し下げる事はないという。

コロナ危機により賃貸事業は低迷し、2020年5月の入居率は80%と損益分岐点の水準に止まっている。

レオパレス21の賃貸事業は、アパートを一括借上して転貸借するサブリース事業が主力で、所有者に一定賃料を保証している。

今後は、施工不良改修工事の進捗と入居率の推移が気になるが、レオパレス21は新規契約は増加しており単価も上昇し、入居率は8月には改善するとみている。

ただ、事業面に改善する兆しがなければ、アパート所有者に保証する賃料引下げなどの対策が必要となる可能性はある。

【2020年7月3日】
マンション玄関前、置き配
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、玄関先に荷物を置いて届ける置き配するサービスが増加している。

ただ、分譲マンションの場合は、玄関前は共用廊下となるため大きな荷物を置く事に管理規約や法令上、問題になる事もある。

分譲マンションでは従来、集合玄関のオートロックを解除し、配達員に自宅前まで運んでもらう居住者が多い。

配達員が他の居住者への配達ついでに無断でエントランス内に入り、置き配の荷物が共用廊下に置いてある事がある。

共用廊下は共用部分のため、置き配を認可するには管理組合の合意が必要だが、そこまで細かく使用細則で定める事は皆無。

置き配は当初、配達員不足に悩む宅配業者が再配達負担軽減のために始めた。

対面接触も避けられる事もでき増加傾向にある。

東京都練馬区の総戸数100戸ある築40年の分譲マンションで、置き配増加に伴い宅配ボックス設置を検討し始めた。

生活協同組合が玄関前に食材を置いていくケースは黙認されおり、生鮮品は居住者回収も早く、盗難対象となる高額品でもない。

最近では生協以外の置き配の放置が増加し、廊下の見栄えが悪く、盗難防止の意識も高まる。

宅配ボックス設置は、居住者の意見が割れやすい。

宅配ボックスは総戸数30戸前後で100万円前後の費用が掛かる。

共働き世帯が設置を求めるのに対し、在宅時間の長い高齢世帯が反対する。

治安対策や対面接触を避けるコロナ対策で、居住者の理解が得やすくなっている。

宅配ボックスだけで対応できない場合、共用廊下の使い方を再確認する必要もある。

消防法は廊下や階段、避難口などに、みだりに物を放置しないよう求めているが、指摘な荷物を置くこと自体は禁じていない。

消防庁では、不可欠なのは避難経路の確保、マンションによって規模や形状が異なるため、一律の基準は示せないが、管理組合は安全面に配慮して、共用部分の使い方は決めてほしいという。

置き配対策はコロナ危機対策でもあり、居住者全員が世代や生活様式を問わず、当事者意識で議論する事が重要。

【2020年7月8日】
新築マンション、ネット販売
住友不動産は、営業をオンラインで行う新築マンション販売を始める。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、従業員が不特定多数の消費者と接触する事を減らす。

シティハウス浅草橋など東京都や埼玉県で販売活動を始める5物件が対象。

営業スタッフは現地近くの販売センターに置かず、東京都内のマンションギャラリー内に設けたリモート形式の販売拠点で顧客対応する。

利用者は自宅などからサイト上で住戸の様子や周辺環境などを把握できる。

営業スタッフと住宅ローンの相談も可能。

契約解除など重要事項説明もサイト上で行い、希望に応じて契約書やカギを郵送する。

住友不動産は全国の販売物件を対象に、物件見学から引渡しまでオンラインで対応し、非対面で完結する仕組みを導入済。

【2020年7月8日】
賃貸マンション、定期借家増加
賃貸マンション市場で契約期間が満了すれば更新しない定期借家物件が増加している。

定期借家物件は借手側に入居期間や中途解約の制限はあるが、全住戸が定期借家物件も出始めている。

賃貸マンション市場に出にくかった都心一等地の高級物件が多く出回るようになった。

2019年の東京都区部の賃貸マンションのうち、5.2%が定期借家物件で増加傾向にある。

住戸が50u超〜70u以下の物件割合は9.8%、70u超では25.9%と、専有面積が広いファミリー向けで高まる系傾向がある。

平均募集家賃は70u超の賃貸マンションで定期借家の場合、月額38万6800円、普通借家は月額29万8400円と8万8400円も開いた。

これほど家賃が開いた理由は、東京都港区で分譲されたタワーマンションの住戸が定期借家で賃貸に出てきている。

物件が多く立地も様々な普通借家に比べ、人気エリアの高級物件が増え家賃相場をけん引している。

東京湾岸や高級住宅地の青山、赤坂、麻布がある東京都港区は70u超でみると、募集物件に占める定期借家割合が25%と東京都区部で最多で、家賃も港区内の普通借家を9万2700円上回る。

近年、都心部では大規模な再開発が相次ぎ、タワーマンションが急増し、低金利を背景とした不動産投資も相まって、高級分譲マンションが賃貸マンション市場に流通しやすくなる素地が出来ていた。

定期借家は契約期間が決まっているため、収益見通しも明確になり、貸しやすくなり、供給増加につながりつつある。

定期借家の利用者は投資家や転勤などで一定期間だけ貸したい個人に限らず、不動産会社も手掛ける。

東京都から借地した三井不動産レジデンシャルと東京建物が開発した東京都港区にある25階建ての賃貸マンションのクラス青山は入居が始まった。

最も広い住戸は176uは間取りが3LDKで家賃は月額200万円(1万1360円/u)。

総戸数229戸が3年の定期借家で、契約満了後に賃料交渉し、再契約も可能。

不動産業者も、集客が見込める物件なら賃料を改定しやすい定期借家契約を大家に提案しており、景気上昇傾向なら普通借家よりも家賃を上げやすい面がある。

ただ、コロナ危機で家賃は頭打ちで、2020年5月の東京都区部のマンション平均家賃は全ての面積帯で前月割れし、高額な定期借家物件が増加するかは不透明な環境になっている。

《2019年度、東京都区部、賃貸マンション平均募集家賃》
〔面積〕30u以下 〔間取り〕1R 〔定期借家〕9万5200円 〔普通借家〕8万9500円
〔面積〕30u超〜50u以下 〔間取り〕1LDK 〔定期借家〕15万1300円 〔普通借家〕13万300円
〔面積〕50u超〜70u以下 〔間取り〕2LDK 〔定期借家〕23万5800円 〔普通借家〕17万9000円
〔面積〕70u超 〔間取り〕3LDK 〔定期借家〕38万6800円 〔普通借家〕29万8400円

【2020年7月9日】
コロナ危機後、管理組合の対応
マンション内で新型コロナウイルス感染者が出た場合はどうしたらいいのか。

コロナ危機で、マンション管理組合が居住者対応に苦慮している。

居住者のプライバシーにどう関わり、管理規約を改定したり、管理組合とは別に自治会を設置して居住者のつながりを深めたりするなど対応する。

東京都内の分譲マンションでは、緊急の理事会で感染者が出ても管理組合としては関与しない事を決めた。

感染者が出た事を公表すれば、居住者の間で特定する動きが予想され、根拠のない中傷が出れば感染者から訴訟を起こされる懸念もある。

管理会社に対応を丸投げしたり、個人事情には関与しない事を決めた管理組合は多い。

要因のひとつは2017年施行の改正個人情報保護法で、扱う個人情報が5000人以下の団体も対象となり、マンション管理組合も含まれ、厳格な情報管理が求められるようになった。

管理組合が感染者の情報を扱うには、管理規約で個人情報の扱いを定める必要がある。

その上で感染者が出たら本人の同意が必要。

建物の維持管理が本来の業務である管理組合が、個人情報と向き合う場面が増加している。

空き住戸の発生を防止し、高齢者の独り暮らしなど家族構成に関わる個人情報が必要となる。

だが、修繕積立金の値上げなど課題が山積みする中、情報管理体制作りは後回しにされる。

こうしたなか、情報管理や居住者の支援に有効なのが、管理組合とは別に設ける自治会。

東京都府中市にある総戸数553戸の大規模マンションのリムザ(竣工:2005年2月)は、居住者の求めがあれば買物代行など生活支援する体制を整えている。

マンション内に設けた自治会の10人の役員が担い、コロナ感染者が出たとしても対応する。

居住者の困り事を想定し、先手を打てるのが自治会の利点だと言う。

マンション管理組合は区分所有法で設置が定められ、居住者は購入すれば組合員になる義務が生じる。

一方、自治会は任意団体のため、輪番制で理事会役員就任する管理組合とは違い、自治会では希望者が役員を続け、経験も蓄積される。

普段から要支援者と接する中で、どんな支援が必要なのか経験や体験で対応できるようになる。

東京都府中市では、災害に備えて高齢者の単身世帯など一定条件を満たした人のうち、個人情報の提供に同意した人の名簿を作成している。

こうした名簿は自治会に作成が義務付けられており、災害時は自治会などが名簿を基に支援を担い、行政と連携がとれるのも自治会の特徴。

分譲マンションの自治会が機能するには日頃からの活動が基となる。

川崎市にある総戸数1103戸の大規模マンションのパークシティ溝の口(竣工:1983年6月)。

自治会では防災訓練を実施したり、夏祭りなどイベントを企画したりして、居住者のコミュニティ形成を促している。

居住者に個人情報を出してもらうには、受皿がある事を示す必要があると言う。

こうした活動により、パークシティ溝の口では総戸数の95%が名簿作りに協力している。

名簿には家族構成や緊急時に安否確認を求めるかなどの情報が記入してある。

コロナ危機後の緊急アンケートでも困り事などを聞き、感染者が出たら連絡してほしいと要請したが、反対の声は出ていない。

万が一の事態で共助が機能するのは、日常的に人々が顔を合せてコミュニティ形成が出来ている管理組合である。

コロナ危機で、密を避けながらどうやってコミュニティを維持するのか社会全体の課題となっている。

マンション管理組合も、居住者間の意識や関係を見直す必要がある。

●適度な距離感のコミュニティ形成
1970年代に分譲マンションが増加した頃は、自治会活動など近所付き合いがいらない点が魅力だった。

ただ、2011年の東日本大震災など災害が多発する近年では、地域住民の結びつきの大切さが実感され、分譲マンションが独自に自治会を持つ動きが目立つようになった。

三井不動産系管理会社の調査では、2014年で3割の分譲マンションが自治会などの組織を設けている。

リムザやパークシティ溝の口の自治会は自由参加で役員も希望者が担い、半ば強制的な旧来型の自治会とは中身が違う。

パークシティ溝の口の自治会では、実名で参加するLINE(ライン)の連絡網を作り、参加が自由なLINE(ライン)を採用しつつ、実名にする事で無責任な発言をしないようにして、適度に出入りでき、適度に守られる空間にする。

分譲マンションのコミュニティ形成では、適度な距離感のプライバシーを保つ関係が重視される。

【2020年7月10日】
中国、転貸借マンションの変調
中国で拡大していた単身者向けの賃貸マンション事業が曲がり角に来ている。

新興不動産業者の青客は単身向け物件不足に目を付け、空室が目立つ家族向けを借上げて転貸するモデルで成長してきた。

住宅環境の改善策として期待された新手法は、新型コロナウイルス感染拡大により収入減のあおりを受けている。

転貸借事業は“租金貸”と言われる方式で、2015年頃から急拡大した。

青客などの新興不動産業者がオーナーから部屋を借上げ、部屋の内装をリフォームし居住者に転貸借するサブリース事業の仕組み。

特徴は、銀行と数ヶ月以上に渡る入居期間分のローン契約を結び、月々返済する仕組み。

居住者が賃料のローン契約を締結するには、新興不動産業者がまとまった資金が先に欲しいという事情がある。

青客は単身者向け物件が都市部で不足する一方、複数の部屋がある家族用は空き部屋が目立つ事に目を付けた。

家族向け物件をオーナーから借上げ、各部屋に鍵付きのドアや空調を備えて個室に改修し、利用者に転貸借していた。

改修費用は新興不動産業者が負担するため、まとまった資金が常に必要で、銀行からの借入額には限界があった。

そこで、月々の家賃をある程度安くする代わり、居住者にローンを組ませ先々に受取る家賃を前払いしてもらい、その資金で改修費用に充てた。

中国政府は2016年以降、住宅価格が高騰する中、都市部で若者らの住居確保するため、賃貸物件の供給拡大に動いていた。

こうした政策方向と一致する事もあり、“租金貸”は注目されていった。

ただ、コロナ危機で新興不動産業者の自転車操業に行き詰りが出てきた。

外出制限による景気低迷を受け、若者らの多くは休業などによる収入減少に陥った。

転貸借の居住者はさらに出費を抑えるため、親族に家に移転したり、友人達とルームシェアしたりと住居費削減に動いている。

コロナ危機後に賃貸利用者の6割以上が家賃軽減やルームシェアを検討している。

“租金貸”では貸手側の事情で契約途中で退去した場合、居住者は原則としてその後のローンを支払う義務はない。

青客は事前に受取った金額の一部を銀行に返すため、一定額を手元に残しておく必要があった。

ただ、手元資金は慢性的不足に陥り、オーナーへの家賃支払いすら滞る事態となっている。

青客のアパートを月額1100元(1万7000円)の家賃で1年半の契約で借りて、6月中旬、物件オーナーから突如、退去を命じられた。

青客がオーナーに家賃支払が滞った結果、オーナーが居住者を追い出すケースが続出している。

新規居住者が減ったため、賃貸住宅市場は急速に冷え込んでおり、家賃の消費者物価指数(CPI)は2020年3月、直近15年間で初のマイナスとなっている。

●割安家賃を支持
中国で急速に広まった“租金貸”は、こうした物件の多い地域の一つである広東省深セン市。

3LDKの住宅をルームシェア向けに改装した物件。

玄関には靴やバッグが溢れ、男女3人が居住する。

個人専用のシャワーとトイレを備えた広さ15uで、家賃は3444元(5万2000円)で、3ヶ月ごとに同期間分を支払う。

だが、“租金貸”を利用すれば月額2000円近く安くなり、支払も1ヶ月ごとで済み、家賃を抑えたい若者には人気。

深セン市など中国の都市は若者労働者を求める一方、十分な賃貸住宅を供給できないまま急速発展した。

家を持たない若者を中心とした地方出身者が、都市部で生活するのは簡単ではなく、需給の歪さが“租金貸”の市場拡大を促した。

【2020年7月10日】
海外で分譲マンション開発
大和ハウス工業は、アメリカで分譲マンション事業を展開する。

不動産各社は、日本の住宅市場が縮小するなか、バブル崩壊で撤退したアメリカを人口増加が続く市場とみて再参入する。

新型コロナウイルス感染拡大でも、底堅い富裕層需要を取り込む。

オーストラリアの不動産会社レンドリースと共同で、ニューヨークのマンハッタンに41階建てのタワーマンションを総事業費400億円かけて建設し、2021年8月に販売を開始する予定。

タワーマンション建設予定地は、コロンビア大学などがある閑静な住宅地で、低層階には教育施設や教員住宅も併設する予定。

竣工は2023年3月を予定し、販売戸数165戸、専有部分は65u〜315u、平均販売価格は2億3000万円程度。

大和ハウス工業はマンハッタンで、別の分譲マンションも開発する予定。

日本の不動産会社は1980年代にアメリカで不動産投資に積極参入したが、バブル崩壊後に撤退や事業縮小を追い遣られた。

ただ近年、戸建てや賃貸住宅、オフィスビルを中心に投資が旺盛になっている。

分譲マンションでは、三菱地所がマンハッタンで開発している。

アメリカの住宅市場は、株高や低金利の住宅ローンが追い風となり、コロナ危機でも影響は小さい。

大和ハウス工業はアメリカで戸建てと賃貸アパート、商業施設を手掛けており、分譲マンションも展開し、海外事業の売上高を底上げする計画。

【2020年7月15日】
首都圏、新築マンション発売低迷
2020年1月〜6月の首都圏の新築マンション発売戸数は7497戸と前年同期44.2%減少した。

1973年の調査以来、上半期で1万戸を割ったのは初めてで過去最低となった。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、営業自粛により不動産会社が供給物件を停止した事が影響した。

バブル崩壊後の1992年の1万959戸より下回り、当時は投資需要が落ち込み、不動産会社が供給を抑えたり、資金繰り悪化により不動産会社自体が倒産したりした。

コロナ危機では、営業活動自体の自粛で販売センターを閉めた不動産会社が多かった。

4月は686戸、5月は393戸と単月でも過去最低を記録し、緊急事態宣言解除後も供給は低調に推移している。

バブル崩壊は経済悪化により値下がりや事業主の経営破綻が多かったが、コロナ危機は1住戸あたりの平均発売価格は6668万円と上昇はしており過去最高額を更新している。

三井不動産など経営体力がある大手企業のシェアが高く、販売環境が悪化しても、すぐには値引き販売するまでには至っていない。

首都圏の1億円超の高額物件の需要は底堅く、特に通勤への利便性など都心部物件の人気は続いている。

埼玉県は74.8%減、神奈川県は53.1%減に対し、東京都区部は29.6%に止まっている。

首都圏の供給戸数に占める東京都区部の比率は51%と増加傾向にあり、コロナ危機後、大手不動産会社は都心部への近さやテレワーク対応といった機能面を重視した物件を売出す方針。

市況悪化による従来の営業方法のように、すぐに販売価格値下げに動く気配はない。

2020年の新築マンション販売は3万戸割れが確実となっており、2万戸程度との見方もある。

【2020年7月16日】
近畿圏、新築マンション発売減少
2020年1月〜6月の近畿圏の新築マンション発売戸数は5299戸と前年同期29%減少した。

1992年上半期の4430戸以来の低水準。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、不動産会社は営業自粛で販売センターを閉めて供給を停止した。

2020年の販売予測も1万3300戸と下方修正している。

平均契約率は70.5%で、土地価格や建設コストは高値水準で、マンション単価は上がっている。

1uあたり68万円(224万円/坪)と上昇している。

大阪市は2418戸で33%減、契約率は76.3%。

首都圏は7497戸で44%減、契約率は68.3%。

6月単月の近畿圏の発売戸数は1407戸で減少しているが、供給回復する要因もあり、販売停止していたタワーマンションや郊外の大規模物件も9月の販売開始する見通し。

コロナ危機は中古マンション市場にも影響を及ぼし、近畿圏不動産流通機構の調査では2020年4月〜6月の近畿圏の中古マンション成約件数は3298件で24%減少した。

【2020年7月16日】
投資用分譲マンション、賃料最高額
2020年6月の投資用分譲マンションの平均募集賃料は、東京都区部が1uあたり3860円と下落から上昇に反転し、過去最高額を更新した。

首都圏は3108円で上昇傾向だった。

近畿圏は1981円で過去最高値となり、大阪市は2551円、神戸市は1828円で築浅物件が増えた。

中部圏は1767円で上昇し、名古屋市は1915円と上昇傾向となっている。

【2020年7月16日】
マンション駐車場の後処理
千葉県にある総戸数30戸の分譲マンションの管理組合が駐車場負担問題を抱えている。

機械式立体駐車場が1/3程度しか埋まらず、駐車場使用量で維持管理費を賄えず単体で赤字が続く。

立地が駅近で、近隣にはカーシェアリングもあり、高齢者の免許返納、若者の車離れなど、車所有率が低迷している。

維持費負担軽減や地下ピットへの浸水リスクを減らすため、駐車場地下部分を埋め戻すため自治体に打診したが、駐車場設置条例があるため認められていない。

マンションは自治体の条例等で一定の駐車場設置が義務付けられている。

千葉県の自治体も条例で、戸数の50%以上、最低でも数十台分の駐車場を確保するとしている。

東京都区部は、建物の延べ床面積が2000u(600坪)超の建物で、350u(105坪)あたり1台の駐車場を確保する。

東京都内の6割の管理組合で駐車場の空きが発生し、そのうち機械式駐車場は4台に1台が空いている。

車事情に条例が合わず、都市部のマンションでの駐車場は過剰設備となっている。

空いている駐車場を外部に月極めや時間貸しに貸出す方法もある。

ただ、空き駐車場を15分単位でネット予約できる会員制シェアサービスのakippa(アキッパ)では、分譲マンションの空き駐車場については数件しか登録がない。

管理組合が居住者から集める駐車料金と違い、外部に貸して得た収入には収益事業として法人税などが課せられるため、税理士などに依頼し申告納税しなくてはならない。

また、駐車場ルール変更するには総会で、管理規約で3/4以上、使用細則で過半数で可決する必要もある。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、不動産市場自体が変調している。

民泊もインバウンドが瞬間蒸発し、施設は壊滅的な打撃を受けている。

宿泊以外にテレワークなど時間貸しとして施設を利用できないか対策を講じる。

ただ、2018年に住宅宿泊事業法(民泊法)が施行したが、この法律は民泊施設として届出した物件に、宿泊を伴わない時間貸しを認めていない。

あくまでも住宅宿泊が目的であり、空き部屋利用が目的ではないため、サテライトオフィスやテレワークなど仕事部屋としての利用はできない。

一方、旅館業法の許可を受けたホテルや旅館は、テレワークなどに貸し部屋として利用はできる。

民泊施設も旅館業法で許可を得れば同様に利用できるが、消防設備やフロント機能など住宅へ宿泊設備増設はスペースや費用で不可能に近い。

東京都千代田区にあるシェアリングエコノミー協会では、住宅宿泊事業法(民泊法)下でも仕事場や災害避難所として使えるよう規制緩和を申入れする方針。

コロナ危機だからの局面ではなく、早かれ遅かれ直面する事になる問題でもある。

【2020年7月16日】
中国、コロナ危機でもマンション過熱
新型コロナウイルス感染拡大でも、中国の経済を押し上げているのがマンション販売の好調。

北京市の新築マンション販売センターでは、、1uあたり9万8000元(150万円)の高級物件で、総戸数400戸のうち50戸が6月で売れた。

望東地区のマンション建設で、最安値で1億円を超す高級物件だが、インターネット販売で初日に400戸が即日完売した。

これでも単価が1割〜2割安に設定したため、高所得層が殺到した。

中古マンションでは60uで300万元(4600万円)で売出し、北京市内の若者が頭金150万元(2300万円)、住宅ローンを組み毎月9000元(13万8000円)を返済で購入した。

これもで価格はコロナ危機前より安くなっているという。

今、中国の住宅購入者は、2003年に感染が拡大した重症急性呼吸器症候群(SARS)の時の不動産価格を参考にしている。

災害後は不動産価格は値下がり、歴史は繰り返されると読む。

北京でも2003年4月に重症急性呼吸器症候群(SARS)が拡大し、直後の5月から新築物件の平均価格は4割減少した。

6月の収束した頃から、住宅ブームが起きて価格が高騰した。

コロナ危機後の5月から中古住宅価格は上昇している。

中国では不動産は経済のへそくりと言われ、景気が落ち込むと国が不動産売買を促進する。

河北省燕郊の高速道路を下りた道路沿いに車が何台も停車している。

車には『デベロッパー直売、頭金30%』などと販売広告が掲示されている。

河北省の戸籍以外ではマンションは購入できないが、秘密裏で規制は緩和されている。

北京からの顧客が急増し、5月は900戸、6月は600戸が販売され、前年は月平均130戸程度だった。

ここは北京のベッドタウンとして発展してきたが、コロナ危機で一変した。

北京に通勤しようにも検閲が厳しくなかなか会社に行けず、家に変える時も同じく厳しい検閲が待っている。

そのコロナ規制が住宅販売に悪影響し、自治体も販売促進のために戸籍制限の緩和を決めたのが原因とみている。

【2020年7月17日】
レオパレス21、賃貸住戸募集拡大
レオパレス21は、施工不良問題で入居者募集を停止している物件数について、2021年3月末までに3万戸程度に減らす。

2020年3月末では5万戸が募集停止で、1年で2万戸の施工不良住戸を解消する予定。

【2020年7月23日】
コロナ危機後、タワーマンションの行方
タワーマンション建設は東京から地方都市にも拡大している。

居住性や利便性が高く需要があるが、管理や修繕に要する高額費用などの問題も表面化している。

神戸市は中心部でのタワーマンション建設を認可しない規制を導入し、コロナ危機によるエレベーターや共用廊下など3密(密閉・密集・密接)などの対応や対策も急がれる。

●管理見える化推進・・・東急コミュニティー
東急コミュニティーグループは9000件、53万戸の分譲マンションを管理しており、そのうちタワーマンションが83件、2万7000戸ある。

1976年に竣工したタワーマンション第1号と言われる埼玉県さいたま市の与野ハウスも管理している。

タワーマンションは利便性が高く、共用施設も充実しており、防災センター設置や24時間管理など他の分譲マンションにはない設備も併設されている。

ホテルのような快適性があり、資産価値も高く値崩れしにくく、富裕層や投資家などを中心に需要があった。

ただ、上層階から下層階まで多岐に渡る住戸利用がタワーマンションにあり、その利用目的により居住者等のマンション管理に求める要求も変わってくる。

東急コミュニティーでは、タワーマンション専門の部署がありノウハウを蓄積しながら管理対応をしている。

タワーマンションは2007年〜2008年頃に大量供給され、第1回目の大規模修繕工事の時期に来ている。

工事費用は1億円以上など通常物件の1.5倍〜2倍近く掛かり、当然ならが足場は組めず屋上からゴンドラを吊るして工事を1フロアごろに進め工期は1年〜2年など長期に渡る。

タワーマンションの管理組合に対しては、修繕積立金の資金面も含めて事前に長期修繕計画を策定し提案する。

マンションは永住するための住まいとなっており、管理会社の役割は日常点検や維持管理の他、防災訓練を提案したり、財政が厳しい管理組合に対しては、省エネなど経費削減する施策など助言する。

ただ、今までは管理組合の区分所有者は、管理に対して他人事で、管理会社が全て決めて対応すればいいと言う姿勢で、管理参加に対して意欲を高める仕組みもなかった。

改定したマンション管理適正化法に基づき制度は、その問題を解消する手立てになる。

2022年度には、適切に管理している物件を自治体が認定する制度ができる。

マンション管理業協会は、個々の物件データにより、S・A・B・C・Dランクと等級分けする制度を設け管理状態を見える化にする予定。

マンションはその街の社会資本となり、評価制度が不動産市場に浸透すれば売買の参考にもなる。

高い等級評価なら、当然に売却価格も高値となり、損害保険料や修繕費借入の金利優遇も受けられる可能性があり、管理組合の区分所有者も参加意欲が高まる動機付けとなる。

東急不動産としてマンション開発する上で、大規模案件だと新たな道路や学校も必要となり、立地によってはタワーマンション建設規制も必要となる。

高齢化や人口減少に加え、コロナ危機により都市一極集中が問題化した今、タワーマンション建設の行く末も危惧される。

管理会社としてのマンション管理は、地域に溶け込んだコミュニティー形成が必要となる。

老朽化マンションの建替合意形成は難航し、管理会社としては中立提案にはなるが、高齢者など移住確保まで考慮する対応がなければ前には進まない。

タワーマンションだけでなく、分譲マンション全体の大きな問題は長期的にみて解決できる所から進める必要がある。

●タワーマンション建設規制で都市回帰・・・神戸市
神戸市は2020年7月からJR三ノ宮駅周辺の22.6haを都市機能高度集積地区に指定して住宅立地を禁止し、その外側の元町なども含む神戸市中心部の292haでは住宅の容積率の上限を400%に引下げた。

タワーマンション建設に一定の歯止めを抑制する。

神戸市には2020年5月で58棟、そのうち三宮などがある中央区に20棟のタワーマンションが立地している。

短期的に見れば神戸市中心部の人口増加が見込めるが、長期的にみれば都市持続可能性に問題がある。

阪神大震災から25年経ち、三宮も復興したように見えるが、時代の変化には対応できていなかった。

三宮の再整備機構を策定し、現在、阪急のビル建替中で、JR三ノ宮駅のビルも建替予定、バスターミナルが入るビルも建設する。

ウオーターフロントも再整備し、都市として商業業務機能を集積する。

一方、不動産事業者がタワーマンションを建設予定とするのは駅近の好立地。

それを認可すれば商業業務機能が衰退し、神戸市中心部ですら大阪のベッドタウンとなる。

街づくり面では狭い地域に乱立すれば子育て世帯が一気に急増し、学校や保育所が不足する。

趨勢(すうせい)として人口減少となり、タワーマンション建設を認めると空き住戸が増える可能性がある。

コミュニティー形成面でも問題があり、実態調査でもタワーマンションの管理組合にアンケート調査を実施しても、返信はほぼ皆無であり、地域活動への参加意欲は乏しい。

分譲マンションに内在問題が、タワーマンションに端的に表面化する。

不動産事業者は分譲時点では修繕積立金水準を抑える傾向があり、いずれの修繕積立金値上に対しても、総戸数が多く、区分所有者同士のつながりも希薄で合意形成が難しい。

資金難の老朽化マンションでは管理組合が機能不全に陥る事もある。

大規模災害が発生し、建物内のエレベーターや電気、水道が止まったら住戸内での生活そのものが不可能となり、高層階住戸では難民化する。

タワーマンションは巨大閉鎖居住空間であり、郊外の住宅団地なら空き家が増えたとか、この戸建ては高齢世帯と行政でも判別できる。

ただ、マンションの場合、行政が居住者や管理状況を把握するのは難しい。

政府は改正したマンション管理適正化法を使い、管理状況などを人にで届けてもらう制度を試験的に始め、修繕積立金などの情報公開する仕組み。

コロナ危機後には都市部でも高密度を重視する発生が見直され、住まいも極めて狭い空間が集まるタワーマンションも思考が変わる。

自然や環境が今以上に重視される時代に、過密都市のタワーマンションの存在意義が問われる事になる。

●頼れぬ居住者・・・日本マンション学会
タワーマンションのニーズが高いのは不動産事業者にとっても収益性が高く効率が良い。

好立地で居住空間の快適性も高く、充実した共用施設を完備。

タワーマンションは都心に建ちで利便性が高く、高層階の眺望が人気となっている。

買う需要があり、建てて売る供給もある。

家族構成も多様になり、都市居住の一つの選択肢としてタワーマンションもあり、都心のタワーマンションは投資対象として中国や中東の投資家にも人気がある。

一方、共用部分の高額になる管理費負担も大きい。

一般にタワーマンションは低層階と高層階の区分所有者間で意思格差がありコミュニティー形成が難しい。

総会で管理費や修繕積立金の値上についても、承認可決に至る可能性が不透明。

日本がドイツとフランスを参考にした区分所有法を作ったのは1962年。

多数の専有部分からなるマンション、総戸数が多数あるタワーマンションはさらに複雑化する。

ヨーロッパではタワーマンションはほとんど建設されない。

鉄筋コンクリート造の建物躯体は100年は耐えるが、設備を含め居住価値を適切に維持管理する必要がある。

管理組合を組成し理事会で建物維持管理を決めているが、管理の素人集団が管理方法を決定する事自体が難しく、管理費等滞納への対応もある。

区分所有法では理事会方式の他、第三者管理者方式もあり、マンション管理士など専門家を管理者にする事もできる。

管理事業者の業務が不十分な時には、そのマンションの区分所有者が総会で多岐にわたり管理事業者を選択する事ができる。

タワーマンションは理事会ではなく第三者のマンション専門管理事業者の方が円滑に管理できる可能性がある。

区分所有法ができた当時はマンション専門家は居なかったから、理事会方式が広がった。

ヨーロッパでは管理者方式が主流で、ドイツでは法律で適正管理請求権があり、区分所有者が管理者に建物の品質維持するよう求める権利である。

マンションは100年後にどうなるのか。

タワーマンションを建替るのは容易ではなく、区分所有権を解消して土地と建物を売却し、その売却資金を区分所有者で分配する事も必要となる。

区分所有者全員の合意が必要だが、地震で被災した場合や耐震基準を満たさない物件は4/5の合意でも可能となる。

改正マンション管理適正化法では、外壁剥落の危険性のある物件も加わる。

本来、最終的には区分所有権が解消される事が望ましい。

神戸市のように地域事業に応じてタワーマンション規制する事は評価に当たる。

都市計画の問題や学校整備など様々な理由があり、タワーマンションを建設すると行政活動の負担増になる問題予測される。

人口減少や供給過剰になればタワーマンションでも賃貸化が進み、空き家も増加する。

国も管理機能不全で負債となった場合の対策をする必要がある。

韓国や中国も日本同様にタワーマンション建設が増加しており、いずれアジア全体の問題に発展する。

●出口戦略
タワーマンションには法的提議はないが、20階建て以上の物件としている。

1997年の建築基準法改正を機に一気に建設が増加した。

50階建てのタワーマンションが著しく老朽化したら、どう維持管理するのかという問題が表面化し、その答えはまだない。

マンション建替再生する場合、その敷地でより大きな建物に建替え、余剰分住戸を売却して建設費の一部に充てる手法が一般的だが、それは敷地に余裕のある昔ながらの団地型マンション等に限られ、タワーマンションはほぼ不可能。

区分所有権を解消して土地と建物を売却する方法もあるが、その建物を解体する事が前提となり、解体費用や売却金の分配方法も問題となる。

分譲マンションから事業者が建物管理一括購入して賃貸マンションに変更する事も考えれ、そうすれば居住者はそのまま賃料を払えば住み続ける事ができる。

タワーマンションをはじめ権利がある分譲マンションの対策を明確にする必要がある。

【2020年7月23日】
相続税対策、賃貸物件の暗雲
テナントビルや賃貸マンションなど投資用不動産を活用した相続税対策の逆境に見舞われている。

投資用不動産は相続税を算出する際の財産評価額を減らせるため、多額の借入金をして物件取得した地主や富裕層が多い。

ただ新型コロナウイルス感染拡大に伴い、テナントビルを中心に賃料収入が大幅減収している。

居住用賃貸マンションの需要も不透明感が強まり、賃料減少で借入金返済が滞れば、オーナーは相続税対策する以前に資金繰りが悪化する可能性がある。

10年程前から相続税節税目的で投資用不動産を建てる地主や富裕層が増加、自己資金の他に多額の借入金で物件を取得するケースが多い。

投資用不動産が相続税節税につながるのは課税評価額を大幅に引下げられ、現預金で相続するより税額が少なく例が多い。

東京都区部で200u(60坪)の土地に賃貸物件を建設し、総額2億円かかった場合、土地の評価額は建物の入居者があれば利用制限され一定比率下げられる。

貸付事業用宅地は面積200u(60坪)までなら、小規模宅地の特例の対象となり土地評価額はさらに半分にできる。

建物は建築費に一定比率をかけて固定資産税評価額を算出し、借家権の割合で全国一律30%を差引く。

土地と建物の評価額は合計7048万円になり、2億円から68%減らす事ができる。

賃貸用住宅の着工件数は2019年度に33万4509戸と、相続税増税の影響で2016年度に比べ2割あまり減少した。

スルガ銀行の投資用不動産への不正融資や賃貸不動産大手のレオパレス21など施工不良問題を受けて、金融機関が大幅に融資を絞り込んだ影響がある。

ただ、真の原因は供給過剰で、全国の地主や富裕層が投資用不動産に偏り各地に賃貸物件が乱立し、利便性の低い立地のアパートは空室率悪化に見舞われ、2019年まで上昇傾向だった賃料低下する可能性がある。

そこのコロナ危機により、景気悪化は冷え込む。

投資用不動産は相続税対策の効果は薄くなり、さらに借入金返済の原資となる賃料動向も注視する必要がある。

飲食店など消費者に直結する業種向けテナントビルは収益環境が厳しい状態が続く見通し。

コロナ危機によりテナントが営業自粛して経営悪化すれば、退去したりすれば賃料収入回復の計画が狂う。

居住用賃貸の賃料は消費者向けテナントビルと比べ安定している。

ただ、利便性が高い駅近の空室率が低いアパートでも、競争激化で家賃下押し圧力になる可能性もある。

東京都区部の賃貸マンション平均家賃指数は2020年5月で、面積30u〜50uの住戸は下落しており、アパートは最高値を更新したが賃料相場が転機を迎えている。

地価は10年間近く下落から上昇に転じ、2020年は商業地で前年比3.1%、住宅地は0.8%で上昇した。

ただ、賃料減少は地価に影響し、収益力低下する土地は相対的に価値減少する。

地価が下がれば時を追って相続税評価額も下がるが、土地を売却し相続税納税資金とした時は希望価格で売れない可能性もある。

《賃貸不動産の相続税節税の仕組み》
▼建物
建築費:7000万円
・7000万円×0.6〔固定資産税評価額〕×(1−0.3)〔借家権〕=2940万円〔評価額〕

▼土地
面積:200u
購入額:1億3000万円
・1億3000万円×0.8〔路線価換算〕×(1−0.7×0.3)〔借地権・借家権〕×0.5〔小規模宅地特例〕=4108万円〔評価額〕

2940万円〔建物評価額〕+4108万円〔土地評価額〕=7048万円〔相続税評価額〕

【2020年7月25日】
分譲マンション管理、認定制度
外側からは見えにくい分譲マンション管理状況に認定を与える制度が発足する。

管理組合の運営や修繕積立金計画の正常化を、自治体や企業が診断し、一定以上の水準なら認定する。

認定制度により、管理が適正なら資産価値の上昇につながると期待する。

自治体は認定制度により適切な管理を促し、地域トラブルを防止する事を目的としている。

2020年6月に改正マンション管理適正化法が成立し、マンション管理計画を自治体が適切と認定する制度が創設される。

基となるのは管理組合の運営状況や長期修繕計画による修繕積立金総額。

認定されればマンション管理のお墨付きを得られ、2022年までに認定制度を開始する。

背景にあるのが、分譲マンション老朽化問題。

築40年以上のマンションは2019年時点で全国に92万戸あり、2029年には219万戸と倍以上に増加する見通し。

竣工から時間経過し、管理組合の運営がしっかりしていないと管理や修繕が不全のマンションが増加し、外壁のヒビ割れやタイル剥落、空住戸が増加し犯罪の温床になる恐れがある。

管理限界マンションになれば周辺地域にも悪影響を及ぼし、自治体がマンション管理を診断するのは街全体を考慮しての事。

公的な認定制度で適切な管理を促し、老朽マンションによるトラブルを防止する。

また公的認定制度に先行して、民間では独自にマンション管理を認定する動きが出ている。

管理組合が同意すれば認定結果を公表し、手入れや修繕が行き届いたマンションは古くても資産価値が落ちにくい。

東京都渋谷区にある不動産コンサルティングのさくら事務所は、2019年に管理診断サービスの“BORDER5”を開始した。

管理組合が開催する総会の区分所有者の出席率や管理費未収率など、独自基準でマンション管理士が診断。

上位5%の優良水準にあたると認定したマンションをネットで公開し、売買相談も受付ける。

神奈川県川崎市にあるパークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワーなど首都圏に15棟のマンションを認定した。

東京都中央区にある不動産仲介のコンドミニアムアセットマネジメントは、管理を5段階で評価する取組みをする。

管理組合の自己診断とマンション管理士の診断を組合わせ、1年で1000件程度を診断し、ネットで評価を公開する予定。

不動産情報サービスのLIFULL(ライフル)と東京都文京区にある日本マンション管理士会連合会は提携し、評価が高いマンションを不動産情報サイトに掲載する予定。

こうした認定制度について、マンション管理の内情を外部から容易に把握できる意義は大きいと見ている。

購入を考える人は不安をある程度の解消でき、中古マンション取引が活発化する可能性がある。

管理が優良なら価格で評価される事もある。

ただし、分譲マンションは管理組合を組成する区分所有者の意思決定が働くため適切な管理運営も総会等で決議する必要がある。

建物が老朽化し空住戸が増加すると、管理費未収や総会出席率の低下により合意形成が難しくなり、管理改善の妨げとなる。

分譲マンションは各個人の私有財産となり、自治体が関与できる範囲にも限界がある。

【2020年7月27日】
中古マンション、AI価格査定
東京都渋谷区にある不動産テック企業のエステートテクノロジーズは、東京都内10万棟の中古マンションの相場価格をAI(人工知能)で提示するサービスを始める。

売却や購入を検討している物件名や専有面積などを入力すると、周辺の似た物件の売買価格などを基にAI(人工知能)が価格を査定する。

利用は無料で、利用者が売却に至れば仲介手数料を得る仕組み。

【2020年7月27日】
中古マンション、価格下落
東京都心部の中古マンション価格が下落し始めた。

2020年6月の平均希望売出価格(70u/21坪)は東京都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、文京区)は8294万円(394万円/坪)で下落し、東京都内や東京都区部でも下がっている。

神奈川県、千葉県、埼玉県は上昇しているが、東京の値下がりが顕著で首都圏全体は3668万円(174万円/坪)で下落した。

コロナ危機により経済の先行きが見通せず、売手側が物件の価格設定に慎重になっている。

近畿圏は2450万円(116万円/坪)で上昇し、大阪府は2643万円(125万円/坪)と下落、兵庫県は2166万円(103万円/坪)と上昇している。

中部圏は1944万円(92万円/坪)で上昇した。

【2020年7月28日】
賃貸住宅、家事代行
大東建託は、入居者向けに買物代行など生活を手助けするサービスを紹介する。

大東建託と取引のある提携事業者によるサービスを集めたプラットフォームをネット上に立上げ、大東建託が管理する賃貸住宅の入居者に提供する。

生活環境の充実につながるとして、住宅利用者の取込みにつなげる。

紹介するサービスへの登録は無料で、インターネットのウェブやスマートフォンのアプリなどでの提供を検討。

大東建託の居住用の管理戸数は117万戸で、207万人が居住している。

【2020年7月28日】
地方移住付き、新築マンション
大阪ガス都市開発は、東京都千代田区にあるアドレスが全国で手掛ける住宅の定額住み放題サービスを分譲マンション購入者に提供する。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、在宅勤務が普及し複数の拠点に住む生活が注目を集め、マンション販売増につなげる。

現在、大阪市天王寺区に建設中のシーンズ上本町の購入特典として付帯した。

サービスは空き家や別荘など全国65ヶ所に滞在でき、地方で休暇を過ごしたり、テレワークなどの使い方を想定している。

【2020年7月29日】
レオパレス21、所有物件売却
レオパレス21は経営再建の一環として、自社所有物件18棟を売却する。

それでも売却額が帳簿価格を下回り減損損失を計上する。

売却するのはホテルレオパレス名古屋や、全国にある賃貸住宅17棟が対象。

【2020年7月31日】
8月
不動産ネット取引
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、マンション購入や賃貸手続きも対応する動きがある。

不動産取引は法律上、不動産業者から対面での重要事項説明を受けてから契約を締結するが、コロナ危機により不動産会社は物件の詳細情報や見学などをネットで可能にする非接触対応サービスを手掛ける。

野村不動産アーバンネットが販売代理する新築マンションでは、顧客に対しパソコン画面の動画で担当者が説明する。

“おうちでモデルルーム”のサービスで、パソコンやスマートフォンなどのビデオ通話で接客する。

従来は、販売センターに来訪しなければ物件の詳細は分からなかった。

野村不動産は、オンライン商談サービスを販売物件で始め、将来的には自社開発物件の全部に導入する。

三菱地所レジデンスや東京建物なども同様のサービスを手掛ける。

新築マンションは建物完成前のモデルルームを見学し購入判断するため、ネットサービスを不動産会社はモデルルーム来訪につなげるツールとしている。

マンション竣工後に販売する住友不動産も、顧客がモデルルームに来訪せず契約締結できるようにした。

海外購入者もいるため、見学から引渡まで非対面で完結できる。

売買契約締結までに不動産会社は物件の重要事項説明を対面で行う必要がある。

一部不動産会社は国土交通省が進めるIT(情報技術)を活用した重要事項説明の実験に参加し、ウェブ上で実施できる環境を整える。

ネット対応は賃貸マンション・アパートにも拡大し、不動産仲介会社のハウスコムは店舗で仲介する物件の多くでオンラインの接客や見学に対応できるよう整備する。

不動産情報サービスのLIFULL(ライフル)は情報サイトのライフルホームズに掲載する賃貸物件の15%でオンラインで見学できるようにしている。

ただ、ネットを利用しても契約書など書面のやり取りは残っており、実物を見学できる利点などを踏まえ、情報収集の拡充により不動産会社もオンラインサービスを整備する必要がある。

【2020年8月3日】
マンションでロボットシェア
東京都文京区にあるロボット開発企業のZMPは、マンションの空き駐車場などを使ったロボットシェア事業を手掛ける。

車離れや高齢者の免許変更などで空き駐車場が増加するなか、空き区画有効利用として車イス型のロボットを設置し、月額1万円程度で居住者がシェアできるようにする。

ロボット設置を不動産開発や管理会社などに提案する。

ロボット車イスは1人乗りで“ラクロ”という。

利用者が車イスのように座ってタブレットで目的地を指定すると自動で走る。

東京都内のタワーマンションの駐車場に5台程度を設置し、居住者が共同で利用できるようにし、高齢者が買い物などに出かける際に車代わりとして利用する。

高齢者が免許返納を機に車も手放す人が増え、マンションに空き駐車場も増加傾向にあり、一方、活用方法としてカーシェアリングは新型コロナウイルス感染拡大に伴い低迷したため、空き駐車場の有効利用を模索している。

ZMPは不動産関連会社などと協業し、2021年以内に東京都内を中心に200台程度を導入する。

ZMPはロボット事業を手掛け、無人配達や消毒を行うロボットを開発している。

【2020年8月4日】
賃貸住宅、オンライン診療
リコーリースは、東京都中央区にあるオンライン診療システムを手掛けるインテグリティヘルスケアに出資する。

システム導入する医療機関への金融サービス提供や、オンライン診療を受けられる賃貸住宅の開発を検討する。

リコーリースは2017年からマンションを買取り、改装やIoT機器導入で、より住み心地を良くしてから賃貸するサービスを手掛ける。

高齢者向けにオンライン診療に必要なシステムを完備した賃貸住宅開発を計画する。

【2020年8月4日】
新築マンション、非対面販売
新築分譲マンションのオンライン見学を始めた住友不動産、200組の参加があり、20組の申込を得た。

顧客は販売センターに足を運ぶことなくウェブ上で物件紹介や周辺環境の情報を得て、モデルルームの動画を視聴し、販売員と物件詳細や住宅ローン相談ができ、契約書やカギの引渡しも郵送で済ませる。

ただ、法律上、不動産は宅地建物取引業法で契約前の重要事項説明は、基本、主要事務所にて対面で実施しなければならず、マンション販売を全て非対面にするには法改正が必要となる。

【2020年8月6日】
尼崎市、環境配慮型マンション
兵庫県尼崎市は、環境に配慮したスマートマンションの認定制度を始める。

二酸化炭素(CO2)の排出削減につながる施策を導入した物件を認定し、環境負荷低減と住環境向上による居住者の定住につなげる。

2021年度に持続可能な開発目標(SDGs)を尼崎市独自のポイント制度も新設する。

マンション認定制度は“環境”“経済”“社会”の3つの観点で評価し、“環境”では全住戸に家庭用エネルギー管理システム(HEMS)を導入し、各家庭でエネルギー消費量を可視化する事が条件となる。

省エネルギーに関するイベント実施なども評価対象で、ポイント制度との連動も“経済”の観点で高評価につなげる。

阪急電鉄の塚口駅前で野村不動産が開発する分譲マンションのプラウド阪急塚口駅前で1号案件として認定した。

プラウド阪急塚口駅前は総戸数421戸で2022年に竣工予定、全住戸に家庭用エネルギー管理システム(HEMS)を完備し、電力消費が増える夏と冬に省エネコンテストを実施する。

優秀な家庭を表彰し、尼崎市の独自ポイントを付与し、尼崎市内のNPO法人と連携して学びの場を提供するなど“社会”の観点でも評価されている。

認定制度は既存物件も対象とするが、家庭用エネルギー管理システム(HEMS)の完備やイベント実施などで、居住者間で管理組合での合意形成が求められる。

尼崎市は環境性能に応じて、最大70万円を補助する制度を戸建住宅向けで既に2019年度に初めている。

1年間で58戸を認定し、年82tの二酸化炭素(CO2)削減につなげている。

認定を受ければマンションの場合は1住戸あたり3万円を事業主等に給付する。

野村不動産の場合、プラウド阪急塚口駅前は合計1263万円を補助を受け、マンション運営で社会活動等に充てる事ができる。

ただ、野村不動産としては、補助金以外に他の物件との差別化要素、ブランド価値向上になると見て、尼崎市のお墨付きを活用する。

認定制度は周辺地域の地価などにも影響し、都市魅力向上につながる可能性もある。

自治体は、環境負荷低減に加え、都市ブランド強化の狙いもある。

良好な住宅供給による住環境向上で、ファミリー層の流入を促す思惑もある。

地域ポイントもその一環で、健康増進や環境問題に関する複数のポイントに一本化する。

特定検診受診や照明器具のLED(発光ダイオード)化、清掃や日本語ボランティア活動への参加などにポイントを付与し、尼崎市内の加盟店で使えるようにする。

【2020年8月7日】
レオパレス21、店舗追加閉鎖
経営悪化するレオパレス21は店舗を追加閉鎖する。

レオパレス21は国内182店を営業していたが、2020年5月までに20店を閉鎖したが、2021年3月までにさらに20店を追加閉鎖する。

固定費削減にメドをつけたいが、業績悪化に歯止めが掛からず、追加閉鎖を決めた。

アパート施工不良問題を受けて経営悪化しており、追加リストラで固定費削減を目指す。

さらに賃貸業務のデジタル化を推進し、オンライン上で賃貸物件の契約が完結するシステムを導入する。

顧客の利便性向上のため、非対面でカギを引渡すサービスも始め、IT(情報技術)化を推進し、店舗見直しと同時に業務効率化を高める。

ただ、リストラは建築士など専門分野や優秀な人材が流出する要因にもなり、施工不良アパートの改修工事の進捗に影響が及ぶ可能性がある。

【2020年8月7日】
京都市、景観無視マンションに待った
京都市中京区にある幕末に新撰組の屯所だった旧前川邸の隣接地で計画されるマンション開発により、景観が損なわれるとして京都市に開発許可取消を求めて審査請求し、執行停止の申立てした。

計画されているマンションは7階建てで、原告の弁護団は開発に必要な道路幅員を満たしていないとして違法を指摘している。

【2020年8月7日】
売却・賃貸を見据えた家選び
人生100年時代のマイホーム選び。

東京都中央区にある中古マンションに特化した不動産会社のコンドミニアムアセットマネジメントは長期的視点で家選びを提案する。

子育てが終わったシニア世帯の住まいには、東京都千代田区や文京区など文教地区を薦めている。

教育熱心な富裕層の需要が安定しており、売却や賃貸がしやすいから。

高値で売却できれば、老人ホームなどへの次の住替原資にもできる。

家を購入する時の希望や理想は自分の価値観で選択しがちだが、重要なのは第三者の評価。

売却や賃貸の価値は投資用不動産だけでなく、自宅用不動産でも適用する。

コンドミニアムアセットマネジメントの代表は、バブル期を東京の多摩地区に住んでおり、当時の一般住宅の価格が7000万円前後していた。

バブル崩壊後には、すぐに4000万円に下がり、最後には1000万円でも売れなくなった。

不動産市場の激変で高値で浮かれている人も、価格下落による売却損や含み損で行き詰る人が続出した。

逆に言えば、人生最大の買物で長期的視点で購入していない人の多さが目立った。

それらを踏まえて、資産となる良質な中古住宅流通を築くため不動産会社を立ち上げた。

老朽化する住宅は修繕費の負担も重くなる。

価値ある家を見極める必要があるという。

【2020年8月13日】
サブリースで賃貸マンション経営
賃貸住宅を経営する際、入居者募集から物件管理まで一括で不動産業者に任せる転貸借によるサブリース契約。

サブリースとは、アパートなどの賃貸住宅を不動産業者が大家(所有者)から1棟借上げして賃貸借し、入居者に転貸借する手法です。

大家は家賃収納業務などを不動産業者に任せられる他、安定して家賃収入を得られる利点がある。

国土交通省による“2019年度・賃貸住宅管理業務に関する調査”では、賃貸住宅管理を全て自らしている大家は2割程度で、8割は入居者募集や物件管理など、範囲程度はあるものの不動産業者に委託している。

サブリース契約する大家がトラブル経験した事あるのは5割程度で、『不動産業者から詳細説明がないまま契約した。』『更新時に大幅な賃料減額を要求された。』など素人大家にとってサブリース契約には問題がある。

一般的にサブリース契約は、不動産業者が家賃保証する期間を10年間と定めるが、保証期間中に大幅賃料減額を求める事も多い。

シェアハウス運営会社が破綻し、サブリースした大家が借入金返済に行き詰る問題が発生した。

これら問題から2020年6月に“賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律”が成立した。

サブリース会社の営業手法などを規制する他、賃貸住宅の管理会社は国土交通省への登録が義務化された。

サブリース会社は誇大広告や不当勧誘などが禁止され、契約勧誘時に『基本的に家賃収入が減額されない。』と言った文言の広告や表示は禁止される。

誇大広告などは、契約を持ちかける建設会社なども禁止対象となっている。

大家との契約締結前に、家賃保証や契約更新条件などを記載した重要事項書面の交付・説明する義務も制定した。

管理会社も契約締結する際、具体的な業務内容や大家の費用負担など重要事項説明をする必要がある。

これにより賃貸管理の品質向上が期待できるが、大家になる際も契約する際には不動産業者の説明を理解や納得できる知識や経験を備え、疑問点を質問できるようにする必要はある。

《主なサブリース問題》
・契約内容の説明不十分なまま契約締結。
・賃料の大幅減額。
・不動産業者都合の契約条件変更。
・不動産業者から想定外の修繕費用請求。
・空室期間が長い。
・不動産業者の入居審査が甘く、入居者の質が低下。

【2020年8月15日】
ネットでマンション購入
新築マンション販売で、オンライン活用が広がる。

三菱地所レジデンスは、新築分譲マンションのオンライン接客を全国の物件に拡大する。

対面よりオンラインによる営業のニーズが増えている事が要因。

東京都港区の高輪ゲートウェイマンションギャラリーには、販売員がパソコン画面で仮想現実(VR)のモデルルームを顧客に説明する。

オンライン営業で成約する確率は販売センターに来場してもらうのと同じ5%程度。

販売センター開設費用削減、顧客来場負担や接客時間短縮など効率化しており、今後の新たな新築マンション販売手法になりつつある。

【2020年8月15日】
投資用分譲マンション、賃料下落
2020年7月の首都圏の投資用分譲マンションの平均募集賃料は1uあたり3101円で下落した。

2020年6月に過去最高を更新した東京都区部の他、神奈川県、千葉県、埼玉県が下落に転じた。

東京都区部は3849円、横浜市は2503円、千葉市は1569円で、下落幅が広がっている。

さいたま市は賃料水準が高く、棟数も多いエリアで築年数の古い物件が増加し、1905円と大幅下落となっている。

【2020年8月19日】
全日空、所有地売却
ANAホールディングスは、東京都大田区にあるグループ研修施設を長谷工コーポレーションに売却する。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、航空各社は業績落込みで資産売却に動いている。

ANAホールディングスの売却地は研修施設のANA・Training&EducationCenterで、敷地面積は8500u(2571坪)、売却額は数十億円で長谷工コーポレーションに土地と建物を譲渡する。

長谷工コーポレーションはマンション建設する予定。

【2020年8月19日】
首都圏、新築マンション発売微増
2020年7月の首都圏の新築マンション発売戸数は2083戸と増加した。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、神奈川県や埼玉県で供給が増え、テレワークやサテライトオフィスなど在宅勤務により都心の駅近よりも住戸面積の広さを重視する傾向がある。

東京都区部が2割弱の減少に対し、それ以外の東京都、神奈川県、埼玉県で伸びている。

1住戸の価格は6124万円で高止まりする中、郊外の値ごろ感のある物件に人気が集まる。

都心の価格上昇を敬遠し、郊外でも利便性の高い安くて広いファミリー物件の需要が高まっている。

契約率も神奈川県や千葉県では好不調目安の70%を超えている。

郊外マンションは中古物件でも関心が高まっている。

会社に近い都心部よりも、郊外のゆったりとした物件に嗜好が変化している。

ただ、郊外では土地付きの戸建て住宅もあり、売却には順調に推移するとは限らない。

【2020年8月21日】
近畿圏、新築マンション発売減少
2020年7月の近畿圏の新築マンション発売戸数は921戸と減少し、1991年以来の低水準となった。

大阪市は454戸で、前年同月比5割近い減少だった。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、営業自粛した上に不動産会社も発売供給を絞っている。

契約率は67.4%と不調水準に落ちている。

その中でも平均価格は4917万円と上昇しており、大阪市中央区の谷町筋沿に建つザ・ファインタワー大手前などが販売価格を引上げている。

タワーマンションの需給は好調で、都心部の物件は底堅いとみている。

【2020年8月21日】
家族以外との住まいの形
●古い住慣習の新しいシェアハウス
東京都杉並区にある“今川のシェアハウス”。

最寄駅から徒歩20分、築40年以上の戸建て住宅は、暖炉のある吹き抜けの広いリビングや壁や柱に木材が多用された昔の洋館の様子。

居住者の高齢化により、2018年にシェアハウスに転用した。

日本ではシェアハウスが増加しており、日本シェアハウス連盟によれば全国に5000棟近くある。

シェアハウスは、もともと高い賃料や保証人問題など賃貸住宅を借りにくい外国人の間で広まっていたが、2000年頃から日本人にも受け入れられるようになった。

“今川のシェアハウス”は好立地ではなく、家賃も安くはないが、それでも住みたい人が集まる。

理由の一つに帰る家という魅力がある。

“今川のシェアハウス”はフランクロイドライドに建築を学んだ遠藤楽氏が設計した。

40年近く住んでいた家主が高齢化により、家を残すために建築関係者にシェアハウスの改築を依頼した。

現状の意匠を崩さないよう改築は最小限に抑え、ゆったりと空間をそのままにし、家族から個人に代わる居住者に合わせ、個室間の壁を共有しないようにし、共有スペースも居場所を点在させた。

普通の賃貸マンションなら、仕事から帰ってきて寝るだけの空間だが、“今川のシェアハウス”は生活の匂いを感じながら暮らす。

“今川のシェアハウス”は不動産会社に仲介せず、直接、サイトから入居を申込み、居住者には建築関係などが多い。

似たもの同士が集まり、リビングでは会話もはずむが、暮らしを大切にする人達なので仲が良いが、ベタベタするまではなく、居心地のよい距離感を保つ。

住まいは、その時代の社会を映し出す。

江戸時代の長屋は、商人や職人といった庶民の暮らし。

戦後、都市で働く労働者向けに供給された公団住宅で、夫婦と子供の標準的家庭が生み出された。

バブル崩壊後の景気低迷の中、人口減少と少子高齢化が進み、若者も高齢者も単身世帯が増加している。

そんな孤独の社会の中、シェアハウスという新しい家族ではないつながりが持てる家庭が生まれた。

●コーポラティブハウス
2020年7月、東京都内のマンションで住戸引渡が行われた。

このマンションが普通の分譲マンションと違うのは、コーポラティブハウスという共同住宅。

コーポラティブハウスは、複数人の所有者が管理組合を結成し、自ら資金を出し合って事業主となり、共同住宅を2年近い期間を掛けて建設する。

マンション名や管理規約も所有者らの管理組合が会合を開き決定していく。

日本では年間100戸〜150戸の供給があり、アメリカやヨーロッパでは広く浸透している。

通常の分譲マンションと違うのは、専有面積や間取り、住宅設備など各所有者の出資金に応じて自由に決められる。

いまでは居住者同士のコミュニティー形成も参加理由もあげられる。

東京都渋谷区にあるコプラスは数多くのコーポラティブハウスを手掛け、管理組合の後方支援をする。

●手作り賃貸マンション
賃貸住宅も、他の居住者と連帯する住み方がある。

東京都練馬区にある“青豆ハウス”は、7世帯の家族が生活する。

通常の賃貸マンションは、家賃を支払う賃貸人には関心がなく、隣人が誰なのかも知らなかったりする。

そんな普通に疑問を持ったのが“青豆ハウス”の家主。

コンセプトは、建物全体がひとつの家庭とし、大家族が暮らすイメージを持つ。

プライバシー重視のマンションに反し、夕飯の匂いや会話など他の居住者の生活をも感じ取る事ができる。

誰かが体調を崩せば他の居住者が食事の用意をしたり、仕事で両親のいない子供を面倒をしたりする。

若年層が疑似家族を選択する背景には、会社の年功序列や終身雇用を前提とした住宅形式が崩れ、そのなかで住宅購入の目的が変わってきた。

社会を重視する人生設計ではなく、家族に軸を置いた住まいのあり方に軸足が置かれる。

【2020年8月23日】
中古マンション、価格上昇
2020年7月の中古マンション平均希望売出価格は70u(21坪)換算で、東京都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、文京区)で8411万円(400万円/坪)で上昇した。

築浅物件が増え、2002年以来の最高値となった。

東京都区部は5721万円(272万円/坪)で上昇し、価格水準が高い東京都が持ち直し、首都圏は3687万円(175万円/坪)と上昇している。

近畿圏は2458万円(117万円/坪)で上昇し、大阪府と兵庫県が値上がりしている。

中部圏は1952万円(92万円/坪)で上昇した。

【2020年8月25日】
賃貸住宅活用の太陽光発電
旭化成と東京電力ホールディングスは、賃貸住宅の太陽光パネルで発電した電気を工場で活用する取組みを始める。

国の固定価格買取制度(FIT)に頼らず、再生可能エネルギーを有効活用する。

旭化成子会社の旭化成ホームズが手掛ける賃貸住宅のへーベルメゾンの家主から屋根部分を有償で借受け、太陽光パネルを設置する。

発電した電力は東京電力の電力小売事業者の東京電力エナジーパートナーが買取る。

その買取った電力を川崎市にある旭化成の工場に供給する。

へーベルメゾンの太陽光パネルから買取った電力分については、再生エネルギー由来の証明証書を発行する。

【2020年8月27日】
マンション管理組合、収益事業
非営利団体のマンション管理組合が収益事業に乗出している。

屋上に携帯電話基地局のアンテナ設置したり、空き駐車場を外部貸しが主な内容。

収益を建物の修繕積立金に充てるのが目的で、利用頻度の低い集会所も訪問介護施設を誘致するなど、様々な事業が想定される。

東京都江戸川区にある総戸数120戸の分譲マンションでは、集合ポストに広告セットが投函される。

広告セットには、ピザ宅配など4枚のチラシが入り、必要な居住者だけが持ち帰り、不要なら回収箱に戻す。

広告会社はチラシ1枚2円を管理組合を支払い、管理組合の収入は年5万円程度ある。

もともとチラシ投函を禁止していたが、広告会社が対価を支払う事で承認した。

これまでは無断でチラシ投函していた広告主に、広告会社が連絡をして交渉し、管理組合としても精査して配布する事が決まった。

これで無断チラシはなくなり、無駄なチラシ破棄もなく環境美化となり、収益もあるため管理組合としては得策となった。

他にも飲料自動販売機を2台設置、携帯基地局のアンテナ1基の設置などで年間160万円の収入を予定で、建物の修繕積立金に充当する。

収益事業に関心を持つ管理組合は増加している。

管理会社の大和ライフネクストの2019年の調査では、3800管理組合の1割が収益事業を実施している。

収入は年間200万円未満が7割を占めるが、500万円以上も5%あった。

ただ、管理組合の収益事業を始めるにも、総会にて決議を取る必要があり、業態によれば一部の区分所有者に影響を及ぶす可能性もある。

東京都江東区にある総戸数90戸の分譲マンションでは、理事会の段階で携帯電話から基地局のアンテナ設置を打診され検討していた。

屋上のアンテナ設置場所が理事会役員の住戸真上だった事もあり、アンテナ2基で500kgあり建物の構造耐力上に対する荷重負担の資料が乏しく理事会で否決した。

もともと分譲マンションは営利を目的とした建物ではないため、その上で収益事業を進めるには区分所有者や居住者の理解が欠かせない。

空き駐車場を外部貸しもマンション敷地内に第三者が立入る事になり防犯面から嫌がる居住者もいる。

修繕積立金不足のうえ値上げ決議も否決されるなど、管理組合が収益事業を始める理由を、区分所有者に説明する必要がある。

東京都港区にある総戸数580戸の白金タワーは、2019年に2階にある共用施設を用途変更し、改装費800万円かけて訪問介護ステーションを誘致した。

改修費は駐車場のサブリース事業で得た剰余金を充てた。

介護事業者は無償で施設を使用できるが、マンション居住者向けに無料で検討相談会や運動教室を開催する事を条件としている。

居住者の高齢化に向けて介護の利便性や資産価値向上も行っている。

分譲マンションは今後、建物の老朽化と居住者の高齢化が進み、管理組合も管理会社に建物設備管理を任せっきりだと、先行きは行き詰ることが見えている。

●まずは管理組合のコミュニティー形成
マンション管理組合の収益事業は、外部から得た所得には法人税等が課せられる。

毎年、確定申告書を作成して税務署への提出する必要がある。

一般的に税理士などに依頼しており、その場合は費用が支払うこととなる。

収益事業が年額30万円程度なら、諸費用を引けば管理組合の手元に残るお金はしれている。

ただ、企業などと違い非営利団体の管理組合の納税に対して費用を差引いて申告している場合は少なく、収入に対して課税されている。

その反面、国や自治体は管理組合の建物維持保全の未実施や修繕積立金不足を懸念し、管理状態を評価する事となる。

単に管理組合単体ではなく、自治体など地域を巻き込んでコミュニティー形成し維持保全する必要がある。

【2020年8月28日】
マンションの共用廊下に置き配
インターネット通販などの利用拡大や宅配業者の再配達問題で、分譲マンションにも課題が降りかかる。

戸建てや賃貸マンションなどでは玄関前に荷物を置いていく置き配が進むが、分譲マンションでは複雑なルールがあるため導入できない場合もある。

分譲マンションは住戸内の専有部分と、共用廊下やエントランスなどは共用部分に分けられている。

共用部分の使用は区分所有者や居住者であっても、勝手には使えない。

マンションの共用廊下は避難通路としての役割もあり、基本的には物を置いてはならないと管理規約・使用細則でも定められている事が多い。

配達物に関しては、まずエントランスに宅配ボックスを設置するのも一つです。

経済産業省と国土交通省の置き配検討階は、“置き配の現状と実施に向けたポイント”として、マンション共用部分の利用について、買主たる住民が、その使用細則等のマンション内のルールに留意して実施する必要がある、とされている。

また、管理組合による総会の普通決議による運用方法に関する合意等を行うのが望ましいとしている。

玄関前は門戸が付いているポーチ内なら可能だが、アルコーブであっても使用不可である。

ただ、管理組合もルール上、一辺倒に置き配を禁止すれば、極論までいくと牛乳配達、傘立て、子供用三輪車、介護用カートも禁止することになる。

あまり厳しいルールを敷くと他の生活も窮屈になるため、居住者全体の利便性を考慮し、ある程度の妥協案は必要かと思う。

【2020年8月28日】
レオパレス21、不良改修進捗
賃貸住宅大手のレオパレス21は、賃貸アパートの施工不良物件の改修計画を示した。

国土交通省からの指示を踏まえ、施工不良により入居者募集を保留している空室を中心に、2020年12月末までに2000戸程度を改修完了させる予定。

ただ、経営悪化により人員削減などリストラを実施した事で、改修工事の担当者も不足する可能性もあり工事進捗に懸念は残る。

【2020年8月29日】
アメリカで賃貸マンション
高松コンストラクショングループは、アメリカのカリフォルニア州に富裕層向け賃貸マンションを手掛ける。

高松コンストラクショングループがアメリカでマンション開発するのは初めてで、総事業費は100億円規模となる。

アメリカのマンション市場は拡大しており、現地に適した建設工法を取得する。

カリフォルニア州の高級リゾート地のラグーナニゲルに、2022年11月に賃貸マンションを建設予定。

この地にはIT(情報技術)企業のサテライトオフィスが集積しており富裕層のニーズがある。

高松コンストラクショングループはニューヨークでマンション2棟を取得していたが、建設から手掛けるマンション開発は初めてで、海外でのノウハウの取得を目指す。

【2020年8月29日】
9月
百貨店跡地、マンション開発
2020年8月31日、滋賀県大津市の西武百貨店が44年の歴史に幕を閉じた。

跡地はすでに土地と建物を所有する長谷工コーポレーションがすぐに建物を解体着手し、2024年に大規模マンションを完成させる。

分譲マンション計画は、本館敷地の1万2900u(3902坪)に総戸数700戸、駐車場敷地の6700u(2026坪)に総戸数400戸を予定している。

今後、事業主は複数の不動産会社による共同事業になる予定。

周辺環境は、西武鉄道の創業者出生の地として西武グループやセゾングループが開発をした経緯があり、バブル期には西洋環境開発が分譲マンションを手掛けるなど生活はしやすい。

【2020年9月1日】
はじめて賃貸マンション
就職や大学入学で親元を離れて一人暮らしをするとき、何をするにも初めてで不安も多い。

昔は住みたい街の不動産屋に行って要望を伝え、2件〜3件程度を案内してもらい、気に入った住戸があれば申込をして、後日、契約してカギを受取りました。

今ではインターネットである程度の情報収集して、気に入った住戸に目星をつけて仲介する不動産屋に物件案内してもらい、後は契約までの流れとなります。

思いもよらないのが家を借りる時の費用です。

家賃だけ支払えば家は借りらるわけではありません。

契約するまでは基本は無料ですが、気に入った住戸があり申込をしませ重要事項説明を受けて賃貸借契約を締結します。

そこから様々な費用が掛かる事の説明もあります。

まず、契約時に必要な費用は下記の通りになります。

@:家賃2ヶ月分・・・契約日によっては日割の場合もあり、入居月と翌月分を支払ます。
A:敷金・・・基本、契約解除後に戻ってきます。 関西では保証金。
B:礼金・・・大家への差入金で戻ってきません。 関西では敷引き。
C:仲介手数料・・・不動産屋に支払う手数料で、家賃の半月分+消費税。 1ヶ月分を請求する不動産屋もあるが、基本的には宅建業法違反になるので、支払拒否でも問題はない。
D:連帯保証金・・・親が契約上の連帯保証人になれば不要だが、身寄りがない場合は保証会社に申込をする。
E:火災保険・・・火事や住戸漏水などの保険、期間は2年間で、更新はハガキ1枚で通知の場合があり、手続きを忘れるので注意が必要。
F:カギ交換費・・・賃貸マンション管理上、カギは交換するため請求されない場合もある。 契約上必要ある費用ではないため請求する不動産屋は要注意。
G:消毒費・・・害虫駆除や除菌などの項目で費用請求する場合があるが、これもカギ交換同様、請求する不動産屋は要注意。

賃貸借契約後、カギの受渡しが終われば、その時から住戸を利用する事ができます。

入居後の費用は下記の通りになります。

@:家賃・・・1ヶ月分を口座振替などで支払。
A:共益費・・・名称が管理費もあり、家賃込みの場合もある。
B:水道費・・・家賃と共に請求が来る場合もあり、家族世帯なら実費精算、単身世帯なら2000円程度の固定もある。 マンションにより自治体が別で請求もある。
C:光熱費・・・電気とガスは個別契約で、各会社に支払う。
D:ネット費・・・常設のインターネット通信が導入されている建物では接続費があり、その場合はプロバイダーのしばりもある。
E:更新費・・・1年や2年に1度、契約更新があり、基本は家賃1ヶ月分で、更新費がない地域もある。
F:設備修繕・・・電球や水栓漏水など日常的な修繕や住人負担です。 住戸に附帯されるエアコンや給湯器の故障、原因不明の水回り設備の漏水は大家負担。

そして、賃貸借契約を解除し、住戸を退去する場合です。

最低でも退去日の1ヶ月前までには管理会社に連絡を入れ、所定の解約通知書を送付します。

解約に関しては月中でも日割は認められず、家賃は1ヶ月分支払うので、月末に退去する場合が多いです。

退去日までに家具類などをすべて持ち出し、立会日で管理会社の担当者が住戸内を確認にきます。

ここで問題となるのが、内装の汚損による原状回復費用の負担です。

基本的に壁紙(クロス)の汚れなど日常生活で付く汚損に関しては費用負担はありません。

ただし、窓ガラスの割れやフローリングのキズなど不注意等の破損に関しては借主の負担になります。

修繕費用については敷金の範囲内であれば請求されませんが、それ以上になれば、不足分を追加請求されます。

賃貸は購入より簡単に住戸に住む事ができますが、その分、専門性が薄くトラブルも多く発生しているので、きちんと不動産知識の豊富な不動産屋に依頼するのがいいでしょう。

【2020年9月2日】
中古賃貸マンション1棟の売買税負担
中古マンション転売業者の消費税の課税に関する税務処理について東京地方裁判所は、東京国税局の課税処分を取消す判決を言い渡した。

不動産会社のエーディーワークスは、中古の賃貸マンション1棟を購入し、大規模修繕工事を実施してバリューアップを図り、収益を見込める投資用不動産として販売する事業を手掛ける。

賃貸マンション1棟の売買時にかかる消費税の税務処理を巡り、5億3000万円の課税処分を受け、取消を求めていた。

消費税は、販売時に受取った税から、仕入時に支払った税を差引いて申告し納税する“仕入税額控除”の制度がある。

控除できる金額の計算には詳細な規定があるが、中古マンション1棟の仕入目的が、買主の投資家への販売なのか、そのまま所有し家賃収入を得る目的もあるのかが、最大の焦点となった。

エーディーワークスは販売目的の仕入であり、仕入時の消費税を全額差引く事ができると主張していた。

東京国税局は販売までの期間に賃貸マンションの居住者から家賃を受取っており、家賃収入も事業目的の一つであり、全額を差引く処理は適正ではないとエーディーワークスに申告漏れを指摘した。

東京地方裁判所の判決は、仕入目的の不動産を売却する事業であり、現居住者からの賃料収入は不可避的に生じる副産物として位置づけられるとした。

賃貸マンション1棟の賃料収入が見込まれるのかといって、全額差引けるわけではないとする東京国税局の判断は、相当性を欠くと結論つけた。

賃貸マンション1棟売買での消費税課税方法は、いままでに同様の課税処分を行われており、この判決が確定すれば、不服申立てが相次ぐ可能性がある。

【2020年9月3日】
賃貸アパートの信託活用
地主の高齢化と共に賃貸アパートの相続を考える必要があります。

賃貸アパートという不動産も、遺言等がない相続となれば相続人全員の共有になります。

賃貸アパートが共有の所有権を持つ大家が複数人いると、居住者が決まり賃貸借契約を締結するにも契約書に共有所有者全員の署名押印が必要になります。

管理業務も実施する場合、過半数以上の同意が必要だったり、大規模修繕工事など多額費用が掛かる場合は全員の同意を取っておいた方がいいなど、所有者が多いほど手間と面倒が掛かります。

賃貸アパートを相続する場合、一般的に1人に任せて、他の相続人は現金などを分配するなどスムーズに事が運ぶ方法を選択します。

ただ、現金が少なく遺産分割協議が整わないなどの問題も多いため、賃貸アパートの信託活用もあります。

信託は、不動産所有者の委託者から管理業務を請負う受託者に財産を託します。

信頼できる信託銀行や不動産業者に不動産や金銭を託し、所有者の意思や要望に沿って信託財産を運用や管理をしてもらう制度です。

信託は身内同士でも可能で、賃貸アパートの信託について所有者の親が委託者で、子供が受託者として管理処分権を持ってもらいます。

この時、法務局で信託登記をし、賃貸アパートは所有者の親の相続財産から外します。

子供は賃貸アパートを管理運営し、親が存命のうちは賃料は親に入るようにします。

賃料収入を、そのまま子供が得ると、逆に所有権を持つ親からの贈与とみなされます。

親が亡くなり相続が発生し、賃貸アパートが複数の相続人の共有所有権になったとしても、管理処分権を持つ子供がそのまま賃貸アパートを管理運営し続ける事はできます。

賃料収入の総合計を複数の相続人に平等に分配すれば、当面は問題ありません。

こうすれば相続分を受取れない遺留分の争いもありません。

ただし、信託の受託者を子供にする場合、その子供には不動産やアパート管理、関連法律等の知識や経験が必要になるため、素人が受けるにはハードルは高いと言えます。

【2020年9月4日】
野村不動産、レンタル収納
野村不動産は手掛けた分譲マンションや戸建て住宅の居住者向けに、荷物保管からレンタル、処分までを手掛けるサービスを展開する。

自宅収納スペースが狭く足りない人は多く、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、在宅勤務での仕事で居室を利用するため、荷物保管の需要が高まる。

東京都千代田区にある収納事業のエアトランクと提携してサービスを提供する。

料金は預ける荷物の大きさにより異なり、月額4850円〜9900円など。

スマートフォンのアプリで荷物の預入や取出を依頼すると、無料で集荷や配送をしてもらえ、衣類や布団はクリーニングに出す事もできる。

預けている荷物が不要になれば買取や処分も依頼でき、サービス利用者間では無料譲渡もでき、レジャー用品をレンタルする事もできる。

レンタルは7日間で配送代込で一律20000円とし、不用品処分やクリーニングは別途かかる。

野村不動産は新築住宅や管理する分譲マンションなどに導入する。

【2020年9月9日】
賃貸アパートの家族信託
高齢の親が賃貸アパート経営をしている場合、2つの悩みがある。

1つは相続、もう1つが親が認知症になる事です。

もし大家が認知症になった場合、賃貸アパート経営で収益性を改善するための大規模修繕工事やリフォームなどの支出をするためのお金引出しや、高額資金の借入もできません。

認知症が発症したら成年後見制度を利用し、認知症の親の財産管理は後見人がします。

ただ、後見人は財産管理を不備不正が無いように重きを置き、資産運営や収益拡大までは関与しません。

このため、賃貸アパートを後々に子供に相続させるなら、親が元気なうちに家族信託の制度を利用する手もあります。

家族信託は親子といえども契約を締結します。

親は財産を託す委託者、子供は託された財産を管理する受託者、信託財産の利益を受けるのは受益者で構成されます。

注意するのは、賃貸アパートの賃料などを受取る受益者は親にする事で、仮に子供にすると贈与税がかかります。

また、子供と言えども受託者になれば信託報酬を受取る事もできます。

親が元気なうちは自分で賃貸アパート経営をしたい場合も、家族信託契約書に停止条件を付けて『委託者(親)が認知症の診断がさてから契約の効力が生じる。』などとする事も可能です。

家族信託契約書は、公証役場で公正証書にします。

賃貸アパート用の預貯金は金融機関に信託口として口座を開設し管理し、受託者の財産と分別管理します。

諸費用としては、信託財産額による専門家への相談料、契約書作成の公正証書、信託の不動産登記の登録免許税、司法書士に依頼する報酬などが掛かってきます。

家族信託の受託者が子供の場合、その子供が万が一の事があり相続になればトラブルも考えられるため、契約書に受託者は別の子供が引継ぐ事を明記する事はできます。

【2020年9月9日】
大阪特区民泊、苦境鮮明
国家戦略特区民泊を実施する大阪市では、2020年2月〜8月までに大阪市内の民泊施設3000室超の廃止届出があった。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、インバウンド需要が瞬間蒸発し、民泊経営環境の悪化は増すばかり。

民泊運営会社は、施設を一時的に家具付き短期賃貸住宅などに転用して対応している。

大阪市は2016年に国家戦略特区法に基づく特区民泊制度をはじめた。

大阪をはじめとした関西は観光地が多くインバウンドに人気があり、全国の特区民泊施設の9割を大阪市が占め、部屋数は2019年12月で1万1000室に達していた。

そこにコロナ危機が発生し、インバウンドが瞬間蒸発し、2020年2月〜8月までに特区民泊施設3059室が廃止届出を提出している。

地下鉄運営の大阪メトロも2019年に大阪市浪速区のマンションを20億円で購入し、2021年2月に72室の特区民泊を開業する予定だった。

ただ、この状況化で、民泊需要は見込めないため、通常の賃貸住宅を含め転用を検討する。

民泊宿泊施設運営会社のGRApP(グラップ)は、大阪市内の60施設のうち8割を月額2500円〜7000円で貸す短期賃貸物件として併用する。

民泊運営会社のFURUEL(フルエル)は、全9棟の民泊施設を家具・家電付きの賃貸物件に切替え、すべて成約に至ったが、民泊登録はそのままにしておく。

大阪市では、民泊届出のまま賃貸に転用したり併用すれば長期宿泊サービスとみなされ制限はない。

東京都渋谷区にある短期賃貸仲介サイト運営のNOW ROOM(ナウルーム)では、2020年5月〜8月に民泊からマンスリー賃貸に用途変更した部屋は、大阪と京都で1100件が見られたという。

グランドゥースはテレワークプランとして、大阪市西成区のマンション1室をソファとデスクを設置して改装し、仕事する人向けに貸出す。

関西圏で800室の民泊施設を運営していたが、4割の部屋を解約し、残った部屋を民泊と他業種で活用する。

民泊事業者で組織する一般社団法人・日本民泊協会は、コロナ危機後、民泊からの用途変更は増加し、民泊施設もウイルス感染対策を講じる必要があるとしている。

《民泊のはじまり》
日本では、2016年に国家戦略特区法に基づく特区民泊、2018年に住宅宿泊事業法(民泊法)が始まった。

大阪市などの特区民泊は、民泊法の年180日営業上限などはない。

民泊法の届出住宅数は、2020年8月で全国2万件、そのうち大阪市内は2227件。

民泊施設は、簡易宿所のゲストハウスや旅館業法の宿泊施設とは異なる。

【2020年9月11日】
住まいのミュージアム
建設不動産関連の企業や団体が住まいのあり方、防災や維持管理などの住居を展示する住宅のミュージアムを展開している。

モデルルームや住宅展示場とは違い、家の歴史や変遷から最新技術まで体験できる。

パナソニックは東京都港区にTOKYOリノベーションミュージアムを2019年4月にオープンした。

中古マンションを購入しリノベーションする人が増加し、その工事などの流れを学ぶ事ができる。

リノベーションをイメージしやすいよう、“都市のスモールオフィスホームオフィス(SOHO)”“4つのリビングがある家”“一戸建てのような庭のある家”のコンセプト住居を提示する。

75uのマンション住戸を改装した事例として1/10の模型を展示し、2種類のモデルルームも見学できる。

東京都多摩市に分譲マンションに特化した長谷工マンションミュージアムもあり、マンション建設大手会社の長谷工コーポレーションが2018年に開設した。

集合住宅の変遷や、施工現場などの実物模型、マンション建設に使用する鉄筋などの建材も展示している。

開発から完成までの工事の流れを紹介し、マンション施工の流れが分かる。

建物の基礎を支える杭を打込む工事などは仮想現実(VR)で体感できる。

実際のマンション管理組合の居住者も見学に来て、震災の歴史、建物構造の進化、防災マンションなどの動画やパネルで解説するマンション防災展を見て参考にしている。

建物の大規模修繕工事の事前知識も得られる。

今後は、台風や地震などの自然災害が増加するため、防災学習拠点として活用する予定。

東日本大震災などを経てマンション住民の共助を提案するなどし、消防署の協力を得て住まいの防災減災を学ぶイベントを開催予定。

日本の集合住宅や団地開発の基礎を築いた都市再生機構(UR)は、東京都八王子市に集合住宅歴史館を開設する。

歴史的に価値の高い集合住宅を移築し復元し、工法・部材・部品・設備機器の歴史と変遷を展示する施設。

“集合住宅歴史展示棟”は、各時代の最先端の集合住宅を復元し、関東大震災の復興住宅として建てられた同潤会代官山アパートや、建築家の前川國男氏が設計し1958年に竣工した晴海高層アパートなどの居室が復元されている。

遮音性能の実験施設、間取りを変更しやすい設備機器の配置も展示しており専門性が高く、職人など建設不動産関係者の見学が多いという。

この施設は2022年頃に東京都北区の旧赤羽台団地に移転予定。

【2020年9月14日】
投資用分譲マンション、賃料最高値
2020年8月の投資用分譲マンションの平均募集賃料は、首都圏が1uあたり3118円と上昇し過去最高値となった。

築浅物件の比率が高まり、都心部を中心に賃貸借が堅調で、東京都区部や主要都市が上昇している。

東京都区部は3862円、横浜市は2539円、さいたま市は1916円、千葉市は1590円。

近畿圏は1986円で、大阪市や神戸市が上昇している。

中部圏は1744円で下落した。

【2020年9月17日】
首都圏、新築マンション発売減少
2020年8月の首都圏の新築マンション発売戸数は1669戸と減少している。

前年同期には、東京五輪の選手村を活用する大型物件の発売があった反動とみる。

【2020年9月18日】
近畿圏、新築マンション発売増加
2020年8月の近畿圏の新築マンション発売戸数は1617戸と増加した。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、販売自粛していた物件が再開された。

契約率は78.2%と分岐点の70%を上回り、投資用物件の引合いが強い。

1住戸あたりの販売価格は3492万円で上昇し、建設コストは上がっている。

大阪市の発売戸数は734戸と減少し、前年同月に投資物件が多数供給された反動があった。

【2020年9月18日】
顔認証導入、賃貸マンション
マンション開発販売を手掛けるプロパティエージェントは、住戸のカギとして顔認証技術を導入した賃貸マンションを建設する。

基本的に、居住者はカギを所有せずエントランスのオートロック解除や宅配ボックスの解錠、各住戸のカギ開閉など顔認証で行う。

今後、手掛ける賃貸マンションに顔認証を導入する予定。

【2020年9月19日】
尼崎市、駅前マンションで人口増加策
大阪市と神戸市に挟まれた工業都市の尼崎市の人口減少に歯止めが掛かっている。

犯罪や公害など治安の悪さのイメージを払拭する取組みが実を結んでいる。

駅前再開発など大型マンションによるファミリー層の流入も後押ししている。

大阪市に隣接する尼崎市は、交通便もよく家賃なども安いため若年層が住み始めていたが、高齢者やファミリー層はイメージが悪いため流出が続き、人口はピーク時の50万人から45万人まで減少していた。

2021年4月には電子地域通貨の“あま咲きコイン”を導入し、生活習慣病予防健診の受診、照明器具の発光ダイオード(LED)化、清掃など健康増進や環境保全への活動参加にポイントを付与し、尼崎市内で1ポイント1円で使えるようにする。

2013年に閉鎖された森永製菓工場跡地を野村不動産などが分譲マンションなどの“ZUTTO CITY”(ズットシティ)として開発した。

JR塚口駅前の8haの敷地に、分譲マンションと戸建て住宅の合計1200戸と、商業施設や緑化などを整備した。

尼崎市は2015年に“尼崎版スマートコミュニティ”に認定し、夏冬の電力需要のピーク時に節電依頼を受けた居住者が自宅を離れ、駅周辺店舗で買い物すれば通常の2倍のポイントを付与される。

ただ、尼崎市内でこのような大規模再開発地区は少なく、そこで個別のマンションを対象に、環境に優しく経済の活性化に寄与する物件を認定する事業を2020年に始めた。

2020年の“住みたい自治体ランキング”では、尼崎市は19位となり、ここ3年で順位を16上げている。

●各自治体の人口減少対策
尼崎市と同様に阪神間や周辺自治体も人口減少の対応を迫られている。

西宮市は西宮北口駅周辺の再開発を進め、2000年に人口43万人だったが5万人ほど増加した。

明石市は子育て世帯支援を充実しファミリー層が増加している。

神戸市は郊外ニュータウンの過疎化で、空き家の利用促進などを講じて世代交代を進める。

中心部のタワーマンション立地制限で過度な人口集中を避け、郊外拠点駅を中心とした開発で人の流れを変える。

阪神間は、良好な環境や整然とした街並みからファミリー層に支持されているが、増加する空き家対策などから新たな住宅街区を造成する必要性が問われている。

大阪市など職住近接の住宅供給が増加しており、地域の競争は激しさを増す。

ただ、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、都市部での生活がリスクとなり、郊外が注目されている。

自然災害など安全安心を兼ね備えた街づくりが問われている。

【2020年9月19日】
中古マンションの価格動向
2013年以降、東京都区部の中古マンション価格は上昇し続けてきた。

ただ、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、世界経済が麻痺する中で中古マンション価格が好調で推移するかは不明となっている。

東京都区部の2020年1月〜7月までの中古マンション価格は、4月と5月で取引件数が大幅減少しているが、価格自体はそれほど値下がりしている訳ではない。

東日本不動産流通機構に登録された2013年8月以降、東京都区部の中古マンション成約データ10万件を調査し、2020年7月までの価格推移を所在区や最寄駅からの距離、築年数、所在階などを分けて分析したところ、所在区と最寄駅について特徴がある事が判明した。

所在区は、2013年以降、千代田区、港区、渋谷区は価格が上昇傾向だったが、それ以外は2015年から横ばいになっている。

価格が上昇しているが、所在区により価格上昇幅に差がでている。

最寄駅の距離は、徒歩時間が1分(80m)長くなると単価がどれだけ変化するのかでは、2014年までは1uあたり9000円(29000円/坪)下落していたが、近年では1万4000円(46000円/坪)下落した。

駅近と郊外での物件価格差が広がっている。

近年では同じ地域では同じような価格帯になる中古マンション価格ではなく、地域性はもちろん利便性なども考慮される。

そして、2022年に導入される分譲マンションの格付けで、管理状態も付加されるため個別物件の価格になると予測されています。

【2020年9月19日】
中古マンション価格
2020年8月の中古マンション平均希望売出価格は70u(21坪)換算で、東京都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、文京区)で8506万円(405万円/坪)で上昇した。

特に千代田区や港区などの高額物件が出てきており、2002年の集計開始以来の最高値を更新した。

東京都区部は5768万円(274万円/坪)、東京都は5154万円(245万円/坪)と共に上昇した。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、中古マンション流通物件数が少なくなっているが、都心部で需要が底堅いのと投資家の換金売も出ており平均希望売出価格を押し上げている。

特に価格水準の高い東京都の流通が減り、全物件割合が縮小し、神奈川県や千葉県は下落し、そのため首都圏は3678万円(175万円/坪)となった。

近畿圏は2461万円(117万円/坪)で上昇、中部圏は1957万円(93万円/坪)と上昇した。

【2020年9月24日】
分譲マンションの住戸間の漏水保険
集合住宅の分譲マンションは、基本的に上下両横に住戸がある構造で、一般的な問題として漏水事故があります。

この場合、下住戸の被害費用は上住戸が加入する火災保険で対応しますが、まれに加入していない所有者もいます。

その救済措置として管理組合が加入するマンション総合保険の個人賠償責任保険を使います。

マンションは車などの事故とは違い、過失割合なるものはありません。

原因箇所が上住戸なら、ほぼ、加害者の上住戸100%、被害者の下住戸0%の過失割合となり、被害者の下住戸は加害者の上住戸に対して100%の賠償請求ができます。

俗に言うもらい事故です。

ちなみに、これら煩わしい示談交渉などの業務は保険会社がします。

ただ、この業務内容もグレーな部分があり、法律上、保険会社はもらい事故の示談交渉はできません。

弁護士法72条に、他人の法律事件に関して、報酬を得る目的で法律事務を取扱ってはならない旨が規定されており、違反者には刑事罰が科さられます。

弁護士以外の者が業務として法律事務を取扱う非弁行為は禁じられています。

マンション住戸間の個人賠償責任保険では、被害者の下住戸が保険会社に直接賠償金を請求できます。

示談交渉の結果、実際に賠償金を支払うのは当の保険会社なので、示談交渉は保険会社自身の法律事務である、との考え方により、1973年に日本弁護士会と日本損害保険協会との間で覚書が締結され、一定の場合に保険会社による示談交渉は認められています。

ただ、契約者の一部でもある被害者の下住戸がもらい事故に遭えば、加害者の上住戸に対する損害割合が生じないため、保険会社は損害賠償金を支払う必要がなく、保険会社は事故の当事者でないため、示談交渉をすれば弁護士法に抵触します。

しかし、一般的には保険会社が示談交渉をしており、マンションに関せては免責条項とされている可能性はあります。

また、別の角度の問題として、損害賠償金の振込先が、被害者の下住戸の口座や管理組合の口座ではなく、漏水事故の原状回復工事を実施した管理会社の口座に振込まれる事が見受けられます。

この慣行も不透明な取引として調査する必要はあります。

【2020年9月25日】
レオパレス21、債務超過
レオパレス21は、2020年6月に100億円超の債務超過になった。

賃貸アパートの施工不良問題で経営不振に陥り、自己資本が13億円まで減少している。

施工不良問題のうえ、新型コロナウイルス感染拡大に伴い企業活動が停滞し、賃貸アパートのオーナーから借上げて転貸するサブリースは利用が落ち込んでいる。

2020年5月以降の入居率は、損益分岐点の80%を切る状況が続き、コスト削減のためリストラを実施したが、最終赤字が拡大した。

現預金は2020年3月で605億円あり、当面の運営に支障はないが、ただ、この1年で240億円減少した。

【2020年9月26日】
レオパレス21、債務拡大
レオパレス21は、2020年6月に118億円の債務超過になった。

賃貸アパートの施工不良問題により事業不振や、新型コロナウイルス感染拡大に伴い企業活動が停滞した影響が出た。

【2020年9月28日】
10月
債務超過のレオパレス21、ファンド救済
経営再建中のレオパレス21は、アメリカの投資ファンドのフォートレスインベストメントグループから572億円の支援を受ける。

レオパレス21は、賃貸アパートの施工不良問題で2020年6月に118億円の債務超過に陥ったが、当面の資金不足は解消する。

不動産分野に強みを持つファンドにより、経営を立て直す考え。

フォートレスインベストメントグループはソフトバンクグループに属する。

【2020年10月1日】
レオパレス21、ファンドで再建
レオパレス21は、アメリカの投資ファンドのフォートレスインベストメントグループの資金支援を得て経営再建を目指す。

572億円の支援を受けて118億円の債務超過は解消する見通しだが、ただ、経営不振原因の賃貸アパートの施工不良問題による信頼は回復していない。

さらに、サブリース事業の監視強化や人口減少で賃貸住宅は供給過剰となっており、追い討ちをかけるように新型コロナウイルス感染拡大に伴い企業活動が停滞し、険しい道のりが続く。

フォートレスインベストメントグループはソフトバンクグループに属し、自ら運営する賃貸住宅のビレッジハウスと協業も視野に入れている。

レオパレス21の現預金は2020年6月で420億円あり運転資金は確保しているが、この1年で290億円減少している。

賃貸アパートの施工不良の改修工事として引当金を544億円を確保するが、重荷となっている。

賃貸アパートの利用も低迷しており、問題発覚前の2018年には入居率は90%以上あったが、コロナ危機もあり2020年5月は損益分岐点の80%を切る状況が続いており、8月は78%だった。

レオパレス21などのアパート建設会社は、地主などのオーナーらに対して、相続税軽減を売り文句に賃貸アパート建設を提案してきた。

地主が金融機関からアパートローン融資を受けて建物を建設し、レオパレス21などが全住戸一括借上して、毎月の賃料総額を地主に支払う家賃保証のサブリース事業が主体としている。

ただ、賃貸アパート市場について、人口減少が続く地方などで、需要なくして建設した賃貸アパートは供給過剰となっている面もある。

入居率が低迷すれば、地主に対して家賃保証した金額の賃料支払いは維持できなくなる。

保証家賃の減額交渉や相談なしに、勝手に賃料減額したりしてトラブルが起きている。

シェアハウス運営業者の経営破綻もあり、金融機関によるアパートローン融資の厳格化もされた。

建築ペースは落ち込みは、ピーク時には50万戸近くだったが2019年には33万4509戸と減少している。

アパート建設最大手の大東建託も事業は振るわず、コロナ危機によりサブリース物件の入居募集の営業が停滞している。

レオパレス21はコストカットとして、地主との賃料保証の減額交渉がカギとなる。

全国2万8000人のオーナーから賃貸アパート用地を借り受け、経費圧縮に保証した賃料水準を下げたもらいたいが、交渉内容によりオーナーから反発を招く場合もある。

【2020年10月1日】
ロンドンに賃貸住宅
三菱地所は、イギリスで賃貸住宅開発を手掛ける。

ロンドンに2023年完成予定の25階建ての賃貸マンション開発事業に参画。

ヨーロッパで豊富な実績を持つ投資マネジメント会社と提携する。

持家比率が高いイギリスだが、若年層を中心に賃貸住宅市場拡大が見込まれる。

同時にオフィス開発の拡大にもつなげる。

【2020年10月2日】
不動産協会、理事長談
2020年秋以降、首都圏で発売する新築分譲マンションの事前案内での顧客の反応は、今のところ、販売不調や価格下落の兆しは出ていない。

不動産協会の理事長(三井不動産社長)は、首都圏の新築マンション販売の先行きに自信を見せる。

ただし、景気や時勢の悪化により状況が一変する事はある。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、企業業績が悪化すれば高価格帯の首都圏マンションの販売計画に狂いが生じる恐れがある。

【2020年10月9日】
レオパレス21、債務超過解消
経営再建中のレオパレス21が、アメリカの投資ファンドのフォートレスインベストメントグループから572億円の支援を受け、当面は債務超過解消に道筋を付ける。

レオパレス21の物件オーナーが抱える借入金は総額2兆円規模あり、融資元も地方銀行が多く、万が一、レオパレス21が経営破綻すれば影響が広範囲に及んでいた。

ただ、フォートレスインベストメントグループの融資条件の金利は原則14.5%と、利息制限法の上限金利の100万円以上は15%に近く、レオパレス21の利払い負担は年40億円強で、年間利益の6割が吹き飛ぶ計算になる。

レオパレス21は思い利払い負担や既存株主利益圧迫を受け入れてまで、フォートレスインベストメントグループに支援を仰がなければならいないほど窮していた。

レオパレス21の賃貸住宅事業はキャッシュフローが安定しており、施工不良物件の改修が完了し、正常に稼働すれば投資妙味が大きい。

ただ、多くのスポンサー候補が辞退したのは、レオパレス21の村上ファンド系投資会社が株を取得していた事と、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、春先の引越シーズンの繁忙が蒸発し賃貸アパート入居率が低迷し、債務超過転落が確実となった。

瀕死状態のレオパレス21を、好条件を引き出し融資したフォートレスインベストメントグループの、今度のかじ取りに注目が集まる。

【2020年10月9日】
レオパレス21、置き配設置
経営再建中のレオパレス21は、運営する賃貸アパートで不在時に住戸前に商品を置く置き配を手掛ける。

置き配向けバッグの“オキッパ”を販売する東京都渋谷区にあるYper(イーパー)と連携する。

ネット通販が拡大する中、非対面・非接触を避ける設備を設置し、アパート入居へのサービスを高める。

【2020年10月13日】
マンション開発ファンド
不動産投資型クラウドファンディング事業を手掛ける東京都渋谷区にあるファンタステクノロジーは、マンション開発ファンドを組成する。

ファンドへの劣後出資割合を5割以上に高め、投資家のリスクを軽減する。

劣後出資は不動産価値が下落した時にファンタステクノロジーが損失を先に被り、投資家の元本を一定割合守る仕組み。

一般には劣後出資割合が2割〜3割のケースが多いが、マンション開発ファンドでは5割以上にして、投資家のリスクを減らす。

【2020年10月15日】
投資用分譲マンション、賃料高値
2020年9月の投資用分譲マンションの平均募集賃料は、首都圏で1uあたり3143円で上昇し、過去最高を更新している。

都市部の賃貸需要が底堅い。

東京都は下落しているが賃料水準と物件比率が高く平均を押し上げており、神奈川県は上昇している。

横浜市は2549円、千葉市は1611円と共に上昇し、東京都区部は3845円下落した。

【2020年10月16日】
コロナ危機で家賃不払
生活困窮の人の家賃を補助する住居確保給付金の申請が、新型コロナウイルス感染拡大に伴い増加し、2020年4月〜8月で合計11万件弱となった事が厚生労働省の調査で判明した。

支給期間は最長で9ヶ月までで、コロナ危機が長引けば家賃不払の増加が予想され、期間延長の要望が出ている。

住居確保給付金は、もともと離職や廃業などが対象だが、コロナ危機により会社都合の休業に伴う収入減など、雇用情勢の急速な悪化を受けて厚生労働省が2020年4月に要件を緩和した。

勤務先の休業などやむを得ない事情で収入が減った人も対象に含めたため、申請件数が急激に増加し、緊急事態宣言に伴う休業要請が影響している。

住居確保給付金の支給期間は最長9ヶ月のため、コロナ危機の春先に利用した人は冬に期限を迎える。

雇用情勢は悪化しており、生活困窮者が増えている現状から、このままでは家賃不払も増加するため、期間を最長1年間まで延長するよう厚生労働省に要望している。

《住居確保給付金》
失業や廃業した人が、生活困窮に陥らないよう家賃補助する制度。

支給期間は原則3ヶ月で、9ヶ月まで延長できる。

支給額は居住する自治体や世帯人数により異なり、生活保護扶助額が上限で、東京都区部の場合、単身世帯で月額5万3700円、2人世帯で月額6万4000円、3人世帯で月額6万9800円。

世帯ごとの収入と預貯金額を基に基準額を下回っている人が対象で、この基準も自治体により異なる。

東京都区部の場合、収入要件は、単身世帯で月額13万8000円、2人世帯で月額19万4000円、預貯金額要件は、単身世帯で月額50万4000円、2人世帯で月額78万円となっている。

【2020年10月17日】
首都圏、新築マンション発売減少
2020年4〜9月の首都圏の新築マンション発売戸数は8851戸と減少した。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、不動産会社の営業自粛が広がり、1973年の調査以来、同期間が初めて1万戸を下回った。

バブル崩壊後の1992年の1万357戸よりも下回り過去最低水準となった。

ただ、需要は回復基調で、テレワークが普及するなか、郊外や広めの物件にも注目が集まっている。

【2020年10月21日】
近畿圏、新築マンション発売減少
2020年9月の近畿圏の新築マンション発売戸数は1228戸と減少した。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、不動産会社が初回売出を延期した物件があった他、大阪市内の投資用マンションの発売がなかった。

契約率は69.2%で、好不調目安の70%を下回った。

コロナ危機後でもマンション価格は高止まりが続き、消費者は購入を控えている。

近畿圏の1住戸あたりの販売価格は上昇し4693万円と最高値となっている。

大阪市の北区や中央区でタワーマンション建設が相次ぎ、今後も価格上昇は続くとみられる。

【2020年10月21日】
中古マンション価格高値
2020年9月の中古マンションの70u(21坪)あたりの平均希望売出価格は、東京都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、文京区)で8582万円(408万円/坪)で上昇した。

築年数の浅い物件が出回り、2002年の調査以来の最高値で、都心の中古マンション需要が底堅い。

東京都区部は5827万円(227万円/坪)、東京都は5194万円(247万円/坪)と共に上昇している。

売出物件数が少ない一方、購入希望者が増えているため価格上昇を招いている。

首都圏は3723万円(177万円/坪)で上昇し、神奈川県、千葉県、埼玉県の都市部で上昇している。

近畿圏は2471万円(117万円/坪)で上昇、中部圏は1948万円(92万円/坪)で下落した。

【2020年10月23日】
コロナ危機後の賃貸生活
春の新生活に向けて、新しい住居を探す時期がそろそろ来ます。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、賃貸住宅の探し方や契約の仕方が通常と異なる場合があります。

まず、住戸を借りるにはインターネットなどで不動産情報を収集し、気に入った物件があれば取扱う不動産屋に連絡を取り、住戸を見学します。

本来、不動産屋の担当者と一緒に住戸を見に行きますが、蜜を避けるためカギだけ渡され個別に見学に行く事があります。

家賃の目安は、社会人なら給与の2ヶ月分〜3ヶ月分が無理のない家賃となります。

気に入れば不動産屋の事務所で申込をしますが、申込、重要事項説明はネット上、賃貸借契約書は郵送で行う場合もあります。

この時に必要な費用は、家賃2ヶ月分、保証金(敷金、礼金)、仲介手数料、火災保険料、雑費など、総合計で家賃5ヶ月分程度は用意しましょう。

コロナ危機後、在宅勤務も増えているので、部屋の広さや間取りの考慮も必要です。

寝るだけなら1Rでもいいですが、自宅で仕事をするとなると、それなりの広さが必要です。

ネット会議などで部屋内が映るとなると、1K〜1DKくらいは欲しいです。

次に家具類です。

通常ならベッドとゴハンを食べるローテーブル、収納ボードくらいでいいですが、パソコンで仕事をするとなると机とイスも必要になります。

最後に引越です。

1月〜3月の繁忙期は引越業者も忙しく、こちらの都合で日程が組めない場合があります。

あまり新生活ギリギリに設定しようとすると引越自体できなくなる可能性があるので、空家賃を支払っても余裕ある日程がいいでしょう。

【2020年10月24日】
老朽化マンションの管理や建替
築40年超の老朽化マンションが増加しており、建替を円滑にするため、2020年6月に改正マンション建替円滑化法が成立。

この法律により、老朽化マンションの建替が変わってくる。

都市部ではマンションで暮らす居住者が多く、建物の老朽化問題が表面化する。

区分所有権を保有するマンションは、既に所有している区分所有者、またこれから購入する検討者は、老朽化マンションの管理状態や建替について意識した方がいい。

国土交通省によると、築40年超のマンションは、2019年で91万戸、その約20年後の2040年には385万戸に増加する予想。

老朽化マンションは建替が必要になるが、権利関係が複雑なマンションは簡単ではなく、築年数が古くなるほど、区分所有者も高齢化して前に進みにくい。

マンション建替が決定しても2度の引越しが必要になり、工事期間中には外部住宅への仮住まいが必要となり、高齢者には体力的や経済的にも負担が重い。

結果的に、古くてもそのまま住み続ける選択をする高齢の区分所有者が多く、マンション建替が実現しない現状がある。

ただ、老朽化マンションをそのまま放置すれば、管理不能に陥り、空き住戸が増加しゴーストマンション化する事がある。

そのため、老朽化マンション建替を促進するため、2020年6月に改正マンション建替円滑化法が成立し、要除却認定の対象拡大した。

今までは、マンション敷地を売却するには、原則、区分所有者全員の合意が必要となったが、耐震性など建物に問題のあるマンションに限っては、解体(除却)が必要であると認定され、区分所有者の4/5以上の合意があれば売却が可能となり、これが要除却認定である。

ただ、耐震性などに問題がないマンションでも老朽化は進み、改正マンション建替円滑化法では、外壁が剥がれ落ち、周辺に危害が生じる恐れがある場合なども要除却認定の対象となった。

これにより、敷地売却して分配金を受取り、その資金で新しい住宅を購入したりする住替えもしやすくなる。

もう1つ、敷地内に建物が複数建つ団地に関しても、団地における敷地分割制度が新設される。

この制度では、要除却認定を受けた建物を含む団地では、敷地共有者の4/5以上の同意があれば、団地内の敷地を分割する事ができる。

これにより、団地内の一部の敷地を売却したり、一部建物のみを建替る事ができるようになった。

改正マンション建替円滑化法は2年以内の2022年までに施行される予定。

同時に改正マンション管理適正化法も成立。

老朽化マンションが放置されるのを防ぐため、適正管理されているか自治体が評価・認定する制度を2022年までに創設する。

自治体は必要に応じて、管理組合に指導や助言を行う事ができる。

老朽化マンション建替は、区分所有者の安心な暮らしや資産価値を守るだけでなく、地域全体の社会問題に取組む事にもなる。

【2020年10月30日】
大規模修繕工事の先送り、資産価値劣化
実需による住宅は、長期間に渡る修繕計画が重要となる。

ただ、人手不足や建材高騰で修繕工事費用が上昇し、工事資金不足するマンション管理組合が増加している。

資金が足りないからといって、工事を先送りすれば建物劣化が進み資産価値が目減りし続ける可能性もある。

東京都内の築11年の分譲マンションの管理組合では、外壁塗装や屋上防水などの大規模修繕工事を2021年に実施予定。

ただ、管理組合の予算は6000万円を計上しているが、近年の工事費用上昇で修繕積立金総額内で賄えるかどうか不明である。

分譲マンションは区分所有者が維持管理や定期的な修繕などに備え修繕積立金を毎月支払っている。

首都圏の新築マンションの管理費・修繕積立金は2019年で月額2万7000円程度と5年連続で上昇し、10年前に比べ20%近く高くなり、バブル期の1990年代の水準より上回る。

ただ、新築時の調査のため、既存マンションでは建材費や人件費の値上がりを踏まえると、実際の修繕費用はもっと高騰している可能性はある。

管理組合は5年に1度に長期修繕計画を見直し、修繕積立金不足が予測できれば値上げを総会で上程する必要がある。

ただ、反対意見が多かったり、金額が多額だったりすれば、各区分所有者から一時金徴収したり、管理組合で借入する事もある。

修繕工事の問題は分譲マンションだけでなく、戸建て住宅も同様である。

総務省の家計調査によると、2人以上世帯の住居設備修繕・維持の支出は、2019年に平均で10万8000円と、10年前に比べ26%増えている。

分譲マンションの修繕積立金は含まれないため、戸建て住宅のコストも上昇傾向になっている。

戸建て住宅は個人単独で所有しているため、修繕費用を積立る認識は薄く、築10年超では外壁や防水など100万円前後の修繕工事が必要となる。

結婚や子供出産を機に戸建て住宅を購入し、その10年後には子供の教育費が増加する時期に、建物修繕費用が突如発生するため、修繕工事を先送りにする世帯も多い。

分譲マンションであれ、戸建て住宅であれ、管理や修繕工事を放置すれば、その不動産価値は当然に劣化する。

日本の住宅は、築年数が古くなると価値が低下する査定方法も加われば、売却時に100万円単位で損失を被る可能性もある。

分譲マンションに限っては今後、国が住まいの適切な管理や修繕を重視する政策を講じる。

分譲マンションは2020年6月に改正マンション管理適正化法が成立し、自治体が修繕計画や修繕積立の状況などをチェックし、問題点がある物件には指導・助言などをする制度を2022年にも施行する。

管理不全に陥った分譲マンションは、自治体から指導などを受ければ資産価値が下落する可能性が高い。

2015年に空き家炊く際特別措置法を施行し、崩壊などの危険があると判断し空き家は、自治体が行政代執行により取壊しできるようになった。

現在の対象は戸建て住宅が中心で、解体費用は空き家の所有者に請求するが、子供など相続人が老朽化した住宅を相続放棄し、空き家放置状態になれば自治体の税負担も増加する。

分譲マンションの修繕積立金は数年おきに見直し、その都度、総会で値上げの決議するが、築年数が古くなれば区分所有者も高齢化し負担が重くのしかかる。

戸建て住宅も同様で、資金的に余裕がある時期に工事を実施する事が重要。

防水工事などは予防的に実施する方が、費用負担が軽くする場合が多く、修繕工事を放置し雨漏りがし始めてから工事を実施すれば、原因調査や修理に手間と時間が掛かり、室内の漏水被害の原状回復工事も付加される。

定期的に建築士などによる建物の劣化診断のインスペクション(建物状況調査)を利用するのも一案で、工事が必要な箇所や時期などが把握でき、これに基づき計画的に修繕計画を建て工事費用を積立できる。

修繕工事を依頼する業者の選定も重要となり、分譲マンションでは、設計監理方式の設計事務所と施工業者の癒着や、管理業者主導方式の管理会社の不明瞭な工事費など、管理組合が不当に高い大規模修繕工事費用を請求される事が問題となっており、国土交通省が注意喚起している。

2020年9月に住宅金融支援機構がインターネットで、立地や面積などを入力すると、40年間の分譲マンションの修繕工事費や修繕積立金会計収支の試算ができる。

修繕工事では新規参入が多く、業者により工事品質のバラツキがある。

修繕工事の見積書は最低3社の業者から取ったり、信用信頼のおけるコンサルタントや検査会社などに依頼する事も大切。

国は住まいの適切な維持管理を促すため、リフォーム工事などへの補助金や税制特例を用意し、支援対象は、耐震性や省エネルギー性など住宅品質の向上につながるリフォームが中心。

老朽化による雨漏りなどの修繕工事は対象外になるため、個別で修繕工事を貯める習慣を付ける事が重要。

【2020年10月31日】
11月
マンション管理の質をチェック
分譲マンションを購入すれば区分所有者となり、必ず管理組合の組合員となります。

マンションの建物や運営は、当然に財産所有者でもある区分所有者の管理組合が担う事になりますが、一般的にはマンション管理専門業者の管理会社に委託しています。

では、数千万円もする資産購入を失敗しないよう、どのようにチェックすればいいのか。

新築マンションは先買後渡のため、建物や管理実態をチェックする事は不可能ですが、ただ、分譲する事業主や管理会社の他物件を見学したり、近隣地域の住民の質や環境などまでは確認できます。

その点、中古マンションは、ほぼ建物や管理実態をチェックする事ができます。

まず、建物ですが、購入する住戸の室内ばかり目に行きますが、もう一つ、住戸外の共用部分にも目を向ける必要があります。

管理員がいるマンションなら、対応力などを確認する事ができます。

午前中の清掃やゴミ出し以外は、ずっと管理事務所に座っているパソコンなどを見ている管理員はダメです。

マンションの1日の人の出入りなどをまったく意識していないと見られます。

管理事務所内にある防犯カメラ映像で確認していると主張する管理員もいますが、基本的に防犯カメラ映像を確認する権利があるのは管理組合の組合員か理事会の役員のみです。

管理会社の関係者だからと言って、許可無く閲覧する事はできません。

また、パソコンも管理会社の貸与か、管理組合で購入しているもので、使用方法も変わってきます。

管理組合での購入品なら、管理会社の業務のみ使用やプライベートのサイトを閲覧してる可能性があるため、理事会開催時にパソコン内を確認する方がいいでしょう。

当然に管理事務所や集会室などの整理整頓ができているかもチェックし、マンション管理をする上で雑然としていりれば、きちんとした管理ができないと見受けられます。

エントランスロビーや共用廊下、自転車置き場など、夕方に確認するのがいいでしょう。

勤務形態にもよりますが、午前中は清掃に充てられる事が多いので、当然にゴミなどは落ちていませんが、管理員や清掃員がいるのに、午後にゴミが落ちているのは建物巡回をしていない証拠です。

エレベーターカゴ内やゴミ置き場などに、やたらと警告文が貼ってあるマンションも要注意です。

“ゴミ出しルールの徹底”“騒音問題”などは、居住者の質が高くないと見られます。

そのようなマンションを購入し、生活をし始めてから嫌な思いをする可能性があります。

次に、マンションの売買契約をする前に、そのマンションの総会や理事会の議事録を閲覧し、この議事録も過去3年分くらいは確認しましょう。

この議事録を読めば、そのマンションの問題点がほぼ判明します。

管理費の支出や修繕積立金総額、年間の建物修繕履歴、管理費等の滞納者など、必ず記載されています。

この議事録は、基本的に管理会社の担当者(フロント)が作成しているため、その内容の濃度により管理会社や担当者(フロント)のレベルも計る事ができます。

議事録の内容が濃ければ、それだけそのマンションに対して中身の濃い管理をしていますが、あたりさわりのない文言だけなら薄っぺらいと判断できます。

また、管理会社や担当者(フロント)の1人よがりの議案にも確認が必要で、設備修繕の必要性のない議案やマンション管理の意味不明な議案などは要注意です。

長期修繕計画に基づく修繕積立金値上げも、区分所有者の支払能力を無視し、そのまま足りない分を値上げする議案を上程していれば、そこは3流管理会社の素人並み社員と判明する事ができます。

長期修繕計画の作成も管理会社の業務委託契約内で実施されている管理組合もありますが、現地調査を実施して長期修繕計画を作成しているかもチェックします。

竣工図面や設備報告書、過去の大規模修繕工事だけで判断し、長期修繕計画を作成している管理会社もあるため、長期修繕計画に基づき建物と設備の箇所をきちんと質問し回答を求めるとよいでしょう。

その他にも、出納業務の管理費・修繕積立金徴収は当然の事、駐車場代や駐輪場代が契約通りきちんと請求徴収しているか、長期滞納者の遅延損害金を含めた未収金など、様々な確認事項があるため、購入する際もマンション管理士などの専門家に相談するといいでしょう。

【2020年11月7日】
マンション管理員、コロナ危機後の変調
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、分譲マンションの管理員の業務負担が増えている。

外出自粛により在宅する人が増加し、ゴミ量も増え清掃対応も多岐に渡り、住戸間の騒音問題も多発している。

企業と定年した人を雇用していた管理員は、定年延長などにより慢性的な人手不足のなか、管理会社も管理サービスの質も維持する必要に迫られ、居住者や管理組合を含めた対応が求められる。

政府による緊急事態宣言を受けて外出自粛により、大人も子供も自宅に引きこもる事が多くなった。

それにより近隣住戸の騒音も気になりはじめ、管理員に対し苦情の伝達も増えた。

騒音問題は管理会社や理事会により、各住戸に騒音注意喚起文を配布するか、エレベーター内などに掲示するかで問題解決を図る。

マンション居住者のトラブルは、まず管理員に入り、そこから管理会社の担当者(フロント)に通達し、理事会の理事長等に相談や報告の上、解決する。

ただ、居住者の苦情は、直接窓口となる管理員にとって精神的にもかなりの苦痛となっている。

コロナ危機により、管理員業務が拡大した。

一般的に受付、共用廊下などの清掃、建物点検等が主な業務だが、それに加え、エントランスロビーなど換気のための窓開閉、エレベーターの操作ボタンなどの消毒なども求められるようになった。

在宅率が高まりゴミ量も増加し、ゴミ回収指定日のゴミ出しや清掃の業務も割増した。

一番の問題は、高齢者が多い管理員が感染を恐れ、休職や退職を求める事が急増した事。

マンション管理業協会の2020年4月〜5月の調査では、管理会社の管理員雇用について人手不足で難しくなっていると半分程度が回答している。

管理員不足が長引けば、代行管理員を入れるため管理会社のコストが高くなり、管理組合に対してもある態度の対策をお願いする事になる。

千葉県千葉市にある総戸数770戸の稲毛海岸三丁目団地は、4人勤務の管理員を2人にして隔日で休めるようにし、賃金は毎日勤務と同額で抑えた。

理事長は、清掃業務を中心にした配置にした上で、コロナ感染予防の対策をしたと語る。

東京都杉並区にある総戸数90戸の分譲マンションでは、週4回のゴミ出し業務の一部を管理員から理事会役員が担当する事にした。

東京都府中市にある総戸数550戸のリムザでは、ゴミ置場に大型台車を3台購入して、管理員がゴミ運搬しやすいように配慮した。

ただ、管理員に対しての優遇措置は限られ、人手不足解消につながるまでにはいかない。

大和ライフネクストが管理する東京都足立区にある分譲マンションでは、受付業務を無人化し、エントランスに端末を配置して管理受付業務の電子化を図る。

点検業者などへの共用部のカギ受渡しも専用箱で対応する。

大和ライフネクストでは、すべて管理員を含めた管理会社が行う意識を、ある程度、マンションの居住者が自分達の事は自分達でやる意識に変える事を主軸に置く。

マンション管理業務を管理組合主体に置き換えるのは、居住者の高齢化により、管理費・修繕積立金の値上げが難しいなかで、管理会社の業務委託費の値上げを実行しにくい現実があり、管理員のコストも2割〜3割上昇している。

分譲マンションはコロナ危機により、管理組合、居住者、管理会社を含め、もともと横たわっていた問題解決の早めた。

●マンション管理を買う
1970年以降、近所付き合いのないプライバシーが確保されている点が支持され分譲マンションを購入した人が多かった。

購入した区分所有者や居住者は管理費を支払えば、ゴミ出しや設備管理はすべて管理会社に任せ、煩わしい事や面倒な事をしなくていいのが魅力だった。

ただ、高齢化や災害多発で居住者間のコミュニティ形成が求められ、そこに管理員不足も覆いかぶさる。

長谷工管理ホールディングスでは、管理員が近隣の複数棟を巡回して管理組合の管理員費用を抑えるサービスを導入した。

ただ、常駐していない分、居住者が自ら対応や解決する業務も求められるが、導入した管理組合からの理解は得られつつある。

居住者がマンション管理業務に積極的に関与すればコミュニティ形成も向上し、マンション管理の質も向上する事になる。

2022年に始まる分譲マンション格付けに対する、居住者意識にもつながる。

【2020年11月13日】
レオパレス21、赤字収まらず
レオパレス21の2020年4月〜9月の上期損益は175億円の赤字で、171億円の債務超過に陥っている。

アパート入居率が77.46%と過去最低に低迷し、アパート借上して転貸するサブリース事業の低迷が続いている。

アメリカのフォートレスインベストメントグループから270億円の出資を受けたため、債務超過は脱する予定。

ただ、サブリース事業の立て直しや、施工不良物件の改修工事の進捗など不透明な状況は続いている。

【2020年11月14日】
プレサンスコーポレーション、子会社化
戸建て販売会社のオープンハウスは、出資しているプレサンスコーポレーションを子会社化する。

不動産開発連携を強め、元社長が不動産取引で逮捕されたプレサンスコーポレーションの信用回復も担う。

【2020年11月14日】
初めての独り暮らし
若い時分には独り暮らしに憧れるものです。

独り暮らしは、誰でも簡単にできます。

ただ、そこには多少の費用がある事が条件です。

まず、家を借りる際の費用、そして、家を借りてからの費用。

この2つの費用をきちんと支払ができれば、誰でも簡単に家を借りることができます。

初めて独り暮らしを始める人は、一般的に20代前後の若年層が多く、社会的知識も未成熟なまま始める人が多いので、悪徳不動産屋に騙されないためにも、ある程度の予備知識を記載します。

〔仲介手数料〕
住戸を見学に行き、気に入ったら申込をして契約します。

その時に物件紹介してくれた賃貸不動産屋に仲介手数料を支払ますが、問答無用で家賃1ヶ月分+消費税を請求してきたら拒否できます。

宅地建物取引業法では家賃半月分+消費税が上限で、1ヶ月分は法令違反になります。

細かいカラクリは明記しませんが、ほとんどの賃貸不動産屋は1ヶ月分請求しております。

賃貸不動産屋が、どうしても1ヶ月分請求を推してきたら、一度“不動産適正取引推進機構”に相談するとでも言ってみてください。

また、1ヶ月分の支払を拒めば、希望物件の紹介はできないと賃貸不動産屋が言えば、その物件は仲介しているだけで、その賃貸不動産屋の所有物ではないので、その物件資料を持って、他の賃貸不動産屋に行けば基本的には借りる事ができます。

〔不要諸費用〕
申込後、諸費用明細を見て、そこに鍵交換費用や室内消毒費用などが明示されていれば不審に思ってください。

鍵交換費用で2万円程度、室内消毒費用で2万円程度などが記載されていますが、一般的に鍵はストックしてあるシリンダーを使いまわしのため、本当に交換費用を請求するなら新品のシリンダーを要求してください。

室内消毒費用も、一般的に消臭剤などを散布しているだけなので室内の除菌効果は不明で、これも本当に消毒費用を請求するなら消毒と明記している作業を要求してください。

〔ゼロゼロ物件〕
ゼロゼロ物件とは、敷金0円、礼金0円(保証金0円)の事で、賃貸物件を借りる時の諸費用のうち、この2つがあるとないでは金額にかなりの差がでます。

ゼロゼロ物件が増えてきたのはバブル崩壊後の不動産不況で、賃貸住宅も人の移動が滞り、空き室が増加傾向になり、それに伴い家賃の下落する悪循環に陥りました。

そこで、苦境に陥った賃貸住宅の大家が借りやすくするため敷金礼金不要(保証金不要)の物件を手掛けるようになりました。

このような事情の良心的なゼロゼロ物件なら賃借人にとってありがたい話しですが、そのヒントを悪用したゼロゼロ物件も登場しています。

それが施設付鍵利用契約を締結させるゼロゼロ物件です。

賃貸住宅を借りる場合、借主は貸主(大家)と賃貸借契約を締結し、これは民法や借地借家法という法律上でルールが定められいます。

この法の盲点を突いたのが施設付鍵利用契約で、ようはコインロッカーと同じ理屈です。

借主は住宅の様に見える箱物は付属施設で、その箱物に付いているドアの鍵を借りる契約をしています。

巨大なコインロッカーに住んでいると思えばいいでしょう。

ただ、家賃をきちんと支払っている分にはなんの問題もなく、通常の生活ができます。

問題は家賃を滞納した時です。

この場合、一般的な賃貸住宅なら督促など段階を踏んで家賃請求し、すぐに家から追い出す事はしません。

これが施設付鍵利用契約に基づく巨大コインロッカーになると、住宅に関する法律が適用されないため、大家なり、管理会社なりが、すぐに鍵を交換して室内にある荷物も処分する事ができます。

しかも施設付鍵利用契約の支払滞納に対する条文には、滞納違約金(遅延損害金)や家財処分費用などが明記されており、総額で数十万円を請求する事もあるそうです。

これからも分かる通り、初期費用が安いからといってすぐに飛びつくのは若さゆえの過ちであり、“安いものには訳がある”そして“不動産に掘り出しものはナシ”を肝に銘じてください。

それに、賃貸借契約であれ、施設付鍵利用契約であれ、どんな事情であれ家賃を滞納する事自体問題であり、もし、支払が遅れそうなら、その前に賃貸不動産屋の担当者に相談するくらいは一般常識として心得てください。

家賃であれ、管理費であれ、相談なしで滞納するから問題が肥大化します。

【2020年11月14日】
耐震偽装マンションから15年
2005年11月17日、国土交通省は千葉県の建築設計事務所が、東京や千葉のマンションやホテルの合計21棟の耐震性などを示す構造計算書を偽造していたと公表し、不動産や建築業界、行政への信頼を揺るがす事件へと発展した。

相場以下の経済性新築マンションとしてヒューザーが販売し、姉歯1級建築士が構造計算を手掛けていた姉歯事件である。

物件には震度5強の地震で倒壊する恐れがある建物もあり、多くの物件が解体される事となり、100件近い物件の偽造に関与していた姉歯1級建築士などが建築士法違反容疑で逮捕された。

また、偽造を見抜けなかった行政や民間検査機関にも不審が高まり、姉歯事件を受けて国土交通省は建築基準法や建築士法を改正した。

建物の安全性をチェックする建築確認手続を厳格化し、偽造した建築士への罰則を強化した。

2013年には建築確認時に建築士の免許原本での確認を義務付けるなど、再発防止の取組を進めた。

【2020年11月16日】
エアビーアンドビー、業績黒字化
民泊仲介大手のエアビーアンドビー(Airbnb)の2020年7月〜9月の損益が黒字転換した。

エアビーアンドビー(Airbnb)は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い業績が悪化したが、アメリカで新規株式公開(IPO)を予定しており、コスト構造の見直しをしている。

エアビーアンドビー(Airbnb)は2020の国や地域で、空室の所有者と旅行者等の宿泊をつなげる事業を展開する。

世界的にネットを活用した旅行が旺盛となり、宿泊先として民泊施設がニーズが拡大し続けていたが、コロナ危機により状況は一変した。

エアビーアンドビー(Airbnb)は社員の25%にあたる1900人を削減し、コスト構造を見直しリストラを実行し収支の黒字を確保した。

ただ、本業の民泊施設の需要は、世界中で旅行需要が瞬間蒸発したままで、旅行業種以外で収益を確保する必要がある。

【2020年11月18日】
投資用分譲マンション、賃料上昇
2020年10月の投資用分譲マンションの平均募集賃料は、首都圏で1uあたり3163円で上昇し、過去最高価額を更新している。

都市部で賃貸需要が底堅く、賃料水準の高い東京都の物件比率も拡大し、全体を底上げている。

東京都は3698円、神奈川県は2380円と上昇し、横浜市や川崎市で価格上昇が目立つ。

近畿圏は1945円で上昇し、大阪府が上昇しているが、兵庫県は下落した。

中部圏は1732円で上昇した。

【2020年11月18日】
首都圏、新築マンション発売増加
2020年10月の首都圏の新築マンション発売戸数は3358戸と増加した。

昨年、関東地方を襲った台風19号の影響で大幅減少した反動もあるが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、郊外物件を検討するファミリー層が新築住宅を探す動きが高まっている。

首都圏全域で発売戸数が増加し、1住戸あたりの価格は6130戸と前年同月より138万円上昇した。

消費者購入割合の契約率は70.4%と7割強となった。

郊外物件が好調で、埼玉県が3倍超、神奈川県が2割増しとなった。

契約率は埼玉県と千葉県で8割を超えており、モデルルーム見学する顧客の購入意識は高い。

【2020年11月20日】
近畿圏、新築マンション発売増加
2020年10月の近畿圏の新築マンション発売戸数は1415戸と増加した。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、発売延期していた物件が秋の商戦で供給され始めた。

ただ、契約率は58%と好不調目安の70%を大幅に下回った。

大阪市中央区の堺筋本町で建設中のシティタワー大阪本町は発売戸数は増やしたが、契約率は上がっていない。

大阪市の契約率も45.5%と低迷している。

一方、大阪市以外の大阪府の契約率は78.3%と好調を維持し、在宅勤務が拡大し、郊外で広い間取りの住戸を探す動きがトレンドとなっている。

今後は投資用マンションの発売戸数が減少する模様で、引越自粛で賃貸借が多い投資用マンションは賃借人が入りにくい状態となっている。

近畿圏の分譲マンションは、大規模物件の発売が予定されるが、全体の戸数では減少している。

【2020年11月20日】
長谷工コーポレーション、ITマンション
マンション建設会社の長谷工コーポレーションは、建物が各種センサーで情報を集める電脳マンションを開発した。

気象や室内環境のデータから補修時期を判断し、居住者の生活パターンから必要設備追加を提案する。

マンション建設し管理するだけでなく、データ蓄積拠点として建物完成後も付加価値追加するビジネスモデルに転換する。

東京都板橋区にある学生向けマンションのフィールアイレジデンスは、居住者がエントランスに入ると顔認証カメラが居住者を識別判定しオートロックドアが開く。

壁面モニターには宅配ロッカーの荷受など居住者情報が表示される。

エレベーターは階ボタンを押さなくても自動設定で居住階に止まる。

屋上には気象センサーを設置し、ピンポイントの温度や湿度を居住者に伝える。

地震センサーが揺れを感知すると、離れて住む家族に通知送信され、食糧備蓄倉庫の扉のカギが自動解除される。

高機能設備を売りに家賃は近隣相場より月額1万円ほど高く設定している。

これらはデジタルサービスのLIM(リビングインフォメーションモデリング)として長谷工コーポレーションが今後、デジタルビジネスの主軸に置く。

建設業界は、建物を建設して引渡して終わる時代ではなく、竣工後も管理して建物の情報一括集約して、新サービスや業務改善、付加価値設備を追加する。

居住者生活サービスや縦紋の管理・修繕、そして次物件の設計までデータを反映させる。

ドアにセンサー設置して居住者の開閉回数をカウントすれば、各住戸によりドア劣化頻度がどう変わるのか検証できる。

気象センサーは海に近いマンションでは、建物に潮風があたれば外壁がどれだけ損傷するか判別できる。

建物の修繕工事は、国土交通省のガイドラインに従い一律基準で補修し、立地や物件により劣化頻度にバラツキがあっても一括交換する場合がある。

建物のIT化を進めれば、修繕や建替時期の傾向がつかめ、大規模修繕工事の12年周期も物件により15年〜20年などと引伸ばす事も可能になる。

棟内の居住者行動情報も、入退室の履歴から在宅確率が高い日時に室内点検、低ければ共用部分のエレベーターや断水点検などが実施できる。

2019年度の首都圏の新築マンション発売戸数は27年ぶりに3万戸を割り、首都圏の施工シェア4割の長谷工コーポレーションも受注高が減少し、今後はデジタルサービスのLIM(リビングインフォメーションモデリング)に力を注ぐ。

蓄積データはマンション設計に使うシステムのBIM(ビルディングインフォメーションモデリング)とも連動させる。

3次元(3D)CGで表現するため見た目から構造が判別でき、使用した建材データも登録できる。

長谷工コーポレーションは2020年度からの新規物件はBIM(ビルディングインフォメーションモデリング)で設計している。

建物の修繕時に新しい建材の無線自動識別タグを読み取れば、BIM(ビルディングインフォメーションモデリング)に瞬時反映される。

修繕履歴とマンションの現状環境を示すLIM(リビングインフォメーションモデリング)のデータを照合すれば、条件が似た物件の劣化予測や新規物件設計に活用できる。

物件データ蓄積などサービス事業を手掛ける子会社の長谷工アネシスでは、新規以外の既存物件でも展開して多くの情報集積し、地域別を加味した分析ができるとしている。

新規物件や管理子会社が受託する既存物件4000棟へのLIM(リビングインフォメーションモデリング)導入を進める予定。

2021年9月には東京都北区にコムレジ赤羽を完成予定で、共用廊下など棟内の居住者の導線を人感センサーで把握させる。

その上で、効果的な位置に掲示板を設置したり、子供が集まりやすい所には障害物を設置しないようにする事ができる。

シニア向けマンション、分譲マンション、賃貸マンションなどと物件種別により機能を合せて、将来的には居住者の健康データを医療機関と共有して健康管理に活かせるようにする。

長谷工コーポレーションは、マンションを建設し引渡して完了の完結型ビジネス。

高齢化や在宅勤務が拡大すればマンションで時間を過ごす人が増加し、その棟内データを蓄積して新サービスにつなげるデジタルビジネスに転換する。

ただ、新築マンションなら建設中から付帯設備として設置できるが、既存の分譲マンションでは付帯設備を後付設置するには管理組合の総会で承認を取る必要がある。

専有部分の住戸内データを外部に蓄積する設備設置だと、区分所有者全員の合意が必要となる。

また、外部サーバーでデータ管理するためサイバー攻撃による情報流出も懸念されるため、導入には高いハードルが待っている。

【2020年11月26日】
中古マンション価格、上下拮抗
東京都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、文京区)の2020年10月の中古マンションの平均希望売出価格は70u(21坪)あたり8546万円(406万円/坪)となり下落した。

港区と新宿区の売出物件の平均築年数が古くなり、平均値を押し下げた。

東京23区は5855万円(278万円/坪)で上昇し目黒区や品川区の城南・城西6区の中古マンションに人気が集まり好調で、東京都は5243万円(249万円/坪)で上昇した。

首都圏は物件数が多い東京都の影響で3744万円(178万円/坪)と上昇している。

【2020年11月27日】
12月
新築マンション、価格横ばい
東京都区部の新築マンションの価格と賃料が、2020年から5年間、横ばいか多少の上昇との予想。

新規物件供給が少なく、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済停滞している影響は小さいとしている。

専有面積40u〜80u未満の新築マンションの価格と投資用の賃料を対象にした調査で、2025年までを予測している。

2020年のマンション価格は1uあたり107万1000円(354万円/坪)で2019年から横ばい。

首都圏の新築マンション発売戸数が2020年4月〜9月は1万戸を割り込み供給が急減している。

コロナ危機後も投資家など購買力は落ち込みはなく、供給が少ないぶん価格も下がりにくい。

2021年は需要が戻る見込みで1uあたり107万4000円(355万円/坪)、2022年は経済回復を見込みで1uあたり108万1000円(357万円/坪)に多少上昇すると予測。

2023年は横ばいで、2024年に下落、2025年は1uあたり107万円前後(353万円/坪)で推移すると見ている。

月額賃料は2020年は1uあたり3441円で横ばい、2022年以降は雇用情勢が弱く1uあたり3430円に下落、2024年頃から上昇すると見込んでいる。

【2020年12月3日】
中国、地方でマンション在庫増加
中国のマンション市場で在庫増加しており、合計床面積は5億u超で高水準となっている。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、経済悪化により地方での販売が伸び悩み、在庫圧縮のため値下げする物件もある。

不動産バブルで旺盛な大都市とは乖離した地方経済に影響される売れ残ったマンション群。

2020年10月末で売残物件(クリアランス)の床面積は5億223万uで増加傾向にあり、2016年以来の高水準。

販売不振の大きい地区の自治体では、不動産会社の値引き販売などを推奨し、在庫圧縮するため限定措置の通知を出している。

マンション開発業者への土地販売収入が税収入源となる地方自治体が、税収減少につながる値下げを容認するのは異例。

地方の自治体では、不動産会社を集め売行きの悪い不動産市場をテコ入れしたり、会社員や大学生に販売促進する例もある。

販売不振は在庫増加につながり、発売から成約までの期間では2年以上掛かっており、都市平均の9ヶ月を大きく上回る。

要因としては、少子化に加え大都市への流出で人口減少が続く地方の状態があり、そもそも人が居ないところに大量のマンションを建設する供給過多となっている現状がある。

次々と新築マンションが建設され在庫増加に歯止めが掛からず、2020年5月〜10月の半年間の発売物件の床面積は前年同期で1割も増えている。

コロナ危機後の景気回復によりマンション投資が膨らむと予測された。

中国系銀行も不動産会社に適用する資金調達規制も、短期的に供給を増やしている。

2021年から負債比率により融資制限するため、不動産会社は取得済の土地にマンションを建設して、土地の在庫処理して負債圧縮する動きがある。

新築マンションの在庫増加の影響し販売価格が下落している。

地方の苦悩をよそに大都市は不動産バブルに沸いている。

広州市、上海市や深セン市などの販売床面積は7割〜9割近く増加しており、政府は購入制限するほど販売好調となっている。

ただ、中国では空き家問題も発生しつつあり、20%近くが空き家との試算もあり、14%の日本より上回る。

富裕層がマンション住戸の値上期待(キャピタルゲイン)だけで購入し、空き家状態のまま所有している物件が全体の2割近くあると言われる。

空き家増加は家賃下落圧力になり、コロナ危機前から家賃上昇は鈍化し、2020年3月から下落に転じている。

景気悪化すれば所有する物件を売却する動きが増えるため、マンション価格も下落に転じ不動産市況が悪化しやすく、不動産会社も新たなマンション建設を控える要因になる。

地方では新築マンションの在庫が増加し、大都市ではマンション住戸の空き家が増加しているため、不動産会社は新たな土地購入を抑制する動きも出てきた。

【2020年12月3日】
堅実な投資用マンション
資産運用として投資用マンションを選択する会社員も増えている。

東京都心の良好な環境や利便性の物件は単身者の住むための購入としても人気で、実需としても、投資としても活用できる。

不動産会社は投資用マンションのブランドを立上げ、賃貸時の入居者確保までのサービスも打ち出している。

下層階にワンルームタイプの住戸を設けるタワーマンションもあり、単身世帯の増加などで投資用マンションは注目されている。

三菱地所レジデンスが手掛けるザ・パークワンズ山吹神楽坂は東京都新宿区の江戸川橋や神楽坂がある好立地に建つ。

総戸数57戸、間取りは1K・1LDK、専有面積は25u〜33u、販売価格は2998万円〜4688万円で、手の届きやすい価格帯のためほぼ成約している。

都市部でありながら近くには昔ながらの商店街もあり生活がしやすく、購買層は東京都心で働く女性が居住用に購入する例が多い。

三井不動産レジデンシャルは2008年に投資用マンションブランドのパークリュクスを立上げ38棟を販売した。

東京都中央区で手掛けるパークリュクス日本橋伝馬町は、全住戸が賃借人付き分譲住戸として売出している。

賃借人との賃貸借契約などの手続きも三井不動産が手掛け、購入者は物件引渡の翌月から家賃が入る仕組みになっている。

投資用マンションの収益を図る物差しとして利回りがある。

年間の家賃収入を物件購入価格で割り、100を掛ければ表面利回りが算出できる。

パークリュクス日本橋伝馬町で利回り算出します。

◆パークリュクス日本橋伝馬町◆
販売価格:3670万円(489万円/坪単価)
専有面積:25u(7.5坪)
間取り:1R
月額賃料:13万1000円
表面利回り:4.2%
(13万1000円×12ヶ月)÷3670万円=4.2%

新築の投資用マンションでは4%程度の表面利回りが多い。

ただし、表面利回りは単純に収入に対しての投資額の利回りで、その後の運営する実質利回りが重要となる。

投資用マンション住戸を所有すれば維持管理するための諸費用が必要となり、毎年の固定資産税・都市計画税や毎月の管理費・修繕積立金などが掛かってくる。

これら諸費用を差引いた利回りが実質利回りとなり、こちらの方がより正確な収益指標となる。

そもそも利回りが出るのは家賃を支払う賃借人が入居している事が前提で、空き家のままなら家賃収入は得られない。

空き家になれば入居者募集しなければならないが、不動産関係者でない限り難しため、不動産会社に依頼すればそれなりの手数料等が掛かってくる。

住戸のリフォーム費用や設備故障の修繕費用も見る必要がある。

大手賃貸業者ではサブリース(借上)もあるが、それも仕組みを理解した上で利用する必要はある。

2020年1月〜6月の首都圏の新築マンション発売戸数は3484戸で、新型コロナウイルス感染拡大に伴い発売減少したものの販売は回復傾向にあり、東京都区部は2369戸で首都圏の7割弱を占めている。

東京都区部では、1999年は3423戸が発売され、低水準だった2016年でも65%を占めており、新築マンション建設は大都市部に集中している。

販売価格は、都市部の地価高騰や人手不足などによる建設費上昇により高価格帯になっているが、金融緩和策により超低金利により購入意欲は衰えていない。

2020年1月〜6月の首都圏の投資用マンションの平均販売価格は3172万円、単価も1uあたり121万1000円(400万円/坪単価)で上昇傾向にある。

投資用マンションでは、購入価格が上昇すれば、貸出した時の家賃も上昇しなければ利回りは上がらない。

家賃相場も調査する必要があり、30u以下の単身向け賃貸マンションの平均募集賃料は東京都区部で8万9268円と下落傾向にある。

コロナ危機後の春から家賃が下落し始め、収益環境としては厳しい状態といえる。

東京都心のオフィスビルもテレワークやサテライトオフィスが浸透し労働者が減少している事から、都心部での賃借人が減少する要因もあり、投資用マンション立地の定説だった駅近の都心部が揺らぐ可能性もある。

日本では少子高齢化や人口減少しているが、単身世帯は増えており、狭い専有面積の住戸ニーズが増えている。

今後の投資用マンションでいえば、立地や建物の質などで魅力を打ち出せるかがカギとなり、入居者確保や家賃上下収入の運用も多様化してくる。

また、投資用マンションとは言え分譲マンションのため、共用部分の設備更新や大規模修繕工事などの計画性など管理組合の実体も調査する必要はある。

【2020年12月5日】
住宅確保給付金、期間延長
厚生労働省は、生活困窮者に対する家賃補助する住宅確保給付金の支給期間を、最長9ヶ月から12ヶ月に延長する。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、経済情勢の悪化により雇用への影響が出始めた春からの受給者が、9ヶ月だと年末に期限が切れ生活が立ちいかなく可能性がある措置。

【2020年12月9日】
完成新築マンション、在庫動き始める
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、経済情勢や雇用形態の不透明さが長期化するなか、即入居できる完成新築マンションが売れ始めている。

東京建物などデベロッパーなどは、駅から遠いバス便の物件でも、住戸の広さや部屋数の多さで在宅勤務に向いたマンションの人気が集まっていると言う。

コロナ危機により新築マンションのニーズが一変した。

通常、新築分譲マンションは、建物が完成する1年程度前から発売し始め、建物完成時には購入者と契約済みの住戸の大多数が一般的。

建物引渡後も買手が付かなかった売残り住戸は完成在庫(クリアランス)となり、その後、売切るまで現地などで販売活動をし続ける。

完売するまで建設費など販売資金が回収できないうえ販売活動費もかさむため、デベロッパーとしては値引きしても売切りたい事情はあるが、ただ、先に購入した契約者との販売価格もあるため公な値引販売はしにくい。

また、新築マンション価格高騰のため販売物件が少ない現状では、次に販売する物件がなければ完成在庫(クリアランス)を値引きしてまで急いで売切る必要もない事情もある。

そんな中、コロナ危機が発生し、パンデミックが発生した都心部への通勤が麻痺したなか、在宅勤務などテレワークやサテライトオフィスが急速に進み、郊外で専有面積が広い完成在庫(クリアランス)が動き出し成約するようになった。

東京建物が手掛けた2019年8月に竣工したブリリアシティ三鷹は、間取りが3LDK〜4LDK、専有面積が71u〜90uの住戸を販売価格4000万円(190万円/坪)〜6000万円(222万円/坪)で販売中である。

立地はJR三鷹駅からバスと徒歩で計10分程度と駅近物件ではないが、2020年8月〜10月に完成在庫(クリアランス)の40戸程度が成約し始めた。

購入動機は、コロナ危機により在宅勤務などの勤務体系が急変し、郊外で広めの住戸がすぐに入居できる完成在庫(クリアランス)を選択している。

じっくり探して理想物件を吟味し、決断して購入する時間的余裕の無さが伺える。

三菱地所レジデンスが手掛ける2019年6月に竣工したザ・パークハウス青葉台二丁目は、間取りが3LDK〜4LDK、専有面積が72u〜85uの住戸を販売価格5900万円(280万円/坪)〜8200万円(328万円/坪)で販売中である。

横浜市青葉区の戸建て住宅が多い閑静な住宅街に建ち、最寄駅の青葉台駅まで徒歩10分程度だが坂のアップダウンが多い地域でもある。

市場価格バランスから完成在庫(クリアランス)を抱えていたが、2020年7月頃から15戸が急に売れ始めた。

在宅勤務により住戸で仕事しなければならなくなった会社員が、自宅に働くスペースを確保するにも広さがなく、また、賃貸物件では仕事場への改装も制約されるため、分譲マンションや戸建てを購入する人が増加している。

その中に完成新築マンションも希望物件に含まれ、実物を見れて即入居できる完成在庫(クリアランス)を選択する人が多い。

首都圏の2020年10月の完成在庫(クリアランス)数は3176戸で、コロナ危機前の2020年1月から21.2%減少している。

通常、供給が増える春先から在庫数は減少するが、2019年比より減少幅は大きい。

中古マンションも人気が高く、東日本不動産流通機構(レインズ)によると、首都圏の2020年10月の成約件数は3636件で前年同月比30%強増加した。

売却登録の在庫件数は3万9829件とここ1年間は減少し、新築物件より割安な中古物件を選択する人が増えている。

首都圏でも千葉県など郊外物件に人気が集まり、マンションであれ、戸建てであれ、良好な環境で部屋数が多い物件の要望が多い。

三菱地所レジデンスでは、コロナ危機前までは、都心のタワーマンションの流行に添って購入希望していた人達が、コロナ危機によりその意識が完全に変わったと言う。

不動産会社など新築マンションのデベロッパーは、都心や郊外という垣根が無くなり、多様なニーズに応えられる開発戦略が問われる事になる。

【2020年12月9日】
新築マンション、海外進出
大和ハウス工業は、海外で分譲マンション事業に乗出す。

オーストラリアの不動産建設会社レンドリースなどと共同で、アメリカのニューヨークマンハッタンでタワーマンションを建設する。

高さ140m、延べ床面積3万3000uの複合型分譲マンションを開発する。

販売戸数165戸、竣工は2023年3月で、総事業費400億円程度。

マンハッタンで他の分譲マンションを建設する。

日本は人口減少で住宅市場の拡大が見込めないため、海外事業を強化する。

【2020年12月10日】
分譲マンションの大規模修繕工事
分譲マンションは12年周期に大規模修繕工事を実施するのが望ましいとされる。

ただ、数千万円規模の大規模修繕工事を実施するには管理組合の修繕積立金総額が数千万円〜数億円の蓄えが必要である。

工事費不足により大規模修繕工事を先延ばしすれば、建物は劣化しみすぼらしくなり、結果的に資産価値下落につながる。

管理組合が大規模修繕工事を実施するには計画性がいる。

▼大規模修繕工事までに道のり
大規模修繕工事は分譲マンションの建物を劣化防止する目的があり、12年〜15年の周期で実施するのが理想とされる。

ただ、大規模修繕工事には数千万円以上の費用が掛かり、管理組合の修繕積立金総額を鑑み、長期修繕計画に基づき実施する必要がある。

それが整えば、大規模修繕工事を計画する設計コンサルティング会社や実行する施工業者を選定していく。

大規模修繕工事の実施前にあたっては、管理組合は理事会とは別に修繕委員会を設け、工事2年程前から計画していく。

大規模修繕工事の成功は計画性と資金力に尽きる。

工事費の数千万円に対して足りないから、区分所有者に一時金を徴収する例もあるが、日頃の生活費に追われるなか、突然、数十万円〜数百万円の一時金を請求されれば区分所有者から反発するのは当然である。

そのため、5年の期間を一つとする長期修繕計画が重要となってくる。

また、建物劣化により工事実施の必要性があれば、管理組合は住宅金融支援機構や金融機関から工事費を借入する事ができる。

補助金活用としては、国土交通省の“長期優良住宅化リフォーム推進事業”により、補助率は補助対象工事費用の1/3(上限1億円)で補助を受けられる制度で、リフォーム後の建物が、耐震性、省エネルギー性、維持管理更新などの対策について一定性能基準を満たす必要がある。

大規模修繕工事を含めたマンション管理は、その区分所有者や居住者が分譲マンションは自分達の財産という意識を持つ必要がある。

▼大規模修繕工事のポイント
大規模修繕工事を実施するにあたって、5つのポイントがある。

〔1〕管理組合が主体
1年に1回開催される総会は区分所有者の参加率は低いが、これが大規模修繕工事実施の議案が上程された総会になると参加率がグッと上がる。

それくらい分譲マンションで生活する居住者は大規模修繕工事に対して意識を持っている。

ただ、その意識も、エレベーターはいつ停止するのかやベランダの洗濯物はいつ干せなくなるのかなど、自分の生活のどのように影響を及ぼすのかに偏っているため、

生活も大切だが、分譲マンション全体に係る財産の意識も持つ費用がある。

管理組合は長期修繕計画から修繕積立金総額、そして大規模修繕工事の計画から実行、その後、次の大規模修繕工事までの計画策定。

大規模修繕工事は、管理会社や外部業者に任せっきりにするのではなく、自らの財産権という管理組合が主体となって取組むべき課題である。

〔2〕建物診断と工事項目
大規模修繕工事を実施するには、事前に建物の現状と劣化を診断します。

診断は設計コンサルティング会社や施工会社、管理会社など専門家が実施しますが、他人任せではなく、分からなくても一緒に同行するのが重要です。

自分達の目で見て、建物診断で分からない事や不明な点は恥じる事なく質問をする事が大切です。

一般的に大規模修繕工事の工事項目は、屋上や廊下等の防水、外壁等のタイル張替または塗装、鉄部の塗装、窓枠等のシーリング、その他必要箇所になります。

その中で、どうして劣化したのか、どのように修繕するのか、どうして工事が必要なのかなど質問は素人が感じる事が効果的です。

〔3〕工事情報提供
建物診断が終われば、そのまま修繕委員会もしくは理事会を開催し、診断結果はすぐには出ないが、大まかなまとめをする。

それを議事録にして、各区分所有者に配布する事で大規模修繕工事を実施する意義を高める。

大規模修繕工事実施の総会決議を可決させるには、このように前もっての工事に関する情報提供が欠かせません。

〔4〕修繕委員会
分譲マンションの規模にもよりますが、大規模修繕工事を実施するまでの意思決定機関が理事会の管理組合も多く見受けられます。

ただ、大規模修繕工事は理事会活動は別モノで、やはり修繕委員会を設立する事が望ましいです。

分譲マンションの居住者の中に、建築やマンションなどの仕事に就いている人がいれば、積極的に委員に就任してもらうと、大規模修繕工事の意思決定も的確になりスムーズに実施できる事があります。

〔5〕工事方式
大規模修繕工事は建物を足場とネットで覆うため、日常生活に多大な影響を及ぼします。

居住者の快適な生活への影響を最小限に抑えて工事を実施するには、やはり大規模修繕工事を多く手掛ける専門業者が好ましいです。

大規模修繕工事の施工方法には、設計コンサルティング会社と施工業者を分ける設計監理方式、施工業者が一任で実施する責任施工方式、管理会社が一任で実施する管理業者主導方式などがあります。

どの方式がいいのかは、その分譲マンションの特性によります。

ただ、その特性を見極めるのは修繕委員会や理事会、そして管理組合によるため、企業情報や工事実績など情報収集してしっかり吟味する必要があります。

▼難工事の給水管・排水管
分譲マンションの工事で最も難工事と言われるのが給水管・排水管の更新工事です。

給水管・排水管は、天井の上や床の下に配管されているため、工事実施するには天井や床材を撤去する必要があります。

共用部分ならいつでも工事できますが、給水管・排水管のほとんどが住戸内の専有部分にあるため、居住者が在宅してもらい工事を実施する事になります。

また、工事計画がまとまっても、実際に工事実施するとなると、給水・排水制限が出てきます。

各住戸での入室工事期間中は、居住者に給水・排水制限を説明して理解してもらい、仮設トイレや仮設洗濯機などを設置して対応する事になります。

給水管・排水管更新工事は、区分所有者や居住者との意思疎通を図り、いつでも意見や報告できるよう分かりやすい連絡網をしっかり整備する事が大切です。


▼老朽化マンション管理不全にならないために
1960年代に誕生した分譲マンションが築30年を超し、今後も増加傾向にある。

老朽化マンションで多く見られるのが管理不全に陥っている管理組合です。

鉄筋コンクリート造の建物は基本的に100年近くは持つが、その躯体に設置してある設備関係の寿命が50年前後となっている。

オフィスビルや賃貸マンションなら老朽化すれば解体して新しい建物を建てる事ができるが、分譲マンションは区分所有された複数の権利のため、1つの建物を建替するにも大きなハードルを越す必要がある。

そのために重要となるが建物や設備の日常管理になる。

建物は人間と同じで、健康維持のため運動したり検診したりし、病気になっても早期発見で治療すれば、治りも早く費用負担も軽く済む場合が多い。

管理組合が機能せず、建物や設備の管理不全に陥れば、最悪の事態になってからでは対処できない。

区分所有者や居住者は、日常生活に影響を及ぼす大規模修繕工事だけでなく、日頃からの管理運営に積極参加し、分譲マンションでの問題を共有化して問題意識を持つ事が大切である。

▼大規模修繕工事と修繕積立金総額
大規模修繕工事を実施するのに数千万円は掛かり、工事中は日常生活が制限されるなど、区分所有者や居住者はマンション管理について最も向き合う事になる。

そんな中で大規模修繕工事を含めたマンション管理のポイントを3つ挙げてみる。

〔1〕大規模修繕工事の見積
大規模修繕工事は分譲マンションの建物形状や設置する設備により大きく異なるため、見積金額も他と比べる事ができず判断材料がないオーダーメード工事である。

設計コンサルティング会社が入り、コンペ方式で複数の施工業者から見積書を提示してもらい高い安いの比較はできても、その工事概要の根拠までの判断は素人の管理組合では付きにくい。

〔2〕修繕積立金総額
修繕積立金不足で大規模修繕工事が実施できない管理組合が多く、資金が無ければ大規模修繕工事を先送りにせざる負えない。

それでも建物や設備の劣化や不具合は待った無しで、どんどん悪化は進行していく。

その時、借入金をして大規模修繕工事を実施するのか、または今ある修繕積立金総額でできる範囲の部分修繕工事を実施するのか、管理組合は決断に迫られる。

〔3〕修繕積立金増額
長期修繕計画により修繕積立金総額が不足する事が判明すれば、各区分所有者に対して修繕積立金増額の総会決議を実施してもらう。

ただ、高齢者やファミリー層が多いマンションだと、管理費・修繕積立金の増額議案に対して、低所得など各家庭の事情で難しい問題もある。

お金と工事のバランスを加味し、無理のない大規模修繕工事の工事概要と費用を算出する必要はある。

▼住宅金融支援機構のマンション管理サービス
一般的に管理組合の区分所有者はマンション管理の専門家ではない。

どのように情報を収集し、管理運営を実施したらようのかも分からない管理組合が多い。

そんな中、住宅金融支援機構では、“マンションライフサイクルシミュレーション 〜長期修繕ナビ〜”をホームページ上で開設し、大規模修繕工事の費用や修繕積立金会計の収支などを試算できるサービスを展開する。

マンションの所在地や竣工年、総戸数、修繕工事内容、修繕積立金の徴収額を入力し、同規模マンションの平均的な大規模修繕工事の見積額が表示される。

40年間の大規模修繕工事の費用負担の推移や、現状の修繕積立金での長期的な収支試算もできる。

住宅金融支援機構では“マンションすまい・る債”で余剰金を運用した場合の受取利息額なども試算できる。

【2020年12月12日】
サブリース事業、法規制
個人所有のアパートやマンションを不動産業者が一括借上(サブリース)し転貸するサブリース契約に関し、誇大広告や不当勧誘を禁止する法律が施行した。

空室による家賃収入低下や費用負担のリスクを事前に明示し、悪質業者への業務停止などの罰則を設ける。

アパート建設やマンション購入後に締結したサブリース契約後に、不動産業者などが不動産オーナーに対し賃貸市況低迷等の事情で一方的に賃料減額や契約解除などを実行する問題が多発している。

消費生活センターへの相談件数は、2009年に266件だったのが、2018年には1000件超になっていた。

国土交通省によると賃貸管理業者が1万程度あり、そのうち25%がサブリース事業を手掛けている。

サブリース事業は法規制がなく、2018年にはシェアハウスのかぼちゃの馬車を運営していた不動産会社スマートデイズが経営破綻し、個人オーナーに過剰融資や不正書類改ざんが発覚したスルガ銀行などを巻き込み問題が表面化した。

国土交通省は違反業者に業務停止処分などの罰則を設け、規制対象はサブリース業者だけでなく、サブリース業者と組んで不当勧誘する建設会社や、勧誘業務依頼を受けた代理・仲介業者なども対象とする。

『家賃保証』『必ず儲かる』などリスクが低く安定した収入が得られるなどの誇大広告を禁じ、『利回り保証』など偽りや、故意に事実を告げない行為も不当勧誘として禁止する。

契約期間中にサブリース業者から契約解除される可能性がある事や、将来の家賃減額がある事を明確に説明するよう義務付け、物件の維持保全に掛かる費用など重要事項説明も求める。

国土交通省では2019年の調査で、オーナーに対して将来の家賃変動条件や家賃減額リスクを説明したサブリース業者は全体の6割程度だった。

【2020年12月15日】
イタリア、民泊苦境
イタリアの観光地ローマでは、数年前から民泊を営む個人が増加していた。

アメリカのエアービーアンドビー(Airbnb)のシステム拡大に伴い、個人でも宿泊事業が簡単に手掛けられ、年間1500万人という世界有数の観光客を取込んでいた。

ただ、世界中が新型コロナウイルス感染拡大に伴い、ローマの観光客も瞬間蒸発して民泊を含めた宿泊事業が行き詰る。

残ったのは宿泊客のいない民泊施設と、先行投資した多額の借金を抱える民泊オーナーだけである。

民泊施設を賃貸物件に転用するオーナーもいるが、それでも賃貸需要に対する物件の過剰により動きは鈍い。

売却するオーナーが急増し、不動産価格はピーク時の1/3に下落している。

イタリアの不動産業者は、観光バブルが生んだ民泊施設が、コロナ危機により余剰物件の投げ売りが始まったと言う。

ローマには、民泊施設を5戸〜10戸など所有したオーナーも多く、それが全て不良債権化している。

エアービーアンドビー(Airbnb)によると2018年の予約件数は、ローマは世界6位、ヨーロッパでもイギリス、パリに次いで3位だった。

金融や企業の拠点が多い経済旺盛のミラノに比べ、イタリアの首都ローマは取り残されていたが、世界的な観光ブームがローマ復興の兆しをもたらしていた。

財政難のローマは、民泊ブームに対して民泊を利用する旅行者に対し1泊3.5ユーロ(441円)の観光税を課税すると発表した。

ある民泊施設では1泊120ユーロ(1万5120円)だったが、コロナ危機後、40ユーロ(5040円)〜50ユーロ(6300円)に値下げしたが、それでも利用者はいない。

民泊事業をやめエアービーアンドビー(Airbnb)との契約を解除する人が増えている。

【2020年12月15日】
首都圏、新築マンション発売減少
2020年11月の首都圏の新築マンション発売戸数は2790戸と減少し、大規模物件の売出しが少なかった。

売却住戸の割合を示す契約率は58%と需給指数の70%を下回っており、ニーズの減速感が見られる。

【2020年12月18日】
近畿圏、新築マンション発売増加
2020年11月の近畿圏の新築マンション発売戸数は1610戸と増加した。

大阪市内の土地価格が高止まりし、デベロッパーは大阪郊外のマンション開発を増加している。

契約率は69.3%と需給指数の70%を若干下回った。

販売戸数の多い大阪市内のタワーマンションで契約が伸びず、全体を押し下げている。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、在宅勤務促進により郊外の住戸面積が広い物件にニーズが動いており、大阪府郊外の契約率は79.8%と急増している。

【2020年12月18日】
投資用分譲マンション賃料下落
2020年11月の投資用分譲マンションの平均月額募集賃料は、首都圏で1uあたり3156円と下落した。

東京都区部で3826円で需要が弱含みとなった。

東京都は3696円、神奈川県は2360円、千葉県は1697円と下落しが、埼玉県は1660円で上昇した。

近畿圏は1925円で、大阪府や兵庫県で築年数が浅い物件が減った。

中部圏は1736円で上昇した。

賃料が安い築年数の古い物件や専有面積が狭い住戸が増加すれば平均月額募集賃料が下落し、築年数の浅い物件や専有面積が広い住戸が増加すれば平均月額募集賃料は上昇する。

【2020年12月18日】
中古マンションを改築
中古マンションを購入して自分好みにリノベーションする人が増えている。

ただ、中古マンションは集合住宅ゆえに近隣住民や構造体に配慮が必要です。

中古マンションの住戸を購入すれば、その玄関より室内を改築します。

基本的に室内は専有部分にあたり、どのようにリノベーションしても問題ありませんが、専有部分を囲っているコンクリート構造に穴を開けたりする事はできません。

では、専有部分はどの程度、リノベーションできるのか。

例えば、3LDKの間取りを全部解体してスケルトン(コンクリート打放し)にし、それを1LDKにする事はできます。

ただし、注意するのは水回りと床材です。

水回りとは、キッチン、トイレ、洗面所、浴室で、現状ある位置と離れた場所に変更すれば、給水管や排水管も変更しなければなりません。

特に排水管には注意が必要で、元々ある竪管は決まった場所にあるため、そこから遠くなれば水の流れを良くするための勾配が取りにくくなります。

最終的に詰まりの原因にもなるため、あまり水回りの位置を変更するのは望ましくありません。

床材は騒音に関連するため、管理規約・使用細則で決められている床材はその基準を使い、決まっていなければ現状の床材と同等のものを使用します。

よくあるのがカーペット敷きをフローリングに変更する場合、カーペットは柔らかいため音を吸収しますが、フローリングは固いため騒音の原因になりやすいです。

昔の分譲マンションは管理規約でフローリング禁止にしている管理組合もあるため、管理会社などにしっかりと確認してください。

分譲マンションは不特定多数の居住者が各々の生活スタイルで暮らしているため、あまり奇抜なリノベーションをすると後々問題になる事があります。

購入する際は、都心部の単身者が多い分譲マンションなのか、郊外の家族層が多い分譲マンションなのかをよく判断する事が重要です。

【2020年12月19日】
レオパレス21、サブリース条件交渉
サブリース事業のレオパレス21は、賃貸アパートの大家(オーナー)との間で保障する賃料の見直し交渉する。

2021年春以降に更新時期を迎える物件から、大家(オーナー)に対して一括借上(サブリース)条件の減額要請をする。

2018年にレオパレス21は、建設を手掛けた賃貸アパートの施工不良問題で業績が悪化し、賃借人退去など入居が低迷している。

レオパレス21は建築後の賃貸アパートを一括借上(サブリース)して、大家(オーナー)に一定家賃収入を保証し、2年に1度の更新で近隣の家賃相場を参考に交渉している。

借上た部屋を入居者募集して転貸借するが、空室でも大家(オーナー)には賃料を支払わなければならない。

2018年の施工不良問題前までは9割超だった入居率が、2020年11月には77%まで下落しており、2020年5月以降には損益分岐点の80%を下回っており逆ザヤが続き、現状の家賃保証維持が難しくなっている。

減額幅は家賃相場や物件ごとに交渉し、いままでは周辺相場の動向を反映した減額交渉はしていなかった。

ただ、レオパレス21の賃貸アパートはもともと周辺相場より安い単身者向けの低額家賃が魅力だったため、家賃保証減額交渉の幅にも限界はある。

それに、事の発端の施工不良問題による22万戸弱ある物件の改修工事は、2021年1月から首都圏や都市部などを優先して施工する予定。

これまで問題物件の大家(オーナー)との話し合いで全国一律に改修工事を実施していたが、完了したのは4万2000戸あまりに止まる。

毎月500戸を改修するが、春先の賃貸物件の繁忙期までに入居者確保しやすい物件の改修を優先させて収益確保を急ぐ。

レオパレス21が賃貸アパートを借上ている大家(オーナー)は2万8000人ほどで、家賃保証減額や改修優先度に差を付ける事に反発を招く可能性はある。

賃貸アパート経営に余裕のある大家(オーナー)は、保証減額など不利な条件を受け入れても一括借上(サブリース)を継続する事を望むが、借入金で賃貸アパート建設し収支バランスを下げられない大家(オーナー)には苦渋の選択となる。

レオパレス21自身も、アメリカ投資ファンドのフォートレスインベストメントグループの資金支援を受入れ、572億円を調達して経営再建に取組み、債務超過を解消し改修工事の資金に充てる。

ただ、賃貸アパートの入居率が下がり続ければ、資金流出も続くため空室改善を止血を急ぐ必要がある。

【2020年12月21日】
2021年、首都圏新築マンション発売動向
2021年の首都圏の新築マンション発売戸数は、2020年度比で30%強の3万2000戸程度になる見込み。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2020年は新築マンション発売戸数が2019年比で20%減少したため、その反動で2021年は増加すると予想。

テレワークなどの拡大により郊外物件に人気が移りつつあるが、景気悪化したため購買意欲が減退している面もある。

地区別では、東京都区部は1万4000戸と3割増し、神奈川県の3割強や埼玉県の5割弱など全体的に発売が増える。

コロナ危機後、新築マンション販売会社のネットでのアプローチやリモート営業による非接触型販売方法が確立しつつある。

2020年は会社員のファミリー層などで在宅勤務が常態化し、住戸の専有面積が広めの郊外物件の希望が急増し、2021年も同じ流れになると見る。

東京建物などは、京王線の聖蹟桜ヶ丘駅近隣で大規模物件を販売する予定。

野村不動産は、横浜市で大規模マンションなプラウドシティを販売する。

また、都心部や駅近物件も根強い人気があり、三井不動産は東京都千代田区と渋谷区で高級仕様のパークコートを計画している。

新築マンションは全体的に、駅からの距離、住戸の専有部分の広さ、販売価格帯のバランスで売行きが決まると見る。

ウイルス感染症予防対策では、非接触アイテムやテレワークに適した設備など、顔認証システムやコワーキングスペースなどを導入する物件が増えている。

ただ、景気悪化に伴う不安から、2020年11月の契約率は58.1%と前月の70.4%から大きく落ち込み、需給均衡の70%を下回っている。

都心部の3密(密閉、密集、密接)を避けるように、良好な環境の郊外物件の広い間取りの新築マンションの購入が相次いだが、ここにきてひと段落している。

新型コロナウイルス感染収束が長引き景気後退が続けば、給与所得に影響を及ぼすため、新築マンションの売行きも左右される。

【2020年12月22日】
サブリース規制
家主(オーナー)から賃貸アパートを一括借上し、居住者に転貸借するサブリース事業者の規制法が施行された。

消費者庁は、家主(オーナー)などの個人に対し注意点をまとめたチラシを作成してサイトにて公開する。

サブリース事業に関して、不当勧誘やメリットのみが強調された広告に注意を呼び掛けている。

《サブリース規制法の概要》
@:契約期間中に賃料減額の可能性がある。
A:契約期間中でも契約解除の可能性がある。
B:修繕費は原則、家主負担。
C:契約の性には重要事項説明や書面交付が必要。

【2020年12月23日】
レオパレス21、施工不良物件完工延期
レオパレス21は約20万戸ある施工不良物件について、改修工事完了が2024年まで掛かるとしている。

国土交通省などの勧告で2020年末までに完了する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い改修工事が実施できず、また、人材流出で対応が難しくなった。

入居率も70%台までに低下しており、都心部などの賃貸アパートから改修するなど入居確保を急ぐ方針。

ただ、コロナ感染は収まっていない事や、人材不足は変わらないため、予定通りになるかは不透明である。

【2020年12月24日】
マンション管理と大規模修繕工事
老朽化マンションが増加するなか、居住者の高齢化も同時進行し、建物や財務の管理を適正的確に維持する事が問題となっている。

▼長期修繕計画と大規模修繕工事
築30年以上の分譲マンションは全国で213万戸あり、建物や設備を安全快適に維持保全するかが課題となっている。

建物と設備は、点検や補修を実施する日常管理と、建材や設備の耐用年数により実施する大規模修繕工事がある。

日常管理では、定期の点検や検査により判明した故障や不具合により補修工事で、その積み重ねが長期修繕計画に生かされる。

そして、長期修繕計画がきちんと策定できてこそ、的確な大規模修繕工事が実施できる。

ただ、現実には分譲マンションの住戸を購入した区分所有者で構成される管理組合は、理事会は実施されるも、ほとんど管理業務委託する管理会社任せになっている。

大規模修繕工事を実施する時も、設計コンサルタント会社に依頼し、施工は建設会社に依頼する設計監理方式を採用する管理組合もあるが、この工事概要が日常管理をきちんと反映されているかどうかにかかる。

長期修繕計画は25年〜30年の期間で作成するが、都度の補修工事などは落とし込まれていない事が多く、それを把握しているのは日常管理をする管理会社である。

大規模修繕工事を実施する場合、管理会社にも工事概要等を確認するが、担当者(フロント)レベルや低い手数料配分により情報が集約できているとは言い難い。

ただでさえ問題が多い分譲マンション管理だが、さらに老朽化マンションが急増しており、居住者の高齢化により管理費や修繕積立金の収支も不安が多い。

それらを鑑み、分譲マンション管理は日常と長期計画を併せて実施しなければならない。

分譲マンション管理組合の区分所有者や居住者も委託する管理会社に任せっきりではなく、理事会の役員以外も、ある程度、参加する必要がある。

建物や設備、会計でどこが問題で、どう対処していくのか、分からないなりにも参加して聞く姿勢が重要である。

区分所有者等も参加し続ければ、なんとなくマンション管理について見えてくるもので、そこで、頼りになる管理会社の担当者(フロント)なのか、信頼のおける設備修繕業者なのかが分かってくる。

それを数年、数十年と続ければ、大規模修繕工事を実施してくれる施工業者の判断基準や選定もスムーズにいく。

分譲マンションの理事会や大規模修繕工事実施に伴う修繕委員会の構成員は、単発で就任し、任期が終われば関与しないという継続性がない。

理事会でも修繕委員会でも、常任の役員を選任する事が望ましい。

このように分譲マンション管理組合の区分所有者や居住者が意識を持てば、問題の共有化や情報の透明化が進み管理組合運営が円滑にできる。

それが建物や設備、会計の適正的確な維持管理が実施されている裏付けとなる。

2020年度、マンションに関する法律が改正された。

『マンション建替円滑化法』では、建替の前提としての建物解体に、前改正で更地化が追加されたが、更地化できる条件が緩和された。

外壁タイル剥落など建物劣化による危害を及ぼす管理不全マンションの項目も追加されている。

『マンション管理適正化法』では、自治体が分譲マンションの管理方向性を示し、管理組合は管理計画を作成して、自治体に提出して認定を申請する事になる。

2022年には分譲マンション格付けが始まり、劣悪な管理の分譲マンションなら低評価となり資産価値に影響を及ぼす。

▼給水管・排水管設備改修の配管業者
分譲マンションの大規模修繕工事など設備更新工事で一番難しく後回しになるのが給水管・排水管設備改修工事。

ただ、給水管・排水管は生活をする上で欠かせない設備のため、劣化したまま放置する事は好ましくない。

建物内の給水管・排水管がサビや腐食などで劣化すると、水漏れや逆流、噴出などの漏水事故が発生する。

給水管・排水管設備の耐用年数は使用建材にもよるが、短期で20年〜25年、長期で40年〜50年。

また、給水管・排水管設備は、建物の縦方向に延びる竪管(共用部分)、そこから枝分かれして各住戸の水回りに接続する横引き管(専有部分)に分かれている。

しかも、ほとんどの給水管・排水管は床下や壁内に隠れており、上下横の住戸と日程を調整しながら工事実施していくため、施工が難しく工事費用も割高となる。

そのため、給水管・排水管設備改修工事を実施する際、事前に住戸内状況のアンケートや工事説明会を開催して、間取りや居住者の生活スタイルなどを把握する事が成功のカギとなる。

給水管・排水管設備改修工事において、現状仕様の確認、劣化調査、アンケート、資金計画を踏まえて工事計画を作成し、管理規約・使用細則の条文に抵触していないか、総会に議案上程して可決承認を得る必要があり、最低でも1年ほど前から準備を始める。

管理組合で給水管・排水管設備改修工事の実施が決まれば、まずサンプル住戸を選定して給水管・排水管設備の試験施工などを経て改修計画を作成し、工事の実施に入る。

▼大規模修繕工事の施工業者
マンションの大規模修繕工事を専門にする施工業者も多い。

大規模修繕工事は、一般的なファミリーマンションに、タワーマンションや団地型マンションもあり、工事方法や進行もさまざま。

施工業者の選定で重要なのは3つある。

@:経験豊富な実績で、修繕工事はその場で判断して対応するイレギュラー工事が多く、それを適正的確に決断できる作業員を雇用しているかによる。
A:経営の安定性で、大規模修繕工事は数千万円〜数億円の費用が必要で、数ヶ月〜数年の期間が掛かるため、施工業者が途中で倒産しないよう財務を確認する事と、また、財務がしっかりしていればその下請業者も安心して作業してくれる。
B:大規模修繕工事の完了後、しっかりとしたアフターサービスの充実で、1年点検、3年点検、5年点検などあるが、そのアフター点検内容も確認する必要がある。

最近ではウイルス感染予防に努める事も欠かせない。

▼防水工事の施工業者
マンションの屋上防水には、アスファルト防水、塩ビ防水、ウレタン防水があります。

アスファルト防水は最も耐久性が高く、耐用年数は15年〜20年。

防水工事後、10年以上経過している、漏水がみられるなどあれば、防水工事を実施する時期に来ている可能性がある。

【2020年12月24日】
賃貸アパート経営を始める前に
マンションやアパートを人に貸して賃料を得る賃貸不動産経営。

家賃は最低でも数万円するため、高い収益性と見られているため、地主が所有地にアパートを建てる昔ながらの賃貸不動産経営とは別に、投資用分譲マンションを1住戸購入して運用する会社員投資家も増えてきている。

そんな賃貸不動産経営の利点と問題点はどこなのか?

▼賃貸不動産経営のメリット
住宅は必要であり、一度、賃借人が決まれば長期的に借てくれるため、賃貸不動産経営は景気変動の影響を受けにくいとされる。

収入源でもある賃料収入は景気の影響を受けにくく、長期で安定した収益を見込む事ができる。

その不動産はインフレに強く、物価が上昇すれば現金価値は目減りするが、現物資産の不動産は、物価上昇に合せて価格上昇する。

基本的に、家賃も不動産等に連動して上昇するため、収入減を回避できるとされる。

相続税対策として賃貸不動産経営を選択する人も多く、賃貸不動産は現金より評価額が低くなり相続税も節税できる。

ただ、賃貸不動産経営は賃借人が賃料を支払ってはじめて成り立つため、賃借人がいない空室を抱えると歯車が逆回転する。

そのため、駅近や買物施設が多い利便性や環境の良さなど、誰もが住んでみたい地域が重要となる。

ターゲット層を明確にし、一人暮らしの単身世帯、家族で暮らすファミリー世帯、老夫婦2人などシニア世帯など、そのニーズに合った賃貸住宅を供給するかで賃貸不動産経営も変わってくる。

▼ニーズある賃貸不動産経営
賃貸不動産市場の需要を調査し、入居者が見込めると判断すれば、資金計画を作成する。

土地購入や建物建設にアパートローンを組む場合は、家賃収入でアパートローンを返済できるかが重要。

賃貸不動産経営の指標には利回りがあるが、これには表面利回りと実質利回りがある。

表面利回りは、単純に1年間の家賃収入から不動産取得金額を割った率でみるが、ただ、これには不動産所有の諸経費や空室リスクは入っていない。

賃貸不動産を貸出す際、入居者募集、入居審査、賃料集金、設備メンテナンスなど建物管理会社に委託するため、家賃の5%など決まった管理手数料を支払う。

それ以外に、固定資産税、不動産所得税、アパートローン返済金など必要経費を支払う事になり、収入かさ支出を引いた額に不動産所得額を割った率が実質利回りとなる。

ただ、これは賃借人が決まっている場合を想定しており、当然に空室が続く事も考えられる。

▼一括借上(サブリース)による賃貸不動産経営
空室リスクはどの賃貸不動産経営に起こりうる。

ただ、需要ある立地や供給物件が少ない地域なら空室リスクは回避できる可能性がある。

しかし、全ての物件が当てはまるわけでもなく、しかも、優良物件なら購入金額も割高となり利回りが下がる。

そんな中、不動産会社などが賃貸アパートの全室を一括借上(サブリース)して一定額の家賃保証し、入居者(転借人)に転貸借する方法がある。

家主(オーナー)は、入居者がいない空室でも不動産会社から固定家賃が入り、空室リスクがなくメリットが大きい。

ただし、いつまでも同条件で一括借上(サブリース)してくれる訳ではなく、将来的に、固定家賃が減額されたり、一括借上(サブリース)解約される事もある。

そのため政府は、2020年12月15日に『賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律』で、一括借上(サブリース)を手掛ける不動産会社による誇大広告や不当勧誘が禁止された。

ただ問題の発端は、不動産会社の不誠実な営業手法ではなく、相手の言葉を鵜呑みにする素人同然の家主(オーナー)が増えて事である。

立地が悪い、家賃設定が高ければ、当然に誰も借りたいと思わず空室リスクが潜んでおり、それを不動産会社が一括借上(サブリース)提案して賃貸物件購入を勧めれば、理由を述べて断るだけの知識を備える必要がある。

特に賃貸不動産経営は、誰でもできる簡単な事業ではありません。

不動産の知識、法律の知識、経済の知識、市場の知識を必要とします。

これら知識がなければ、それに精通した信用信頼できる専門家を見方に付ける事が、賃貸不動産経営の成功の近道です。

【2020年12月24日】
ウイルス対応、抗菌マンション
大和ハウス工業は、抗菌・抗ウイルスに対応したマンションを手掛ける。

各住戸に特殊コーキングを施した床材や建具を使用し、非接触キーや人感センサー付きスイッチを採用し、手で触れないよう工夫している。

建材は凸版印刷が開発したコーティングが施してあり、一般社団法人の抗菌製品技術協議会(SIAA)の認証を受けている。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、ウイルス対応のオプションで抗菌使用するマンションははあるが、1棟すべてを抗菌マンションは珍しい。

大阪府茨木市で開発する分譲マンションのプレミスト茨木双葉町で採用する。

【2020年12月26日】



 


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